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鼎の重み

「(((ღ(◕ 0 ◕*)お~い♡爺ぃ~大丈夫かい??」


「(*´艸`*)若…」


『"(°ㅂ°٥҂)若?あの子供(ガキ)が?いったい何者なんだ?』


龐徳は訳が判らない。仮に正解を導き出す事が出来る人が居たとしてもその思考の結果、疑問を持ち、結局は否定するに違いない。


まさか太子が最前線に出て来て、しかも身を挺して配下を庇うなんて感覚はかなり非常識だからである。彼らの感覚で言うと、曹丕が果たしてそんな事をするか?てなもんである。


勿論、龐徳にはそんな可能性はそもそも想いつかない。若=若君くらいは想像の範疇(はんちゅう)でも、対外的には劉禅君とは凡庸で怠け者…宮殿の奥の院から出て来ない程の気弱な肥え太った人物なのである。


どんなに優秀な人物でも、そんな直結した判断は出来ない事だろう。ましてや龐徳には無理が在ろうと言うものである。


それに彼にはその子供(ガキ)が誰で在ろうがこの時にはもはや関係無かった。矢面に立った以上は、その結果がどうなるかの他にさして重要な事は無かったのである。


「(´°ᗜ°)✧間一髪だったね…どうだい?僕もなかなか役に立つだろう♪」


北斗ちゃんは得意満面である。これは思いついたら直ぐに行動出来る彼の長所が最大限に生きた結果だと言えよう。


彼は即行動が長所であり、その権限も持っているし、その道具すら持っていた。周りに自分を信じてくれる仲間がいる事もその大きな要素のひとつである。


このどれかひとつでも欠けて居れば、中型船の甲板は血の海に為っていたかも知れなかった。




彼がその結論に達したのは少し前の事である。関羽将軍の説諭は、相手の先制パンチを受けて、憤りに変わった。関羽は遠目で観ていても、その動きは判りやすい。


必ず喧嘩を売られれば買う。それが関羽の善きにつけ悪きにつけて持っている(ごう)である。


但し、馬良が傍にいる事で抑制になる可能性は在った。けれどもそれは相手とのやり取りを中断出来る事が絶対条件であり、この状況下では(いず)れ抑えは効かなく成るだろう。


彼は珍しく決断を躊躇(ためら)う所だった。それを救ったのは管邈(かんばく)である。元々魏の間諜であった彼は、直ぐにその場に満寵が居ない事に気がついた。


『(;´д`)不味い…』


満寵は日頃はとても冷静な男であるが、瞬時の判断には必ず武を用いる。彼が元々武将の資質を持ち合わせているからである。それが乾坤一擲(けんこんいってき)の最大のチャンスで在れば尚更であった。


(はな)からその場に居れば、軍師の習性として必ず主人の判断を仰いで行動するだろうが、突如突入して来たと仮定すると、その確率は格段に上がる。


彼はこの船に乗った意味を十分理解しており、直ぐに若君にボソボソと耳打ちした。北斗ちゃんは驚きの表情で振り返ると、「まじで? Σ(๑°ㅁ°๑)」と呟く。


管邈はコクりと頷く。これでこの場の態勢はけっしたと言って良かった。決断力のある人物がその大義名分を得たからだった。


『武に訴えるったって、互いに離れた船の上だぞ…(°ᗜ°٥)あ!』


その瞬間、彼は「(;꒪ö꒪)矢か?」と叫んだ。


「(。´-д-)。o恐らく…」管邈も同意する。


北斗ちゃんは直ぐに傳士仁に尋ねる。


「傅士仁!(゜Д゜)あの間に突っ込めるか?」


彼は曹仁と関羽を(さえぎ)るつもりの様だ。傅士仁はそう判断した。


一瞬、『(°皿°٥)大丈夫か?』と頭を()ぎらぬ訳では無いが、太子に帯同されて以来、数々の閃きやその判断力を目の当たりにして来た彼は、いちもく置いていたので直ぐに決断した。


