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ティーには秘密があります。  作者: 伊藤 深雪
ティーと学園の友達に先生 の章
43/66

第43話 魔力なのですか?

「おや、きちんと時間内に来たんだ。

てっきり遅れてくるもんだと思ってたが。」


体育館に入ってすぐにロード先生からはそんなことを言われました。

そんな遅れてくるのが当たり前、みたいに言うなんて。

そういうものなのでしょうか?


「何にしろ授業が進むのはいいことだ。

それじゃあ、始めるぞ!」


「「「はーい!」」」


このクラスのお返事ってとっても元気がいいですよね。

それに、ハモっているところに仲のよさを感じます。


「よし、いい返事だ。

今日は5,6人でグループをくんでもらう。

前回の様子からもう俺が決めてあるからな。勝手に友達とくっついてグループを作らないように。」


「「「はーい!」」」


「...ん? ここは『えーっ!?』とか言ってくると思っていたが、まあいいだろう。

素直なのはいいことだ。」


うちのクラスはみんな仲がいいですからね。

誰と一緒でも文句はないのです。


「グループで集まったら誰からでもいい、一人ずつ自分の属性の(ボール)をうて。

他の人はそれを見て感想とか、気づいたことを言うように。

必ず全員がうてるように順番を決めとけよ。」


「「「はーい!」」」


「よし、じゃあグループを言うからな。

さっさと集まれよ。まずは、──」


先生の作ったグループは属性別みたいです。

お互いの魔法を指摘しあうのだからそうですよね。


でもティーとニーナちゃんは呼ばれませんでした。

魔法を打てないので仕方ないですが、何をしていればよいのでしょうか?

と、思っていたらロード先生がこちらにやって来ました。


「コーチャス、魔力を感じる練習は始めたか?」


「え? あ、はい。ユリねえさまにきょうりょくしてもらってやってます。」


「そうか、調子はどうだ? 魔力が分かったか?」


もしかして、この話を聞くために態々付きっきりの指導をしなくても大丈夫なようにグループを作ったんでしょうか?

魔法を保つのに精一杯な子もいるのに互いを指摘しあう形をとる、って何となくまだ早いような気もしますし。


「じかんをつくってもらったんでしょうか?」


「お、なんだ?

俺はまだそんなこと一言も言ってないぞ?」


まだ、ってことはそうなんですね。

ティーの為にそこまでしてくれるなんて、


「ありがとうございます!」


「いや、まあ、どういたしまして。

...コーチャスは鋭いというか、聡いというか。驚いたな。」


「そうですか?」


そんなことはないと思うんですけど、6歳にしては、ってことでしょうか?


「あ、それよりロードせんせい、まりょくなんですけど。」


「どうした? なんか掴めたか?」


「えーと、なんだかユリねえさまのけはい? みたいなのをかんじたんですけど、これのことなんですか?」


「気配? もうちょっと詳しく教えてくれるか?」


詳しく、と言われましても。

ユリ姉様がいるような空気というか、雰囲気というかを感じたとしか言えないんですが。

どう言ったものでしょうか。


「んーと、そうですね。


ユリねえさまがまりょくをほうしゅつすると、ユリねえさまがすぐそばにいるようなかんじ、ふんいき? がするようなきがするんです。


でも、ユリねえさまはそんなかんじはしないらしいし、 しゅうちゅうしないとわかんないくらいちょっとなんです。


ほんとうにこれがまりょくなのかわからなくて。」


説明をしましたが、

ふーーーーーむ、とロード先生は唸っています。

どうしたんでしょうか? 何かを考え込んでいて反応を示してくれません。


これは待つしかありませんね。

仕方ありません、ニーナちゃんとお喋りしてましょう。

ロード先生、自分の世界へ旅立ってしまいました。

教師がそんなことでいいんでしょうか?

きっと、いいんですね。はい、いいんです。


今日は珍しいものを見てしまいました!

クラスの男子たちが、ドッキリを仕掛けた男子に土下座して謝ってました!

それもバレンタインのときの!

もうちょっと早くばらしてあげればよかったのに、と思わなくもないですよね。

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