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危機がもたらすもの

北斗ちゃん率いる約7千の騎馬軍団は公安砦に到着する。城門は既に開いており、費禕が迎えに出ていた。北斗ちゃんは馬から飛び降りると、絶妙に着地する。費禕も久し振りにその光景を眺めながらニッコリ笑った。


「chu♡(人´3`)⌒♡ハ~イ10点満点♪♪」


するとタイミング良く滑空から旋回に入っていたキュキュ君も気持ちの良いくらい羽をバタつかせた後にスッとその肩に留まった。既に羽を畳んで何事も無かったかの様に澄ました顔を決め込んでいる。(⋌‘Θ’)⋌キュ?


「(⊹^◡^)ノo.♡゜。* やぁ♪いらっしゃい♪」


「(*◕ω◕)ノ やぁ♪費禕…御苦労様♫費観は?」


「(⊹^◡^)♡フフッ…もう臨戦態勢ですよ♪ほら♪あそこです♪」


城壁の上から顔を出した費観がこちらに向けて手を振っている。


「 (((ღ(・・*) 若っ♪♪♪」


「 (((ღ(◕ 0 ◕*) おぅ♪♪♪」



「(⊹^◡^)♡フフッ…ひとまず中に入りましょう♪さっそく軍儀です!情報交換をしましょうぞ♪」


「εღ(´皿`*)世話に為るぞ♪」


「ღ(`ー´ )同じく!」


「ღ(-ω-*)やぁ~費禕♪」


三人ともスタスタと費禕の前を通り過ぎて城門を入って行く。


「(;^◡^)ど~も♪…若、弎坐がいましたが、いいので?」


「(◕ 0 ◕;)あぁ…着いてきたいと申し出たので、やむ無く許可した。救護班は彼に任せようと思うから、宜しく頼むね?」


「(⊹^◡^)承知しました♡」


二人が話している間にも帯同して来た7千の騎馬はどんどん入場している。傅士仁の号礼のもと、必要最小限の時間で収容は完了した。




軍儀が始まり、懐しの面子が顔を揃える。北斗ちゃんを中心に右手には帯同して来た三人が並ぶ。傳士仁・田穂、そして弎坐である。


一方、左手には費観・費禕が並び、その横に見馴れぬ若者が腰を掛けている。本人は何の違和感も感じていない様だが、初対面の者にはさすがに気になる。ここは気配りの費禕の出番である。


「(⊹^◡^)若君、彼は張翼(ちょうよく)という者です。やはり諸葛丞相の訓示を受けた被官で、今後は若君の属人となります♡」


費禕がそう紹介すると、張翼は軍人らしくスッと立ち挨拶を述べた。


「ღ(。-_-。)♡張翼です!宜しゅうに♪」


彼は一種独特の(なま)りがあるせいか、ビシッと直立不動の割には少々締まらない。しかしながら、却って真面目な顔を補っており、愛嬌が感じられる。


「ああ…宜しく ღ(◕ 0 ◕*)♡でも待てよ?僕の属人となる君が、なぜここに居るんだい?」


「ああ…それは私から ღ(・・*)♡」


費観であった。彼の話しによると、張翼とは"竹馬の友"なのだそうだ。彼は北斗ちゃんが南郡城に居るとは知らず、江陵に向かう途中、趙広に呼び留められて、公安に行く様に指示されたとの事だった。


「はは~ん…(◕ 0 ◕*)趙雲の差し金だな!さすがに行動の予測が早いや…」


北斗ちゃんは想わず吐息をつく。


「 ღ(◕ 0 ◕ )判った…じゃあ軍儀を始める!」


北斗ちゃんは冒頭で田穂に情況説明をさせた後、虞翻と陸遜の動きに念頭を置くように、ここでも釘を差しておく。


「周泰の1万ですか…(・・*)それだけなら何とか為りそうですが、若の言う通り、兵力を分散させ過ぎのような気もします!虞翻と陸遜の所在とその陣容次第というのは甚だ心許無いですな?田穂、その当たりは判っているのですか?」


費観はすっかり城主としての自覚に目覚め、その指摘は的確である。田穂は別行動を取った時点で離脱しており、その後の報告はまだ受けていない。いずれ報告が追ってある旨、言うに止めた。


