裏の裏
さて、帰宅の途上で馬上の人となった二人は、馬を揃える様に並んで手綱を握っている。田穂はその帰り道さえ、秦縁の動作に神経を注いでいた。
秦縁もそれを感じるからか、想わず苦笑いする他無い。彼はほくそ笑みながら、声を掛けた。
「ꉂꉂ(❛ ᗜ ❛ ๑)田穂殿!今日は愉しかったかね?」
「えぇ…(ღ`ᗜ´*)お陰様で♪貴方が私の頑張りに答えようと、褒美を用意して下さっていたとは驚きでした。だから趙蓮殿もご遠慮なさったのですね…」
「…それにしても、いったいどうしてこの宴が別れの宴だと判ったんです??あっしはそこが腑に落ちないんですが?」
秦縁はそれを聞いた直後に溜め息を漏らす。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ愉しかったのならば、何よりだったな?で!お前さんは俺が言った事をちゃんと理解出来ていたのかね?」
秦縁は単刀直入にそう尋ねた。
「ああ…(ღ`⌓´٥)その事ですか?えぇ…私も無い知恵を絞って色々と考えましたよ!貴方が私を連れ廻したのは、私が貴方に興味を抱いて接近した事を看破していたからでしょう?だからわざわざ自らの目と耳で探る様に仕向けた…」
「…私はこれが貴方のそういう類いの問い掛けだと気がついたのです。そしてその次いでとして、江東の情報も一緒に掴んでおけという事だと推察しました!如何です?これで正解でしょう♪」
田穂は彼にしては珍しく自信を持ってそう答えた。ところが秦縁は突然笑い出してしまった。そうなると田穂も面白くない。剥きに為って食って掛かる。
「(#`罒´٥)੭ ੈいったいどういう事なんです?あっしは確かに知恵は廻りません。それは自分でも自覚しとります。何せあっしらの頭脳は管邈様だったのですからね…」
「…あっしは所詮、端っこさとこの剣にしか自信は有りません。でも来る道中、あっしなりに必死に考えた結論なのです!それを笑うとは、あっしは貴方を見損ないましたよ!」
田穂はムスッとしながらそう捲し立てた。それを認めた秦縁は、笑いを無理矢理抑えると、直ぐに頭を下げて謝った。
「あぁ…(❛ ᗜ ❛´๑)それは申し訳無い事をした。だが俺の評価は、もそっと高かったのでな♪許されよ!それに全てが間違った解釈でも無いのだ…」
「…表面上はそれで正しい。だがお前さんがいみじくも尋ねた点が判らなければ、及第点はやれ無いな!50点と言ったところだろう♪」
秦縁は謝った割には、その後もズケズケとした物言いをする。田穂は明らかに混乱していた。元々考えるのは苦手なのだ。それをこれ程、容赦無く揺さ振られては降参するしかなかった。
「判りましたよ…(ღ`⌓´٥)꙳では教えて下さい。私はある方に出会ってから、自分の中に素直な一面を発見出来たのです。自分で必死に考えた末に判らない事は、放って措かずに真摯に承りますよ♪ご教授願えますか?」
田穂は真剣な表情をして秦縁を見つめた。
『ほぉ~(ღ❛ ᗜ ❛´๑)…』
この姿勢には彼も想わず驚き、そして感ずるところが在ったのだろう。彼は改めて馬を止めると、田穂を見つめて語り出した。
「ふむ、そうだな…(ღ❛ Д ❛´๑)では簡単に話すとしょうか?物事には必ず表と裏がある。間諜を生業としているお前さんになら判るだろう?」
「えぇ…(ღ`⌓´٥)まぁ!」
「(ღ❛ ᗜ ❛´๑)お前さんが接近して来た時に、俺はすぐにあんたを間謀だと見抜いた。となるとその目的は探りに他ならないだろう…」
「…どうやらこの江東の惨状を見るに見兼ねて助け船を出した、この風変わりな男に興味を持ったのだという事は、最早明らかだ…」
「…そこで俺はお前と話して、その人と形を見極める事にした訳だ!ここまでは良いかね?」
「そうですな…(ღ`⌓´٥)疑問は口にしても宜しいので?」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)構わんよ!」
「では…(ღ`⌓´٥)まず最初にあっしが間謀だとバレたのは何故なんです?そしてそれが判っていながら雇い入れたのは何故なんですか?そして然程の時も措かずにあっしを信用為さったのは何故なんです?」
「(ღ❛ ᗜ ❛´๑)まず最初の問いだが、お前さんは擦り足に慣れ過ぎていて、癖になっているようだ。まずそれがひとつ。そしてお前さんは気がついていなかった様だが、明らかにお前は着けられていた。それがふたつ!」
「( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ 待っておくんなさい!旦那はこのあっしが着けられていたと?そんなまさか…」
「⁽⁽ღ(❛ ᗜ ❛´๑)否、そのまさかだな!これは間違いない事実だ。そして誰が着けていたのかさえ俺には判っていたのだよ!!」
