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『異世界エリュセードの四季』

サージェスティン

「というわけで、暇っ子皇子君を引き連れてやって来ましたー。ウォルヴァンシア王宮のー、王様の執務室でっす!」


カイン

「何で場所移動してんだよ!! 茶会やりながら解説回やるんじゃねぇのかよ!?」


サージェスティン

「えー? だって、大図書館に籠りっぱなしも身体に悪いじゃない。たまには別の場所で気分を変えてやるのも良い事だと思うんだよねー。ねぇ? 王様?」


レイフィード

「……君達ねぇ、一応僕……、仕事中なんだけど?」

(姪御溺愛叔父さんこと、ウォルヴァンシア王レイフィード)


ルディー

「すみません……、陛下。サージェスの奴が止まんなくて」

(無理矢理連れて来られた犠牲者その2)


レイフィード

「君も大変だね~、ルディー。まぁ、そろそろ休憩にしようと思っていたところだからいいけど……。これってアレなんだよね? 作者が言ってた、『ウォルヴァンシア大図書館』何とか、って企画」

(苦笑&書類を横に片付け中)


サージェスティン

「俺とルディー君で『仲良く』やってるんですよー。あ、第三回目になるんですけど、王様も一緒にやってくれると嬉しいなぁ、なーんて」


レイフィード

「うん、いいよ~。で? 何の話をするんだい?」


サージェスティン

「えーとね、今回は『エリュセードの四季』に関してなんですよねー」


レイフィード

「あ~、……それ、物凄く簡単に終わっちゃう話題だねぇ。まぁ、いいか。じゃあ、せっかく楽しい輪にまぜて貰った事だし、僕が解説しちゃおうかな~」


カイン

「俺は楽しくねぇよ!! うぐぅぅっ、さ、サージェスっ、いい加減に放しやがれぇええっ!!」

(逃げないように羽交い絞めにされている竜の皇子)


レイフィード

「エリュセードの四季っていうのは、基本的に『精霊の領分』なんだよ。その国にいる精霊の種類や人数によって、気候が決定される。例えば、獅貴族の国、ゼクレシアウォードなんかで言えば、炎の精霊が多くいるから、年中真夏の気候で定まっているんだ」


カイン

「俺を無視すんなぁああああっ!!」


サージェスティン

「皇子君、うるさいよー。ほら、こっちで大人しくしてるか、積極的に関わる努力をしてよ」

(仕方なく拘束を解く)


カイン

「はぁぁぁ~……、死ぬかと思った。ったく、わざわざレイフィードのおっさんまで巻き込んでやるような回じゃねぇだろ、これ」


ルディー

「皇子さ~ん、余計なツッコミは野暮だぜ。大人しく茶でも飲んでろよ」


カイン

「けっ。勝手にやってろよ」

(と言いつつ、ちゃんと最後まで付き合うらしい)


レイフィード

「えぇと……、君達、いいかな~? 話の続きだけど、『精霊の種類、人数によって定まる気候』って説明でもう察して貰えたと思うけど、『その地で数の多い種の精霊が気候を大きく左右する』って事なんだよね。けど、僕達の国であるウォルヴァンシアのような一年中気候の穏やかな土地は、『精霊の種も、数も、ある一定の基準値で均等に存在している』って事になるんだ」


ルディー

「ちなみに、『基準値を突破して、尚且つ精霊の種や数が均等に存在している』場合は、『四季の特色が強く出る』事になる。まぁ、ウォルヴァンシアにも一応四季を薄っすらと感じられる程度にはあるんだが、その影響を強く感じる事はないんだ。だから、年中気候が穏やかなのと変わらないんだ」


レイフィード

「でもね~、精霊達も気まぐれを起こす時があって、数日間くらい氷の精霊がウォルヴァンシアに沢山集まっちゃったりして、物凄ぉ~く寒い日を過ごす羽目になる事もあるんだよ」


カイン

「まぁ、精霊の奴らも大抵は気に入った土地からあんまり動いたりはしないんだけどな」

(漫画を読みながらコメント)


サージェスティン

「そうだねー。大抵の子達は住み着いた土地を離れないけど、中には飽き性だったり変わり種の子もいるらしいよ? だから、突然気候が変わると、当然、作物の心配とかしちゃうよね?」


カイン

「そういう面倒な気候の変化で作物を枯らさねぇように、エリュセードの奴らは『魔術技術を利用した農作物の管理』ってのをやってんだよ。だから、その管理技術に問題でも起こらねぇ限り、不作とは無縁だ」


サージェスティン

「うわー、皇子君ちゃんと解説出来たねー。偉いよー、偉い偉い」

(カインの頭をくしゃくしゃと撫でまわす人)


カイン

「だぁああああああっ!! ガキ扱いすんなぁああああっ!!」


レイフィード

「ふふ、仲良いね~、君達。今カインが言った通り、僕達の世界には魔術という強みがある。だから、色々と便利なのは事実だね。……まぁ、そのすべを上手く扱えていなかった場合は、別だけど」


ルディー

「そうだなぁ……。今でこそ、国の優秀な術者を派遣して貰って畑を守って貰う為の環境が整ってるけど、昔はそれがなかったり、協力してくれる魔術師がいても、当たりハズレがあったり、ってな。色々と問題もあったみたいだぞ」


サージェスティン

「うんうん、そういう失敗を積み重ねて……、今の安定した農作事情があるんだねー。……って、本当に短く終わっちゃう話題だね、これ。もう解説する事が何もない気がするよ」


