第三幕
「エルリス!?レジスタンスのリーダーが何故ここに・・・。」
ナイアは驚きつつも攻撃態勢をとった。
「アルマ殿を預かっている、付いて来なさい」
そういうとエルリスは身を翻し戻っていった。
「罠か?」
ラウが目を細めてエルリスの行った方向を眺める。
「罠かどうかは行ってみないと分からないし・・・とりあえず行かないか?」
ルークがそう言うと肯定の返事がちらほら上がり、一行は付いていくことに決めた。
エルリスと微妙な距離を取りつつ付いて行くと突然少し離れたところでエルリスは止まった。
そして何もない空間に手を差し出すと”ギィ”っという音と共に空間に穴が空いた。するとその空いた周りが次第に色をもち始め扉が見え、壁が見え、巨大な建造物が見えた。
エルリスは振り返り一行にこう告げた。
「ようこそ・・・レジスタンスの本拠地『インビジブルガーデン』へ」
一行は誘われるままに建造物へと入っていった。
そしてそのまま一つの部屋に案内された。エルリスは扉を開けて招き入れる。部屋にはいくつかベットが置かれてありその一つに包帯を巻いた男がベットの上で本を読んでいた。
「アルマッ!!」
ナイアは叫ぶと共に駆け寄った。アルマも声に気付き一礼する。
「姫・・・何故このようなところに・・・。」
アルマは何故か悲しそうな顔をしていた。
「何故って・・・お父様が捜索隊のリーダーに私を選んだの」
「皇帝は何故姫を・・・。」
「それは・・・。」
何かを言おうとしてナイアは口を閉じた。アルマもそれ以上追求をしようとしなかった。しばらく沈黙が続きナイアが口を開いた。
「しかし何故その傷を負ったのですか?やはりエルリスに・・・。」
そう言ってナイアはエルリスに睨んだ。
「いえ・・・今回の私の傷や兵達の全滅には、最初の戦い以外レジスタンスは関与していません。」
「意味がよく分かりません・・・あなたの部隊の任務はレジスタンスの討伐だったはずです。」
「それについては私から話しましょう」
今まで部屋の外にいたエルリスや生徒が入ってきた。
「ではアルマ・・・動けますか?」
「あぁ・・・行ける」
アルマはエルリスの肩に寄りかかりながら歩き一行もそれに付いていった。少し歩くとかなり広い空間にたどり着いた。そこには微妙に服装や鎧の違う多くのレジスタンスの兵士達が集められていた。
「少し行ってきます、君達はここにいてください」
と言い残しエルリス空間の中央に向かって行った。
「皆も今日ここに連れてこられたのは驚いていると思います・・・。ですが聞いてくださいもしかしたらこの中の何人かは噂で聞いたことがあるかもしれませんが、数週間前この近くで帝国軍との戦闘がありました。」
そして激突し合うアルマの帝国軍とエルリスのレジスタンスが鮮明に映像として映し出された。どうやら魔法で記憶を映像にしているようだ。
「この帝国軍を指揮していた者は彼の帝国軍の猛将『朱雀』のアルマでした。そしてレジスタンスを指揮していたのはこの私でした。そして私は全ての兵を失って敗北しました。」
一瞬兵士達にどよめきが走る。
「ですが普通の戦闘で敗北しただけならば皆さんを呼ぶようなことはしません」
そしてナイアとアルマの方向へ向き
「ここで問題なのは帝国軍も全ての兵を失った事です。」
兵士達は意味が分からないといった様子だった。
「実は帝国軍の本隊とレジスタンスの本隊がぶつかる前に第三者の介入がありました。」
そして映像が変わった時ナイアは驚愕した。
「嘘・・・なんであいつがここに」
掠れた様な声だがアルマにはしっかりと聞こえた。だがここでは問いただそうとしなかった。
その映像とは漆黒の黒衣に身を包んだ者が黒い塊から出てきた映像だった。
「問題はここです・・・この漆黒の者が正体を現したことで帝国軍とレジスタンス双方の兵士が勢いづきこの者に襲い掛かった場面です。見てみてください」
そして次に映し出されたのは影から出た針が兵士達を次々と貫いていくという惨劇だった。
「結果がこれです、憶測ですがこの者は闇系統の魔法を使ようです。だが皆さん知ってのとおり闇系統の魔法は珍しい、私も今回始めてみた。一体どのような攻撃を仕掛けてくるか分からないが一つだけ皆さんに忠告をします・・・奴に会ったら逃げてください」