「Σ(ღ`⌓´٥)…いったいそれは誰です?」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)それは陸遜殿だな♪お前さんは端っこさには自信がある様だが、一度でも奴に遭遇してしまえば、逃げるのはかなり厳しいだろう。あいつは一度見た顔はけして忘れないし、腕その物も立つからね!」
これには田穂も絶句する他無かった。潜服にかけては絶対の自信があった彼が、事も在ろうに得意分野で敵将の後塵を拝したのだから、これは最早廃業をする他無い程の衝撃であった。
『おやおや…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)これは御灸が強過ぎたかな?だが真実を受け入れないとこの先、自分の身も守れまい!ここはひとつ非情に撤する他無かろう…』
ところが田穂は落ち込んでは居るものの、これで全てを察した様に口を開いた。
「そうか…(ღ`⌓´๑)✧ それで判りました。貴方があっしを今日どうしても連れて来なければ為らなかったのは、孫権殿と呂蒙殿から言質を取る為だったのですね?どうも取って付けた様に私を褒めて、復興に尽力した褒美だなんて…」
「…小っ恥ずかしい事を殊更に吹聴するもんですから、可笑しいとは想っていました。そう言えば今想い出しましたが、初めてお会いした時にも、復興に協力すれば守ってやると言ってくれましたよね?貴方はお給金や待遇の良さで仕切りにあっしを釣ろうとしていました…」
「…でも今ようやくその意味が判りました。貴方はあっしの危機を知って必死に助けてくれたのですな!そんな事とは露知らず、あっしは大馬鹿者です。もしあの時あっしが断っていたなら、おそらくあの後すぐにあっしは死んでいたかも知れませぬ…」
「…貴方からは耳を澄して良く聞いている様に言われていましたから、それを守ってずっと真険に聞いておりましたが、恒久平和の為に尽力されている姿勢、そして彼らが貴方を認めながらも、恐れている事さえ感じ取っておりました…」
「…あっしにはその意味は判りませぬが、貴方は自分の傘の下に入ればきっとあっしは助かると自信があったのですな?有り難う♪貴方は命の恩人だ!きっといつの日にかこの御恩に報いましょうぞ!」
田穂は後から後から止めどなく溢れて来る涙をその手の甲で拭いながら秦縁に感謝の意を示した。
秦縁はそれを眺めながらしばらく黙っていたが、おもむろに口を開くとこう述べた。
「否…(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈお前さんが命を助けるに値する男である事は薄々感じていた。だからもしあの時、例えお前さんが断っていたとしても、この俺の全精力を使ってでも救ってやっただろうな…」
「…だがお前さんは復興に尽力すると約束し、それをちゃんと果たしたのだ。これでお前が今日俺に着いてくれば、名実共に安泰と言えたのだ。お前を今日、同行させた最大の理由はそこにある…」
「…それに褒美というのはフェイクでは無いぞ!俺にはそろそろ撤退する時期である事が判っていた。復興計画が一応軌道に乗っていたからね♪誰だって、最初のうちは支援を買って出て貰えば嬉しい…」
「…だが我らは所詮、他所者だ。何れ支援は有り難いものの、我々の存在その者が煙たがられる時が来るで在ろう事は判っていた。だからそろそろ、後はこちらでやりますと言い出すに違いないとね…」
「…(ღ´❛ ᗜ ❛๑)こういう恩に着せる支援策とは、適当に道を引いてやったら、大人しく早めに引き下がる事なのさ♪特にそのコツは、有り難いと感謝されている内が華だろうな♪判ったかね?…」
「…だからそろそろだろうと踏んでいたのだ。近々、送別の宴に招かれるであろう事は想定内だったのだよ♪その時にお前さんにもお相伴させてやれば喜ぶと想ったまでだ。そんな所かな?」
「( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ はあ、恐れ入りました。それにしても貴方、聖人君主かと想いきや、恩を売る為にやったのですか?今までの話しを聞いていると、とても信じられませんがね?」
「ああ…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)勿論、真実真心から出た行為だよ♡それは間違いない♪けれどね、俺は商人だ。ある程度の計算が働かないと、商売 騰がったりだからね!どうせ同じやるなら、相手が恩に着る様に仕向けたとしても、そのぐらいは良かろう?…」
「…相手も助かり、こちらも株が上がるってもんだ!商売の基本というのは、まず相手に儲けさせてやり、自分はより大きい儲けを叩き出すというのが最良の策なのだ…」
