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傘に恋をした日

作者: SUZU

初めての短編作品です。どうぞよろしくお願いします。

 (雨が降る前、雲はどよどよしており外は少し暗く、甘い匂いとは程遠い少し変わった匂いがする。雨を嫌う人は多くいる。けど僕はそんな日が大好きだ。理由は自分の心と似ているから。)


遡ること時は2年前。


「佳奈さん。優しいあなたが好きです。もしよろしければ付き合って下さい。」


中学校3年の夏休み初日。僕は小学校の頃からの唯一の友達であり憧れ。好きだった佳奈さんに人生初の告白をした。しかしその結果は、


「ごめんなさい。湊くんの気持ちはすごく嬉しい。好きになってくれてありがとう。けど、私付き合ってる人がいるの。本当にごめんね。」


 この通り。振られて終わった。佳奈さんが付き合っていた事は周りでは有名だったらしい。しかし、僕の唯一友達だと思っていたのに僕は全く知らなかった。



「今日の天気は曇りのち雨です。お出かけの際は傘を持っていきましょう。」



 その日から月日は過ぎ、佳奈さんとは話すことがなくなり、卒業を迎えた。僕は気づいたら人と会話をするのが苦手になっていた。今まで気軽に話せるのは1人。佳奈さんとはたまたま席が隣になって話すようになって仲良くなったから友達の作り方も知らなかった。


「傘忘れないようにしないと。もうこんな時間、忘れ物ないね、よしいってきます。」


そんな僕も気づけば大学2年生、時間が進むのは本当に早い。


「あのさ、私好きな人ができたの!同じゼミの人で、めっちゃイケメンなんだよね〜〜告ろうかな?どう思う??」


「よかったじゃん!頑張っておいで!」


最近校舎内では恋話が盛んに繰り広げられている。時期的にバレンタインが近いからだろうか、それとも4年生の先輩か。


「湊お疲れ様。今日の授業はこれで終わり?」


「はい。今日の授業も分かりやすかったです。ありがとうございます。」


「それはよかったよ。雨降ってるから気おつけて帰るんだぞ。」


「ありがとうございます。」


大学での一日の流れはとてもシンプルだ。授業を受け、先生と少し話して帰る。これでおしまい。


(すごい雨。早く帰って寝よう。)


僕は黒色の傘をさして駅に向かってゆっくり歩き始めた。雨の日は晴れの日と違い見える景色が全然違う。薄暗く、本来なら明るい時間なのに街の街頭、車のライトは点灯している。


「ねぇ、雨って今日聞いてない!ねぇ早く走ってよ!」


「もう疲れたよ。もう濡れてるんだから良くない?」


「良くない!メイク崩れる!」


2人揃って大雨の中全力ダッシュで駅に走っている人達もいた。その時僕は気がついた。自分の気持ちに。


(あの2人は楽しそうに走っているけどびちょびちょじゃないか。でも僕にはこの傘が守ってくれている。誰の傘より一番綺麗な傘が。いつもありがとう。)


そう。気づけば傘に恋をしていた。昔から使っていた傘で、いつでもそばにいてくれた。よくコンビニや地域の施設に傘が忘れ物としてあり、廃棄されてしまう事がある。彼らは最後まで持ち主に使われるべきだと僕は思う。これからもこの子を大切にしよう。


(雨の日が大好きだ。晴れの日とは全く違う景色を見れる。そして僕の気持ちとも少し似ている。僕の心は常に曇っている。しかし雨の日には虹が見れる事もある。いつの日か綺麗な虹が僕の心にできる日を祈って。毎日を生きる。)










初めての短編作品はいかがだったでしょうか。傘に限らず、置き去りにされた自転車など。誰にも使われなくなってしまいそのまま処分されてしまう物。かわいそうですよね。物は大切にしましょう♪


是非よろしければ、いいね、コメントのほどよろしくお願いします。

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