風の少女と魔法
久しぶり、と入ってきたシルベはさっきよりも表情を崩して自然だった。
「久しぶり。最近は忙しくてなかなか会う機会なかったもんね。」
レシェナも楽しそうに返した。
「まぁ、そうだな。」
「お話しにきたの?シルベとのお話は楽しいから好きだよ。」
レシェナは言う。シルベもレシェナと同じく魔法が好きなうえに全く違う魔法文化を持っているため2人で話し始めるといつも終わりがない。
「それもいいけど、せっかくファイアリアに来たんだから…。今からこれる?」
シルベはそういった。
「うわー、すごいっ!!!」
シルベに案内されたのはシルベの離塔の1階にある闘技場だった。まわりにはたくさんの武器が並んでいた。
「前に、約束しただろ?武器魔法教える、って。」
「へー、なるほど。こう使うんだ!!!」
レシェナは魔法に関してのカンはよく始めて3時間ほどで簡単な武器魔法を取得した。
「こういう原理か…。」
対するシルベもレシェナに教わり初歩の援護魔法を使えるようになった。
2人ともひとしきり満足すると、闘技場に座った。
「ありがとうっ!!!」
「こちらこそ。これで翅を使うのが楽になりそうだよ。」
あー、とレシェナは言う。妖精たちには翅があるがそれで飛ぶには魔力の消費がとても激しい。その為あまり翅を使うことはないのだがその中でも援護魔法を使う風の種族の妖精たちは翅を使うのだ。
「っていっても炎だと直接飛ぶのを助けられるわけじゃないから風よりは魔力の消費は激しいんだけどね。」
レシェナはそういった。
「1週間後にはパーティーだから準備で忙しくてなかなか時間とれないかもしれないけど、空いてる時間とか相手してな。」
「こちらこそ。」
闘技場を出たところでシルベはレシェナにそういった。
「で、ここに案内したかったんだよな。」
レシェナが連れていかれたのは闘技場の2つ上、3階にあるシルベの書庫だった。そこにはウィンディアではなかなか手に入らない本がたくさん並んでいた。それを見たレシェナの目はキラキラと輝いている。
「ファイアリアにいるときはいつでもここの本、読んでいいよ。持ち出さなければ。」
「いいのっ!?」
もちろん、とシルベはレシェナに鍵を渡した。それは透明なガラスのなかに炎が浮かんでいるデザインだった。
「本当にありがとう!シルベがうちのお城に来たとにはあたしの研究室に案内するね。」
その言葉にシルベの顔もほころんだ。