話が終わると兵士達は黙り込んだ、皆どうすればいいのか分からない様子だった。
そして解散の前にエルリスは一言付け足した。
「それと奴に生半可な魔法は通じないから絶対立ち向かおうとしないように・・・じゃあ解散です」
兵士達の足取りは・・・重かった。
兵士達が続々と帰っていく中ナイアと魔法学校の生徒達は取り残されていた。
そこへエルリスが戻ってきた。エルリスの後ろには生徒達と同年代と思われる青年と女の子がついていた。
「さて、さっきの説明で分かったと思いますが・・・アルマの怪我は闇の魔法使いが原因です。」
「それは分かりました・・・しかし疑問が残ります。何故あなたはアルマを助けたのですか?」
エルリスは少し考えるような仕草をしてから言った。
「なんとなくです」
何の答えにもなっていなかったがしぶしぶナイアは引き下がった。
「おぉ、そうだ忘れていました。先ほどから私の後ろにいる青年はルウ、女の子の方はメイ、二人ともレジスタンスの構成員で戦闘の腕だけならそこら辺の部隊長にも負けません・・・だが世間というものを知らなすぎなので、この機会にアルマを帝国に送る際の護衛として連れて行ってくれませんか?」
突然の申し出に驚いたナイアだがどうすればいいか分からなくなりアルマに目でどうしたらいいか問い掛けた。
「連れて行く分にはいいと思います。」
アルマがそう言ったのでナイアも了承した。
「では二人とも外の世界でしっかり勉強してきなさい」
エルリスの言葉に二人はしっかりと頷いた。
二人を連れて戻ろうとした時にを連れてナイアは先ほど伝えようとしたことを思い出しエルリスに告げた。
「そういえば先ほどの話で出た闇の魔法使いですが・・・この近くの村の魔法学校で五日ほど前に現れましたよ?」
その話を聞いてエルリスは詳しく教えてくれと頼んだ。
そしてナイアは焔と名乗る男に三十人の兵士を焼き尽くされたこととその後に出てきた闇の魔法使いが焔を簡単に殺したことを継げた。
「影から死神・・・そんなことも出来るのですか・・・」
エルリスはブツブツ言いながら何処かへ行ってしまった。
残ったナイアとアルマとルウとメイと背後で集まっている魔法学校の生徒は、呆然とその様子を見詰めていた。
その時だった。緊急時になるようなサイレンが鳴り響いたのは、それと同時に急を知らせる放送が聞こえてきた。
『現在グリフォンと思われるモンスターの大群と大型のモンスター五体がこのインビジブルガーデンの上空で確認されました。戦闘員は至急第三ゲートへ集まってください。なお非戦闘員はシェルターへの非難を急いでください』
その放送を聞いたときアルマの顔色が変わった。
「グリフォンだと!?ならば大型のモンスターというのはブルードラゴンかっ!!」
ドラゴン・・・モンスターの中でも最も討伐の大変なモンスターの一つで、鋼よりも固い鱗と万物を引き裂く強靭な牙と爪を持つ大型モンスター
アルマは動かぬ体を無理やり動かし外へ行こうとした。だがやはり無理があるのか数メートル進んだところで倒れてしまった。
「アルマ無理をしないでください、戦闘は私がしますから」
そう言ってナイアは行こうとしたがシルフィに止められた。
「ナイアさん、一人で行くつもり?」
変わるようにしてラウも言った。
「一人よりも皆で行ったほうが戦力になるだろ?」
そうしてラウは後ろを向き生徒達の方を見るが生徒達は顔を青ざめ首を横に振っていた。
「・・・情けねぇ・・・。」
そう呟くとラウは「まぁ一人よりも三人の方がいないよりはマシだよな」とナイアに言った。
そこで口を挟むようにしてルウが三人に言った。
「じゃあ僕達も行きます。レジスタンスの問題ですし」
そしてメイも頷いた。
「そうと決まれば行こうぜ・・・って第三ゲートって何処だ?」
「こっちですついて来て下さい」
三人はルウとメイに誘われるがままについて行った。
その様子を見ていたルークがボソッと呟いた。
「全く・・・どうしてあいつ等は危険が好きなんだよ・・・しかし流石にブルードラゴンが五体も相手となると加勢が必要だよな・・・。」
そしてルークは誰にもばれないように何処かへ消え懐から漆黒の黒衣を取り出した。




