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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第77話 鉱物採集

 首都サーザーから西に行ったところにある、鉱物の資源である魔鉱山。魔力を持った石や水晶も多く、クエストや装備の強化のために冒険者が立ち寄ることは多い。


 高く聳え立つ山だが、緑は少ない。遠目から見ると、まるで巨大な岩の塊だ。

 そこに、無数の穴が開いている。


 蜂の巣のように開いたそれらは、自然にできた、または冒険者が掘り進めるために開拓した山への入り口である。


 外からでも豊富な資源を獲得できるが、より質のいい鉱物をとるためには中へと掘り進める必要がある。


 そして、冒険者パーティー・ハンドレッドも、武器を強化するための素材「魔晶石」を求めて、魔鉱山にやってきた。


 鍛冶屋・クェイグのお店で相談した後、すぐに【テレポート】で首都に戻った2人。そしてそのまま、魔鉱山へと向かったのであった。


「おっきぃ。ここなら、その魔晶石、ゲットできそうだね」


 日差しが強く、太陽光が眩しいので、ゼマは片手を水平にして目に入らないように遮る。


「そうですね。出来るだけ質のいい魔晶石を見つけましょう」


 目指すは、純度の高い魔晶石。

 アイアンロッドはそれなりに長さがある。剣のように刃だけとりあえず強化すればいい、というわけでもない。

 なので、加工することも考えると、大量の魔晶石が必要になってくるだろう。


「じゃあ、出発進行」


 山のふもとへやってくると、すぐ近くにあった穴から入ることにした。

 魔鉱山に詳しい人間なら、ある程度はルートが分かっている。どこから入れば、どの鉱石を手に入れやすいか、などが頭に入っているものだ。


 しかし、ララクたちは戦闘に関してはある程度は戦えるが、こういった専門的なことはまだ素人だ。

 ララクは様々なパーティーに参加してきたとはいえ、どれも期間が短い。知識や技を完璧に盗むには、少しだけ期間が短かった。


 なので、やみくもに入って探すしかなかった。


 中に入ると、少しだけ薄暗い。まだ入り口なので、外の光が差し込んでいるため、真っ暗闇というわけではない。


 しかし、先を進めば必然的に光が差し込まなくなってくる。


「【ライトファイアー】」


 ララクはこういう時に便利なスキルを発動した。

 たいまつ代わりに、一定時間空中を浮遊して辺りを照らす炎を作り出す。


 もちろん触れば熱いが、この炎は燃やす、熱いといった炎の性質を重視せずに、明るいという部分にスポットを当てた反攻撃系スキル。凡庸スキルともいう。


「あんた、本当に便利だね。助かるわ~」


 いちいち道具を出さずに冒険を進めることを、地味に助かるとゼマは思っていた。冒険道具を持ち歩くとなると、それなりに手荷物が多くなる。

 複数人いれば分散できるが、1人だと持てる量は限られてくるものだ。


 しかし、ララクは【ポケットゲート】のような収納スキルに、【ライトファイアー】のような利便性の高いスキルも持っている。


 これも、99個のパーティーメンバーの力を得ているからこそなせることである。


「もう少し先まで行ったら掘ってみましょうか」


 とりあえず今は鉱石を探しに奥へと進むことにした。


 鉱山の中は、かなり狭かった。

 縦も横も、窮屈極まりない。


 最低限、人が通れるようになっており、ゼマの持つアイアンロッドは引っ掛かりそうだった。

 入り口によっては、もう少し広めのスペースが確保されている場所もある。が、彼らが選んだ場所は、運悪く歩きづらい場所だった。


「なんか子供になった気分」


 少しかがみながら移動するゼマ。彼女は人間女性としては比較的身長が高い方だ。さらに長物を背負っているので、頭上には気をつけなければいけない。

 だが、彼女はそれさえも楽しんでいるように思える。


「あそこ、掘ってみませんか?」


 歩き進めると、炎が照らす場所に、鉱物が発掘できそうな場所を発見する。そこだけ色が黒く変色しており、歪な割れ目が入っていた。

 いわゆる発掘ポイントと呼ばれるスポットだ。これは比較的わかりやすい方で、熟練の採掘者は、その場所を感覚的に分かるという。


「っお、さっそく掘りますか。どんどん掘るぞー、って、なんもないけど?」


 ゼマは意気揚々と採掘を開始しようとしたが、スコップなど何も持っていないことに気がつく。準備してきていないので当然だ。


「それなら大丈夫です。トゥーズ【ウェポンクリエイト・ハード】」


 彼は武器を作り出すスキルを2回連続で発動した。そして、それが作り出されたのは採掘に最適なピッケルだった。


「こんなのも作れるんだ。汎用性高っ」


「えぇ。ピッケルを武器に戦う人もいるので、イケるかなと」


 ララクは釣り竿が【ウェポンクリエイト】の対象内ということを実際に確認しているので、大抵の物は作れると考えていた。

 その予想通り、本来はこういった採掘場で使われるピッケルも作れてしまった。


 場所が狭いので、強度を重視して長さは短めに作っていた。


「レッツ、穴掘りターイム」


 自分の武器の強化ということもあってか、彼女は気合十分だった。魔晶石を目指して、どんどんピッケルを発掘ポイントに突き刺していく。

 動きは素人だが、身体能力は優れているので、掘り進めるのは早かった。


 そんな彼女を見て、自分も負けじとピッケルを動かしていく。


「カツン、カツン」と音をたてながら、ピッケルで割れ目を掘っていく。やはり異様にそこだけ固く、鉱物が集合しているのは間違いない。


 2人で息を合わせて掘り進めていくと、地面にボロボロと鉄の塊が落ちて行く。これはシンプルな鉄だ。

 しかし、どれも形と色が良く質が良い。


「やっぱり、ここなら純度の高い魔晶石が見つかるかもですね」


「だといいけど」


 どんどんピッケルで削っていくが、一向に鉄以外の鉱物が出てくることはなかった。


「残念です。場所を変えましょうか」


 ララクは地面に落ちている鉄を確認して、あらかた【ポケットゲート】にしまっていく。使うかは分からないが、最悪売りさばいてお金に換えることも出来る。


「やっぱ、奥かな?」


 まだここは魔鉱山のほんの一部でしかない。魔鉱山は地下にも道が続いており、その全てが開拓されているわけではない。

 奥に進めば、まだ見ぬエリアに辿り着く可能性もある。

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