「…相手に損失を与えてしまえば、その時限りならば良いのだろうが、そんな事をすれば必ずそこには恨みが残るだろう?だから将来的な関係には発展しないものだ。そうなって来ると将来見込まれたで在ろう利益すら不意になってしまう…」
「…お互いにウィンウィンの関係を作り上げる事が、結果的には大きな財産となるのさ♪どうだい?面白いだろう!お前さんも興味があったらいつでも弟子にしてやるぜ♪…」
「…いつまでも間謀をやれる訳でも無かろう?将来の事を真険に考えているのならば、選択肢の一つに入れておけば面白い事になると思うぜ♪」
秦縁はそう言うと目配せしながら田穂を見つめた。その顔はいつもの涼しげな瞳では無く、気持ちがとても込もった熱い眼差しであった。
田穂は正直感動していた。
わざと恩を売るなどという行為は如何にもずるく軽蔑すらしていたが、彼の様に心底善意で行った上で、それを将来に活かす手立てとする事であれば、確かに誰も傷付かないのではなかろうかと想った次第である。
田穂はいみじくも少し前から将来の道筋を真険に考え始めていた。そしてあの周倉将軍からも言われた言葉を想い出していた。
『ꉂꉂ(ღ^ิ౪^ิ*)山賊上がりだから何だ!わしは興味を持ったからいちから鍛冶の仕事を始めたのだ。要は自的を持ち、自分が絶対に成ると信じて取り組む事こそが大切なのだ♡自信を持て♪そしてやり抜け!』
この時、田穂は商人という道にまだ何となくではあるが興味を持ち始めていた。そして自分の将来の選択技に加える事を決めたのである。
「ところでな…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)これは蛇足になるが、お前さんの後学の為に教えておいてやろう♪」
秦縁は突然そんな事を話し始めた。
「はぁ…(ღ`⌓´٥)いったい何でしょうか?」
「実はな…ꉂꉂ(ღ❛ ᗜ ❛´๑)俺も甚だ驚いたのだが、今回の宴にはもう一つ仕掛けが施されていたのだ♪」
「へぇ~( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ そらまたどんな事なんです?」
「あぁ…✧(ღ❛ ᗜ ❛´๑)お前さんも覚えているだろう?食事が終わり、酒宴になった折りに琴の音が聞こえて来たろう?」
「あぁ…(ღ`⌓´٥)⁾⁾ そう言えば確かに♪貴方は深みのある音色が好きだと申されましたな…あれれ?待てよ?そう言われてみると貴方、"風流で優しい響きです"と言った後に、いったん"それに…"と言葉を継いだのに、何か誤魔化す様に、"素晴らしい"と言い変えましたよね?」
「ꉂꉂ(❛ 罒 ❛´๑)へぇ~お前さんも案外、隅に置けないな♪確かに間諜向きだし、人の話しを良く聞くって事は、商売の才能にも繋がるかも知れないな?そうなんだよ♡…」
「…実際俺はあの後、"寂し気な音色ですね?"等と宣うつもりだったのだ!けどな…さすがの俺もそんなあからさまな事は言えなかった。その場の空気を壊すし、せっかく琴を弾いてくれた女性にも失礼にあたるだろうからね…」
「( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ あの琴は女性の方が弾いていたのですな?あっしにはそこまでは判りません。何分、風流とは縁の無い世界で生きて来ましたからね♪」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)そうだったな?俺は琴の音を聞いた瞬間にそれは判った。そしていったい誰が奏でているのかさえもね♪」
「Σ(ღ`⌓´٥)それは凄い!いったい誰だったんです?」
「これは恐らくだが…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)孫尚香だろうな?」
「(ღ`⌓´٥)⁾⁾ 孫…とすると孫権殿のお身内ですか?」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)そう!お前さんも聞いた事があるだろうが、孫尚香とは武芸に秀でた孫権の妹さんでな、あの劉備玄徳殿の後妻に収っていた時期があった…」
「…残念ながら、劉備殿が呉に抜け駆けして、益州を奪取した事で、孫権殿といちじるしく関係が悪くなり、離別せざるを得なく為ったという、とても悲しい過去を背負わされた女性なのだ…」
「( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ へぇ~それは確かにお気の毒ですな…」
