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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第91話 答え

「っお、何か分かった?」


「はい。全力ってなにも、むやみに力を使う事じゃないんですね。

 その時、自分に合った最適の動きをする。

 そのために、頭と体を動かす。

 それが、答えな気がします」


 ララクの表情は、悩みが晴れた清々しい顔をしていた。彼なりに「全力」という言葉の意味を、この数日間考えていたのだ。

 それが足かせとなり、魔力消費の激しい行動をとってしまった。


 咄嗟に多くの冒険者を【テレポート】で助けたのは悪い判断とは一概には言えない。結果的に、彼らは無事にここから脱出できたのだから。

 しかし、もっと他にやりようはあったかもしれない。

 いつもの、冷静なララクになら。


「うん、いいんじゃない?」


 鉄の怪物と戦いながらも、ゼマは嬉しそうに微笑んだ。彼女なりに答えは分かっていたのかも知れない。だが「全て教えるのが正しいわけじゃない」精神なようで、彼に考えさせたようだ。


「それで、作戦は?」


「はい、出来ました。アイアンデーモンを攻略する作戦を」


 彼は自分なりの答えを出したと同時に、標的に対抗できる術も同時に編み出していた。


 ララクが考えたのは、打撃系統でありながら、高速度を維持して戦える戦法。そして、魔力消費は最小限。


「【ウェポンクリエイト・ハード】!」


 深呼吸を終えて、戦いを再開するべく武器を作り出した。

 今まで彼が作り出してきたのは、剣やハンマーなどの汎用的武器、それに釣り竿やピッケルなどの変わり種。

 そして今回作り出したのは、汎用的ながら、「武器」とカテゴライズするのには微妙なものだ。


 人によっては防具の一種として捉えるかもしれない。


 少なくとも、【ウェポンクリエイト】で作り出せる範囲の物であることは間違いないようだ。


「これなら、互角に戦える」


 ララクは両手拳を握りしめると、その2つを「ガツン」と打ちつける。

 その腕には、銀色に輝くガントレットが装着されていた。


 これが、彼の作り出した武器だ。


 彼の体が小柄なこともあって、そのガントレットは大きく見える。が、実際の重量はハンマーなどに比べればかなり軽い。


「ゼマさん、加勢します! 【スピードアップ】!」


 さらにスキルを発動して、動きの速度が素早くなるように強化した。

 高速で動けるようになったララクは、応戦しているゼマに協力するべく、ダッシュで近づいて行く。


 鉱山の地面を蹴って瞬時にゼマたちの元へと辿り着く。

 そしてゼマの背中を飛び越えると、アイアンデーモンへと強襲する。


「はぁぁぁ!」


 アイアンデーモンの顔面を狙って、ガントレットを叩きつける。


「むだ、だ」


 しかし、スピードの乗ったその攻撃でも、アイアンデーモンは反応して避けてしまう。

 すぐさま、ピッケルを振り払って反撃してくる。


「っく、素早いだけじゃないな」


 ララクも難なく避ける。が、アイアンデーモンの反撃性能が高いことを頭にいれておく。


 アイアンデーモンの目は、顔にあるだけではない。

 常に目玉が飛び出しているわけではないが、その体には複数の目線が蠢いている。

 スピードが互角になったとしても、相手の回避性能が高ければ、攻撃を当てるのは困難だ。


 だが、これはララクの作戦内に織り込み済みだった。


「ゼマさん、乱舞を」


「ここで? あんたにも当たるよ?」


 三者の距離感はかなり近い。ここで広範囲の攻撃をすれば、味方にヒットしてしまう危険性がある。


「大丈夫です。お願いします」


 少しだけ振り返ったララクの表情は、とても澄んでいた。


 覚悟の決まっているその顔を見て、ゼマは不安に思うことはなかった。


「りょうかい。行くよ! 【刺突乱舞】」


 至近距離なので、あまり【伸縮自在】の効果は使わずにそれを発動した。

 素早い突きがアイアンデーモン、そしてララクを襲う。


 ララクはゼマに背を向けているので、よりそれを回避するのは困難だ。


「【感知強化】っ」


 ララクは新しくスキルを発動した。

 この感知、というのは第六感のことである。周辺の気配を察知して、自分にくる攻撃を読み取ることが可能になる。


 これにより、例え背後から攻撃されたとしても、避けることが出来る。


「な、なにぃ?」


 背後からの乱舞を、風に揺れる旗のような滑らかな動きで、ララクは回避していく。そして、彼に当たるはずだった【刺突】は、アイアンデーモンに襲い掛かる。


 アイアンデーモンの体にヒットはするものの、ヒビを入れられるほどのダメージではない。しかし、これも打撃系統の武器で出しているので、威力と破壊力には優れている。


 何度も当てることが出来れば、アイアンデーモンにダメージが入ることだろう。

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