炎の妖精の国
高い塔のたくさんあるのお城。
そこはカラフルではないけれど芸術作品のようにとても精巧な作りをしていた。
そのお城の門からメインの塔をつなぐひときわ広い道には道に沿って並ぶ多くの赤い髪の騎士たちとその間を歩く緑の髪の1団がいた。
「そうこそ、ファイアリアへ。歓迎します、ウィンディアの大使さま。」
「ありがとうございます。ウィンディアの女王の名代で王女のレシェナです。こちらに来れたこと、光栄に思います。」
応接室は一瞬にして冷えきった空気になった。まぁ、当たり前だろう。なぜならにこやかに挨拶をしたファイアリアの王城の執事に対して棒読みのセリフを返したのだから。
レシェナについてここに来たレシェナ付きのメイドは内心、ものすごく困りレシェナの不機嫌な理由にそっとため息をついた。
ー今朝。
「レシェナさま、おはようございます。本日は出発の日です。」
女王に命じられた通りに朝、レシェナの部屋に起こしに行くとそこから返事はなかった。仕方ないと起こすためにメイドはベッドに近づいた。
「レシェナさま。…レシェナさま?」
よく見ると布団の盛り上がり方がおかしい。失礼ながらも布団をはぎとると…
「レシェナさまー!!!」
そこにレシェナの姿はなく布団にあったのは丸めたクッションだった。
その頃。
「〜♪」
レシェナの実験用の部屋でレシェナは何かを書いていた。それはものすごい速さだったが本人は鼻歌混じりになんの迷いもなくペンを走らせていた。
「レシェナー!!!」
そこに来たのはまさかの姉だった。現在、ウォンティアの王子妃である姉のラシュリは1週間後にあるファイアリアでのパーティーに参加するために2日前から夫より先にこちらに来ていた。
「お姉ちゃん!」
レシェナは嬉しそうに振り返った、がラシュリは怒っているのか眉間にしわがよっていた。
「レシェナ、今日はファイアリアに行くんでしょう?ダメよ、ちゃんと用意しないと…。」
口調は優しいものの有無を言わせない雰囲気にうっとなる。いつもなら人の話しなど全く耳を貸さないが大好きな姉となると話は別なのだ。
そしてそのままラシュリに言われるがままに着替え、母である女王に面会し、風の魔法をかけてあるかごでレシェナはファイアリアへと来たのだった。
レシェナのなかには研究の邪魔をされた、といういらつきとドレスを早く脱ぎたいという願いとでとにかく表情は暗かった。
「王、および王弟がお入りになります。」
入ってきたのはシルベとシルベの兄で5歳ほど年上の王だった。
「お初にお目にかかりますね、風の姫様。」
「いえ、こちらこそ。」
にこやかに言うファイアリアの王にレシェナはざっくりと返した。
社交辞令はさておき3人は今回の目的であるウィンディア、ファイアリア間の外交についての話を始めた。魔力が安定して2つの季節がすぎ、徐々に4つの国は再建し始め次は外交、という手はずになった。もともとウォンティアと外交があったウィンディアは反対側のとなり、ファイアリアとの外交を結ぶことになったのだった。
「では、何かございましたらお呼びください。」
部屋に案内されたとにきはレシェナは疲れきっていた。
「あー、もう面倒。まぁ、外交も結局は魔法の組み立てとやることは変わらないんだけどね。」
それなら魔法のほうがおもしろいのに、そう思う。
それからしばらくしてレシェナの部屋に声が響いた。
「姫様、ファイアリアの王弟陛下がいらしております。」
通して、というと扉が開きシルベが入ってきた。
「久しぶり、レシェナ。」