表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/163

第67話 列

「待ってましたよ。【テレポート】っ!」


 彼はここで、瞬間移動のスキルを発動した。ララクの体が斧ごと光に包まれる。


「まさかっ!」


 デフェロットは実際に【テレポート】を発動する瞬間を見たことがあるのもあって、すぐに警戒をする。

 このスキルは、逃げることにも使えるが奇襲にも使える。


 なので、デフェロットは周囲に現れるのではないかと察して、気配を捕えようとする。


 だが、彼はすぐに、ララクのことを警戒している余裕などなくなるほどの状況に陥る。


 何故なら、デフェロットの体も光りだしたのだ。


 そして、ララクがスキル効果で姿を消した瞬間、彼の体も別の場所へと移動させられた。


「っな!?」


 自分をスキルの対象にするとは予想外だったようで、すぐに何が起こったのかを理解できなかった。


 そんな彼の前には、平原の野草と茶色い砂と土で出来た地面が広がっていた。しかも、彼の顔と地面はかなりの至近距離にある。


(地上に移動したのか!?)


 デフェロットがそう理解した瞬間、背中に激痛が走る。

 そしてそのまま、デフェロットの体は地面へと叩きつけられた。


「っぐはっ! お、おまえは……」


 横顔を平原の大地に突きつけられたデフェロット。顔半分は天を向いているので、その片目で何が起こったのかを理解し始める。


「デ、デフェロット!?」


 デフェロットの上に乗っかって来たのは、鎧魔人のガッディアだったのだ。アイアンロッドは解かれているが、すぐには動き出せずにいた。


(まさか、3人を【テレポート】させたのか!)


 ガッディアはララクの作戦を把握し始めた。


 何故こんな状態になったかというと、ララクは「ララク、デフェロット、ガッディア」の3人をまとめて瞬間移動させたからだ。


 しかも、移動先は全員少しだけ位置がずれている。


 デフェロットは空中から地面すれすれへと移動させられていた。そして、ガッディアは地上からデフェロットの少し上に転送されたのだ。


 そしてガッディアの体は空中から地面に向かって落ちて行き、全体重がデフェロットにのしかかったのだ。デフェロットは鎧魔人の両足に踏みつけられている状態になっている。


 では、これを発動したララクはどこにいるか。


「上か!」


 彼の移動先に目星がついたガッディアの兜が、すぐに上を向いた。

 ガッディアの目には、太陽の光を背にして、こちらに落ちてくるララクの姿があった。


 しかも、その手には巨大なバトルアックスが握られたままだ。


「はぁぁぁぁあ 【フレイムスラッシュ】!」


 バトルアックスに付与されていた【ウェイトダウン】は、【テレポート】を使った際に解除してある。そのため、元の重量と同じになっている。つまり、威力もそのままということだ。


 その武器で、鎧魔人に有効的かもしれない炎系統のスキルを発動した。


 敵の頭上に物体を出して、それで相手を拘束。これは魔狼島での戦いで学んだ戦法だった。

 それに加えて、自分が一瞬で別の場所に移動すれば、すぐに動き出すのは困難だ。


「っく、【ディフェンスアップ】!」


 ガッディアは細かい状況分析は後回しにして、本能に身を任せて防御態勢に入った。重い大盾を自分の頭の上に持ってくる。そして防御力をさらに高めて、ララクの攻撃に備える。


 バトルアックスで放った【フレイムスラッシュ】が、ガッディアの大盾のど真ん中にぶつかる。炎の熱によって、斧の刃が触れている場所から、真っ赤に変色し始める。どうやら、この盾もガッディアの鎧と同じ性質をしているようだ。


 炎の力と、バトルアックスの攻撃力、さらに頭上から振り下ろされているので、重みがストレートに伝わってきている。


 そしてそれは、攻撃を受けているガッディアだけではなく、その下敷きとなっているデフェロットにも影響を及ぼしている。


「っぐ、ぐそがぁ!」


 顔を含めた体半分がみるみる地面にめり込んでいく。それにより、上手く言葉を発せずにいる。


 これもララクの狙いの1つだった。3人を縦一列に並べることで、1回の攻撃で2人に対してダメージを当てることが出来る。


「ほんと、固いですね」


 ガッディアの大盾にも相当なダメージが入っており、徐々に内側に向かってひびが入り始めている。だが、これを破壊するにはまだ時間がかかりそうだ。


 男3人が密着しながら攻防をしているなか、ゼマは1人だけ自由に動ける。【伸縮自在】を解いたので、アイアンロッドも元の長さに戻っている。


「もう少し、頑張ってよ。【ホーリースイング】っ!」


 ゼマは以前のレベルアップにより新しく獲得したスキルを発動した。これは動きとしては、相手に打撃武器を叩きつける【スイングインパクト】と同じだ。違うのは、光系統の力が加算されるということだ。

