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第四話 貴方のステータスはアタシの指先ひとつ

「ハジメ。いい?今から貴方はアタシのおもちゃとして、アタシの管轄する世界に行ってもらうわ。特に使命とかそういうのは無いけど、アタシが退屈しないように右往左往して長生きしなさい」

「ん?そこはやっぱりこう日本で言う異世界転生なわけで、せっかくだからチートスキルとか、これであなたは最強の勇者とかそういうのは無いのですか?」

 ロキは片方の眉を若干上げながら言う。


「あるわけないじゃない。特にこの世界が危機だから救ってくれとかそういうのでもないし。そもそもこれから行ってもらう世界はアタシのおもちゃ箱なんだし」

 おっとこれは取り付く島もないやつか。


「姉上、さすがにその言い方は……」

「ん~そうねぇ。確かに、送り込んですぐ死んだりしたらおもちゃの補充に手間がかかるわね」

「いえ、姉上そういうことではなくてですね。そもそも勝手にこちらの世界に呼び出しておもちゃというのはあまりにも申し訳がないと言いますか」

 ヘルは常識人?神?のようだ。

 でも、神話に出てくるロキの本物だとしたら、こんなことで言うこと聞かないよなぁと思っていると、予想外のことを言い出す。


「要するに、すぐ死ぬ状態にはしなきゃいいのよね?」

 また明後日の方に話を進めやがって。

 全くこちらの言葉を聞き入れない感じ、本物のロキなんだなと思うハジメをよそに、ロキは何もない空間に手を突っ込むと一セットのオフィスデスク、オフィスチェア、PCを引きずり出した。


「おいおいここまで来てがっつり日本のオフィスセットかよ」

 ハジメとしてもつい言葉が漏れてしまう。

 ロキはハジメの言葉など聞こえないというそぶりで、ご丁寧にレンズが小さめの眼鏡をかけてモニターを凝視し、カタカタとPCを弄り始める。


「とりあえず、体は丈夫にしておいて……。そもそもハジメの他のパラメーターってどうなってるのかしら。ん?え?ちょっ、ヘル見てみて!ハジメの運の数値最高なんですけど」

 ロキは爆笑しながらヘルにモニターを見るように促す。

 ヘルはもういいですよというあきれた顔でモニターをのぞき込む。

 ハジメは、あぁこういうモニターとかPCとかは誰も突っ込まないのねと思いながらその流れを見ていると、ヘルから、あれ貴方そんなキャラでしたっけ?という声が漏れる。


「お、おおぅ」

 あ、現実でこれ言う人いるんだ。


「姉上このパラメーターは最高ではなく、最悪です」

 最悪!?


「そもそも上下±99までのパラメーターで、-98ってどうやったらそんなこと起きるのかというほどの不運パラメータ。姉上、いままでこんなの見たことないので……」

 途中まで言いかけ、ヘルの顔がドン引きの顔から、むしろ憐れむような表情に変わりちらりとハジメを見る。


「ハジメ様。ハジメ様に、不運がついています」

「不運ですか。確かに俺は何やっても酷い目に遭ってきましたけど」

「そのはずなのです。運のパラメーターカンスト直前に合わせて不運までついていたら、殺人犯から人質を助けようとして、殺人犯もろとも人質も殺してしまうぐらいのことが起きるもって生まれたある意味才能です」

 俺のうまくいかない人生はこいつのせいだったのか。


「姉上、さすがに不運は消して差し上げた方がよいのではないでしょうか。このままだと次の世界でも即死必至になってしまいます」

 即死!?


「はい。これからハジメ様に行っていただく姉上管理の世界は、剣も魔法も勇者も魔王も全部ある、ある意味カオスな世界なのです。姉上が暇潰しに作った世界なので……」

 そういうことですか。

 そりゃ今までの俺と同じだったら即殺されてゲームセットですね、はい。

 いやちょっと待て。

 さっき、体は丈夫にってロキは言っていたから死にはしないのじゃないか?


「あーあんた勘違いしてるみたいだけど、死にはしないけど逆に言えば死ねないんだから、野盗に捕まって拷問でもされたら一生死ねないまま拷問され続けるおもちゃの完成よ」

 こいつまた心読みやがったな。

 それにしても、死ねないのはツライな。

 俺の魂が抜けかかったような表情を見たロキはにやりとした。


「じゃあ、こうするわ」

 ロキは悪いいたずらっ子の顔をして、キーボードをカタカタと弄り、マウスをポチポチとした。



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