第20話 ティーはピーラーを使いたいです。
今日はフィーナさんが夕飯を担当する日です。よってフィーナさんにアタックです!
「フィーナさん、今日のお夕飯はなんですか?」
「じゃがいも、キャベツ...、今日はコロッケ。」
じゃがいもとキャベツが沢山残ってるんですか。じゃがいもを潰すだけじゃなくて皮も剥きたいです。
「お手伝いします! じゃがいもの皮を剥いていいですか?」
「...、まだ。」
「包丁でとは言いません! ピーラーでいいんです!」
「指切ると...。」
「痛いですけど、ティーは不器用じゃないですよ!」
心配してくれるのは嬉しいですけど、ピーラーで指切るほど不器用ではないです。
「たしかに、器用...。」
「なら、いいですか?」
「.........い...やっぱだめ。」
いい、って言いかけたじゃないですか。もうちょっとなのに。
今日もティーの負けです。
「...よしよし。」
「今日は拗ねてないですよ?」
「うん。...癖?」
なんともティーが幸せになる癖ですね。
「フィー、お腹すいたよ~。」
そうでした、アリアさんを待たせる訳にはいきません。作り始めましょう。
と言っても、じゃがいも茹でるまですることないですけど。
「...、呼ぶよ?」
呼ばれるまで気になって落ち着けないんですもん!茹で終わるまで宿題...もありませんし。少しでもアピールしたいんですから!
「見るのも勉強です!」
「そっか。」
そうです!
コロッケ作って、キャベツ切って、お味噌汁も作ります。やっぱりティーも刃物、せめてピーラーが使えれば分担して時間短縮できるのに。
「お湯、沸かしときますね。」
「重いよ?」
確かに水は重いです。でもそのくらいは、
「頑張ります!」
「うん。ありがと...。」
いえいえ、お安いご用です。寧ろもっと任せてください!
◇◆◇◆◇◆
さあ、やってきましたよ! じゃがいもがホクホクです。潰しますよー。
「上の方を押さえる。」
下の方は熱いですからね、了解です!
「了解です! フィーナさんはお味噌汁を作ってください。」
「...、」
平気? って言いたいんですね?
「大丈夫です! ティーにドーンと任せてください。」
「ん、わかった。」
よしよし、頑張って安全に潰しますよ。
こう、ザクザクと。
まだ少しゴロゴロがあります。
...うん、サクサクってなりました。
「魔法もサクサクできればいいですねぇ...。」
あ、独り言を言っちゃいました。
「...魔法の悩み?」
なぜそこで意外そうにするんですか? ニーナちゃんにも思いましたけど、フィーナさんの中でティーはどんな風なんですか?
◇◆◇◆◇◆
ティーがじゃがいも丸めて、パン粉つけて揚げる手前まできました。ここからはティーの仕事がありません。
その間、今日の測定の話から始まって、テストのところまできました。
「古語、読めるの?」
ん? この反応は、中等部に入ってもそこまで読めない?
「精霊さんに教えて貰ったんです。魔法陣なんて初めて見たんですけどね、以外と大丈夫でした。」
「凄い。」
そうみたいですねえ。実際は精霊さんが凄いんだと思いますけどね。
そのあともティーが盛り付けをさせてもらって、三人で美味しく食べました。
お皿は拭くのだけさせてもらえました。
明日こそは皮を剥きます! 献立しだいですけど...。
深雪は料理をしない人です。コロッケやお味噌汁の作り方すらよくわからない...。
色々適当に、そしてわからないところは◇◆で誤魔化しました。
わからないのに調べることをしないという学生にあるまじき姿...。