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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第88話 鉄の雨

「こいつ、後ろに目でもついてんの?」


 死角から放ったはずの攻撃が、簡単に避けられたことが解せない様子。


「っは! ……ゼマさん、その通りみたいですよ」


 再び魔晶石へと移動したディバソンを見て、ララクは驚愕した。

 急遽跳んだので姿勢が不安定だったようで、一時的にディバソンの背が2人のほうに向いていた。


「き、きもちわるっ!」


 思わず声を漏らすゼマ。


 ディバソンの背中に、普通はあるはずのない目玉がいくつも浮かび上がっているのだ。それは人間の目ではなく、アイアンデーモンの目玉だ。


「どうやら、複数のアイアンデーモンに寄生されているみたいです。それで、戦闘能力が格段に上がっているんだと思います」


 ララクも奇妙に感じながら冷静に敵を分析する。


 この背にある目の力により、背後からの攻撃にも対応できたのだ。


「集まれ! お前たち!」


 正面をララクたちの方へ向けたディバソンは、地中に転がったアイアンデーモンの破片に呼びかける。するとそれらは小刻みに揺れだす。バラバラになりながらもまだ活動できるようで、ディバソンの元へと移動していく。


 地面から魔晶石の山を登っていき、ディバソンの元へと辿り着く。


 そして、その鋼鉄の体とさらに合体をしていく。

 もはや中に人がいるとは考えられず、ただのモンスターと化している。


「これがアイアンデーモンの真の力なのか」


 ララクはモンスター図鑑で、ある程度の情報を掴んでいた。しかし、別の個体同士が合体することや、人間との同化のことは知らなかった。


 事の発端はディバソンが、彼らを受け入れたことだ。しかし、今はもはやディバソンの面影は全くない。

 彼の意志も感じなくなってしまった。


「テンズ【アイアンショット】!」


 魔晶石に登っているディバソン、いやアイアンデーモンは、土系統のスキルを発動する。それも10回連続で。


 巨大な鉱物の塊がいくつも現れ、そして同時にはじけ飛んでいく。下にいるララクとゼマをターゲットにして、それらは鉄の雨となって彼らを襲う。


「【シールドクリエイト・ハード】!」


 それを防ぐために、ララクは金色の巨大な盾を作り、その底を地面に突き刺し固定した。ララクが小柄なこともあって、それに身を潜めることは簡単だった。


 金属の盾に、無数の鉄破片がぶつかってははじかれていく。もともと【シールドクリエイト】で作り出す盾は、攻撃力がほとんどない代わりに防御力と耐久値が高い。それをさらに【耐久値強化】で頑丈にしているので、丈夫なのは間違いない。


 彼はこれをゼマの前にも出そうとした。


 しかし、すでに彼女が防御態勢に入っているのを見て、自分の分だけ作ることにした。普段だったら簡単に作れるが、今は魔力消費を少しでも抑えたい。


「なんのこれしき!」


 ゼマはアイアンロッドを縦に持ち構える。そしてそれを両手を器用に動かして回転させていく。

 これでゼマの正面に、円状の防壁が作られる。

 回転速度が遅いと【アイアンショット】が通り抜けてしまう。


 しかし、どうやらその心配はないようだ。


 彼女に飛んでいった破片たちは、ほぼ全てアイアンロッドに弾き飛ばされていく。いくつか漏れて彼女に当たったとしても、ヒーラーなのでさほど問題はない。


(どうする?これが降りやめば攻撃を仕掛けるか? でも魔力が……)


 ララクは魔力を回復するために道具に頼ることにした。さいわい、この【アイアンショット】が終了するまでまだ少しだけ時間はある。


「【ポケットゲート】」


 ララクは亜空間の収納スペースを呼び出すと、そこからマジカポーションを取り出す。小瓶に入った水色の液体を、喉に流し込んでいく。


 これで魔力が回復するのだが、彼が今日消費した魔力はかなり激しい。

 この【ポケットゲート】を使用するだけでも魔力がかかる。


 彼は今日、大量に魔力を消費する【テレポート】を、何度も使っていた。

 まず、首都から鍛冶屋に行くときに2人分。そしてまた首都に戻った際に2人分。そして、カリーエと冒険者6人に使用したことで、+7。

 計11人分使用したことになる。


 時間経過で回復していくとはいえ、膨大な魔力が失われたのをすぐには取り戻せない。


 他にもクリエイト系や、鉱物を収納するのに【ポケットゲート】も頻繁に使用した。こんな強敵と戦う予定がなかったとはいえ、かなり使いすぎている。


(こうなったら、分身で一気に攻め崩すか)


 ララクは【アイアンショット】が全弾打ち尽くされたのを見計らって、分身で一気にアイアンデーモンを破壊しようとしているようだ。


 そんなララクの姿を、ゼマは防御しながらも横眼でチラッと見ていた。マジカポーションを飲んだこともしっかりと確認していた。

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