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第七幕

六人はバラバラに散開しルークはその場から真っ直ぐに紅い鎧の騎士の下へ走っていった。

漆黒の黒衣を着た者はアルマに襲い掛かった。

「我を狙うとは・・・愚か者どもがっ!!」

アルマの怒号と共に火炎の渦が黒衣を焦がすが全く動じた様子を見せずに突っ込んできた。

アルマは槍を手に持ち一人へ投擲した、標的となった者は紙一重で攻撃を避ける。

槍の切っ先が黒衣を裂きその者の顔が見えた、その顔は男の顔で生気の抜けたような青白い顔をしていて目の色は灰色だった。そして顔の見えた男は低い声で詠唱を始めた。

「我に付き従いし影よ・・・我が命により此処に集い舞え」

詠唱が終わると男の影から一本の黒い針の影がアルマに伸びた。

「この技はあいつと同じ・・・さっきの詠唱は同じ物だったのか・・・だが長かった分こちらの方が威力が高いはず・・・。」

そして記憶を呼び返し影の壁を破れなかったことを思い出しとっさに身を引いて避けた、だが影の切っ先がアルマの方向へ伸び再度アルマを貫こうとした。

「氷よ刃となって敵を切り裂けっ!!」

ラウの詠唱によって出来た氷の刃がアルマを襲っていた影の針を切り裂きアルマを助けた。

「アルマさん何してるんですかっ!!傷が痛んで詠唱できないんですか?」

「いや・・・まさか影を破壊することが出来るとは・・・あいつだけが別格なのか?」

考えている間に先ほどの男が他の黒衣の者たちと合流し揃って詠唱し始めた。

「「「「「影の底より産まれし死を司りし神である死神よ・・・我が前に立ちふさがりし愚かな者に等しく裁きを与えたまえ」」」」」

すると一人一人の影から死神一体ずつが這い出てきた、現れた五体の死神は鎌を振り上げ二人に襲い掛かってきた。

その頃違う方向へ逃げた四人はルークの後を追い紅い騎士の所に来ていた。

「ほぉ・・・まさかとは思ったが彼の『魔王』がこのような辺境の地に住んでいたとはな・・・しかし魔王よ此処へ何のようだ?」

「その口ぶりだと俺目当てではなさそうだな・・・何が狙いだ?『炎帝』のスレイスよ」

「私のような弱い者の名前を覚えていただき光栄至極ですね・・・今回の目的はアルマの所持している火の神具の回収です。」

「組織の命令でも従わないぞ?」

「結構です、邪魔さえしていただかなければ」

そういって不意にスレイスはルークの背後に手をかざす、

「邪魔者には退場して頂かないとね」

その言葉を発した瞬間暗闇に一筋の赤い光が突きに抜けると同時に横に何かが移動する。

「外しましたか」

そして暗闇からナイア、シルフィ、ルウ、メイが出てきた。

「先ほどの話が本当だとしたら・・・見過ごすわけには行きません」

「ルーク・・・貴方はいったい・・・。」

「僕の任務は彼等を無事にレーデンまで送り届けることだ、障害となるなら倒すよ」

「魔王とか炎帝とか良くわかんないけど、負けるわけにはいかないね」

やれやれと首を横に振るルーク

「分かったよ・・・降参だ降参」

「それは裏切りと見ていいのですか?」

「もしお前が彼等を攻撃するというなら・・・敵になるかもしれないな」

「面白いっ!!」

一瞬にしてスレイスはルークの眼前に現れ腹を蹴り上げる、しかしその蹴りはただの蹴りではなく炎を纏った鋼鉄の脚甲のはかれた足の蹴りだった。

ルークは一度目を瞑り・・・刹那で目を開けた、その瞳は黒ではなくより深みのある漆黒と変わっていた。そして滑る様にして影の中に落ちた。

「避けられましたか・・・影という亜空間に逃げ込むなんて・・・本当に闇系統の魔法使いは厄介ですね」

「影よ舞え」

早口で唱えるとスレイスを囲むように影の針が現れる。

「炎よ壁となれ」

スレイスは影の針が襲い掛かってくるのと同時に炎の壁を作り出した。

影の針が燃え尽きながらも炎の壁を削っていく

「くっ!!これが魔王の力ですか・・・。こんなに早く壁が壊されるとは・・・。」

そしてついに炎の壁を突き破りスレイスを影の針が襲った。

「甘いですね・・・神具には劣りますが私も武器ぐらい持っているんですよ」

そういうと片手に魔力を集め出した

「業火よその姿を剣となせ」

詠唱が終わったその手には紅く輝く刀身を持った炎の剣が掴まれいた。

スレイスは炎の剣を一閃し影の針を振り払う、次々と襲い掛かってくる針たちを物ともせずに焼き払っている姿をナイア達は見ていた。

「入る隙がない・・・化け物かよあいつ等」

「そんなことを言ったらルークに悪いよ・・・私たちのために戦ってくれてるんだから」

そう話している間にスレイスが全ての影の針を焼き払い終わった、がその顔は空を見つめていた。

「断罪の鎌」

不意にいつの間にか空に現れたルークが詠唱すると手に禍々しいほど巨大で黒光りする鎌が現れた。

ルークはその鎌を振り下ろすスレイスも抵抗をしようとしたが圧倒的な力の前では役に立たず炎の剣が粉々になった。そして鎌の刃はスレイスの体を襲った、あまりの勢いにスレイスは吹き飛んだが真っ二つにはなっていなかった。だがスレイスの鎧には痛々しい傷跡が残されていた。

「意外に固かったなその鎧」

と言いながらルークはスレイスに近寄っていく、スレイスは無理に体を起こし立つがにげようとしない

「逃げないのか?」

「逃げるのは騎士の恥でね」

「そうか・・・恥じか・・・面白い、では殺さんその恥じを背負って生きていくがいい」

そういうとルークは何もしないで身を翻し自分の家の方向へ行った。

「ふっふっふ・・・この借りはいつか返すぞ」

そしてスレイスは気を失った。

それを見ていた四人は・・・ルークに話し掛ける言葉を思いつかず呆然と見送っていた。




死神たちの動きが止まる・・・そして黒衣の者たちも糸の切れた操り人形のようにその場に倒れた。

「どうなってんだ?」

「知らないが・・・どうやら親玉が倒されたようだな」

「じゃあどうします?」

「こいつらを拘束してから皆と合流をしよう」

「拘束って魔法使いにしても意味がないはずじゃ・・・。」

「意味はないと思うが・・・安心は出来る」

そしてテキパキと五人の黒衣の者達を拘束し二人はスレイスのいた方向へ向かっていった。

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