第53話 中等部1年Cクラス
気づいたら11月ですね。寒くなってきました。
今はユリ姉様のクラス、1年Cクラスに来ていてクラスメイトの方たちときゃいきゃいと話しています。
ユリ姉様は昼食中です。
「ティシーちゃん可愛いー。」
「コーチャスさんに似てるね!」
「ありがとうございます!」
ユリ姉様に似てるって言ってもらえました! 嬉しいですね。
「マリカちゃんも可愛いー!」
「あ、ありがとう...。」
「レントくんとクリスくんも可愛い!」
「えーと...。」
「おれはおとこだぞ! かわいくない!」
「そんなところが可愛いよ!」
「はあ?」
みんなは少し緊張ぎみですかね。
「ティシーちゃん...。」
「ニーナちゃん...。ニーナちゃんもかわいいよ! ですよね?」
忌み子だなんて、ニーナちゃんの可愛さを知ってもらえればいいだけのこと、のはずです。
ここでニーナちゃんの可愛さを認めてくれないようなら認めてもらえるまでティーは粘りますよ。ユリ姉様の妹という立場を使ってでも!
「え、うん。そうだね、可愛いよ!」
お、おおー。ニーナちゃんのてれてれ、って顔は初めて見ました。
これは、すっごく可愛くないですか?
「あ、可愛い!」
「二人で笑ってると天使たちみたい!」
でしょうでしょう。ニーナちゃんは可愛いでしょう?
もう可愛いは正義だ! みたいな雰囲気ですね。
ニーナちゃんはティーのことを天使って言ってくれますけど、やっぱりニーナちゃんのほうが天使並みに可愛いんですよ。
ユリ姉様のクラスメイトの方たちもそう言ってるじゃないですか。
「ユリねえさまー、ニーナちゃんもかわいいっていってもらった!」
「あらぁ、よかったわね。さっき言った通り、みんな優しいでしょう?」
「うん!」
たぶんユリ姉様の妹だからって部分も大きいと思いますけどね。
まあ、ユリ姉様もその事は分かって...ますよね? 案外純粋にクラスメイトたちがみんな優しいとか思ってるかもしれません。
「でもティシー、お友達のことを気にかけられるのもとてもいいことだけど、ティシー自身のこともみんな可愛いって言ってるのよ?
聞いてないとは言わないけど、言葉通りに受け取ってないのではない?」
ユリ姉様は周りをよく見てますね。確かにユリ姉様の言う通りです。
だって、やっぱりユリ姉様の妹だからっていうのはどうしてもあると思うんですよ。ユリ姉様は本当に有名ですもんね。
「だって。」
「どうしてそうしてるのかはわからないけど、みんな本心でティーのことを可愛いと思ってくれてるのよ?」
でもなぁ...、嘘とまでは思ってないんですけどねぇ。
「コーチャスさんの妹さん。」
「あ、ティシーのことね。自分のことかと思ってしまったわ。」
「アルトさん、ティシーでいいですよ?」
「ああ、うん。じゃあ、ティシーちゃんな。」
「はい。」
「ティシーちゃんはコーチャスさんの妹だから、とかって要素を抜いて見ても純粋に可愛いと思う。」
「え? 私?」
ユリ姉様、ユリ姉様は自分で思ってる以上に有名なんですよ?
様付けする人までいるんですからね?
「ティシーちゃんが思ってるよりティシーちゃんは客観的に見て可愛いんだ。」
うーん、でもアルトさんもユリ姉様のことが好きなわけですし。アルトさんが思ってる以上にフィルターかかってると思います。
「あ、俺が言っても説得力ないか、そうだよなあ。」
アルトさんて鋭いですね。それともティーが分かりやすいんでしょうか。
「あー! アルがティシーちゃんくどいてる!!」
「え?」
アルトさんがティーを口説く? 違うと思いますけど。第一アルトさんはユリ姉様に恋しちゃってる様子ですし。
「まあ、アルさんがティーを?」
あーあ、アルトさんには酷な勘違いですよね。
「いや、ち、違います! コーチャスさんの妹さんをだなんて、そんなそんな!
まず年も離れてますから!」
「照れ隠し?」
ああー、これは難しそうですね。
「ちがうよ、ユリねえさま。」
「あら、そうなの?
本当にそうなのだったらティシーに相応しいか見極めないといけないと思ったのだけど。違ったのね?」
「はい、違います!」
誤解がとけてよかったですね、アルトさん。
ユリ姉様がそんな風に考えてたことにはビックリですけど。
「ああ、うん良かった。ありがとな、ティシーちゃん。」
やっぱりこれはアルトさんが鋭い...んですよね?
「まあ、アルにティシーちゃんはもったいないもんな。そうだよな。」
「わかんないけど、ティシーちゃんのあいてはレベルたかくないとだめよね。」
「ティシーちゃんはかわいいだけじゃなくて、やさしいしね。
アルトさんだと、どうかなあ?」
「ティシーちゃん、かわいい。
かっこいいひとがいいよね?」
うーん、みんなティーのことを買い被ってますよね。
口を揃えて言われるほど可愛くはないと思うんですけど。
とりあえずニーナちゃんの質問には答えておきましょうか。
「かっこいいならそのほうがいいんだろうけど、かっこよくないとダメ、とかはおもってないよ?」
「さすが、ティシーちゃん。」
「ティシーちゃんってませてる。やっぱり。
レントなんかより話できるしな。」
そこは、やっぱり転生者ですから、ね。
可愛いくせに自覚がない、って周りからしたら厄介ですよね。
アルトもついつい可愛いんだぞ、って指摘してしまいました。
でもやっぱりティーは認めませんでしたね。
いつになったら自覚してくれるのでしょう? もしかしたらこのままかもしれません。
深雪は今日は部活の人達と絵画展に行ってきました。
油絵って描く人によって個性でますよねぇ。タッチの違いが目に見えて違いますからね。
楽しかったですね。また行きたいです。
※シリーズに憧れて番外編とか作ってみてしまいました。よければ、どうぞ。