「ええ…(´°皿°)✧無論!」


「ꉂꉂ(❛ᴗ❛ و)では突っ込め!皆も船の揺れに備え、盾で頭と身体を守れ!急げよ♪」


その決断と指示は相変わらずブレ無い。そして、(めい)を受ける側の覚悟と信頼も凄かった。


傅士仁の号礼で皆、気合いを入れて漕ぎ出す。船はその分、当然揺れる。けれども、船の推進力は増し、ぶっ跳んで行く。


皆、盾を(かざ)した瞬間、始めて『矢か?』と気づいたくらいに、その決断と実行の早さは素早かったと言えるのでは無かろうか。


彼らが結果的に、満寵の突然の襲撃にも、即時対応出来たのは、その情報力、互いの信頼、そして若君の決断力と実行力、さらにはそれを支える傳士仁の技術力が有ったが由縁である。


勿論、その前提として、若君の行動には理由が在るとの、絶対的な信用が不可決なのだ。いずれにしても、この決断の正しさは、その後すぐに証明されたのであった。


「若!(*`艸´)=3 助かったぞ♪すまんな…」


関羽は大袈裟に手を振っている。龐徳は驚いたらしく、唖然としていた。馬良も趙累もホッと胸を撫で下ろしている。


北斗ちゃんは最早安全と、身体を半分近く乗り出す様に、関羽を見下すと、「爺ぃ~、これは貸しだかんね!これからの交渉は(´°ᗜ°)✧この僕に任せろ!」そう告げた。


関羽は一瞬、眼を剥いたが、溜め息を尽くと「ふむ…(*`艸´)そうですな!任せましょう♪駄目ならまた儂に振って下され!」そう言ってあっさり任せてしまった。


「おい!おい!(°ㅂ°٥҂)大丈夫なのかい?」


これには、さすがの龐徳も驚いている。


「( *´艸`)うん?」


関羽は振り返ると、さも不思議そうな顔をして、「(*`艸´)何で?」と聞き返す。


それが然も当たり前と言わんばかりの態度である。この受け答えが判らない人が居るとすれば、それは部外者である。この空間では、龐徳を含めた魏の連中という事になるだろう。


「ღ(。◝‿◜。)龐徳殿♪あの方は丞相代理なのです。それに決断と実行力があります!貴方も今の瞬間をご覧になった証人の一人でしょう。あんなアタック、他に誰が出来ましょうか?」


馬良はそう語った。そして、その中で暗に釘を刺す。"誰あろうあの方のお陰で助かった"のだと!


『✧(°ㅂ°٥҂)…あの子供(ガキ)が丞相代理だと?て事は、この連中の言ってた”あの方”とは、やはりあの坊主か?あっしにいの一番に声を掛けて来たあの少年がね~』


世も末だな…ともしかしたらそう想ったかも知れない。けれどもこの後、彼らはその眼で奇跡を目の当たりにする事になるのだ。


「あっ!そう…(((ღ(◕ 0 ◕*)じゃあ、やれるだけやってみるよ!駄目だったら、素直に任せるから♡じゃあね~♪」


北斗ちゃんは直ぐに関羽達に手を振ると、船の縁から姿を消した。




一方の城方ではどうなっていたのだろう。曹仁の停止命令で、第二射は強制的に放たれる事は無かった。彼は満寵の傍に歩み寄ると、いきなり拳を振り降ろした。


素手で殴られた満寵は、そのまま反動で倒れ込みながら、頬を押さえた。


「閣下!(〃º言º)何を為さるか?関羽を仕留める最大の機会だったのですぞ!」


満寵もこれでは収まらない。


曹仁は(たけ)る。


「; ー̀дー́ )ᵎᵎそんな事は判っとる!儂を誰だと思っているのだ!儂が話している最中の不意を狙う事は許さん!まずこれが一つ。そしてその場の状況が判っておらんのに、独断専行をするな!これが二つ…」