「(♧◑ω◑)…周倉殿は離脱していないんだね?」


「はい( `ー´)!私の部下と共に居る筈です!」


「判った!(♧◑ω◑)♡そちらは引き続き田穂、君に頼む♪新しい情報が有り次第教えてくれ!ここはもういいよ?」


「はい!( `ー´)では…」


田穂はそのまま退出した。


「若!(・・*)ここにお出でになったという事は、恐らくここが主攻と踏んでの事なのでしょうな?」


費観は予測一過そう述べた。


「ん?(◕ 0 ◕*)否、まだ判らん…でも僕ならここから攻めると踏んだだけさ!相手の事もまだ良く判っていないからね…」


北斗ちゃんもそう言う他に無い。


「(⊹^◡^)☆ 陸地伝いを来るって事ですが、確かあそこは細工が効いてますよね?」


費禕は想い出した様にそう述べる。


「何だ ε(´皿`*)?その細工って…」


「ああ…ღ(◕ 0 ◕ )傅士仁、君は知らなかったね?趙雲が造り上げた罠が張ってあるんだよ!但し、林道の中だけだ。表街道は、日々民も通行するからね!」


「成る程…ღ(´皿`*)しかしそれなら 表街道から堂々と押し出して来たら、意味無いのでは?」


「ふふ…ღ(◕ 0 ◕*ღ)そこが人間心理って奴だよ!あの趙雲のする事だからね、無駄は無かろうよ!」


「まぁ、そうでしょうな…ε(´皿`*)」


北斗ちゃんは趙雲の意図には気づいていた。


まず河は狼煙台でガチガチに固めてあり、来れば判かる。


対岸は魏領であるから、魏と示し合わせない限りは敵対行動と取られ兼ねないから、わざわざそんな危険は冒すまい。しかもこちら側には魏に放った間謀がいるから、その網に掛かる事になる。


ここで問題となるのは街道と林道である。長江の河畔は、その大半が岩壁に覆われており、その上は森が続く。木々が生い繁る中、その行軍には手間を食う。何しろ、木々や繁り放題の草むらに阻まれ、或いは足を取られて、遅々として進まぬからだ。


さらにそれが大軍であれば尚更である。ところが奇策を弄する者は、相手が不可能と想い込んでいる所からこそ、静かに侵攻してくるものなのだ。だからこそ、趙雲はここに罠を仕掛けておいたのである。


一度侵入したが最後、この道を諦めるまでは、しつこく罠が幾重にも張られている。一見、無駄に見えなくも無いが、通って罠にかかるのも可、避けてくれても可なのである。


彼の本当の狙いは、街道から侵攻させる事にあるからだ。要は選択技を与える事の無いように、進軍ルートを絞らせる事こそが彼の真の狙いなのである。


『恐ろしい人だな…(;◕ω◕)☆ミ』


それに気がついた時に、北斗ちゃんは冷や汗がツ~っと肌を伝うのを感じた。手にも汗を握り締めていた。その人の真の恐さを感じるのは、まさにこんな瞬間では無いか?北斗ちゃんはそう思うのだ。


趙雲は常に索敵を欠かさない。恐らくは街道に的を絞るはずだ。そして遠隔射撃と鍛え上げたその精鋭騎馬兵での、突撃敢行を計るに違いない。


「(*◕ω◕)=3 念のため、我々も兵を一部割いておく事にしようか?街道で待伏せするぞ!」


「「ああ…成る程、そういう事ですか?」」


皆、口々にその一言で理解する。皆まで説明しなくても、理解が及ぶ所はとても逞しく、策謀への習熟度も高く、頼もしい。


「恐しい方ですな…ღ(。-_-。;)」


張翼もいみじくもそう呟く。


どうやら彼もその意図が理解出来る人のようだ。北斗ちゃんはまたひとり、才能豊かな男が加わって嬉しい。


「まぁ…ღ(◕ 0 ◕ ;)あの丞相が寄越す人材だからな…軽い訳が無かったのだ♪」


彼はそう苦笑いしていた。


「ღ(◕ 0 ◕ )それはそうと…張翼、君は兵を連れて来ているのかい?」


北斗ちゃんは念押しする。


「ღ(。-_-。ღ)勿論ですやん!3千の騎馬兵を連れて来てますよってに、心配入り申はん♪」


「へぇ~そら凄いね ღ(◕ 0 ◕ *)♡」


「ღ(。-_-。)♡皆、胡服騎射が出来ますわ!連弩も有りますよって、弓の一斉射撃など、させる暇を与えまへんわ!」


「良し((o(‾◡◝*)(* ◜◡‾)o))♪これで決まりだな!僕の騎馬軍団7千と張翼の3千を合わせて、計1万で街道にて待ち伏せだ!傅士仁には7千のうち、そっくり4千を任せる。僕は護衛3千をそのまま率いる…」


「…費観と費禕は全体情況の把握に引き続き努めてくれ。費観、君は城主だからね!適宜の判断は任せるぞ♪費禕に留守居を任せての出撃も許可する。最後に弎坐、君はここに残って貰う。そういう約束だった筈だからね、必ず守るように頼む♪」


「あい ღ(-ω-*)♪判りまちた…」


「これで決まったな =͟͟͞͞(๑•̀д•́๑♪皆、日頃の訓練とあの大会の意義を想い出して、のびのびとやってくれ ٩( ᐛ )و ♪僕は皆を信用しているぞ!以上!!」


「「「おおお~!!!」」」


公安砦の士気は、これ以上無い程の高まりを見せる。皆、それぞれに分かれて早速準備に入った。




さて、話しは江陵に戻る。


少し前に出撃した筈の関羽軍3万は急行するでも無く、索敵をしながらジワジワと進む。総督は以前のしくじりに歯ぎしりした分、石橋を叩いて渡る。


馬良は急ぐべき所をゆるゆると進む総督に、首を傾げていたが、どうも狼煙台の点検をしながら進んでいるのが判ると、一転、させるに任せた。


総督は、決して間諜である田穂を信用していない訳では無く、呂蒙という将師に、一定の尊意を認めているらしい。


命を削って任務に当たる間諜は有り難い。その存在無くば、あたら失わずに済む筈だった命を守れぬかも知れぬ。情報とは有り難いものなのだ。これがごく最近、馬良が総督から聞く機会のあった言葉なのだった。


