着かず離れず
その日…江陵城には久し振りに田穂が顔を出した。彼は到着するや否や直ぐに太子に面会を求めた。ところが太子は不在で、弎坐が黙々と執務を行っている。
「⁽⁽ღ(`ー ´ )やぁ~どうも弎坐殿、あんたいったいここで何をやっとるんです?」
「⁽⁽ღ(-ω-*)おやおや田穂殿、おひさ♪いや何ね…若君から本国の方々の健康診断の計画を練る様に頼まれてねぇ、ホトホト悩んでるとこ!」
「⁽⁽(`ー ´ )?本国の方々の…へぇ~そらぁ大変ですな!うん?待てよ…何で本国の方の健康診断の予定を立てる必要が在るんです?」
「⁽⁽ღ(-ω-*)それがさぁ~陛下の鶴の一声らしいんですよ♪何でも老齢化の波に抗う為何ですって?それで北斗ちゃんが陛下から命じられたんだけど、若君は今、河川整備や復興状況の視察なんかもあって忙しいんだよ♪だからあちきが指名されたんだ!」
「⁽⁽(`ー ´ )ホォ~そら大変ですな。では弎坐殿が代わりに成都へ行かれるので?」
「(*-ω-)੭⁾⁾ ん?ちゃうちゃう…本国から健康診断に来るのよ♪馬超将軍や丞相まで来るらしいから大変なんよ!さすがに華佗せんせも参加して下さるんだけど、予定はあちきが作らないと為らなくなったのさ♪」
「( `ー ´)⁾⁾ わざわざ来るので?そらぁ何でまた?面倒臭く無いですか?」
「(*-ω-)੭⁾⁾ 若君が華佗先生は国に仕える方では無いから、自由を保証しなきゃって断ったんだ!それにあちきは荊州に必要だから返せないって…そうしたら、向こうから来ますっつ~事に為ったそうなんだ!」
「( `ー ´)⁾⁾ 成る程…そらぁ御苦労ですな!頑張って下さい♪」
「(*-ω-)⁾⁾ あぁ…有り難う♪でも君も大変だったんだろう?あれから見掛けなかったけど、どうしてたんだい…」
「( `ー ´)⁾⁾ あぁ…知っての通り、災害の為に部隊を引き揚げちまいましたでしょう?私ひとりならどうとでも出来ますからね♪だから単独で呉国内で潜伏してたんですよ!先日、部隊が戻って来たので後は任せて報告に戻ってきたんですよ♪」
「(*-ω-)⁾⁾ そりゃあ御苦労様でした♡若君なら今日は趙雲将軍に逢いに行ってるから、例の森だよ♪夕方には戻って来られると仰有っておられた!」
「( `ー ´)⁾⁾ そうですか…なら待っていた方が良さそうだな♪では私はこれで!お忙しい所をお邪魔しました♪私は久し振りに管邈様にでも逢って来ますよ!」
「(*-ω-)⁾⁾ 管邈殿なら華佗先生の所にいますよ♪あの方も最近、先生の弟子に為りましてね…今回の計画の一員ですから♪」
「"(`ー ´ )管邈様が?そらぁ驚きましたな♪じゃあ、お邪魔したらいけませんな…私は少々仮眠でもとって体力を回復するかな?"大地"も休まさねば為りませんからな…」
「⁽⁽ღ(-ω-*)あぁ…そうするといいよ♪身体は休ませなきゃね!それはそうと、キュキュ君は君が連れて行ってたんだね?最近観ないと思ったけど♪」
「⁽⁽(`ー ´ )えぇ…傅士仁将軍の勧めも有りましてね♪でも連れて行って正解でした♡良く役立ってくれましたよ♪では私はそろそろこれで…」
「⁽⁽ღ(-ω-*)うん♪じゃあまたね♡」
弎坐は再び目線を計画書に落とした。そんな弎坐を横目に見ながら、田穂は踵を返すと退出した。
日々皆、成長を遂げている。そしてこちらの情勢の変化も早い。彼は目を見張る程の時の流れに驚いていた。
『✧(`ー ´ )後で管邈様にでも教えて頂こう…』
田穂はそう想いながら欠伸を噛み殺す。彼の身体も長期間の疲労からそろそろ休息を必要としていた。彼はしばらく振りに我が家に戻って安心したのか直ぐに眠りについた。
『(•• ๑)…子龍元気にしてるかな?』
北斗ちゃんにとっても久し振りの森の村である。趙雲は長期間の滞在に耐え得る生活の起点を森の中に構築している。そこで趙雲軍の主力は日々鍛錬を怠らぬ様に訓練に励んでいた。
『( ๑•▽•)そういゃあ、前は費禕や費観を連れて遠乗りで来たんだったな♪』
草原の風は変わらず気持ち良く彼を包む。けれども費禕や費観は既に武陵を治めており、傅士仁も彼の従者を経て、この度正式に荊州海軍の長官に就任した。
あれ程の才能を目の当たりにして使わない手は無いからである。彼は"桃の種"という結社を作りあげたが、それが荊州海軍の出発に繋がったのだった。
先祖を辿れば、北の遊牧民の血が流れている彼にとって観れば、自由裁量で軍を動かせるその立場がとても合っていたのだろう。