「…誤解で相手を殺してしまった場合には、お前も後で寝覚めが悪かろう。これが三つだ。お前は儂を(ないがし)ろにし、命令を逸脱した。だから、殴った!文句あるか?」


満寵はかぶりを振った。(((°言°٥)


「; ー̀дー́ )ᵎᵎ良し!幸い相手さんの機転に救われたわい♪お前も目が覚めて、これで冷静になれるだろう…。奴等はこの我々を救出に来たそうだ✧敵なのにだ!」


「ꉂꉂ(°言°٥)そんな事は嘘に決まっています。策謀です✧」


「; ー̀дー́ )ᵎᵎああ…そうだな!儂もお前がやらかすまではそう想っていた。用心してたよ!けどな、奴等は矢を防いだものの、反撃はして来ぬだろう?しかもあんな馬鹿デカイ船を二隻も抱えている…」


「…あれなら兵も武器も満載に出来る筈なのに、然程の兵も乗せてるようにも見えない!龐徳は、彼らは我らを助けに来たと言った。武器や兵で無く、食料と医薬品を乗せているとな…儂は奴を真ずる。そして、奴を助けた奴等を信じるよ!」


「しかし…(º言º;)」


「* ー̀дー́ )ᵎᵎああ…心配致すな!鵜呑みにはせぬよ、ちゃんと話し合い、文書も草起する。後々面倒に成らぬ様にな!だから、お前は儂に従え!くれぐれも独断は許さぬぞ!次は拳骨では済まぬからな!」


「(º言º;)この私を許すおつもりですか?」


「* ー̀дー́ )ᵎᵎ一度しか言わぬから良く聞け!この状況下で、独断専行は命取りになる。こんな時こそ、皆の団結が必要なのだ!お前は儂の片腕なのに、皆の手本となる立場を忘れた…」


「…その調子で皆が好き勝手し始めたらどうする?儂も素手で殴っているのだ。手は痛いし、血も出る。そして信頼してる奴を殴るのは、心が痛い…」


「…お前は本来、この儂にそんな事をさせてはいかんのだ!判ったか?お前を敢えて殴ったのは、皆に襟を正させるためだ!お前は言い方は悪いが、その手本となったのだ…」


「…だから儂はこれ以上は責めぬ。お前が悔い改めて、相手に頭を下げれば、儂はそれでいいのだ。良いか?信頼しているのだから、お前もその信頼に答えよ♪」


そう述べると、曹仁は手を差し伸べて、満寵を立たせた。彼は「(〃º言º)⁾⁾閣下…判りました♪」と言って、頭を下げた。




さて、北斗ちゃんは関羽達に手を振ると、船の(へり)からズリズリっと降りた。さすがにここで『ハ~イ♪10点満点♡』はバランス的にやばい。彼はそのまま甲板を横断して渡る。