田穂はいみじくも北斗ちゃんの事を想い浮かべていた。確か若君はその時に、孫尚香に呉に連れ去られそうになり、趙雲将軍と張飛将軍に助けられたと聞いていたのだ。
『(ღ`⌓´๑)✧ また…この男と若君が繋がった。こんな偶然が在るのだろうか?』
田穂は不思議そうな眼差しを秦縁に向けた。
「(ღ`⌓´٥)けど、なぜ孫尚香様だと想われるのですか?」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)それはな!少し前から孫権殿はこの俺を呉の味方に付けたいと、引き込む気があったんだよ♪それで丁度、年頃の彼女を選んだのだろう…」
「( ٥`⌓´)ღ⁾⁾ つまりは政略結婚て訳ですか?けど年齢的に合わないのでは?」
「あぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´*)彼女は劉備と結婚した時にはまだ十代だったらしいからな!年も三十は離れていたらしい。つまり彼女は今でも二十代と言ったところだろう…」
「…俺だってこう見えてまだ二十代なんだぜ?年齢的には釣り合うって事なんだろうが、生憎と俺にはまだまだやる事が山ほどあるからね♪結婚などしてのんびりと収っている訳にはいかぬからな…」
「…それに呉に組みするつもりも無いのだ。俺は自分の眼鏡に適う人物を必ず見つけるつもりだ!お前も先程聞いていただろうが、自国の民しか愛せぬ男では駄目なのだ。天下万民の民を愛せる男…」
「…俺はそんな奴を求めて、これからも中華行脚の旅を続けるさ♪そう言った訳で、俺は孫権殿に敢えて恒久平和の理念を持ち出して、彼の考え方を今一度問い正して煙に巻いたのだ…」
「…お前さんはそんな事とは露知らず、真険に聞き入っていたという訳だ。あいつの信条はもう既に判っている…」
「…こればっかりは、例え時間を掛けて真剣に考えた所で、なかなかそう簡単に動くものでは無いからな!信条とは君主にとっては生きる証の様なものだ。そう簡単に鞍替え出来るものでは無いさ!」
秦縁は一気に最期までそう捲し立てると、一旦そこで言葉を切った。だから必然的にしばらくは再び馬を並べて歩みを進める事に為った。
すると今度は田穂の方から秦縁に問い正す。
「( *`⌓´)ღ⁾⁾ 秦縁殿は、荊州に向かわれた後に益州に足を伸ばされるのでしょう?」
「あぁ…(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈそのつもりだが、それがどうした?」
「( ๑`⌓´๑)✧ 何でしたら、このあっしがお繋ぎしましょうか?」
「それは助かるな…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)でもそんなに簡単に自分の身許を明かしてしまっても良いのかな?」
「えぇ…(๑`⌓´ ๑ )貴方ならね!命の恩人だし、私は自分の目と耳でちゃんと判断したから、心配はしなくていいですぜ♪」
「そうか…(ღ❛ ᗜ ❛´๑)じゃあお前さんの主人である蜀の太子・劉禅君に見参させて貰うとしようか?」
「へっ?(ღ`⌓´٥)知っていなさったので??どうして?」
「ꉂꉂ(❛ ᗜ ❛ ๑)ハハハッ♪どうだい?驚いただろう♪」
「ꉂꉂ(`⌓´٥ )そらぁ驚きましたとも♪」
「だろうな…(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈまぁ種を明かすとだ!俺にも信の於ける草の者が居るって事さ♪お前さんを信用していたのも、既に身許の保証が出来ていたからなのさ!どうだい?驚いたなんてもんじゃ無いだろう?」
「はぁ…(`⌓´٥ )それってやっぱり商人としての計算て奴ですかね?」
「まぁ…(ღ❛ ᗜ ❛´٥)そう言ってしまっては身も蓋もないな。しかしだ!これがお前さんを陸遜の魔の手から救う手立てだったとしたらどうだい?受け入れるかね♪」
「まさか…( *`⌓´)ღ⁾⁾ そんなご都合の良い事はさすがにやらんでしょう?」
「(´❛ ᗜ ❛ ๑)だな♡面白いから言ってみたまでだ♪今までの発言の中で正しい事柄は、優秀な草の者が居るって事だけだよ♪蜀の太子様とお前さんを繋げて考えたのはあくまで俺の勘さ!しかも後付けのな…」
「…なかなかそう簡単に物事が予定通り組み立てられるなら、人が運命に翻弄される事は無いだろうからな!お前さんもだいぶ俺の鎌に当てられなく為ってきたな?結構結構!」
秦縁はそう述べると軽く目配せした。ニヒルなその表情は、自らの心のうちを吐露した照れなのだろうか。けれども田穂は自分を救ってくれた彼の心に嘘が無かった事に安堵していた。
それと同時に、商人とは言葉尻を捉えて、次の瞬間には口八丁手八丁な物言いが出来る人種で在る事も理解したのだった。