どうやら、管邈や田穂の件以来、その考え方に変移が在ったらしい。自分が呉方面に於いて、無駄に失った間諜にも責任を感じていた様である。そこで、用心している。


関羽は出撃時に、相手をいなし、押し込んでは引け!と太子に指示されている。


勿論、これは戦争なのだから、1人も死なせない等という事は無理な相談である。相手あっての事だから、幾らでも不測の事態は在り得る。もし1人も死なせたく無いならば、城に籠って命のやり取りを避けるか、相手に全面降伏するしか無くなる。


けれどもそれは出来ない事だ。元々、三国の主張は異なる。それを判った上で、分裂したまま渡り合っているのだ。そして太子もそれは、理解してくれている。でなければ出撃をさせないだろう。


彼は医療従事を通じて、人の命の尊さを大事にしている。否、最早それが生きる上での根幹となっていると断じても良いだろう。その彼が、やむを得ぬ事とはいえ、命のやり取りも辞さない姿勢を示したのだ。とてもやり切れない想いであったに違いない。


関羽も今ならそれが判かる。だからこそ索敵をかけて、慎重を期す。狼煙台は一見、一番盤石そうに見える。これがあるから、呉は、長江に船を浮かべて攻めて来ない。


けれども、呉にとっての最大の武器は海戦に長けているという事なのだ。これはそんじょそこらの打撃を与えたからといって、そう簡単に変わらぬ理屈である。


狼煙台のリレー方式構築により、伝達をされて阻まれる。それを怖れて攻めて来ない様に工夫したのは、当の関羽であり馬良なのだ。


だからこそ、ここを潰されたら危うい事は肌身で感じているし、自分達の退路が断たれるだけに止まらず、江陵や公安、南郡の兵や民の命も賭かっている。そう考えたからこその点検活動なのであった。


無事であれば先に進める。そこまでの前進は安全であり、決して裏を取られる事は無いという事だ。勿論、伏兵を襲れているという点に於いても、これで正解なのだ。今、彼らにとって最大の敵は、裏を取られて、挟みうちにされる事なのだから…。


但し、これには当然デメリットもあり、相手に対峙する為の時間を得られず、待ち伏せされる危険もあった。その迷いを吹っ切り、関羽はこの"牛歩戦術"を採用したのだから、やり抜かなくては意味が無い。


そしてこれが、一人も死なせないのでは無く、可能な限り兵を失う事無く、この地を守る最良の策である事は馬良も理解していた。関羽と馬良はこうして用心しながら進んだのである。




一方、南郡城も正念場である。元々ここは、当初は鞏志と張嶷が担う筈であったのだが、北斗ちゃんがその辣腕を奮うと英断を下した事で、二人の負担は多少軽くなったのだ。


けれども若君はこうも述べている。『僕は遊軍だ\\\\(۶•̀ᴗ•́)۶////』と!そしていみじくも彼の留守中に勃発したこの危機に直面し、二人は初めて二人だけでこの局面を乗り切らねば為らなくなった…と言える。


ひとつはっきりとした光妙が在るとするならば、アッサリ君はやはりこんな時にもアッサリ君であった事だ。アッサリ君こと張嶷将軍は、涼しい表情で皆に向かってこう宣った。


「ლ(´ڡ`ლ)♡籠城は…決して私の好みでは無いけれど、仮にそれしか方法が無いのならば、それで受けて立つまでだ!好き・嫌いと、得意・不得意は決定的に違う事を、この際お見せ致そう♪」


そう言って、やる気を前面に出して見せた。当然の事ながら、この言葉に南郡城の兵達は皆、勇気づけられた事だろう。


片や鞏志の方はというと、籠城に必要な準備は(とどこお)りなく済ませ、自分も迎撃の態勢には入ったものの、その心は千々に乱れていた。


彼の懸念は、心血を注いで造り上げて来た避難指定区域の住居街であった。ここを目覚とく発見されて、攻撃対象にされようものなら大変である。


勿論、人の命には代えられないから、職人は既に城内に避難させている。たかが家ではある。壊されたり、燃やされたりしたら、また造れば良いではないか?…という考えだって確かにある。


けれども、この家は漢江の氾濫が起きた時に、逃げて来る人達の為のものだ。一度消失したら、もはや間に合わない。緊急避難と建築物の放棄は、彼にとっては苦渋の決断だった。


若君は、鞏志がもしかすると放棄出来ないかも知れぬ…と考えた様だ。彼は(あらかじ)め、その点を想定した上で取り決めをしていた。


『ღ(◕ 0 ◕;ღ)緊急時は放棄せよ!』と…。


彼らはそれを遵守した。それだけの事と言えば、そうなのかも知れない。しかしながら、当事者にとってみれば、それは大きな苦しみを伴うものだったのである。

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