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ティーには秘密があります。  作者: 伊藤 深雪
ティーと学園の友達に先生 の章
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第11話 ユリ姉様は有名人。

ニーナちゃんと話しているうちに入学式が始まり、ニーナちゃんが先生方のお話を一生懸命聞いてる間に精霊さんたちが目の前でじゃんけんして、役を決めて、かなりリアルにおままごとで遊んで見せてくれて、いつの間にか入学式が終わっていました。

必要な話は精霊さんが要点を纏めて教えてくれました。精霊さんってオールマイティー。


「ティシーちゃん、なんかあっちがワイワイしてる。」


「あれ、ほんとだ。ゆうめいなひとでもいるのかな?」


新入生を迎えに来たり様子を見に来た、ルームメイトや兄弟姉妹の上級生が講堂の入口のところに集まっていますが、人だかりのできているところがあって賑やかです。

そう言えばユリ姉様も有名人ですね。と思ったところで様子を見に行ってくれた精霊さんが戻ってきました。

やっぱりユリ姉様でした。これはニーナちゃんを紹介するチャンスです。


「いこう、ニーナちゃん。」


「うん、でもかこまれててみえなそうだよ?」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」


「...?」


精霊さんに頼めば快く了承してくれました。人だかりから少し離れたところに立つティーから人だかりの中心まで所々で精霊さんがキラキラさせてます。

ユリ姉様ならこれでわかるはずです。

人だかりが割れてユリ姉様が出てきました。


「ティシーちゃん、こっちきてるよ?」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。

ユリねえさまー!」


手も振ればユリ姉様が駆けてきてくれました。


「まあ、ティシー。早速お友達ができたの?」


「うん、さっきおともだちになったの。ね、ニーナちゃん。」


「あ、うん。ニーナ・フレスト、です...。」


ニーナちゃんは伏し目がちに挨拶しました。


「まあ、ニーナちゃんは恥ずかしがりやさんなのねえ。ティシーと仲よくしてくれてありがとうね。」


「うん、じゃなくて、はい...。」


ユリ姉様がしゃがんでニーナちゃんの頭を撫でると、ユリ姉様とニーナちゃんの目が合ってユリ姉様の目が少し見開かれました。


「あら、ハーフ?」


ユリ姉様がそう言った途端にまた囲んでいた上級生たちがざわめきました。「やだ、忌み子?」「ユリ様の妹さんの友達が?」「不気味だよ、黒い目なんて。」などと呟くのが聞こえました。ユリ姉様は少し複雑そうな表情です。

ニーナちゃんが俯いてしまったので手を繋いだら少し震えていました。


「ユリねえさま、ティーね、ニーナちゃんがさいしょのクラスのおともだちなの! いちばんにユリねえさまにしょーかいしにきたの!」


周りが少し静かになりました。「ほら、まだ一年生だから。」「何も知らないんだね。」とかに内容が移りました。

何にも知らないのはあなたたちなのに。ニーナちゃんと話したこともないくせに。ティーもちょっと話しただけですけど。


「そうね、ティシーがお友達にしたんだものね。とってもいい子なのよね。

ごめんね、ティシーと仲よくしてくれる? ニーナちゃん。」


「う...はい。ティシーちゃん、やさしい。」


「うんうん、ティシーのことよくわかってるわ。私とも仲よくしてね。」


「はい。ありがとう。...ございます。」


やっぱりユリ姉様はティーの目標です。


◇◆◇◆◇◆


ニーナちゃんとは寮の前で別れてユリ姉様とティーたちの部屋、216号室に来ました。

インターホンを押そうとしたんですけど手が届きませんでした。でもユリ姉様が代わりに押してくれました。ユリ姉様は優しいです。

本当は鍵を持ってるんですけど、アリアさんが心の準備がいるの、って言ってたのでピンポーンと鳴らすわけです。


「はい! 今開けますので!」


なんかキャー! とか、いらっしゃったー! とか聞こえたんですけど。ユリ姉様ってどんなポジション? アリアさんの方が年上なのに。


「ユリねえさまってすごいねえ。」


「そうかしらね?」


しばらくして騒いでいたのも静かになってアリアさんがドアを開けてくれました。


「お待たせしちゃってすいません。ユリ・コーチャスさん。どうぞ、何もないところですが。」


「ユリでいいんですよ、先輩なんですから。

お邪魔しますね。」


ティーから部屋に入って、その後からユリ姉様が続きます。


「ユリねえさま、しょーかいするね!

こっちがフィーナ・カルオットさん。こっちがアリア・クリンスさん。ふたりともティーにやさしくしてくれるの!」


「まあ、仲よくできてるのね。

フィーナさん、アリアさん、ティシーがお世話になってます。」


ふたりともすっごく恐縮してます、って感じです。


「それで、こっちがティーのおねえさまの――」


「知ってます、知ってます! ユリ・コーチャスさんですよね! 握手してくださいぃ!」


「そんなことでよければ。よろしくお願いしますね。」


「か、感激! ありがとうございます! どうしよう、自慢しまくる!」


アリアさんのテンションが昨日名乗った時とおんなじです。

フィーナさんもちょっと羨ましそうにしてます。


「ユリねえさま、フィーナさんもあくしゅ。」


「え! いいの? フィーナさんもちょっと有名人よね。」


「そうなの? フィーナさんもゆうめいじん? しらなかった。フィーナさん、あくしゅ。」


有名人と聞いては握手したくなってしまいます。

しょうがないなって感じで握手してくれました、そのあと頭も撫でられましたけど。


「まああ! 噂と違ったフィーナさん。さすがティシーだわ。

フィーナさん、握手しましょう! ティシーをよろしくお願いしますね。」


フィーナさんが嬉しそうです。アリアさんは感激で目が潤んでますし。

ユリ姉様ってすごく凄い人だったんだなあ。

実はフィーナもちょっと有名人でした。ユリ姉様には負けますけどね。

ここまで有名にするつもりはなかったんだけど、ちょっと周囲が暴走しちゃいましたね。

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