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第七話 檻から始める異世界転生

 ロキから強制的に異世界に送り込まれた俺は、暗く狭くジメジメしたところにボロボロの服を着た状態で目を覚ました。

「体中のいたるところが痛い。てかあのクソ女神今度は俺をどうしてくれやがったんだ」

 声を発しても若干の反響音がするだけで、誰から返事が来るわけでもない。


「こちらに例の方がいらっしゃるのですか?」

「はい。ですが第二王女、このようなところに貴女様のような方が入られるのは、あまり褒められたことではないのですが」

「そこは申し訳ございません。ですが、どうしても一目見ておきたいのです」

 今度は誰だ?王女?

 だんだんと目の前の光景が鮮明に認識できるようになってきた俺はあたりを見回すと、どうやら俺は独房のようなところにいるらしい。

 見るからに粗末な寝床と、むき出しのトイレがあるだけ。

 若干の異臭もする気がする。


「あなたが、世の女性を惑わすと噂の方ですか?」

 きょろきょろする俺を鉄格子越しに見ながら、声をかける女性がいる。


「どちらさん?」

「お前、無礼だぞ!」

 番をしている衛兵が怒鳴ってくる。


「よいのです。私はこの国の第二王女のアリスと申します。貴方は昨日城下で女性を惑わし、不埒な事をしようとしたのを衛兵に見つかりここに入っていただいていると聞いていますが、間違いありませんか?」

 俺も初めて聞いたので間違ってるかどうか俺が聞きたいぐらいだ。


「申し訳ないけど、お姫様が言っていることが正しいかどうか俺にもわからないんだ。今起きたばかりなんでね」

 俺の発言で衛兵たちがピりついているのを感じる。

 まぁこの言い回しは棘があるよなとは思うけど、おそらくこの状況はロキが送り込んだ先がとんでもないところで、何らかの事情で俺が不届きもの認定されているってことぐらいは理解できた。


「違うというのですか?」

 このお姫様は、どうやら俺を見下しているという感じより、ただ事実を知りたいという感じみたいだ。


「違うも何も、事実俺は今なんでこうなっているかわからないんですよ」

「聞いていた話と違いますね。貴方はその美貌と言葉巧みな話術を使って城下の女性を誘惑していた上に、衛兵に声をかけられると暴れた聞きましたが」

 おいおい、俺ってそんなことしちゃう人間だったっけ?

ってか、もしかして俺って、この世界の誰かの身体に魂投げ込まれたタイプのやつなのか?


「そんな記憶はないですね。あったとしても、思い出せないので」

 事実なのだが、どんどん俺の心象が悪くなっている気がするのだけど大丈夫なのだろうか。


「ん~。なんだか気になります」

 お姫様はしばらく考え込む仕草をしている。

 これはやっぱりあの悪魔幼女が俺の運を-99とかしたから、さすがの豪運があってもって感じなのかな。

 いや、豪運が無かったら即処刑だったのかもしれない。


「わかりました」

 何が?


「この方をここからお出しして、私の部屋にお連れしなさい」

「第二王女!?それはいったい。いえ、無茶です。こんな怪しい男をここから出して、あまつさえ第二王女に私室に招くなど危険すぎます!!」

「いいのです。この方に興味が湧きました。危険というのなら護衛をつかせましょう。それならよろしいですか?」

「私の一存では……。一度確認を」

「いいから、この方をこちらからお出ししなさい。これは命令です」

 だいぶアグレッシブなお姫さんだな。


「わかりました。それでは、私が護衛につかせていただきます」

「結構。それではこの鍵を開けて、私の部屋までお願いしますね」

「かしこまりました……」

 そこからはすごかった。

 まずその衛兵さんに手を縛られてから独房から出され、その身なりでは王女の目を汚すといわれ風呂に入れられ、勝手にメイドたちに体を洗われ、やたら綺麗な服を着せられた。

 正直、日本生まれ日本育ちの俺からすると居心地の悪さが酷かった。

 一通り終わると、前で縛られていた腕を後ろ手に縛り直され、連行されるような形でお姫様の部屋で連れていかれた。


「マルクでございます。先ほどの者お連れしました」

「入ってください」

 何が何だかわからないうちに、転生直後にお姫様の私室に呼ばれるとは、もしかしたらこれが豪運の効果なのだろうか。


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