レイフィード

「ふふ、それはどうかな~? 四季の話は終わったようなものだけど、農作の話も出た事だし、それに纏わる話も、もう少し掘り下げたらいいと思うよ」


カイン

「農作事情、か……。あ、そういえば、各国共通で育てられる作物の他に、その国の土地でしか作れない貴重な収穫物とかもあったよな?」


ルディー

「あ~、そういやあったなぁ。結構高値で取引されてる特別なモンとか、国独自の特産品として輸出されていくモンとか」


レイフィード

「ウォルヴァンシアにもあるよ~。『もふもふウォルまん』って言って、咲いた花の中にってる美味しいお饅頭みたいなのがあってね~。毎年献上される日が楽しみで楽しみで♪ あ、これがその写真シャルフェだけど、見るかい?」


カイン

「…………」


サージェスティン

「…………」


ルディー

「あぁ、これ美味いんだよなぁ~。限られた数しか年に収穫出来ないとかで、滅多に食べられないんだよ」


 ――カインとサージェスティンの目に映る、……どう形容していいかわからない、濃茶色のまぁるい大きなパン、のような存在。その表面には、ユキの世界で言うところの『カラフルチョコチップ』が散りばめられており、その下にはたっぷりと生クリームがぐるりと一周している。

 だがしかし、問題はそこではない。パンの表面に、大きく丸い宝玉が二つ。

 まるで目玉のようについているのだ。さらにその下には笑みを形作る生クリームデコ。


カイン

「……これ、作物、か? どう見ても、何か違うぞ……」


サージェスティン

「独創的、というか……、王様? これ、……料理人が手を加えた状態、だよねー?」


レイフィード

「え? 収穫した時点でこれだよ。生まれたままの姿」


カイン

「……マジ、で?」


サージェスティン

「ガデルフォーンにも……、全身キラッキラの装飾品だらけの巨大魚がいるけど、あんな感じ、なのかなー……。うーん、でも、何だかこれ、人の顔みたいに見えてくるから、ちょっと食べ難そう、だよね」


レイフィード

「そうかい? 物凄く美味しいんだよ~」


ルディー

「ははっ、まぁ、気持ちはよく、わかる……。けど、慣れてみると結構愛嬌あるなぁ、と思えるんだぞ。あ、ちなみに、その目玉の部分はぷにぷにして甘」


カイン

「慣れたくねーよ!! 可愛いとか思えねぇよ!!」


レイフィード

「おやおや、そういうところは父親似だね~、君は。グラヴァードにも一度この写真を見せた事があるけど、『おい、これ絶対ぇ食いモンじゃねぇだろ? これ、ゲテモンだろ?』って、今のカインと同じような反応をしていたよ」


サージェスティン

「流石親子だねー……。でも、美味しいんでしょ? これ」


ルディー

「魂が蕩けるレベルの美味さだ」

(珍しく力説)


サージェスティン

「えっ!? 何それっ、食べたーい!!」


カイン

「……そ、そんなに、美味いのかよ?」

(ごくり)


レイフィード

「ふふ、今度献上品が届いたら、お裾分けしてあげるよ」

(皆を微笑ましく見守る保護者の眼差し)


 ――と、その時。

 国王執務室にノックの音が聞こえ、レイフィードが入室の許可を与えた後に扉が開かれた。

 

アレクディース

「失礼します。こちらにルディーは……」


カイン

「よぉ」


 ――入室した瞬間、ウォルヴァンシアの副騎士団長アレクディースが一瞬で場所を移動し、挨拶をしたはずのカインの顔面に向かって白刃を振り下ろした!!

 それを必死のていよろしく、真剣白刃取りで防ぐカイン!!


カイン

「テメェ……っ、いきなり何やってんだよっ」

(ギリギリギリギリ)


アレクディース

「習慣だ」

(とか言いながら、目が殺る気満々、マジなアレクディース氏)


レイフィード

「お~い、君達~、僕の執務室で流血沙汰はごめんだよ~?」


サージェスティン

「皇子君とアレク君……、相変わらずだねぇ。でも、毎回毎回顔を合わせた途端にこれだと、逆に仲良いんじゃないかなーって思うよ。ユキちゃんもそう言ってたし」

(のほほん)


アレクディース

「!? ゆ、ユキが……、何、だと?」


カイン

「俺と番犬野郎が……、仲が良い、だと?」

(ギロリ)


ルディー

「そういや、この前も遠目に皇子さんとアレクの喧嘩を眺めてた時も、姫ちゃん言ってたなぁ……。顔を合わせる度に喧嘩するのは、スキンシップがわりなんでしょうね、って……」

(遠い目)


サージェスティン

「ユキちゃん、物凄く悟りきった目をしてたよー……」


ルディー

「ウォルヴァンシアに戻って来た頃は、色々と頑張りすぎたりオロオロとしてた姫ちゃんだが……、あれだな。今じゃ大抵の事は受け流せるスキルが身についた感じがするんだよ」

(同情に満ち溢れた目)


サージェスティン

「きっとあれだよー。心労負担を軽減する為に身についた処世術じゃないかな。可哀想だなぁ、ユキちゃん……。皇子君とアレク君の、進歩のないスキンシップばっかり見せられて」

(じとぉ……、という目)


アレクディース

「…………」

(気まずげに目を逸らし、剣を鞘に仕舞う)


カイン

「……そんなに、か?」

(汗)


レイフィード

「アレク、カイン……」

(冷静な真顔&恐ろしい気配駄々漏れ。ウチの可愛い姪御が胃潰瘍にでもなったらどうしてくれるんだ……、という無言の圧力)


アレクディース

「ぜ、善処、します……」


カイン

「努力は、する……」


 ――こうして、第三回目の解説回は微妙な空気の中で幕を閉じた。

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