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第二話 ただいま火葬中

 ここはどこだ?

 やけに狭いところに寝かされているような感じだ。

 真っ暗で何も見えんし、どことなく暑いな。

 そう感じているこの男性は、国村くにむら はじめ35歳のサラリーマンであり、年齢は彼女いない歴に該当する正真正銘の魔法使いなわけだが、この男、何をどうしても悪い方向に転がるタイプである。


 良かれと思って道に迷った小学生の手を引いて交番に連れていけば誘拐犯に間違えられ、営業先の好みと聞いて手土産を持参すればその担当は退職して新担当に変わり、かもしれない運転が大事と慎重に運転したら後続車に追突され、つい先日も自殺志願者がビルから飛び降りるのを救ったはずなのに誤って自身がビルから身を投げることになった。


 ビルから?

 そうビルからである。

 彼が身を投じてしまったビルは地上十階からなる会社が多く入居したビルである。


「イテテテ。やっぱりさすがにあの高さからは無傷じゃ無理だったか。それに体のあちこちが痛くて身動きがさらに取れないしそもそも、俺、生きてるな」

 数分の時間が流れた後にあることに気づいた。


「俺!生きてるな!てか今どうなってんだ?ビルから飛んでそのあと記憶が……」

 それもそのはず。

 彼がビルからダイブをキメたあと、当然ながら彼は地面に叩きつけられ、見事搬送先の病院で死亡が確認されているのだから、記憶があるわけがないのだ。

 彼が死んでいる間に葬儀が行われ、彼の身体は今まさに火葬が始まったその瞬間が今なのである。


「ちょっ。まっ。暑、いや熱っ!!」

 誰が気づくだろうか。

 今から火葬しますという状況から、悲惨な事にも息を吹き返してしまった彼のことなど。


「あーだめだこれ。まさか死んで生き返って焼き殺されるとはなぁ。まぁ、仕方ないかぁ」

 彼はことのほか諦めるのにも時間がかからないタイプであった。

 そんな時声が聞こえたのである。


『ねぇ……ヘル。すごい悲惨な……見つけ……ど……』

 ん?誰だ?


『姉上。またそうやって……見てたら兄上に……すよ』

 死ぬときってじっくりいくとこんな幻聴まで聞こえるのかぁと思いつつも、次第にはっきり聞こえてくるその声が彼を呼んだ。


『……た!……た聞こえてる?』

 俺を呼んでいるのか?

 天国に招待されるときは、ずいぶんラフな感じで呼ばれる感じなんだなと思っていると、声は怒声に変わる。


『聞こえてんのかって聞いてんでしょうが!!!』

 かわいらしい少女の声であるはずなのに、明らかな怒声である。


「は、はい!」

 つい敬語で返事をしてしまった。


『聞こえてんなら返事くらいしなさいよ。まぁいいわ。ちょっとこっちに来なさい』

『あ、姉上!それはさすがにまずいです!』

 なんだか男の声も登場してきたなと思ったところで俺の意識は途切れ、目をあけると何もない真っ白な空間に死に装束を来た状態で俺は目を覚ました。


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