第十話 誰がこんなことを予想できただろう?
アリスとはじまったステータス確認会だが問題に直面した。
そもそもどうやってステータスを開くんだ?
「ひとまず、どうやったら確認できるんだろうか。ん~。ステータス!」
あたりが静まり返る。
「プロパティ!」
これも駄目なようだ。
「アリス、もしかしたら俺はなんでもないただの男なのかもしれん」
「そんなはずございません!ハジメ様は御遣い様なのですから、きっと呪文が違うのかもしれません」
「呪文って言ってもなぁ」
教えてもらってないことをやれと言われても、そんな砂漠の一粒なんて見つかるもんかね。
「じゃあ、ひねりを入れて、アカウント!マイページ!」
こりゃ駄目だな。
「ハジメ様。ロキ様とお話された際に、何かヒントになることを仰られていませんでしたか?」
ここまで来てもアリスは目をキラキラさせている。
「ヒントとか言われてもなぁ、確か俺のパラメーターを、お、おぁっ!」
俺がパラメーターという言葉を口にした瞬間に目の前に50インチはあるだろうというサイズの俺のステータス、もといパラメーターが表示された。
「……でたよ」
「ほらやっぱり!ハジメ様は御遣い様なのですから当然でございます!」
表示されている内容は、HP、MP、SPに関してはヘルが説明してくれた内容そのままだったがどうやらあの時言っていた右側がおかしくなっている。
運 +99
豪運
強靭
カリスマ
各種耐性(極)
神に愛されし者
どんなチートだよ。
「は、ハジメ様。これはもうハジメ様が神ということですか??」
何をいうか。俺が聞きたいんだって。
「てかこの、運は-99にしたって言ってたはずなんだけどな」
「そうなのですか?きっとロキ様のサプライズだったのかもしれませんよ?」
サプライズ?んなわけあるか。あの悪魔幼女神がそんな回りくどいことしてくるわけないだろうが。
てか、神に愛されし者ってなんだよ。神に弄ばれし者の間違いじゃないのか?
俺の頭の中はだいぶ混乱してきている。
「少なくともです。これでハジメ様が御遣い様であることが証明されました。ハジメ様。この情報は信用できる者以外には見せない方がいいかもしれません」
「そりゃまたどうして?」
「良からぬことに利用しようとする者も出てくるかもしれませんし、もしかすると魔王に知れたら命を狙われるかもしれません」
「そんなにか」
「そんなにでござます」
「俺、この世界に来たら冒険者とかやりたかったんだけどなぁ」
「とんでもございません!御遣い様が冒険者など、そんな危険な事いけません!」
マジか。これって本当に豪運なのか?
「俺この後どうなるの?」
「まずはお父様に謁見していただき、今後の流れを検討していきましょう。きっとお父様であれば力になっていただけるはずです。うまくいけばこの国での保護も可能だと思います」
「そんなにミツカイってのは大事なもんなのか」
「ハジメ様。きっとこれから忙しくなってきます。お覚悟を」
お覚悟をって、これ殺される直前の敵のセリフ……。
そういうとアリスはパッと立ち上がりそそくさと部屋を出て行ってしまった。
残された俺はどうしろってんだ。
ほんとに冒険者できないのかなぁ。
『……メっ!ハジメ!』
頭の中に声が聞こえる。
おっとこれは聞きなれた性格の悪い悪魔幼女神様の声が聞こえるぞ。
『えっ?絶世の美女で俺の心を奪った女神ですって?』
「都合のいいフィルター通すな。てかなんだよ運+99って」
『ぐっ。そ、それはあれよ。アタシからのサプライズ的な?彼氏の誕生日前日に機嫌悪いフリして翌日豪勢なプレゼントを用意する健気な彼女的なやつよ』
「それ、お前が俺の彼女ってことになるぞ……」
『!!冗談じゃないわ!そんなことあるわけないじゃない』
「それで、何の用だよ?」
『見ていたわ。アンタ冒険者になれなそうなんだって?』
「そうだよ。お前らがよくわからんもん俺につけまくったせいでな」
『人聞き悪いこと言わないでよ。こっちは善意でやってあげたんだから』
「どうだか」
なんだか、知っている声がするのは安心するのだけど、どうもムカつくな。
『ハジメさまぁ~』
この声は本当の安心をくれるやつだ。
「ヘルさん!よかったですお話できて」
『こちらとしても、贈り物が機能したようでよかったです。少し心配だったので』
「贈り物?」
『容姿、褒められてましたよね?』
「もしかして、この見た目とか、メイドが顔を赤くして俺を見ているのは……?」
『はい。私がお渡しした贈り物です。女性からは特に好まれる容姿になるよう調整しましたのでうまく役立ててください』
『ヘルなによそれ!アタシ聞いてないんですけど!?』
『姉上にはお伝えしておりませんので』
ツンと怒っているヘルの表情が目に浮かぶが、どうやらこの見た目はヘルの贈り物でこうなったらしい。
『なってしまったものは仕方ないわ。でもねハジメ。まずはアンタ冒険者になりなさい』
「だからそれができたら苦労しねーんだよ」
『冒険者は危険だーとかってやつ?いいわよそんなの。アタシが神託でも何でもつかってアンタを冒険者にさせてあげるわ』
「ずいぶん協力的だな。何を企んでる?」
『企んでなんかいないわ!アタシのおもちゃが御遣い様~とか言われて各地を回るだけなんてツマンナイからよ』
「それが目的か。とりあえず分かった。俺としても冒険者になれるなら助かる。うまい事やってくれ」
『任せないっ!そんなの楽勝よ』
ほんとに任せていいのかよ。




