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ティーには秘密があります。  作者: 伊藤 深雪
ティーと家族 の章
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第4話 恋のキューピッド。

今日は可愛いティシーが学園の寮に入ってしまう前にとお父様の提案で家族でピクニック。まあ、実際は理由なんて何でもよくて皆で出掛けられればよかったんでしょうけど。

今はティシーはリリーとアルトと別行動。


「お父様、リリーにアルトをつけたのはいい案ですけど、リリーは結構大変だと思いますよ。」


「そうだなあ、二人っきりにしてもあまり進展がなかったからな。ティシーの行動がどう働くかにもよるだろうが。」


「どうでしょうねえ。ティシーはいつも不思議と成功に導いてくれたりするものねえ。」


そうなのよね、ティシーが純粋に振る舞ってるだけで、いつの間にかいろんなことがうまくいってるのよねえ。不思議よねえ。


あら? あれは、風船? と思ったらティシーだったわ。


「お母様、お父様。ティシーたちが御守り屋さんに向かっていますよ。ほら、風船が浮かんでるところです。」


「む、確かに。」


「まあ、三人が親子みたいねえ。」


本当に。走っているティシーに引っ張られてリリーとアルトがたまに顔を見合わせて笑ってるわ。仲が良さそうに見えるわねえ。


「元気に挨拶してるわねえ。」


「ティシーは市場、初めてですもんねえ。」


「あ、アルトが真っ赤だわ。」


「あ! リリーも、ちょっと赤くなってます。」


「ほう、あのリリーが照れるとは大きな進展だな。」


流石ティシーだわ。お店のおじさんもニヤニヤ。あっという間に味方につけちゃったわ。

きっと、ティシーはそんな自覚ないんでしょうけど。


「あれは、お財布かしら?」


「首からかけてますから、きっとリリーが作ったんですよ。」


「自慢してるな。」


「いい子よねえ。」


ティシーは可愛くて、優しくて、もう自慢して回りたいくらいにいい子だもの。お姉さん子になったのがこの上なく嬉しいわね。

お人形さんみたいに大事に大事にしたくなるのだけど、元気な子なのよね。それがもう可愛いのだけど。


「あら、リリーとアルトにプレゼントしてるわね。」


「同じデザインの色ちがいですね。」


「む、二人して赤くなったな。店主が何か言ったようだが。」


「きっと、お揃いで親密な関係に見えるとでも言ったのね。」


「凄いですねえ。あのリリーがアルトのことを明らかに意識してますよ。」


ティシーが恋のキューピッドをしてくれてるのかしら。あら、思った以上にしっくりくるわね。


「あら、ティシーがこちらに気づいたわ。」


皆で手を振ると、


「あらあら、あんなに勢いよく手を振ったら取れてしまわないかしら。」


「キャロル、それは些か鳥肌が立つというか...」


お母様はたまに怖いことを平気な顔で言うから、お父様が真っ青になるのよね。狙ってるわけでもないところが余計に怖いのよ。


「あんなに嬉しそうにしてもらえるとこっちまで嬉しくなってしまいますね。」


「ティシーはきっとお友達がたくさんできるんでしょうねえ。

あんなに素直で可愛いんだもの。」


「うちのティシーを虐めるような馬鹿がいたら報復を考えないといけないね。」


「そうねえ。きっと目が腐ってしまってるのねえ。くり貫いちゃおうかしら。」


「お、お母様...

流石にそれはやり過ぎですわ。

もっと目立たないようにこっそりダメージを与えませんと。」


「似てはいけないところがキャロルに似てしまったなあ。あっはっは...」


お父様が現実逃避に走ってるけど、どうしたのかしらねえ。


「あらあ、また走って行っちゃったわねえ。」


「恋のキューピッドもこなせるなんてさすがティシーですよねえ。」


「学園でも同じことをしたらティシーの方に惚れちゃいそうよねえ。」


それは、あり得る! どうしましょう、私が最初に審査しないといけないわね。


「ユリに私にマールに使用人たち。難関ばっかりで大変そうねえ。」


「最難関がティシー本人という感じもしますねえ。」


「弱い奴には任せられんな。」


「優しくない人も駄目ですねえ。」


「かっこよくないとねえ。」


未来のティシーのパートナーには肝に命じておいてもらわなきゃね。ハードルに上限なんてないってこと。

頼りない男なんかには可愛い可愛い妹を任せたりできないんですよ!


特に顔だけの野郎なんて全力で阻止させてもらいますよ!

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