プロローグ
〜大昔〜
異世界・フィラーバレー、今この世界ではある戦争が勃発していた。
「フレア!また魔王が姿をくらませたわ!捜し出して!」
召喚術を発動しながら、一人の女性が叫ぶ。
フレアと呼ばれた人物は無言で頷くと、瞼を閉じて瞑想を始める。
どれ位経過しただろうか…フレアは瞑想を止めると召喚術を発動した。
「全知の神!全ての長のゼウスよ、この声が聞こえたのであれば、その姿と力を示せ!」
フレアが叫ぶと同時に、魔方陣からゼウスが出現した。
ゼウスが右手を振りかざすと、天から無数の雷を降らせる。
ゼウスの圧倒的な力になす術もなく、姿を消していた魔王は、魔法が解けたのか姿を現した。
「今だみんな!封印の刻を出せ!」
今度は男性が叫ぶ。
男性に続けと…フレアを含む10人の人間たちが一斉に複雑な模様を描いていく。
どうやらこれが、“封印の刻”のようだ。
“封印の刻”は魔王の周りにまとわりつくと、突如眩い光を放ち出した。
「ぐわああああああああ!!」
魔王は苦しくもがく。
“封印の刻”から放たれる光に耐えながら、魔王は10人の人間たちを睨みつける。
「おのれぇぇ!召喚騎士ども……貴様らの顔と名前、確かに覚えたからな!覚悟しておけ!!!」
魔王は最後にそう叫ぶと、消滅していった。
しかし、10人の人間たち…召喚騎士たちは、なぜか喜びもせずに立ち尽くしていた。
「フレア、終わったね…」
「終わりじゃない、始まりよ」
仲間の言葉に、フレアはそうこたえるのであった。
……これが、今現在において語り継がれている、“召喚戦争”の一場面である。