彼もその武陵内のどこかに本拠地を於いて、仲間と共に切磋琢磨している事だろう。
ゆえに北斗ちゃんの本日の従者は潘濬と劉巴である。彼らとはここ最近、四六時中その身を共にしている。河川整備の計画を推し進める為である。
やがて森の入口が近づいて来ると潘濬が尋ねた。
「(ꐦ•" ຼ•)若…本当にこんな森の中に趙雲将軍がいらっしゃるので?」
「(o'д'o;)確かにそうですな…これでは夜露も凌げませんからな♪」
劉巴も心配そうにそう口を挟んだ。
「⁽⁽(◕ 0 ◕*)それがさぁ♪凄いんだよ!前来た時にはちょっとした拠点が出来てたからね!森の中の木を使って小屋がバンバン建ってるんだ♪あの鞏志も真っ青な程の腕前さ♪あの人は野営を苦にしないんだ。拠点造りには元々天賦の才があるのかもね♪」
「(ꐦ•" ຼ•)ホォ~そら凄いですな♪関羽殿と言い、傅士仁殿と言い、将軍の方々は逞しいですな…」
「(o'д'o;)まさしく…放浪は身体に沁みますからな!それで今回の行幸と言う訳ですか?」
放浪を繰り返して来た劉巴の言葉にはやはり重みがある。現実の厳しさをそこに垣間見て居るのだろう。
「ꉂꉂ(°ᗜ°٥)ぎょ…行幸♡そんな御大層なもんじゃ無いさ♪子龍もそう若くは無い。爺ぃ~もそうだが、皆、健康には留意して貰わなきゃならん。だから診断を兼ねた表敬訪問さ♪」
「(ꐦ•" ຼ•)確かに…重臣の方々の健康診断をする事に為りましたからね♪灯台もと暗し…まずはいの一番に身内からという訳ですか?」
「(o'д'o*)成る程…確かに!それに今回、陛下の鶴の一声で正式に荊州駐留が承認されましたからな…それもあるのでしょう?」
「(´°ᗜ°)✧ うん♪そうだよ!当面、趙雲将軍には手薄に為った南郡城に入って頂くつもりなんだ♪あそこは今は鞏志が不在だからね♪僕もしばらく帰れないし…それに張嶷は元々子龍から切り離して南郡に置いた経緯もあるから、ちょうど良かろう?」
「(ꐦ•" ຼ•)" あ!成る程…それなら一石二鳥ですな♪」
「( ๑•▽•)⁾⁾ だろう?まぁ、子龍次第さ!」
『(o'д'o*)…忙しい中だというのに次から次へと止まらぬお人だな♪しかも部下想いの温かい気配り!この私の事もとても信頼してくれておる…』
『…潘濬殿もつい先日付いたばかりとは想えぬ程の信用があるからな!この人は本当にあの陛下(◍′◡‵◍)の御子なのだろうか?とても血が繋がっているとは想えぬ優しさがある…』
『…まだお若いというのに、この人に悩みというものは無いのだろうか?もし仮に、今後なにかあった時には助けて差し上げなければ…』
『…(*o'д'o)ん?あ!そうか!そういう事か♪鯔のつまりは皆、そういう想いに行き着くのだ!だから若い太子の許には皆が集い、一致団結する。そういう構図が自然と出来ていたのだろうな♡』
劉巴はそう想い至ったのである。これは実際に当たらずとも遠からずといったところだろう。
若い太子の閃きと叡知、その率先して止まない行動力が皆を引っ張り、若さゆえの危うさを皆が支える。その関係性がこの荊州の地で程好いバランスを構築していたのだった。
「'◇'*).。oO あ!若君♪お久し振りですぅ♡お元気そうですね♪」
不意に現れたのは誰在ろう趙広である。彼はしばらく観ない内に益々逞しく為った様に見えた。
「• •๑)”ㄘラッ おぅ♪趙広殿♡久しいな…君も元気そうだね♪今日は子龍に逢いに来たんだ♡おいでになるかい?」
「'◇'*).。oO えぇ…そろそろ若君がいらっしゃるだろうと待ってますよ♪何で判るのか未だに謎ですけどね…」
「• •๑)” 子龍は僕の守護天使だからね♪引き合うのかもな♡」
「'◇'*).。oO …かも知れませんな♪そちらの方々は…あっ♪貴方知ってますよ!劉巴殿でしょう?貴方も来られてたんですね♪」
「o'д'o)おやおや…私を御存知で?良く知っておられましたな?」
「'◇'*).。oO フフフ♡そらぁもう♪貴方は成都ではいつも恐い顔をされてましたからね♪皆近づきたがらないでしょう?私は鞘がある人には却って興味が沸くのですよ…」
「…でも今日の貴方は刺が無くて肩の力が抜けていて、何より笑顔だ♪それが本来の貴方なのでしょうね?若君に関わる者、皆いつの間にか物腰が柔らかくなりますからね♪本当に不思議な事です♪」
「;o'д'o)これは一本取られましたな!でも確かに貴方の言う通りかも知れません♪」
「• •๑)” やだなぁ♡皆、口が上手いんだから…何も出ないよ♪趙広殿!こちらは潘濬だ♪彼は荊州の法家だ♪僕の現在の相談役だから覚えておいてくれ…」
