刹那の間
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
改めて、彼岸花の寿命の短さを感じました。
寄ってきた胡蝶が命を吸っている様にも思えます。
灼熱の季節が也を潜め始める長月で御座います。突然の気温の下降に微睡みながら、本日も旅を続けようと存じます。本日の行先は決まっております。この季節でしか楽しめない赤い大地。彼岸の海。それをただ歩みを続けながら鑑賞です。
そうして訪れた馴染みの場所。お写真で見た様な赤ではなく、まだ沢山の緑に覆われております。点在している彼岸花だけが、ただ夏の終わりを告げるばかり。こうして群生して居ない分、一つ一つの花々に目が向くと言うもの。近寄って、顔を近付けて観察致します。
茎は太く濃い緑。華々しく巻かれた赤。そうしてそれを際立たせる様な花芯が、火花の様に散るのです。こうして見ると、線香花火が花に転身したと言っても過言ではないでしょう。それ程までに、赤く、美しい花。
そうして暫く眺めていると、一頭の揚羽が惹き付けられる様に辺りを彷徨うのです。上質な止まり木を探す様に、入念に観察を続けた後、決めたように花弁に細い足を絡ませます。
ただただ絵になる光景で御座います。彼岸花と揚羽蝶。幻想的な画像でしか拝見した事が無い故に、現世でも合間見えたことを大変嬉しく存じます。
そうしてただ見惚れた後、ふと、お隣を拝見させて戴くと、花弁を垂れ下げて萎れてしまった彼岸花が御座います。はらりと落ちゆく花弁が、諸行無常の響きを齎します。
彼岸花の開花日数は僅か数日。三日保てれば長い方と世間では噂されております。儚いからこそ美しいと、思うのです。けれどもこの時がずっと続いて欲しいと思うのは、私の我儘で御座いましょう……。
さて、そろそろ参りましょう。せっかく天上の花を拝見させて戴いたのです。仏閣を訪れなくては。そうして蝶の如くふらり、ふらりと辺りを彷徨うと、お寺の付近でのぼり旗と出会いました。書かれた文字は『四百年記念』の文字。辺りを見回して見ると、等間隔で置かれております。
千年もの間、現像する神社仏閣が存在するこの世、四百年という期間はまだ短いと感じさせます。それは本日合間見えた曼珠沙華の様に。
「……」
まだ、まだこれからなのです。此処の歴史はまだお若い。これからまた新たな百年、二百年の時は、まだこれから……。
えぇ……ですからどうか……本日拝見した彼岸花の様に、胡蝶に連れられてこの世界から去らないで下さいますように。この現像した世界が一秒でも長く続きますように。
このタイトルは
彼岸花の開花日数の儚さと、仏閣誕生の年数を掛けて。
他の花々に比べて散るのが余りにも早く、千年現存する仏閣ざある中では余りにも若い。
何方も刹那の間です。
若いからこそ盛んになる。
と言っても、この彼岸花の様に直ぐに枯れることも有ります。
前にもお話した通り、蝶は極楽浄土に運ぶ虫だと仏教で言われているので、寿命を吸ってる様にも感じます。
だから渡の願い事は、好きな場所が少しでも長く現存する事。
自分が死んでも、残り続けて欲しいという思いです。
基本、渡は変化が嫌いなんですよ。
思い出の場所が無くなったら、心が折れてしまう程に。
持ち前の前向きさ、素直さで受け入れることもありますが、好きな場所は変わらないで欲しいタイプの人間です。
でも変化がないと飽きちゃうよ( '-' )
オマケ
佇み続けた正方形の椅子は撤去され、鳩の旋回も既になく。
あるのはただ、落ちゆく枯葉のみ。
「変わってしまいましたね」
「君は既に、此処を去ってしまっただろうに。何を気にする必要があると?」
という宙様の話が書きたいと思いながらも、尺が無くて断念してます(´-` )