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第二幕

ナイアは魔法学校の生徒と教員を体育館のような広い施設に集めた。壇上に上がるナイアを全ての人が注目した。そしてナイアは決意したように話し始めた。

「私は戦闘国家レーデンの第二王女ナイアです。このような場を借りて挨拶することをお許しください・・・。今回私がこの土地へ来た理由は、先日この近くの平野で私の国の部隊とレジスタンスの部隊が交戦し連絡が途絶えてしまったからです。普通はそのような事態が起きたとしても部隊が壊滅したと言う事で済ませるのですが、その部隊を指揮していた者と言うのが私の国の四大将軍が一人『朱雀』のアルマなのです。彼に限って負けることはありえませんがもしかしたら手傷を負っているかもしれないと言うわけで来たのです・・・。ですが私の守護のために着いて来た兵士達は皆先の戦いで死んでしまいました。そこでお願いがあるのです、生徒か教員の方の中で手伝いをしてくださる方はいませんか?」

そう言ってナイアは口を閉じた。だが語られた話はおおよそ信じられない話であった、そんな困惑した人々の中シルフィが教員の近くへ行き「私がやります」と言った。

その言葉に釣られたのか実力のある生徒が次々と参加を希望した。純粋な気持ちからやろうと思ったものもいたが多くのものは下心が見え隠れしていた。

しかしまだ世間と言うものをあまり知らないこの姫君は、素直にこの誠意を喜んだ。

そんな中シルフィがルークに言った。「あなたも来なさい」と始めは渋っていたが、殴られそうになったのでルークは「わかった」と小さく言った。

そしてその後出発の時間を決めた、出発は夕方だった。




夕方ルークは水などを適当にバックに放り込み集合場所へと急いだ。集合場所には多くの人が集まっていた。その中には、やはりシルフィの姿もあったついでにラウの姿も、参加した生徒の数は三十六人その一人を除いたほぼ全ての者が卓越した魔法の腕を持っていた。戦力的には十分といえた。

そして護衛対象であるナイア自身も負けず劣らずといった実力を持っていた。食料も馬車に積み終え一行は戦闘のあった平野へと向かった。平野までの道のりは九十キロほどだった。

1日目は軽く歩いて十キロほど進むと考えて二日目からは二十五キロペースで歩くとして五日目に着く計算となった。

そして計算通り十キロほど歩いたところで一行は夜を明かした。

二日目一行は道無き道を進んでいた。所々に馬車を通れないところを魔法などで開拓し進んでいった。

昼頃には道は拓けて来た、だが事件はその時に起きた。

いち早く気が付いたのはシルフィだった。空の風に異変を感じ見上げてみると空にワイバーンと呼ばれるような前足の無い小型のドラゴンが現れたのだ。一行は魔法を唱え始めたがワイバーンは速かった。俗には、速すぎて遅く見えるなどと言う言葉があるがそれは違う速すぎると消えてしまうのだ。

一陣の風となったワイバーンはあろう事かナイアに襲い掛かった。

大木をやすやす噛み千切る顎に襲われそうになるナイアだったが突如ワイバーンの左目につぶてがあたった。進む方向が少しズレ地面に頭からダイブするワイバーン動きが止まったのを見計らい生徒達はありったけの魔法をワイバーンにぶつけた、水や火や雷などが猛威を奮いワイバーンをこの世から消滅させた。

そしてようやくナイアは気が付いた。礫を投げたのがルークだと言うことにだが生徒はそのルークの絶技に全く気付いていなかった。それどころかナイアがワイバーンを地面に叩き落したのだと勘違いさえしていた。そのことについて問いかけようとルークのところに行こうとしたがルークはシルフィに呼ばれ片付けに行き、ナイアは「先ほど技は何なのか」など質問攻めにあっていた。「ルークが礫でやったのだ」と答えたが笑って返された。

そして二日目も終わりを告げた。

三日目はそこまで酷い道でもなく今までの中では天国のようだった。りんごをかじりながらルークはみんなの後をついていっていた。

そして四日目何故か三日目にかなりの距離を進んでしまい目的地まで十五ほどとなっていた。そのことを生徒へ伝えるとなら今日中に行ってしまおうという事になった。少し進むのが速くなる一行

そして一行は目的地へとついた。

目的地はまるで地獄だった、見渡す限りに腐乱した敵味方の兵士達の死体と黒く渇いた血の痕があった。その光景には流石のシルフィとラウさえも目を覆い顔を青くした。

だがそこでナイアはあることに気が付いた、それは敵味方とも同じような傷跡が鎧に付いているということだ。少し考え込んだナイアだがルークが「その将軍さん・・・大丈夫かな」と呟いたのでナイアはすぐさま考えるのを止めアルマを探した。

アルマの姿は何処にも無かった、そこでナイアは奇妙な安心感を覚えた。それは『アルマが死体の中には無く生きている』という気持ちと『ならどうして連絡が途絶えたのか?』という気持ちからだった。




その夜一行は死者達の墓を作り、そこで一夜を明かすことにした。

テントを張り終わり料理を作ろうとしたときだった。急に突風が吹き荒れテントを吹き飛ばした。

何が起こったのか訳もわからず生徒達は困惑した。そして月明かりに照らされて十数匹ものワイバーンが現れた。十数匹ものワイバーンの無慈悲なる爪や牙が一行に襲い掛かろうとしたときだった。

「生まれろ、氷の双璧よ」

ラウがそう唱えると氷の壁がワイバーンの前に二枚立ちはだかった。続けてシルフィが

「歌い、踊り、狂えっ!!風の大牙よっ!!」

そして形成されたいくつもの風の刃がワイバーンを襲った。

つまり冷静になればそれほど驚異的な敵ではなかったのである、敵は防御力の高い敵というわけではないただ速さがあるだけの敵なのである。

何処か外来種であるヘルワイバーンやロックワイバーンならともかく通常のワイバーンなんて物の数ではない、したがって動きを一瞬でも止めその隙をつけば難なく倒せる敵なのである。

そしてワイバーンとの戦いは終わった。奇跡的に手傷を負ったものはおらず皆無事だった。

その時忍び寄る気配を風を通じて感じたシルフィがその存在に向かって風を放った。

だが風は目標に近づくにつれ弱くなり最終的に微風となった。

「なかなか面白い歓迎だね」

そう言って現れたのはレジスタンスのリーダーエルリスだった。

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