「…劉巴も荊州の出身だ。彼は外交が専門だ。春秋時代なら縦横家ってところだな?この二人は若いが凄腕だからね♪頼りに為る!」
「'◇'*).。oO そいつは凄い!潘濬殿♡劉巴殿も宜しくお願いします♪」
「(ꐦ•" ຼ•)⁾⁾ こちらこそ宜しく♪」
「( o'д'o)⁾⁾ どうも♪」
「(ꐦ•" ຼ•)" 若!余り先方を待たせるのは如何かと♪」
「• •๑)” そうだな…」
そう話していた矢先だった。突然奥から声が掛かる。
「* ̄^ ̄)こらっ!趙広、いつまで長話をしておるか!早く皆さんを案内なさい♪」
「'◇';)あっ!すみません父上!直ぐに♪」
「(´⸝⸝• •⸝⸝)⁾⁾ 子龍♡…御無沙汰♪元気そうで安心したよ!」
「(* ̄^ ̄)…若♪若もお元気そうで何より!益々逞しくなられましたな♪私も安心致しました♪ささっこちらへどうぞ!私が案内致しますぞ♪」
五人は連れ立って入口から中へ。森の中は程好く陽の光が射して、木洩れ日が心地好い。そして何よりも自然の恵みというべきか、木の薫りを肌で感じられる。森林浴とはこの事で在ろう。
しばらくはそんな小道を歩いて行くが、段々と歩みを進める内に、視界が拓けて来て、三人が観た景色は観たことも無い様な光景であった。
森の中に村がある。それはより完成形に近づいており、人の手が入った生活感が観て取れた。
「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ こいつは凄い♪子龍♡また進化したね!こりゃあ居心地良さそうだ♪」
北斗ちゃんは想わず声を上げる。
趙雲は満面の笑みでそれに応える。
「(* ̄^ ̄)えぇ…苦労しましたが、日進月歩です♪皆の力を合わせた結果ですな!我々はここを森ノ宮城と呼んでおります♪ここの回りには見えないところで濠を設けてあり、急勾配な縁もあるのでちょっとした難攻不落の砦を形成しております…」
「…なかなか捨てたもんじゃありませんよ♪それに観てお分かりの通り、拓けた場所には田畑も完備しており、山から流れる水源も豊富…籠城にも適した生活様式のある村に育ちました。雨露も凌げますし、居心地は抜群です♪」
「(´°ᗜ°)✧ そいつは凄い♪あの森にこれだけ手を入れてしまうなんて驚きだな!いつの間にかこんな所に新たな城が出来ていたなんて誰も想像すら出来まいよ!さすがは子龍と言うべきだな♪」
北斗ちゃんは趙雲を称えたが、その言葉とは裏腹に、途端に笑みが消えて顔を歪めた。そして呟く様に語り掛けた。
「๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐こんな苦労をさせてしまってすまない。僕の不徳の致すところだ!貴方には不便を掛けたな…」
北斗ちゃんの素直な気持ちだった。自分は確かに荊州の事を考えて真剣に取り組んで来たのかも知れない。懸命に考えながら走り抜いて来たのも間違いは無かったが、その影で皆に苦労を掛けている。
特に子龍に掛けた負担は計り知れないと忸怩たる想いに苛まれていたのであった。
ところが子龍は然したる不満すら浮かべずに、笑みを湛えて太子を労う。
「( ̄^ ̄*)何を馬鹿な事を♪貴方の行って来た事は尊い。どれだけの人々の人生に光を灯したと想っているのです?それに比べたらこんな事はほんの些細な事…」
「…我々は軍人ですからな♪そんな柔な者はここには居りません。貴方が憂い心配なされる事では無いのです♪それに生活を依り充実させたのは自分達の為なのですから、気にされる事ではありませぬ…」
「…貴方は当初の私の想像を良い意味で大きく裏切って下さった!私も貴方の成長に少しばかりの寄与が出来てとても光栄の至りです…」
「…あなたの頑張りが私の…否、我々全ての者の励みに成るのです!貴方はそんな小事に心を砕く事無く、これからも前だけを見つめて邁進されるが宜しかろう♪」
趙雲はそう熱く語りながらも、心の中ではとても嬉しかった。いみじくも自分の口をついた言葉の中にその真実が隠されていたのだから。
そんな小事に心を砕く事が出来るからこそ、皆が彼に着いて行くのだ。身近な人間を救えない者が、決して大事を成す事など出来よう筈が無い。
太子に伝えた言葉とは裏腹に趙雲は想っていた。若君がその心を忘れない限りは必ず大義を成すで在ろうと!
森の狭間から射す陽の光はそんな彼らの将来を優しく照らしてくれている様な温かさに充ち溢れていた。少なくとも子龍にはそう感じられたのである。