表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!  作者: 高見南 純平
第1部 追放からの旅立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/163

第22話 魔狼

 時は満月の夜まで過ぎていた。


 魔狼島と噂される無人島の真上に、満月が怪しく光り輝いている。その姿を見ようと、多くの人が空を見上げているかもしれない。


 しかし、その月から出現する黒い影に気がつけるものはほとんどいない。

 捉えたとしても、それは一瞬にして姿を消してしまう。


 だが、この無人島から見上げると、その黒いシルエットは消えるどころか、こちらへと近づいてくる。


 徐々にそれが、脚の生えた獣だということが確認できる。宙を蹴りながら、月から真っすぐ無人島を目指してくる。


 そして、無人島は木の葉で覆われていないので、木々をなぎ倒すことなく、静かにそれはこの地に降り立った。


 降り立つといっても、地面に足をつけてはいなかった。微かに浮いているのだ。


 白銀の体毛をしており、全長は4mほどだろうか。引き締まったフォルムをしており、細長い4本の脚が体を支えている。


 これが魔狼と噂された、銀色の狼だ。


 魔狼が来たとたん、野生生物たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。そもそもの数が多いので、あちこちで草をかき分ける音が聞こえてくる。


「グルゥゥゥゥゥ」


 喉を鳴らす魔狼。食事の時間だ、と逃げた獲物を追いかけようとする。


 しかし、1体だけ自分から恐れをなして逃げ出さないものがいることに気がつく。


 2本足で立っている、簡易な鎧で身を包んだ人間の若者。


「まさか、月から現れるなんて。目撃情報が少ないはずだ」


 ララク・ストリーンは、この時を待っていた。

 自分の立てた仮説を確かめるために。


 自分でもその考えを思いついたときは信じきれなかったが、実際にその魔狼は天からではなく、月からこの大地へとやってきた。


 つまり、魔狼の生息地はこの無人島ではなく、月だったということだ。


(宙に浮いているってことは、おそらく【空中浮遊】か。それで足跡がなかったのか)


 これほどの巨体を持つモンスターがいるというのに、島にはその痕跡がなかった。その答えは、空を飛んでいるという、非常にシンプルなものだった。


「その力、確かめさせてもらうよ。【サーチング】」


 魔狼が動き出す前に、まずは情報を確認することにした。


 名前  不明

 種族  魔天狼

 レベル 62


 アクションスキル 一覧


【レーザームーン】【ヘルクロー】【デッドバイト】【スピードアップ】【ヘビーダウン】【ムーンストライク】【空中浮遊】


 パッシブスキル 一覧


【嗅覚上昇】【条件強化・月明かり】【身体能力上昇】【体力上昇】【俊敏性上昇】【攻撃力上昇】【無重力領域生息可能】


(魔天狼っていうのか。でも、レベルは62か。これなら……)


 余裕な態度でララクがスキル画面を見ていると、すでに相手は動き出していた。魔天狼からみれば、敵がよそ見しているようなものだった。


「グルゥゥラァァァ」


 雄たけびを上げながら魔天狼は超スピードでララクに近づく。その足は地についておらず、走ったというよりは飛んできた、に近い。


「っく。【ウェポンクリエイト・ハード】」


 彼が咄嗟に作り出した武器は、一番最近見かけたものだった。それは、ケルベアスの素材で作られた大鎌『ケルべアサイズ』だった。

 黒く尖ったその刃で、魔天狼の爪による攻撃を受け止める。


 しかし、勢いを止めることが出来ずにララクの体は後ろへと下がる。魔天狼の爪は元は白だが、今は黒色に染まっている。これはスキルを発動している時の特徴だった。

 発動しているのは【ヘルクロー】。生身で受ければ、一瞬で肉をそぎ落とされることだろう。


「グロォォォオォォ」


 魔天狼は止まらない。一撃だけではなく、何度も【ヘルクロー】を発動する。ララクはそれを、刃の長い鎌の特徴を生かして何とか防いでいた。


「このままじゃ……。【オーラサイズ】!」


 反撃を仕掛けようとこちらもスキルを発動する。紫色のオーラに刃は包まれ、攻撃の範囲が拡張する。そしてそのまま、回転切りを放った。


 だがそれを魔天狼は察知したようで、スキルが発動した瞬間に勢いよく後退した。


(ふぅ。素早く、力強い。これでレベル62?)


 ララクはその戦闘能力に疑問を抱く。自分の作りだした鎌に目をやると、一瞬のうちに刃こぼれを起こしていた。スキルで作り出したとはいえ、ケルベアサイズの切れ味と丈夫さはしっかりと再現されている。【耐久値強化】で生半可の攻撃では傷がつかないはずだった。


 ララクは再び【サーチング】を素早く発動する。そして、気になったスキルの詳細を閲覧する。


【条件強化・月明かり】

 効果……月明かりに照らされている場合、全体性能が飛躍的に上昇する。その効果は、光の量に比例して増加する。


(人狼が狼に変身するように、魔天狼は満月の光で進化する。だから、光が当たりやすいこの場所に、そして満月の夜に現れるという事か)


 癖で冷静に分析し始めるが、今はまだ戦闘中。この島と魔天狼の繋がりに関しては、また後で考察することにした。


「グルゥゥゥゥウゥゥ」


 魔天狼は新たなスキルを発動しようとしていた。ララクがスキルを確認している最中、魔天狼は足を止めて、なにやら力をため込んでいた。

 すると、黄色に近い蛍光色にその体が発光しだす。上からは満月の光が際限なく降り注がれている。


 そして月の光を吸収した魔天狼は、口が裂ける限界まで口を広げ始める。次に喉の奥から光があふれ出す。あとは最後に、それを敵に向かって放つだけだ

 これが、月の光を利用した希少スキル【レーザームーン】だ。


 揺らぐことのない一筋の光の柱が、ララクを襲う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