時期尚早
「若君!(*`ᗜ´)੭ ੈ田穂です♪采配殿をお連れしましたぞ!」
「(*゜O゜ *)おぉ♪田穂!本当に田穂だ♡無事で良かった!心配したぞ♪」
「(ღ٥`ᗜ´)੭ ੈ若君…すんません!ご心配をお掛けして!でもこの通り♪ご安心下さい…」
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈなぁに君が無事ならばそれで良い!よく戻った♪それに采配殿!こんなに早く再びお会い出来るとは?よくぞ来られた!ささっ、どうぞこちらに♡」
北斗ちゃんは帰宅後すぐに潘濬と劉巴と共に今後の予定について話し合いを持っていたが、田穂の帰還と采配・秦縁の来訪に接して予定を変更した。
潘濬と劉巴には取り敢えず隣室で続きを練る様に申しつけておき、田穂と秦縁を迎え入れる。
田穂は自分の無事をまるで自分の事の様に喜んでくれる若君の真心に接して、感無量となっていた。しばらく振りの再会の喜びと相まって自然と涙 脆くなっていたのである。
「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾何だ!田穂♪お前らしくも無い!元気を出せ♪」
「(ღ`⌓´٥)へぇすんません♪若の元気な顔を観るにつけ安心したのかも知れません…」
「(•• ๑)そうだな…君には苦労を掛けた。まさか単身、江東に乗り込むとは想いもしなかったからね♪でも勇気と無茶は違う。今後は単独での潜入は認めぬぞ!必ず繋ぎをとって身の安全を計るのだ!いいね?」
「(ღ`⌓´٥)へぇすんません…肝に銘じます!」
「( ๑•▽•)۶”宜しい!では改めて紹介してくれぬか?」
「(*`ᗜ´)੭ ੈはい♪こちらがあっしが江東でお世話になった秦縁殿です!秦縁殿は御存知の通り、青柳商団の采配殿でして、このあっしの命の恩人でも在ります…」
田穂は江東での経緯を若君にとうとうと説明した。
北斗ちゃんは笑ったり驚いたり感情の抑揚を想う存分に駆使して聞き入っている。
『(ღ❛ ᗜ ❛´)へぇ~聞き上手とはこの事だな!田穂殿の言葉尻を巧みに捉え、話の腰を折らぬように、上手く相の手を入れている…』
『…これなら話している側もさぞかし気持ち良く喋る事が出来るってもんだ。この男、人の話しにちゃんと耳を傾けるって話しだったが、ただの聞き上手では無いな…』
秦縁はそう想いながら、田穂の報告に耳を傾ける劉禅君の姿勢を眺めていた。それこそ昔から百面相などと言うが、人の表情の変化というものは、喜びひとつを取ってみても千差万別である。
表情の変化が豊かであるという事は、人としてひとつの長所に成り得る。表情の豊かさはそのまま感情表現の豊かさにも通じるからである。
但し、果たしてその長所をこの男が意識的に使っているかと問われるならば、それは恐らくNOである。見たところ彼はまだ十代半ばと言ったところだ。
自分とはひと回りは違うだろうから、早熟とは言えこれまでの経験足が為せる技なのだろう。つまりはこうだ。
田穂の話しだと、『人の話しをちゃんと聞く』と宣言したのは太子本人だと言う事である。恐らく自分の経験不足を補うために、あらゆる可能性を模索した結果なのだろう。
そして彼は人の話しを聞く事で自分の肥やしとすると同時に、その人の思惑や姿勢、行動原理などがいつしか見えて来たのだ。恐らくそれは今や相手の性格や善悪の是非にまで及ぶのかも知れない。
なぜならば、彼が『人とは直接会ってみなければ判らないものだ!』と公言しているからである。若さゆえにまだその精度たるや浅いだろうが、彼はまさに人の上に立つために生まれて来たような男なのだと秦縁は感じていたのである。
田穂はひと通りの報告が終わると、改めて秦縁を引き合わせた。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ田穂が随分とお世話になった様です。貴方には感謝せねば成りません。どうも有り難う御座います♪」
北斗ちゃんはペコリと頭を下げる。
「⁽⁽(ღ❛ ᗜ ❛´)⁾⁾ 否、それほどの事はしておりません。俺は懸命に生きている奴が好きなだけなんでね?田穂殿が俺の目にそう写ったとしたら、それは本人の日頃の努力の賜物でしょう、彼は長らえるべくして命を拾ったと言うべきでしょうな!」
秦縁もなかなか穿った言葉を返す。
田穂は自分の事とは言え、まるで異次元のやり取りを聞いているようで、妙にこそばゆくなってしまった。それでもこの入り方は互いにとって良かったようだ。
今まで全くと言って良い程、絡みのなかった二人がこうしてすぐに馴染む事が出来たのは、共通の友・田穂が居たからであろう。二人は笑い合い、互いに見つめ合う。
