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【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

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第46話 ダブランファミリー再登場

 首都 サーザーに、新たな冒険者たちがやってきていた。ここでは特別なことではない。都全体が彼らを歓迎する。


「すっかり、夜になっちまったな」


「ライトが綺麗だニャ」


「ん~、やっとつきましたね」


 彼らはジンドの街から山を越えて、ここまでやってきた。ここにくるのに数日かかっており、「今日中につくぞ」と気合いを入れてラストスパートをかけたが、すっかり日が落ちていた。


 空は暗闇に包まれているが、市場やギルドがまだ開店しているので、思いのほか辺りは明るく照らされていた。


「ですが親分、ほんとうにいるんですかね?」


「いニャいと困るニャ。ここまできたのに」


「まぁ、噂は噂だからな。とにかく聞いて回るしかねぇだろ。その鑑定スキルの持ち主を」


 彼らは、冒険者パーティー【ダブランファミリー】の3人だ。巨漢のダブランをリーダー、というより親代わりに据えており、その下に雷猫チャミングと嘘鼻のトッドーリが仕えている。


 ダブランたちもまた、ここに希少スキルを持った者を探しにやってきていた。


 彼らは、元パーティーメンバーだったララクの強さの秘密をある日知った。そして、自分たちにも隠れスキルなる強力な力を得ることが出来ないか、と考えた。


 しかし、あてずっぽうで隠れスキルの獲得条件を満たすのは現実的ではない。

 そこで、ジンドの街で調べ込みをしていると、「隠れスキルが分かる」というスキルの噂を聞いた。


 そして、もっと人の多い首都でその人物を探しにきたのだ。

 ここに来た経緯は、【疾風怒濤】とほとんど一緒だった。


「とりあえず、近いギルドに行くぞ」


「はいニャ」


「りょうかいです!」


 そして、そのあとの行動も、少し先にここへ訪れていたデフェロットたちと同じだった。


 彼らがやってきたのは、「マウンテンウォリアー」だ。山仕事専門のギルドである。


 中に入ったダブランたちは、とりあえず食事をするために席につき、注文をする。


「おれ様はぁ、ギガントマヨじゃがに、ワイルドタイガーのもも肉。飲み物はソーダだ」


「チャミは~、山菜焼きに、トマトサラダでしょう。川ざかニャの丸焼きも食べたいニャ。あとオレンジジュース」


「ぼくは、水だけでいいです。あ、決してお金がないわけでも冷やかしでもないですよ? ぼくは水と太陽があれば生きられるので」


 トッドーリの注文に首を傾げながらも、ウェイターは厨房にオーダーを通しに行った。


 ピノキオ族は、人間と近しい種族でもあり植物の仲間とも言える特殊な存在だ。雑食ではないどころか、基本的に水しか摂取しなくても大丈夫な体なのだ。


「よっしゃあ! 食うぞ!」


 ダブランの頼んだ料理は2つだが、どれも大皿に乗っている。大量の軽くほぐしたじゃがいもに、卵多めの濃厚マヨネーズがこれでもか、とかかっている。

 ワイルドタイガーの肉はかなりレアで提供されており、柔らかく微かに甘みを感じられる。


「このさかニャ、うますぎるニャ」


 串に刺された魚を皮ごとむしゃむしゃと食べ進めるチャミング。猫人の多くは、魚を好む傾向が強い。


「水にもこだわっているようです! ここはいい場所です」


 トッドーリはぐびぐびと水を飲んでいく。山から流れているものを使っているので、澄んだ良質な水なようだ。

 店員はピノキオ族のことはよく分かっていなかったが、他の2人がちゃんと注文しているので、適度に水を汲んでくれていた。


 そんなダブランファミリーたちのことを、なんとなくだが覚えている者たちがここにはいた。


「おい、お前ら、たしかー「バブリン・なんとか」って、パーティーじゃなかったかぁ?」


 ダブランたちに話しかけたのは、相変わらず交流を深めようとしている岩石野郎 ディバソンだった。その後ろには、一番弟子のカリーエが立っている。


「だ~れがそんな可愛い名前だぁ!? ダブランだ、ダブランファミリー。覚えとけ、じいさん」


 名前を間違えられたことに腹をたてた。


「あー、そうだダブランだった。おれはぁ……」


「岩石野郎だろぉ? 1回見たことあるからなぁ」


「おうよ。知ってくれるとは嬉しい限りだ」


 岩石野郎のパーティー【ストーンズ】と【ダブランファミリー】も、ジンドの街で微かだが顔を合わせたことがあった。


「あの、ぼくたちに何かようでしょうか?」


 水だけ飲んでいるだけなので、手の空いているトッドーリが話を進めることにした。それを感じ取ったダブランとチャミングは、食べることに集中した。


「ピノキオ小僧、もっとフランクに行こうじゃねぇか。それに、用なんてねぇよ。ただ親睦を深めようとしているだけだ」


 ディバソンが彼らのことを覚えていたのは、スキンヘッドのがっちりとしたダブランのインパクトの強さもそうだが、一番はトッドーリがいるからだ。

 キノピオ族は、多種国家であるパーリアでもなかなかお目にかかれるものじゃない。

 それもあって、ダブランファミリーたちの名前はともかく、存在自体の認知度は意外と高かった。

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