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第十五幕

戦闘から二十分後、まだ両者の戦力は拮抗していた。

何人かの兵士はゾンビに囲まれ苦戦を強いられているようだがアルマの鬼神の如き戦いぶりがそれを補っていた。

そしてアルマは現在七体のドラゴンゾンビと戦闘を行っていた。

ドラゴンゾンビはブレスなどの特殊な攻撃こそ出来ないものの巨大な身体を生かした突進などにより少々厄介な相手となっている。

アルマは七体のドラゴンゾンビを見据え額の汗を拭っていた。

「やはり・・・敵の数が多すぎるな・・・。」

そう言って炎槍を力強く握り締めると炎槍は呼応するかのようにその身に業火を宿した。

そしてアルマ自らにも炎を纏い上空へ飛んで行った。

アルマの身体は金色の炎により鳥の様な姿になりながら上空へ舞い上がっていく。

その金色の炎の鳥を見た兵士達は皆一斉に歓喜の声を上げ士気が上がっていく。

「オォォォォォ!!朱雀炎翔閃すざくえんしょうせん!!」

雲に届くかと言ったところで金色の炎の鳥旋回し地面へ向けて加速していった、そして怒号とともにドラゴンゾンビのいるところに突っ込んでいった。

一瞬の閃光の後に大気が焼かれ大地が焦土と化した、もちろんその一帯にいた数百のドラゴンゾンビを含めたゾンビは何が起こったのかも分からないまま灰塵と化した。

その場に残ったのは赤く焼かれた大地と熱い空気と小さなクレーターの中心にいるアルマだけだった。




「先ほどの技があのアルマという男の二つ名の由来にもなった、神技しんぎ朱雀炎翔閃か・・・。あれは俺の無限武装むげんぶそうでも防げそうに無いな」

遠くから先ほどの光景を見ていたランスが唸るように言った。

ヘルも「そうだね」と頷いていた。

この二人は一応加勢に来たのだがティアスが傷を負った恨みとアルマの戦いを見ていたいと言う気持ちからずっと眺めていた。

ティアスは傷が響いたらしく近くで横になっていた、そしてその隣には必死にティアスを看病するリーンの姿があった。

仲間と主以外を攻撃目標とするゾンビはもちろん少し離れたところにいた四人の下にも来たのだが全てランスの作り出した影の戦士達によって倒されていた。

不意に戦場の兵士達がいない場所から鎌風が巻き起こり砂煙をたてながら数体のゾンビ達を切り裂いた。そして続くように水と氷の奔流がゾンビ達を押しのけ、そこから四人の人影が現れた。

「おっ!?ティアスの知り合いは魔法使いだったのかヘル?」

「あれ言ってなかったけ?ティアスってば、あの風と氷の魔法を使った子と同じ魔法学校に通ってたのよ」

「ほぉ〜・・・最近の魔法学校ってのはレベルが高いんだな」

ランスの感心したような口ぶりに「あの子達は特別なのよ」とヘルが言葉を付け足した。

「特別かぁ・・・確かに頑張れば俺たちとはいかないまでもアルマの神具無し状態と互角になれそうだな」

どうやらランスは二人のことが気に入ったらしくずっと目で追っていた。その様子にハァ〜とヘルは深く溜息をついた。

「んで・・・これからどうする?ずっと此処にいるっていうのも駄目だろ?」

「そうね、とりあえずティアスがちょっと回復したら姫様の護衛を任せて加勢に行きましょ」

そしてランスとヘルの二人はティアスとリーンを優しく見てお互い軽く頷いた。




「皆さん、そんな様子じゃ加勢に行く前に死んでしまいますよ?」

軽い口調でスレイスがシルフィ、ラウ、ナイアに問い掛ける。シルフィとラウはスレイスを睨むことで答え、ナイアは苦笑いでゾンビを迎撃していった。

「あのよ・・・こいつ等いったいどの位いるんだ?」

ラウがゾンビを小さな氷のドームに閉じ込め凍りづけにしながら問い掛ける。

「ゾンビの事ですか?あはは、こいつ等は作り出している奴を倒さない限り永遠に出てきますよ」

その答えに三人は攻撃の手をいったん中断し驚きながらスレイスを見た。

「それって、倒しても意味がないってわけ?」

「意味がないわけではないですよ?ゾンビを作り出すのにだって多少魔力を使いますし、ですがそこまで使うわけじゃないですからほぼ永遠に出てきますよ。それが彼が『死霊使い(ネクロマンサー)』と呼ばれている由縁ですから」

スレイスは彼がの部分を親しみを込めて言ったのをナイアは聞き逃さなかった。

「スレイスさん、貴方もしかしてその方と知り合いなんですか?」

「知り合いも何も彼とは何度も一緒に戦ったし、それに数少ない私と戦って生き残った相手でしたからね、友と呼んでもいいくらいですよ」

何の悪びれも無くスレイスは愉快そうに答える。

「炎よ、敵をなぎ払え」

続けて詠唱をすると炎が現れゾンビを一気に駆逐する。

「さてと・・・厄介なのは死霊使いではなくその上司なんですよ、多分今回の作戦の指揮はあの方が出していると思います。」

「あの方って?」

「普段は気が抜けているので作戦の現場には必ず遅れて来るのですが、作戦現場に到着したら最後こちらが皆殺しになってしまう様な方です。」

恐ろしいことを淡々と言うスレイスに呆然としつつ事態の危険性に気付いた三人はスレイスの炎が残っているうちに進んでいった。




一方敵側の本陣では死霊使いであるドニオンが上司の到着が遅いことに困っていた。

「はぁ・・・ゲイドさん遅いよ、このままじゃ僕のゾンビ達がどんどんやられてここまで敵が来ちゃうよ」

そしてドニオンは詠唱を始める。

「悩める魂たちよ、我が声を聞き入れ死を恐れぬ兵士となれ」

すると地面からゾンビが数十体出現した。

「行けゾンビ達、一人でも多くの人間を道連れにするのだ!!」

そしてゾンビ達は兵士達の下へ向かって行った。

そこに影で何かが移動をしてきた、警戒をして剣を構えたドニオンだったが現れた人物の顔を確認し安堵した。

「遅いですよゲイドさん、さて一気に巻き返しましょうか」

そして戦場は激化する


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