「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 貴方の仰有る通りだ!人は決してひとりでは生きて行く事は出来ない。田穂が貴方にそう想って貰えたのならば、彼にそれだけの魅力があったのだろう♪でもそれは何も一方通行な事では無いでしょう?…」
「…田穂も貴方に何かしらの魅力を感じた筈です。彼の報告には、貴方に対する感謝の言葉のみならず、貴方に対する好意は無論の事、信頼すらも感じられました。貴方もそれだけの人物なのだと僕は想いますね!」
北斗ちゃんは真摯な眼差しを彼に向ける。
「アッハッハ!⁽⁽(ღ❛ ᗜ ❛´)これは参ったな♪若君もなかなか仰有るのですな!一本取られました。でも俺が只の良い人かどうかは、これからよ~く吟味されると宜しい!…」
「…なぜかは何れ判る事だから、忌憚無く申し上げるが、俺は誰にでも優しい男では無いのです。人によっては天使にもなるし、人によっては悪魔にもなり得る事でしょう…」
「…これは別に自分の好き嫌いで言っている訳では無いのです♪貴方の人を見る目とやらで、是非この辺りを推し量って見られると宜しいな♪」
秦縁はそう言うとさぞ面白いと言わんばかりに大声で笑った。ところがそれに対する北斗ちゃんの態度は妙にもじもじしている。
田穂も想わず溜め息を漏らす。今度は秦縁が不思議そうな顔をしている。
そして"いったいどうなっている?"といった表情で田穂を見た。田穂は首を左右に振ってそれに答えた。
不思議そうな顔で見つめる秦縁に対して、チラッと視線を向けた北斗ちゃんはこう告げたのである。
「う~ん…(๐•̆ ·̭ •̆๐)誰に聞いたのかは知りませんが、僕は自分に人を見る目があるとは想いません。ましてや初対面の貴方を推し量るなどと、とてもおこがましい事です!…」
「…僕は確かに直に人に会って見なければ、その人と形は判らないものだ、とは常々語っていますが、それはあくまでも、噂に左右されない真実の目を養うためなのです!…」
「…貴方のいうような万能な瞳を将来持てたならば、どんなにか良い事でしょう。けれども、僕はまだ十代半ばの少年ですよ?そんなものはありません。期待させ過ぎたなら、申し訳無い事ですが、これが僕の現状であり、真実です…」
「…余りちやほやされても、却ってわずらわしいくらいで、自分ではまだまだ足りない事ばかりですよ!どちらかと言うと"悩める青年もどき"といった具合いでしょうね♪」
北斗ちゃんはつまらないとは想いつつも、正直にそう口にした。秦縁は自分の見立てが過分に過ぎた事をようやく認識する事になった。
多少、彼の中で期待が過ぎたのであろう。けれども、それを何の賭け引きも無く、ストレートに告白出来る真っ正直さには感銘を受けたのである。
「(*•̀ᴗ•́*)僕は今、貴方が誠実な人であり、信頼に足る人であると感じています。これが現時点に置ける僕の認識です!それで良いのではありませんか?僕は少なくともそう想っています♪」
北斗ちゃんはそう付け加えた。
『成る程…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)皆が着いて行きたくなるのも無理は無い。こやつは確かにまだ青いが、確固足る信念を持っている。そして行動力もあるのだろう。しかし必要以上に自分を大きく見せようとはしない…』
『…足りないところは、はっきりと自分で自覚している。そんな嘘の無い所にまず惹き付けられるのだろう。そして足りない所を"補ってやろう"という気持ちにさせられるという訳だ…』
『…なかなか面白い奴が出て来たものだな…まだ俺の"見込み"には程遠いから、時期尚早だが、近い将来大化けするかも知れん。これは有望株として、これからも目を離す訳にはいかぬかもな…』
秦縁はそう感じていた。
『やれやれ…(ღ❛ ⌓ ❛´٥)それにしても誠実と来たか。見る目、如何に拘わらず、今の正直な気持ちとはね!言うべき事はしっかりと言うのだな…』
『…それにそれでいいのではありませんか?…と来たか。全く恐れ入る。自信が無い割には、はっきり物を言う御仁だな♪』
秦縁は感心してもいた。
こうして互いの事が少しずつではあるが、相方の頭の中に想い描けるようになって来た頃、秦縁はひとつの問い掛けを試みる。
「✧(ღ❛ ᗜ ❛´)貴方は今回の災害に取り組む中で魏の民も救ったらしいな?それは何ゆえかな?」
「(٥ ꒪⌓꒪)…すみません、話しの意図が今一つ判らないのですが?僕は目の前に助けられる命があるから助けただけなのです。そこに敵とか味方とか境界線とか、そんな些細な事が必要でしょうか?…」
「…そんなものが、人の生き死にに繋がって良いとは僕にはとても想えないのです。人の命の重さには何ら変わりは無い筈です。理由はそれだけです!๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐ただそれだけです♪」
