断章1-栄歴581年『大豪雨』誕生秘話
ある草原。女性とも少女ともとれる2人が、大きな石に腰掛けて談笑していた。
「ねえリアン。ボク思うんだけどさ、雨って雲から降ってくるじゃん?」
「唐突だね。確かにそうだけど、それがどうかした?」
「だったらさ、雲って水なんじゃないかなって思って。」
「……そう、なるのかな?」
「水ならさ、ボクやリアンなら操れるんじゃないかなって。」
「……空って思ったよりも遠いよ?流石に距離がありすぎて難しいんじゃ……」
「ふっふっふ……まあ見てなって!今から実践してみるからさ!」
ティアナが杖を掲げ、頭上でくるくると回す。上空に渦が出来、それに雲が引き寄せられるように、少しずつ、集まっていく。やがて雲は直径15M程の大きさになった。
「見て見て!出来たよほら!」
「おお……本当にできるなんてね……でもまだ小さすぎるのか雨は降らないね。」
「そこは要特訓かなぁ~……頑張ってこれ極めよっと!」
「極めてどうするのさこれ……洞窟じゃまず使えないし、森とか砂漠でも下手したら使えないと思うんだけど……」
「そこはいいの!ボクには雷魔法もあるし!それになんか、限られた状況でだけ使える大魔法って考えたらなんか……良くない?」
「私にはよくわからないけど、そういうの、ティアナには似合ってると思うよ。応援してる。」
「えへ、褒められちゃった。……ボクもリアンぐらい強くなれるように頑張るよ。」
「……うん。待ってるよ。」




