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七話 自分のやりたいことをやって死ぬ

第七話です

少しだけど、永遠と感じるほどの時間が過ぎた。

私はこの空気に体を動かすことができず、立ちっぱなしのまま四人の返事を待ったのだが、相変わらず沈黙で、誰も何も喋らなかった。

(やっぱり、ダメなのか・・・・・・) 


「あの・・・・・・」


その時、私の隣にいる少年の口から声がでた。


「俺、やってみようと・・・・・・思います」

「ほ、ほんとかい?」

「・・・・・・はい」


その時、私の緊張していた体は一気に力が抜け、重くのしかかった重圧が無くなり体が浮き上がった感覚になった。


「君、名前は?」

「あ、鈴木健太すずきけんた・・・・・・です」

「健太くん、ありがとう・・・・・・ありがとう」と、私は涙を流しながら感謝した。


健太は、私の行動に少し戸惑っていた。


「え、あの・・・・・・」

「ああ、すまない。取り乱してしまった」

「あ、いえ」

「なあ、あんた」


そこで、私の正面にいる白髪の男性が話しかけた。


「あ、はい。なんでしょうか」

「名前は?」

「え?」

「名前だよ名前」

「あ、はい。私、工藤康くどうやすしと言います」


この物語で、初めての自己紹介になる。


「・・・・・・掛布雅かけふまさしだ。よろしく」

「え、よろしくって・・・・・・」

「俺も、一緒にやってやる。その、日本を救うってやつをよ」

「あ・・・・・・ありがとうございます!ありがとうございます!」


私はまたも嬉しくなり、立ち上がって深々とおじぎをした。


「どうせ死ぬなら、悔いなく死んでやる。俺を見捨てた社会にギャフンと言わせるぞ」

「はい、よろしくお願いします!」

「よお、そこのお二人はどうするんだ?俺はこの人について行くぜ」

「「・・・」」


私の前にいる胸倉を掴んだ人とスーツの男性二人は、うつむいて黙っていた。

悩むのも仕方ない。

日本を救うとは、必然的に大事になることには間違いない。

日本中から注目を浴び、それが大きなプレッシャーになるかもしれない。

それには大きな精神力、メンタルが必要としてくる。

学生の頃、クラスメイトの前で作文を発表したことがあるだろうか。

みんなが見ている目の前で発表するのは誰だって凄く緊張する。

注目される、見られることにより人は緊張感を持ってしまう生き物だ。

私たちがこれから行うことは、それとは比にならないほどの緊張感を味わうだろう。

それに耐えきることができなかったら、そこでおしまいだ・・・・・・。

この二人は、そのプレッシャーに耐えきることに自信が無いのだ。

不安で不安で、どうしていいのかわからないのだ・・・・・・。

そこで私は言った。


「不安でいいんです」


四人とも私を見た。


「死のうとしている私が言うのもなんですが、やってみなきゃわからないと思うんです。私がこれから行おうとしていることは、日本を大きく動かすかもしれない。もちろんそれが、この国にとって良い方向に行くという保証はありません。後悔するかもしれない、やらなければ良かったかもしれない、そう思うかもしれません・・・・・・」


私は話を続けた。


「でも、誰かがやらなければこの国はずっとこのままなんです!だから私は、やらないで死ぬより、『自分のやりたいことをやって死ぬ』ことを選びました。もちろん、不安です。怖いです。でも、そういう気持ちを持ちながら何かをすることはとても大事なことだと思うのです」

私が思っていることを言って見渡すと・・・・・・。


「「「「・・・・・・」」」」


四人とも、私を見て固まったままだった。


「・・・・・・あ」


し、しまった!

自分の言いたいことを言っただけで、一緒に日本を救いましょうって勧誘するのを忘れていた!


「あの、えっとですね。つまり・・・・・・」


私があらためて言葉を考えていると、二人のうちの一人、私につかみかかってきた人が深呼吸をして言った。


「なあ」


そう言って、私に呼びかけた。


「本当に・・・・・・やるつもりなのか?」


男は私に確認した。

私は、その人の目を見て答えた。


「はい。本気です」


さっきまで、重たくて苦しい雰囲気だったこの場所で、私は歯を見せて笑顔で答えた。

男は私の答えを聞いて頭をかいた。


「くっそ、なんてところに来ちまったんだ俺は・・・・・・」

「あ、あの」

「・・・・・・わかった。やってやる」

「ほ、本当ですか!」

「あんたがそこまで言うからだ!やるからにはとことんやってやる。本当は今日死ぬつもりだったんだ。死んで、楽になりたかったのに・・・・・・」

「すいません、私のわがままで」

「ああ、いいよいいよ。結局は自分が決めたんだ。やってやるよ」

「ありがとうございます!えっと・・・・・・」

秋山慎吾あきやましんごだ」

「秋山さん、ありがとうございます」


私がお礼を言うと、秋山は顔を逸らしため息をついた。

そして私は最後の一人の方を向いた。


「あの、あなたはどうでしょうか?私と一緒に・・・・・・」

「ふざけるな!」


私がそう言うとスーツ姿の真面目そうな人は怒鳴りつけた。

ありがとうございました!


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次話も楽しみにしてください(^^)/

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