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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第69話 反省会

 疾風怒濤とハンドレッドの激闘が行われたその日の夜の事。

 惜しくも敗北してしまったデフェロットたちは、反省会というかただの愚痴を言うだけの飲み会を開いていた。


 開催場所は『平原の狩人』というギルドの酒場エリアだ。ここを選んだ理由は特にないが、新生「疾風怒濤」が結成された場所なので、自然とデフェロットたちはここを選んでいた。


「あー、くそっ! なんで勝てなかったんだ!」


 木造のテーブルに拳を叩きつけるデフェロット。傷はかなり癒えている。が、微かに擦り傷が残っていた。ポーションだと治りが遅い。もっと効果の強いポーションもあるが、それに必要な薬草が高いので、自然治癒で治るところは放置する冒険者も多い。


「もう、料理がこぼれるんじゃん。やめて」


 ギロッと睨むレニナ。卓には、オークの肉を中心とした酒場料理がずらっと置かれている。他にも平原に生えている野草などを使ったサラダやおつまみも頼んでいた。


「はぁ、なぁガッディア。俺らは何が悪かったんだ?」


 苛立ちが収まらないデフェロットは、共に戦った仲間に意見を求める。反省会感が出てきた。


「そうだな、俺もそうだがあのゼマ、という子の実力を見誤ったこと。

 そして、感情を優先せずに、それぞれが相性のいい相手と戦うべきだった。

 それか常に2対2を保つべきだった」


 自分の動きに関しても自ら指摘しつつ、戦いの分析を伝えた。


「ゼマ、っか。あの女……。てか、相性のいい相手ってなんだよ」


 精神的にも戦闘的にも追い詰めれたゼマの顔を思い出しては頭から追い出す。もはや拒否反応に近い。


「それは、なぁジュタ。分かるか?」


 話をサラダをパクパクと食べている新入りのジュタに振る。自分で全て解説することも出来たはずだが、後進の育成のためだろう。


「え、僕ですか? 

 っえっと~、デフェロットさんは機動力があるので、空中を飛んでいたあの人の相手の方がやりやすかったんじゃないですかね? 回復スキルは使ってませんでしたし」


 途中でゼマとデフェロットが1対1で戦う場面があった。しかし、ゼマの回復スキルでどの攻撃も重傷には至らなかった。


「ああ、俺もそう考えていた。実際、最初は俺たちの攻撃はあのララクに効いていた。まぁ、お前が彼女と戦いたそうだったから、止めはしなかったが」


 【キズナ変化】で一気にララクたちを追い詰めたわけだが、二手に分かれてから戦況はハンドレッドのほうに傾きだした。


「それって、あの人の挑発にまんまとノっちゃったってこと?」


 レニナはくすくすと笑いながら、目を細くしてデフェロットに顔を向けた。


「はぁ……そういうことか」


 頭は掻きむしっていてはいたが、バカにした態度のレニナに反論はしなかった。


「あんた、随分素直じゃん」


「戦闘のことだかんな。俺はもっと、強くなりてぇんだ」


 負けた悔しさをばねに、彼はもっと高みを目指していた。自分のミスを認めるのは想像以上に辛く苦しいことだ。しかし、成長するためには客観的に自分の行動を見つめ直すことも必要だ。


 そんなデフェロットを、ガッディアは黙って見つめていた。デフェロットが冷静に物事を考えているのは、彼にとっては喜ばしいことのはずだ。


「あの、ガッディアさん、どうかしたんですか?」


 いちはやく彼に違和感を覚えたのは、入ったばかりのジュタだった。前髪で視界は良好ではないはずだが、しっかりと見るべきものは見えているようだ。


「……なぁデフェロット、強くなるためにはどうするべきだと思う?」


 リーダーである彼のことを真っすぐ見つめながら、ガッディアは静かに質問する。


「そりゃ、もっとクエストこなして色んなモンスターと戦うに尽きるだろ。あとは他の冒険者と戦うのもいいかもしれねぇな。

 まぁ、簡単に言えば「経験」を積むしかねぇ」


 彼の言う経験というのは、レベルアップのための経験値のことでもあり、実際に自分が様々なことに触れる、という意味合いでもあった。

 偏った相手と戦うだけではなく、多種多様な相手と戦闘を行うことで、戦闘経験というものが培われていく。


「あぁ、お前の言う通りだ。だから俺は……このパーティーを辞める」


 一息つきながら、自分の中で考えていたことを仲間たちに伝えた。彼の意志は、他のパーティーメンバーには、衝撃の一言だった。

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