船の反対側の縁には傅士仁が待っている。管邈は、身の危険を感じたのか、既に上手く身を隠したようだ。さすがは間諜を伊達に務めている訳じゃない。


もしかすると、これから話し合いという段になって、自分が火種となる訳にはいかないと遠慮したのかも知れなかった。傅士仁は北斗ちゃんが来るなり、城壁の上を指差す。


親指を立てて、クイックイッとやると、大袈裟に指を差さなくても良いのか、彼はいつもそうしている。


北斗ちゃんも大人になったら試してみようかと、陰でコソッと練習した事はあるのだが、まだ人前では恥かしくて出来ないのだった。


傅士仁の指の先をなぞって観ると、曹仁が配下にコンコンと説諭しており、こちらの状態には気がついていない。二人はのんびりその様子を眺めながら、待つ事にした。


「(´°皿°)✧倒れてる奴が満寵です!覚えて措かれると良いでしょう…」


「(◕ 0 ◕*)へぇ~あれが(いわ)()きの満寵か…でも何でアイツ倒れてんの?」


「(°皿°٥)曹仁に殴られて吹っ飛びました…」


「ꉂꉂ(°ᗜ°٥)なんだってぇ~†」


初めから…事の成り行きを眺めていた傅士仁は、北斗ちゃんに説明する。それを聞いて北斗ちゃんは、曹仁という人の生き様をそこに見た気がしていた。


『(;°ᗜ°)✧規律を遵守し、信念を崩さない…厄介な相手だな!』


これから彼はそんな男と対峙しなければ成らないのだ。待つ間も体内の血圧は上昇し、心拍数も自然と高まる。神経を研ぎ澄ませた程好い緊張が彼の気持ちを高揚させていた。


簡単に言うと、ワクワクドキドキして居たのである。


やがてその時はやって来る。二人の男のわだかまりは解消され、決着は着いた様だ。曹仁は笑顔で手を差し出すと、満寵を救い上げた。


曹仁はやおらこちらに振り向くと、一瞬溜め息を漏らす。改めて目の前に鎮座する大型船を視界に入れた事で、その巨大さに呆れたらしい。


彼は決意を新たにする様に声を掛けて来る。


「; ー̀дー́ )ᵎᵎ関羽…関羽は無事か?無事ならば話し合いを継続したい!」


本来で在れば、城側からは一望出来そうなものだが、河の喫水線が高く、さらには目の前に巨大船が壁の如く妨げと為っているため、その背後に位置する関羽の船の様子は視界に入らない。


するとヒョッコリと可愛いらしい女の子の様な(わらべ)の顔が、船の縁から首を出した。


「|• •๑)”ㄘラッ♡やぁ~どうも♪貴方が曹仁将軍だね!」


「; ー̀дー́ )ᵎᵎ=3 何じゃ…坊主、子供がしゃしゃり出る事じゃ無い!危ないでは無いか?早くそこから降りなさい…」


曹仁は(たしな)める様に、小言を言う。北斗ちゃんは至極、当たり前の反応に苦笑いだ。


「|• •๑)” フフッ…曹仁将軍!残念ながら、君の相手はその僕だ!あぁ…関羽将軍はお陰様で無事だから心配いらない。因みに龐徳殿も無事だから安心してね♪後で合流出来るでしょう…」


「…僕は見た目こそまだ若いけれど、これでも丞相代理だからね(´°ᗜ°)✧捨てた者じゃ無いよ♪董斗星とは僕の事さ♡」


「; ー̀дー́ )?おい、満寵…お前聞いた事が在るか…」


曹仁は呆れた様な顔をしたが、念のため軍師に確認する。満寵も不思議そうに「いいえ…(-言-;)」と答える。


「; ー̀дー́ )?おい、坊主!保証は?お前がそうだと言う確固足る保証が欲しい…悪く思うな!これは正式な国同士の交渉事だからな!」


曹仁の言う事は最もな事であった。彼らにしてみれば、どさくさ紛れに混乱を生じたくは無い。


これには北斗ちゃんも直ぐに反応した。けして間違った事は言ってない。


それどころか"坊主"相手に身分が保証されれば交渉しても良いと言う御墨付きと捉える事が出来るのだから、この曹仁という人の見方は間違って居ない。つまりは人を見た目で判断しないと言っているのだ。


「(ღ◕ ε ◕*)お~い♪爺ぃ~♡」


北斗ちゃんは大声を張る。


「(*´艸`*)何です?」


関羽もそれに応える。彼の声は元々戦場向きだから、良く声が通った。


「(´°ᗜ°)✧僕に交渉一任したよな?」


「ええ…(*`艸´)それが何か?」


「(´°ᗜ°)✧先方さんが保証が欲しいそうだ!」


「(*`艸´)ホォ~成る程…では声高に申しましょう…。ΣΣ曹仁!!関羽だ!!よ~く聞け♪♪この交渉は若君に任せる、以上だ!!…これでどうです?」


「ღ(。◝‿◜;)あ!馬鹿!」


想わず馬良はその袖を引く。


「(;๑‾᷅罒‾᷄๑)あちゃあ…」


これには北斗ちゃんも想わず顔を手で(おお)う。


「(*`艸´)??」


城方からは、どっと驚きの声が上がった。未だに事を理解していないのは、関羽のみであった。

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