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第十七話 魔剣の束縛

「お前それ、魔剣じゃねぇのか?」

「やっぱりそういうやつ?」

「あぁ。俺も聞いたことがある程度だが」

 そういってルードは引き出しからタブレットのような端末を取り出し何か操作している。


「これをみてみろ」

 タブレットにはこう書かれていた。



 ー魔剣ー

 人が悪魔の儀式、もしくは神々の制裁で武器の姿になったものを言う。

 感情を持ち、好みも有し、武器としては無類の強靭さを兼ね備えている。

 人であった際の性別を引き継いでおり、戦闘に用いることも可能であるが、魔剣そのものの性格に寄るため、必ずしも武器として有能とは言えない。

 戦闘力は格別に高いが、感情があるため気乗りしないからと戦闘を拒否する場合もある。

 今現在その存在が伝説の類であるため、研究は進んでおらず、封印を解く方法は不明。

 ーーーー



「な?魔剣だろ?」

「確かに。でも、魔剣ってこんなキモイ感じなのか?」

「俺がそんなこと知るかよ。少なくともその魔剣は小僧に懐いているみたいだな」

「懐いてる!?!?」

「そりゃそうだろ。そのネイルと腕の細さ、手の小ささを見るに性別は女だろうし、小僧の首に抱き着いてんだからなぁ」

「おいおいそりゃ困るって。こんな気持ち悪いのぶら下げて俺は生きてくのかよ!?」

「しかたねぇだろうが、懐かれちまったもんは懐かれちまったんだ。あきらめろ」

「最悪だ……」

「ハジメ様。一旦教会で解呪を試みてはいかがでしょうか」

「それだ!今すぐ行こっ……ぐっ、ぐるじい」

 ラグナロクは全力で俺の首に抱き着きほとんどスリーパーホールド状態になった。


「嫌がってるみてーだなぁ」

「わがっだ!わがっだがら、ぎょうがいいがないがら(教会いかないから)!!」

 すると腕の力が抜けて息ができるようになった。


「本当にハジメ様に懐いてるんですね」

「み、みたいだな。アリス、しかたない。しばらくこのままにしよう。下手な事すると締め落とされそうだ」

「や、やむを得ませんね」

 だからちょっと引くのやめてアリス。


「あーハジメ様ぁ!」

 遠くからエルマさんが俺たちを見かけて小走りで駆け寄ってくる。


「ハジメ様ぁ!昨日の飲みに行くって話覚えててくれてますかぁあ??」

「あ、エルマさん!覚えてます!近いうちに飲みにいぎまじょぅぅぅううう」

 またラグナロクが首を絞めてくる。


「は、ハジメ様!?!?」

 ほらエルマさん驚いてるじゃん。


「ぢょっ、まっ、おぢるっ(落ちる)」

 ふっと腕の力がゆるむ。

 なんとなく、背中で刀身がプンスコしているような気がする。


「なんか、変な魔剣に懐かれちゃいまして……」

「そ、そうなんですね」

 あーエルマさん。哀れなものを見るような目を俺に向けないで。

 するとラグナロクがまた俺の前に回って地面に字を書く。

 てか、ギルドの床は木製だから傷つけるのやめて。


「「ハジメに近づくな。ハジメはあたしのだ」」

 す、すこぶる病んでやがる。

 エルマさんはちょっともう怯えちゃってるよ。

 アリスがラグナロクに話しかける。


「ラグナロクさんはハジメ様が好きなのですか?」

「「恋。した。好き」」

 重いぞこの子。いや重量もそうなんだけど、思いの部分がさ。


「ラグナロクさん。私もハジメ様をお慕いしております。駄目でしょうか?」

「「アリス、ハジメのこと、守ってた。アリスはいい。でも側室」」

 なんか思ったより俗っぽいな。

 てか、アリスさんは普通に会話しちゃう感じなのね。


「ありがとうございます!!じゃあ、ラグナロクさんが正妻で私が側室ですね!」

「なんで二人、いや一人と一振りか。は、分かり合っちゃってるの?」

「なんとなく、乙女の感じがしたので」

「そういう感じ!?てか、アリスは第二王女なのに側室とか言っちゃっていいわけ!?てか俺なし崩し的に告白されてしまっているのですが!?!?!?」

「はははっ!小僧モテモテだな!!」

「あんたは黙っててくれ!」

「構いません。私はハジメ様の側にいられるなら正妻でも側室でも何でも構いません」

「そういうとこ!そういうところだアリス!年端もいかぬ女の子がそんなこと言っちゃいけません!!!」

「ハジメさんだって私と同年代じゃないですか!」

 あっ、中身のおっさんの方がでたなこりゃ。


「それはいまいいの!」

 結局、一人と一本に押し切られる形になったまま、俺は報酬をルードから受け取りギルドを後にした。

 あ、ちなみに、この話でラグナロクが俺の首の周りをグルングルン回ったせいで、俺の背中に刀身当たってちょっと切れてたからね。

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