 真っ黒なアイアンロッドが発光し始める。

 白っぽい光を纏ったそれを横向きで振りかぶった。


 そして、がら空きになっているガッディアのボディめがけて力いっぱい打った。


 その動きに合わせて【伸縮自在】も発動して、ガッディアの元までロッドが伸びていった。


 光の力を持った打撃が、攻撃を耐え忍んでいる彼のわき腹に無情にも叩き込まれた。


「っぐ、彼女か」


 ガッディアはバトルアックスを防ぐのに精いっぱいで、ゼマにまで注意が回っていなかった。分かっていたとしても、防ぐのは不可能だったかもしれないが。


 光系統の特徴として、まずその明るさがある。暗い中で使用することで、周囲を照らしながら戦うことが可能になる。

 さらに、モンスターのなかには光系統の攻撃が苦手な種族が存在する。これは他の系統でも言えることである。


 そしてその他にも、炎と同じように熱を持っている。


 つまり、鎧魔人の体を赤くすることが可能なのだ。


 一度では効果が薄いかもしれないが、ゼマは何度も同じ場所を狙って【ホーリースイング】を叩き込む。


 すると、熱が中に伝わり始めたのか、ガッディアの姿勢が崩れ始めた。


 そしてそれに連動して、ララクの持つバトルアックスが、ガッディアの大盾にさらに食い込み始める。ガッディアの鉄壁が崩れ始めているのだ。


(まずい、このままでは……)


 必死に盾を構えて防ごうとするが、横からの邪魔で着実に防御態勢が崩されている。


 そんな絶体絶命な仲間の姿を、デフェロットは屈辱的な状態で見ていた。


「や、やらぜるがよぉ。【ビィ、ビィジカルアップ】!」


 顔半分が地面に埋まっているせいで上手く発音できていないが、彼が発動したのは【フィジカルアップ】だ。一時的ではあるが、身体機能を全体的に強化することが出来る。


「ぬぅぉぉぉわぁっぁぁああ」


 腹から叫びながら、彼の体が徐々に地面から離れ始める。両腕を使って、なんとか上体を起き上がらせ始めたのだ。

 上にはガッディアと、ララクのバトルアックスがいるので、その重量を受け止めながら起き上がるのは容易ではない。


 しかし、彼は諦めない。

 仲間が危機的状態なのを黙って見ている男ではないのだ。


 僅かだが、地面と上半身の間に隙間を作り出すことに成功した。下半身はまだ地面についており、かろうじてスペースを確保できている。


 そして、デフェロットは両腕ではなく、片手を放して体を支え始める。左腕の肘を地面にくっつけて、右腕をフリーな状態にさせたのだ。

 火事場の馬鹿力、とでも言うべきか。


「はぁはぁ。【トルネードスラッシュ】!」


 押しつぶされそうになるのをなんとか耐えながら、彼は握ったままだった炎魔剣でスキルを発動した。

 これは【スピントルネード】や【ウィングトルネード】と似たスキルで、剣に竜巻を纏わせて、それを振るうことで竜巻を放つ性能をしている。


 デフェロットはこれを炎魔剣で発動したので、剣に纏わりつく竜巻の中に炎が揺らいめている状態だった。


 そしてそれを、全力で、そして大量の魔力を込めて振り払った。


 すると【トルネードスラッシュ】の効果で生み出された竜巻は剣を離れて放出される。そして、それは大きさを超えて、巨大な炎の渦へと変貌していく。


 そしてそれは、デフェロットだけではなく、その上にいたガッディアとララクまでも巻き込んでいった。


 地上近くで放ったことにより、大量の砂利と草を巻き込んでいた。それが炎の燃料となっているのか、風の勢いに負けることなく、真っ赤に燃える炎が勢いを増していく。


「っく、【ディフェンスアップ】!」


 デフェロットが動けるとは思っていなかったようで、ララクはそのスキルに抗うことが出来ずに巻き込まれていった。


「っぐ、ぐぅぅうぅ!」


 炎の渦から熱にこらえているであろうガッディアの苦しむ声が聞こえてくる。やはり、鎧魔人の弱点は高火力の炎だったようだ。


 3人は見事に渦へと飲まれていき、外からではどういう状態になっているのか把握できない。


「だ、大丈夫なんでしょうか!?」


 天高く舞い上がる炎の竜巻を見て、観戦していたジュタは口を半分ほど開けながら慌てていた。


「し、死にはしないよ。きっと」


 レニナも激化するそれをみて、内心は心配しているのかもしれない。少しだけ冷や汗をかいている。


 仲間が見守っているなか、戦いは終わりを迎えることとなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