第15話 初めての約束。
大家族なおままごとを終えると、後は連絡だけで帰れるとコス先生が言っていました。
交流の場を設けるのは初等部の一年生だけで、上級生たちは自己紹介だけして帰っているそうです。なるほど、それで教室の入り口からちらちらと上級生が見えるのですか。
明日は魔力量を測って、属性を調べて、いくつかテストを受けるだけらしいです。魔法具を使う人や精霊を使役できる人は明日報告するそうですよ。
ティーの場合、使役っていうより精霊さんが自分から手伝ってくれてるんですけどね。
ティーは対価になるものをあげてませんから、命令なんてとんでもないですね。やっぱりお手伝いしてもらってるのです。
ティーの魔力って多いんでしょうか。折角なので多い方がわくわくします。魔法を沢山使えるって憧れです。ゲームみたいに格好いい詠唱とかがあるんでしょうか?
今日帰ったらアリアさんとフィーナさんに聞いてみましょう。明日が楽しみです。
「ティシーちゃん、帰らないの...?」
「あれっ? もうおわったの?」
漸く使える魔法が楽しみで周囲が見えていなかったようです。
「...、あしたね、けいそくと、テストあるよ?」
それはさすがに聞いてました。
「うん、かえったらルームメイトにきいてみよ、っておもってたの。」
「なかよし...?」
「うん!」
「いーな...。」
ニーナちゃんはルームメイトの方とあまりうまくいっていないんでしょうか?
もしかして、ハーフだから? 昨日の上級生の方たちの反応からしてあり得そうです。
「ニーナちゃん、あしたもあさにティーのことまってる?」
「うん。」
ニーナちゃんが朝ティーのことを待っていたのは、部屋にいずらかったからかもしれません。
「じゃあ、ティーがニーナちゃんのへやまでいくよ。まだあさはちょっとさむいし、かぜひいたらおやすみしないとだから。
なんじにでるの?」
「えっと...、6:30。
レイラさんがおきるの。」
早いですね。レイラさんというのはニーナちゃんのルームメイトの方でしょうね。因みに早起き。
ニーナちゃんはそれ以上ですけど。
「うわあ、ニーナちゃんってはやおきだねえ。
そんなじかんからティーのことまってたんだ。ごめんね。
あしたからティーもはやおきがんばるよ!」
ティーにも早起きの経験くらいありますからね。日本でですけど。
「ほんと...? むりにおきなくてもへーきだよ?」
全く平気そうに見えないです、ニーナちゃん。強がったって寂しがってるのがバレバレです。
「ティーにだってはやおきできるんだよ。
ティーもはやくニーナちゃんにあいたいし、おしゃべりのじかんもふえるんだもん。」
そしたら、もっと早く仲よくなれますね。
「うん、ありがとう。」
「それじゃあ、やくそくね。ニーナちゃん、こゆびだして。」
「...ゆびきり!」
ニーナちゃんはどことなく嬉しそうに小指を差し出してくれました。
「うん、これでやくそく。」
「やくそく...、やった。」
「やくそくがうれしいの?」
「うん、はじめて。やってみたかったの。」
なるほど、今までは見てるだけでニーナちゃんは約束の指切りもしたことがなかったんですか。そもそも約束自体が初めて、と。
「そっか、ならこれからいっぱいやくそくしようね。
じゃあ、もういっこやくそく。」
ティーがもう一度小指を立てると、ニーナちゃんも同じように小指を立てました。
「ティーとニーナちゃんは、ともだち。だからこまってることがあったら、たよること。」
「たよる...の?」
「うん。そうだんするとか、きょうりょくをおねがいするとか、ひとりでがんばらないで、ってことだよ。
なやみごとってね、おともだちとかにはなすとちょっとげんきになるの。すごいでしょ? ともだちパワーだよ!」
新たな力をアピールです。新発見に驚いてください!
まあ、冗談です。ニーナちゃんが凄く真剣に聞いてくれるんですもん。ちょっと恥ずかしかったんです。
つまり、ニーナちゃんはいい子です、ってことで。
「わかった、やくそく。がんばる。」
ふむ、頑張る、ですか。とりあえずオッケーです。
「じゃあ、いっしょにかえろっか。」
「うん。」
この日は寮の前で別れるまでニーナちゃんがご機嫌でした。
約束2つでこんなに喜んでくれるんですから、これからもいっぱい約束したいです。そんでもって、いっぱい仲よくなるんです!
お久しぶりです。
宿題とテストをやっつけました、深雪です。
数学は重かったです...(自業自得?)。
でも、まだ授業の始まっていない学校は極楽ですよ(^^)v
ティーだけでなく、ニーナちゃんまで天使になってきました。健気な子になっているでしょうか?
横文字の名前って勘で適当に作れるからラクチンですねー。ティーとコーチャ...気づいてました?




