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大いなる指針

劉備を中心に据える話し合いに臨む諸葛亮・董允・糜竺は陛下の労いを受けて腰を下ろし今後の問題に挑む。劉備は驚きがまだ覚めやらぬのか再び深く息を吸い込み吐く。


残りの三人も緊張感は拭えないが、ひとまず真実を無事に伝えられて安堵していた。三人で話し合い、"暴露"を敢行すると決めた時にはこんなにも上手く事が運ぶとは想いも寄らなかったのだから、その気持ちも判るというものであった。


「(◍′◡‵◍)さて♪ではその話しというのを聞こうか?まぁ、ここまでの話が凄すぎたゆえな…もう大抵の事には驚かんよ!私に相談するとすれば、私の専権事項に抵触するからで在ろう!どうじゃ?そうで在ろう♪私もなかなか勘が良かろう?」


劉備はそう言うとほくそ笑む。何でも言いなさい♪彼はそう促して、話しやすい雰囲気を彼なりに作ろうと努めている様だった。


諸葛亮は董允や糜竺の横顔を順次振り返り、念を押す様に言葉を発した。


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)ここは私からお話し申し上げましょう♪否、それよりは、太子様自らと対話下さる方が宜しいでしょう?我が君、これを御覧下さいます様に!」


諸葛亮はそう述べると、懐から文を取り出して、陛下へ両手を添えて差し出す。丞相宛に太子・劉禅君が書き記した書面であった。


劉備はそれを受け取ると、ゆっくりと広げながら読み始めた。劉備にとっても我が子が書き記した文を読むのは初めてだから、確かに嬉しい。


『(◍′◡‵◍)我が子との対話か…孔明の奴、上手い事を言う。でも嬉しいものだな♪何かワクワクするわい♡』


その文はとても綺麗に整った文字で書かれている。劉備は我が子の書き記す文字がこんなに美しく整っているのにまず感心をしていた。


そして読み始めると、その考え方に驚いてしまった。だから想わず孔明の方を振り向き問う。


「Σ(,,ºΔº,,*)…何と!河川工事をすると言うのか?あの荊州で…戦時で在ろうに!」


諸葛亮は白扇を揺らめかせながら、落ち着いた物腰で陛下の問いに答える。


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)我が君♪先ずは最後までお読み下さい…そんな事で驚かれていては、話が先に進みませぬ!それどころの話では無いのです♪」


諸葛亮はあくまでも涼しげな眼差しでそう答える。彼にしてみればここはまだ驚く所では無い。


『(◍′◡‵◍)??』


劉備は落ち着いた丞相の物腰に促される様に、その文の先に目を落とす。そして読み進めるに連れて、その頬からは赤みが消え去り、その(ひたい)(うなじ)からは妙な汗が流れ出ていた。


「Σ(,,ºΔº,,*)おいおい…待ってくれ!河川を繋げて伸ばし、南海まで到達させるだと!海に出るのか!交易で儲けるとは途方もない計画だな…これは果たして現実味が在るのか孔明?」


「( ˘͈ O ˘͈ ;)我が君♪私の悩みもそこに在りました。ですが若君はやると申されております。そして具体的な計画も送って寄越しました。お読み頂いた通りですが、先ずは問題点を整理しておきましょう…」


「…まず一番大きな問題は金です!河川工事には金が掛かりますからね♪我々が頭を痛めているのは正にそこです!ですから陛下に御相談申し上げました。我々は国を興してからまだ日が浅く、大規模な工事と成ると、国の民からの理解が得られるか疑問が在ります…」


「…ですが太子様は、これは使役では無くて民に仕事を与える機会であると書いて在ります!誰でも良い!河川とはそもそも公共の福祉で在り、造るのに敵も味方も無いと!つまりそういう観点に立った場合、民の理解は得られるものの、依り一層金は懸かるでしょうな…」


「…次にその財政問題をクリアしたと仮定して話を続けますと、まだ大きな問題が御座います。主にそれは二つの事柄が上げられましょう。ひとつ、河川工事に際して、呉の妨害が考えられる事!彼らは未だに、荊州は我々に貸した物だと考えております…」


「…となると借地に勝手に河川を敷くのは言語道断と横槍を入れて来るでしょうし、下手をすれば戦争に突入する可能性が高まります。もうひとつは交州です。彼の地の士燮(ししょう)はやり手です!彼は既に海洋交易を行っております…」


「…ですから、その地に河川を通す事を承諾させる事が出来るのかという問題があるのです!商売仇を歓迎する者は居りませんからね♪但しこの点については、太子様の計画が在りますよね?相手のメリットとデメリットを浮き彫りにして話し合いの糧にする事です…」


「…つまりは士燮と共存共栄する道を模索する事だとここには書かれています。彼の望みは独立国と成る事。彼の国は気の毒にも呉に圧力を掛けられて、今は属国の状態です。太子様は先ずそれを解消させる道をお示しに成る事が早道だと考えて居ります…」


「…すると呉との問題に落ち着き、二つの問題をひとつの問題として対処出来るとお考えなのです。そしてメリットとデメリットの問題の解消です…」


「…まずデメリットの問題は商売仇という事柄です。これは売り捌く特産品を異にすれば問題は自ずと解消出来ましょう。そしてメリットの問題については相互利用という点に尽きます…」


「…我々は彼らの既存の河川に繋ぐ事で経費も抑えられるし、逆用させてやれば彼らも少なくとも長江までの輸送メリットが見込めます。太子様はざっとここら辺までは頭に在る様です…」


