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第三話 喜びなさい新しい命よ

「目は覚めたかしら?」

 俺の目の前には、身長は150cmなさそうで金色艶やかな髪が地面につくのではないか?というほど長さまで伸びた誰が見ても国民的美少女と言うであろう容姿の天使?がいた。

 続けて声の優しそうな男性が声をかけてくる。


「国村 一さま。本当に申し訳ございません。姉がこのようなことを……」

 深く頭を下げる青年は、敵なんて作らないのだろうなという優しそうな顔を崩して泣きそうな顔で目を強く閉じ頭を下げている。


「えっと俺は……?」

「失礼しました。申し遅れましたが私はヘルブリンディと申します。日本の方ですので呼びにくいと思いますからヘルとお呼びください」

「ヘルさんですか。これはどうもご丁寧に」

 釣られて俺も頭を下げると、ヘルはつづけた。


「それで、こっちで横柄な態度をしているのがファールバウティを父に持ちラウフェイを母に持つ私の姉のロキです。改めましてこの度は姉のロキが大変なご迷惑をおかけし、申し訳ございません……」

 ふと少女の方に目をやると、少女はニヤッっとしてこういった。


「ロキよ。喜びなさい。生き返ったのに焼き直しされるところをアタシが助けてあげたわ。嬉しいでしょ?新しい命。嬉しいわよね?嬉しいんだったら、アタシのおもちゃとして遊ばれなさい」

 つい、おおぅという声が出てしまいそうなパンチのある言葉を並べるロキに一は面食らっていた。


「姉上!なんでそういう言い方しかできないんですか!そもそも勝手に別管轄の命にかかわってはダメとあれほど兄上に言われていたのに、こともあろうか神界まで呼んでしまうなんて……。兄上に知れたらどうなることか」

 ヘルの顔はみるみる青ざめていく。

 よほど怖い兄貴なんだろうなぁと思うが、よく考えたら俺は生きながら焼かれるのを助けてもらったわけで、このロキって子もそうそう悪いやつではないのでは?と思いかけて、ロキの言葉の最後を思い出した。


「ロキさんとやら、さっき俺をおもちゃっていいました?」

「言ったわね」

 あーだめだこの子。マジの悪魔だこれ。

 そうか俺は神界とは名ばかりの魔界に連れてこられたってことだな。

 つまりあれだ。

 いままでどれほど人の為を思って何かをしても悪い方向にしか行かなかったが、その集大成が、自殺志願者を助けたら魔界に連れてこられた件ってことか。


「悪夢だ……てかロキって、北欧神話の悪さばっかりする神様だかがそんな名前だったような」

「悪さばっかりってなによ。ちょっと髪の毛切ったりしたけど、純金で作ったウィッグまでプレゼントしたあたしに向かってなにか文句でもあるの?」

 おいおいマジもんかよ。


「ロキさんは、ロキ様でらっしゃる?」

「ロキ様?ちょっとぉ、あんたわかってるじゃない。そうよ。アタシがあなたの世界で言う北欧神話のロキ本人よ」

 神様って柱で数えるはずなのに、本人とか言っていいのかよ。


「今あんた失礼な事考えたわね?言っとくけど、心の中聞こえてるわよ」

 おっとこれはさらに悪い状況だ。


「とにかく、これからあなたの第二の人生はアタシの管轄内でアタシのおもちゃになってもらうわ。光栄に思いなさい」

 どうやら俺は、強制的におもちゃになるという人生ならぬおもちゃ生を押し売りされたらしい。

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