美都の村へ
「おい、行くぞ」
「あ、はい!」 オレは兄貴について世界を回り冒険している。オレの装備は棍棒と旅人の服だけど、兄貴は鋼の剣を持っている凄腕の冒険者なんだ。自慢の兄貴さ。
広い街道を選んで進む。二人のパーティーでは、強いモンスターと戦うのは厳しい。人通りが多い街道は、相対的に弱いモンスターが出現する。
街道の端には、濃い緑がうっそうと茂り、すぐ近くにも、強力なモンスターの気配が蠢いている。
「ぼやぼやするな。もうすぐ、ビトの村だ」兄貴は優しいが、口調はぶっきらぼう。オレは、そんなかっこいい兄貴が大好きだ。
「はい、わかったよ!」
街道の中心を進むと、モンスターの群れに遭遇した!「 スモールワームが三体、現れた!」
緑色の分厚い皮膚を持つ芋虫のモンスター。長い触覚がピクピクする。でも、動きはあまり速くない。
兄貴は素早く斬りつける。鋼の剣がキラリと光ると、スモールワームAが半分に分断された! 青黒い血を流し、スモールワームAは見る間に動かなくなった。
スモールワームBが剣を振りきった体勢の兄貴に体当たりをする。
ドガッと音がするが、兄貴は動揺しない。
そして、オレも…… ここは、頑張らないといけないぞ! 棍棒を振りかざし、スモールワームCに叩きつける。バチンといい音がするが、あんまり効いていない。
スモールワームCの反撃。大きな頭で頭突きをしてくる。
「うわっ!」 オレは背中から倒れてしまい、落下の拍子に格好悪い声が出ちゃった。 気合を入れて、もう一度立ち上がる。
さっきよりも、力を込めて、精一杯の棍棒攻撃をスモールワームCにお見舞いする。モンスターの動きが少し、遅くなった気がする。
勝てるかも。
「ズバッ!」 スモールワームBが引き裂かれる音とともに、兄貴の強い声。「大丈夫か!」
兄貴は走りよると、スモールワームCに鋼の剣を突き刺した。
「モンスターの群れを倒した!」兄貴はさっさと、倒したモンスターをアイテムボックスにしまい込む。因みに、兄貴のアイテムボックスが一杯になった時の為に、オレもアイテムボックスを持っているんだ。
アイテムボックスを持っている事は、ちょっとしたオレの自慢さ。
「これだけあれば、宿代くらいは十分だ。急いで村に入るぞ」アイテムボックスにスモールワームを詰め、中身を再確認する兄貴。
「はい!」
その後、何度か弱いモンスターに襲われたが、兄貴と一緒に倒して、もう村が見えるか見えないかという所。
「アウウウウ!」 狼のような鳴き声が辺りの丘から響く。
「フォール、気をつけろ!」兄貴の声と同時に、大きな狼犬が現れた。「ブラックウルフが現れた!」
大きな白い牙を剥き出し、餌を狙う鋭い目は、あきらかにオレに向けられていた。