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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第81話 発見

「さっそく発掘しましょうか。あそこ、降りれるみたいです」


 この場所は全てが魔晶石で埋め尽くされているわけではない。このエリア自体がかなり広々としているので、人が降り立つスペースは充分にあった。


 ララクは穴から飛び降りて、水晶の山の麓へと下降していく。その際、【空中浮遊】を使用して、緩やかに落ちて行った。


 それに対して、ゼマは荒々しくジャンプをして下っていく。魔鉱山に流れる冷たい風を感じながら、地面に「ドスン」と音をたてて着地した。

 かなりの距離を落下してきたが、彼女の足に何の問題もなかった。


 ララクはふわりと、地に足を突く。


 下からそれを見上げると、さらに壮観に思えた。自分の存在が小さくなってしまったのかと、疑ってしまうほどだ。


 目的の物を見つけたので、再びピッケルを作り出そうとする。しかし、そこにはすでに先客がいた。


「あ、あれって」


 魔晶石の下に、見覚えのある大柄の男を発見する。ぴちぴちのタンクトップを着て、山のように屈強な二の腕が特徴的な年配の冒険者だ。


「ん? あぁ、お前はいつぞやの小僧じゃねぇか」


「ディバソンさん、久しぶり。無事でよかった」


 目的のものが続けて見つかることになった。ディバソンはあまりこちらのことを覚えていなそうな態度をとっているが、ララクはしっかりと記憶している。


 なので、彼が敬語が苦手なこともよく覚えている。そのため、さん付けはしているが、珍しく年上にもフランクな口調で喋りかけている。


「あたりまえよ、おれがやられると思うか? がっはっはっは」


 腰に手をあてて大笑いをする。


「この人が、あの子の師匠ってことね」


 ゼマは初めて会うが、ほんの数秒見ただけでどんな人物なのかは想像できたようだ。


「っよ、そっちの嬢ちゃんのほうは初見だな。そういやぁ、カリーエの奴見なかったか?」


「実はカリーエさんはモンスターにやられて、今は首都に戻って休んでいると思います」


「なに? あの半端者、やられやがったのか。それは世話になったな」


 カリーエの所在をしったディバソンはニコッと歯を見せて笑う。


「カリーエさんに師匠を探して欲しいと言われたんですけど、その様子だと大丈夫ですね」


 ディバソンには、アイアンデーモンの特徴である鉱物が体のどこにも見当たらなかった。ララクは寄生されていないと考えて、少し気が楽になった。


 これであとは、魔晶石を採掘して帰るだけだ。

 不穏な空気は感じ取っていたものの、無事に目的を達成できた。と、ララクは安堵している。


「【ウェポンクリエイト・ハード】」


 魔晶石を持って帰ろうとピッケルを作り出す。


「お前たちもこれが目当てか。なら、おれがピッケルの使い方見てやるよ」


 ディバソンの武器は背中に背負った大きなピッケルだ。ピッケルという武器は、ゼマの持つ棒よりよりマニアックな武器といえる。

 だが、しっかりと【ピッケル適正】というパッシブスキルは存在する。


 ディバソンはそれを持っている。つまり、ララクもそれを所持していた。


「よろしくお願いします」


 ララクは心の中で(なつかしいな)と感じていた。昔、ディバソンがリーダーを務める【ストーンズ】にいたとき、似たような会話をしたことがある。

 その時は、上手くピッケルを使いこなせてはいなかったが。


 ディバソンはララクの背後に回ると、彼の背中をじっと見ている。


「せーの」


 魔晶石はかなり硬そうなので、力を込めてピッケルを振り下ろそうとした。


「っは!。ララク、避けろっ!」


 突然のことだった。

 近くにいるゼマの声が、彼の耳に届く。ゼマの声はひどく慌てていた。


 それを聞いたララクは、瞬間的に後ろを振り向く。すると、すでに彼は敵の攻撃を受ける寸前だった。


 だが、彼女の一言のおかげで、すぐに真横へと前転をしてそれを回避する。


 攻撃は避けられたが、彼には何が起こっているのか分からない。いや、分かっていたとしても、理解できるはずはなかった。


「あんた、なにやってんの!」


 ララクを攻撃した張本人に、ゼマは怒鳴った。彼女もまた、予想していなかったことだったのだ。


「ま、まさか。あなたも!? ディバソンさん」


 ララクはすぐに立ち上がると、自分の背後にいたかつての仲間・岩石野郎ディバソンに視線を移した。


 彼は自慢のピッケルを片手に持ち、垂れた目でララクたちを視認している。


「お前、ほんと見違えるぐらい強くなったな。やっぱり、弟子に取っておくべきだったかぁ?」


 先ほどの陽気な明るさはあまり感じれないが、しっかりと彼は口を動かして喋っている。意識は明確に保っているようだ。

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