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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第86話 寄生の力

「こっからが、本番だ!」


 ディバソンは、所持していたピッケルを構える。すると、体に纏わりつく鉄の一部がピッケルに流れていく。そして、鉄によって肥大化したそれは、1回り大きくなった。


 その形は、ピッケルというよりは、どこか鎌に近しいものを感じる。


 そしてディバソンは、本来鎌で行うスキルを発動する。


「【オーラサイズ】!」


 魔力を武器の周りに纏わせ、さらにピッケルを拡張していく。このスキルは、ダメージ判定のある魔力で武器を包みこみ、広範囲に攻撃するスキルだ。

 基本的には鎌専用であるが、同じような形をした武器ならば発動できる場合がある。これはもともとディバソンが持っているスキルだ。


 アイアンデーモンの魔力が合わさっているのか、そのオーラはディバソンの巨体よりも大きく広がっていく。


 ディバソンは脚に力を入れて、ララクたちへと走り出す。そして、間合いまで近づくと、強化されたピッケルを横向きで振り払う。


 半透明な刃の形をしたオーラが、2人をまとめて斬りつける。


「あっぶな!」


 ゼマはそれを、地面を蹴って飛び上がることで回避する。ヒット&ヒールが戦闘スタイルの彼女だが、見切れる攻撃はしっかりと回避する。

 斬撃系統のスキルは、出血のおそれもあったりと致命傷になりやすい。そのため、回復が間に合わなくなることもあるので、不用意には喰らわないようにしている。


「っく」


 ララクのほうは体を伏せて【オーラサイズ】を避ける。彼の頭上を通り過ぎた刃のオーラは、少しだけララクの髪をかすめていた。


(もともとディバソンさんはレベルが高い凄腕の冒険者だ。それと同化しているわけだから、舐めてかかれる相手ではないか)


 カリーエや他の冒険者を吸収したアイアンデーモンたちは、寄生先の武器やスキルを使ってこなかった。本来はそこまで知能が発達しているモンスターではないのだ。

 寄生するだけのモンスターで、寄生前はかなり非力だ。


 だが、今回はディバソンが一度、アイアンデーモンとの共生を望んだこともあり、両者の同化率がかなり高い。

 そのため、ディバソンの戦闘能力にそのままアイアンデーモンの力が加わっていることになる。


 かつての仲間なので、【サーチング】をしなくてもある程度はレベルとスキルを把握できていた。それが故に、敵になった時の恐ろしさも感じていた。


「またまたいくよぉ! 【刺突乱舞】!」


 空中に跳んだゼマは、着地をする前にスキルを発動する。距離が離れていても、【伸縮自在】によって彼女の間合いは、このエリア全域となっている。


 先ほどのように鋼鉄を砕こうとしたが、いくらロッドをヒットさせても微かな傷さえ与えられていなかった。アイアンロッドが当たるたびに「ガキン」と金属音のようなものが鳴り響く。

 高レベルの硬度を維持していることがよく分かる音だった。衝撃の逃げ道が少なく、ロッドとそれを持つゼマに衝撃が流れていく。

 それに合わせて、アイアンロッドが壊れないように魔力を流し込む必要があった。【耐久値強化】が付与されているので、魔力を流せば壊れにくくすることが出来る。


「【ウェポンクリエイト・ハード】」


 彼が作り出したのは、金色に輝く巨大なハンマーだ。ガッディア戦で作ったバトルアックスよりはかなり小さいが、それでも小柄なララクが持つには手に余る武器である。

 今回は【ウェイトダウン】のような補助スキルを使わなくても、装備できる重量のようだ。


 ララクはディバソンに駆け寄っていき、強力なスキルを発動する。彼の知っているディバソンは、パワー系の冒険者だ。力強い攻撃で相手を叩きのめす。

 筋肉も老齢とは思えないほど発達しており、身体能力も高い。が、俊敏性はそこまで上昇していない。


 だからハンマーの攻撃も通ると予想したのだ。


「【ヘビィインパクト】!」


 このスキルは【刺突】と似たシンプルな打撃スキルだ。魔力を消費して威力と破壊力を強化する。

 違うのは、突きではなく振り払う、または叩きつけるモーションであること。さらに重装備の打撃武器でしか発動できない。

 そのため、ハンマーが適切な武器といえる。


「のろいっ!」


 ララクの予想に反して、躍動しているディバソンは【ヘビィインパクト】を避けてみせた。膝を大きく曲げて、地を蹴って水晶の山のほうへと跳躍した。その際に、地面に大きなクレーターのようなものができた。


 魔晶石の集合物へと一瞬で移動したディバソンは、出っ張った魔晶石の一角を片手で掴んでぶら下った状態になっていた。姿勢を保つために、さらに魔晶石の山に足の裏を接着させていた。


 遥か上空から、ハンドレッドの2人を見下ろしている。

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