「成る程…ꉂꉂ(ღ❛ ᗜ ❛´)それは大した善行ですな!ですが皆がそう想うかはまた別の話しです。貴方はちと優し過ぎるのと違いますか?それとも自分の決断のせいで大勢の人々が死ぬ事が嫌なのかな?」
秦縁にしては意地悪な物言いである。勿論、これはわざとであった。彼はこの素直な若者を少し怒らせてみたくなったのだった。
すると若君はさして怒るでも無く、ましてや感情的になるでも無く、こう答えた。
「えぇ……(๐•̆ ·̭ •̆๐)嫌ですね。でもそうしなくては為らない決断もこの先あり得るのでしょうね。将来的にしなければ為らない局面が訪れないとは限りますまい。まだ僕には想像しようも無いのですが、そんな時に人任せにしたりする事の無い様にはするつもりです…」
「…苦しい決断であればある程、上に立つ者が身を切らねば成らない事でしょう。まだ心の中でそう想っているだけですから、咄嗟の判断の中でそれが僕に出来るのかは自信はありません…」
「…でも今後の中でそういった覚悟も身に付けて行かねば成るまいとは想っています。ですが、今これだけは言えます!…」
「…目の前に助けられる命があるのならば、僕は躊躇する事無くまた手を差し伸べる事でしょう。これは僕が僕として生きて行く上で今後も変わる事はありません。僕に今言える事はそれだけです!」
北斗ちゃんはそう言い切った。秦縁は少々意地悪に過ぎた事を反省していた。
彼にしてみれば、どんな気持ちで敵国の民と向き合ったのだろうと想い、その心の内を聞いてみたかっただけなのであるが、若君の想いは自分の信念とは、相反するところにまで及んでいたのだ。
彼が命の重さに変わりは無いと言った姿勢は、秦縁の求める資質でもある。けれどもそれと同時にどれだけの覚悟の上で口に出した言葉なのかを確かめてみたくなり、ついつい口をついた言葉であった。
ところが、若君の想いはその上を行っていたと言える。確かに綺麗事では済まない世の中である。そんな無体な覚悟を迫られる時も在ろう。
それが現在にも渡って繰り広げられている戦国の世という訳なのだから。秦縁からすれば、そんな事をこの歳で考えている事自体が、少々尋常では無かったのである。
『(ღ❛ ⌓ ❛´٥)この若さなりにも、色々と考えているのだな…』
そう想わざるを得ない覚悟を彼はそこに感じたと言えよう。
「(❛ ᗜ ❛´٥)若君の覚悟は良く判りました。思いの外、深みのある言葉を頂戴した気がします!少々意地悪に過ぎた問い掛けでしたが、他意は在りませぬ。許されよ♪」
「(。˃ ᵕ ˂。)えぇ…勿論ですとも♪貴方が僕を試した事は判っていました。けれども僕はだからといって、自分を曲げる事は出来ません。僕は若いと侮られたとしても信念を曲げる気は無いのです…」
「…僕にはたくさんの仲間や配下が居ます。彼らは僕の言動を観て着いて来た連中です!そんな彼らを欺いたり、失望させる訳には参りません♪」
「あぁ…(ღ❛ ⌓ ❛´*)、俺もあんたが信念とやらを持っていなければ、そもそも絡んだりはしないさ!そしてそれが無くば、お前さんにこれだけの仲間たちが着いても来ぬだろうよ…」
「…その若さで人を欺かず、自分を粗末にせず、騙す事も無く、ただ真っ直ぐに行動出来るとは感心な事だ。将来が愉しみだな♪否、あんたには将来よりも今この瞬間の方が大事なのかも知れんな♪将来はそのひとつひとつの積み重ねの先に在るのだろうからな…」
秦縁はそう呟くと筋を通したこの若者を嬉しそうに眺めた。北斗ちゃんは奇妙な褒められ方をしてこそばゆく感じていた。
「時に…(❛ ᗜ ❛´*)あんた南海まで運河を通すそうだが、今は戦時だ♪本気でやる気があるのかい?」
「(๐•̆ ·̭ •̆๐)行けませんか?」
「(ღ❛ ⌓ ❛´*)否…行けない事は無いさ♪だがやると成ると他国の妨害も想定されるだろうし、何より莫大な資金がいるだろう?それでもやるかね??」
「(。˃ ᵕ ˂。)えぇ…やりますとも♪これさえ叶えば我が国の資金も潤いますし、何より河川整備はこの地域に労働力も生む事になる。そうなれば皆が潤い、経済の活性化にも繋がる。職を産み公共の福祉にも寄与出来ます。為らばやらない訳には参りますまい♪」
「ꉂꉂ(°ᗜ°٥)何ぃ…お前さんひょっとして河川整備を労働賃金で賄うつもりかい!民の徴発をするんじゃ無いのか?」
「(๐•̆ ·̭ •̆๐)えぇ…そうですけど?民は奴隷では在りませんからね?働いたらそれに見合う賃金は支払うつもりです♪いけませんか?」
「=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)いや…いけなくは無いが!いやぁこりゃあ参ったな(ღ❛ ⌓ ❛´٥)♪」
秦縁はそんな途方も無い事を考えていたこの若き太子に、自分がだんだんと魅了されつつある事に気づき始めていた。そしてその行く末をのんびりと眺めてみたいと想う気持ちに成っていたのである。