「(◍;′◡‵◍)だが金の捻出問題と呉との争いが解消出来ぬのは困り物だな…丞相は何か策がお在りか?解決可能なのであれば権限を行使するのは吝かで無いぞ♪如何かな?」


「( ˘͈ O ˘͈ *)えぇ…金の問題は当面、費用を国庫から捻出する依り無いでしょうな!ですがその代わりとして儲ける手立ては考えて在ります。まずは原点回帰です!秦の始皇帝は、天下統一に際して河川を敷き、穀物の量産体制を確立させました…」


「…つまり河川を整備するメリットとしては、田畑に水を送り込む水路の整備を兼ねられるという事に繋がります!屯田政策は既に魏でも手広く行われて居りますが、我が国でも規模を拡大致しましょう♪まだまだ作り上げる土地は在るのですから…」


「…次に交易です!これは将来的には海洋交易で手広くやるとしても、当面の課題は商用販路の新規開拓です!将来的には涼州を占領出来れば、シルクロードに出る事も出来ましょうが、まだ漢中を治めたばかりの我々に取ってはまず漢中の安定が先です…」


「…となると新規開拓しか道は御座いません。蜀から山を越えて西への販路を広げる事を考えねば成りません。それが今我が国で可能な者と言えば、皆さんもうお判りでしょう?」


「Σ( ω-、)まっ…まさか弟の糜芳をお使いになるか…」


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)えぇ…左様です!糜芳殿は元々、その特技は生粋の商人である事から商売です♪あの方はその点に於いてはかなりの手練れです!ここは彼を再度、復職させて"稼ぎ"に特化した組織作りをさせましょう♪彼も罪を悔いております。汚名を挽回させてやる良い機会と成りましょう!如何ですか?」


「(◍′◡‵◍)ふむ…それは面白い♪さっそくやらせるが良いぞ!糜竺もそれで良いな?」


「Σ( ω-、)陛下それはもう♪有り難き幸せ!さっそく弟に知らせてやりましょう♡」


糜竺も嬉しい。庶民に堕ちた者の復帰はなかなかに難しい。可能性があるとすれば陛下の権限に委ねるしか道は無いのだから、これ以上の喜びはなかった。


「(◍′◡‵◍)良し!これで決まりだな…でもまだちと捻出する道が細く短い気がするのぅ…他に手は無いのか?」


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)荊州でも屯田は始まっております。また魏からの返済も見込めますし、何より交渉次第では、士燮からの援助も期待出来ましょう♪何しろ奴の懐は交易で潤っていますからな♪この河川工事のメリットさえ理解させられれば、その位は先行投資してくれるでしょう?」


「(◍′◡‵◍)そうなると交渉する者の外交力が鍵と成るな♪そこらの宛は在るのかな?」


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)えぇ…我が君♪ちょうど良い人材を見つけました!この交渉事は劉巴と許靖にやらせるつもりです♪まだ許靖の説得はこれからですが、劉巴はやると申しております♪」


「(◍′◡‵◍)成る程…彼らは交州に居た事が在るのだったな!良かろう♪そうしてくれると有難い!その線で進めてくれ♪後は何か手立ては?」


劉備はまだ少し危うい気がしていた。そもそも河川工事など統一後の事業という気がしないでも無い。それだけ莫大な金が掛かるのである。


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)そうですな…これは冗談の部類で劉巴が宣った受け売りですが…」


諸葛亮はその話を語った。劉備は案の定、孔明といみじくも同じ反応をする。貨幣を潰して安く造るなど言語道断という渋い顔だ。


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)我が君!そこは冗談の部類で流すとしても、国の運営する市を設けるというのは在りかと!物の集まる所、金が動きますし、金が動けば経済が潤います!国の儲けにも成るのです♪」


「(◍′◡‵◍)成る程…それは良い!ではそれも直ぐに着手するとしよう。となると後は呉との外交問題が残るが、これはどうする?」


「( ˘͈ O ˘͈ ๑)そうですな…覚悟をします!今はそれしか言えませぬ。戦うつもりで準備しましょう!魏と協定を結んでいる事がこの点に於いては活きるかも知れませぬ…」


「…強気の姿勢で事に当たりましょう♪なぁに、相手が攻めて来れば迎え打ちますが、外交で解決出来れば良いのです♪特に呉は今回の河川氾濫を引き起こした嵐の影響から、国の中心地である、建業に大きなダメージを負いました…」


「…もしかしたら、この辺りを見込んで手を差し伸べてやれば上手く交渉が運ぶ様な気が致します♪ですからここはひとつ外交に長けた者が事に当たれば、上手く行くのでは無いかと!何でしたら、私自らが呉に交渉に向かっても良いのですからな♪」


諸葛亮はサバサバとそう述べた。これは劉巴にその覚悟を問われた彼なりの答えだった。太子様でさえ、身を挺して関羽を庇い、曹仁と交渉に及んだのだ。自分もそれなりの覚悟を示す必要が在ったと言う事なのだろう。


「(◍;′◡‵◍)そうか…判った!丞相がそれ程の覚悟ならば、私も腹を括る事にしよう。全てが上手く手立てが組めるとは、なかなか行かない物だな!だが、面白い。やってみよう♪皆も頼むぞ!太子を助けてやってくれ♪」


「「「( ˘͈ O ˘͈ ๑)( ˶ˆ꒳ˆ˵ ٥)( ω-、)はい!承知致しました!!!」」」


三人は気持ちを込めてそう答えた。漢中王・劉備の英断が下った瞬間だった。こうしてこの奇想天外な計画は、既定路線として進む手筈と為ったのである。

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