表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/308

愉しみは束の間のひととき

北斗ちゃんの機転の効いた作戦は、直ぐに集った者の手で持ち帰られて、その翌日から即日遂行されたのだった。各城の予選会はそれぞれの城の温度差は在るものの、盛大なこけら落としで開催が宣言される。


関羽総督は馬良の報告を聞くと、かなりノリノリで乗り気になった。


「(*`艸´)良いか、皆の者!この関羽の直参のお前達が負ける事は許されぬ♪必ずここ江陵城に黄金旗を掲げるのだ!」


「「「o(^-^o)(o^-^)oお~!!」」」


さすがは関羽の直参で在り、荊州の主力が集まったこの江陵の兵達はなかなか呑み込みが鋭く勘が良い!その意味を直ぐに理解した。




北斗ちゃんは、兵達が何よりも戦場での名誉を重んずる事を良く理解していたので、優勝した城には各部門に応じて黄金旗章を城壁に打ち込むと決めた。そして最も功績を上げた城には1年間の黄金旗の掲揚を許すと宣言したのだ。


これは大変名誉な事で在る。そしてその宣言は年に必ず1回は継続した大会を開くという若君の意志と受け取られたのである。それはいつ如何なる時にも、手を抜かず切磋琢磨せよ!…との意志表明でもあった。




一方、公安砦でも費禕の持ち帰ったこの指令には、早速費観も反応する。


「(・・*)フフッ♪さすがは若君!色々な手を考えておられる…費禕、我らも負けては要られぬからな!この若返りを計った砦の戦士達にも、遣り甲斐を与えてやる機会が訪れたのだ!共に頑張るぞ♪」


「(‘∀‘ )勿論です♪やりましょう!」


こちらも兵達はかなり乗り気である。皆、この若い二人のその後の運営の仕方を目の当たりにして、既に信頼を寄せていたから話は早かった。


「「「o(≧▽≦o)(o≧▽≦)oやるぞ♪」」」


皆、この若い指揮官達の為に黄金旗を掲げ様と、その士気は高かった。




さてお次は南郡城の諸氏である。


ここは、とにもかくにも若君のお膝元である。そしてこの城の采配を任されている鞏志の評判は、ここ南郡城では格段に高かった。彼の人と為りに承服している者が元々多かったので、事は簡単に運んだのである。


「(゜Д゜*)みんな良いかい?この新しく生まれ変わった南郡城の主にして我らの主君は皆を想う気持ちの優しい方だ♪この南郡城が誰の血も(あがな)う事無く、一新されたのはあの方のお陰なのだ!その人が作ったこの大会で、我らが遅れをとってどうする?皆で彼を喜ばせてやりたいと想わんか♪」


「「「o(^-^o)(o^-^)o想いま~す♪」」」


「(゜Д゜*)じゃあやるぞ♪部門別に皆、得意分野に分かれて立候補してくれ!」


「「o(≧▽≦o)(o≧▽≦)oお~!!」」


皆、大会と聞いては名誉な事なのは解っているし、江陵や公安に負けたく無いという一心も在ったから、事はトントン拍子に進んだ。それに何より愉しそうである。


『(*゜ー゜)へぇ~鞏志君、意外に演説能力絶大なんだな…あいつ外交に向いてたりするかも♪』


北斗ちゃんは縻竺を手離してしまった事で、外交力低下を懸念していたのだが、少し安堵する。無論、伊籍の外交能力には一目置いているものの、彼は少々高齢なため、無理はさせたくないし、内政に欠かせない為、宛がう訳にもいかなかったのだ。


『(〃´o`)=3 まぁでも、鞏志君もその建築能力で避難住居をどんどん造る方に力を発揮させなきゃ為らんからな…なかなか難しいよな?しかしこの人を活かしていなければ、こんなに上手く事が運んだか判らない…その人柄を見誤らないで良かったな…』


北斗ちゃんは今さらながらにそう感じていた。その歯車がちょっとでも狂っていた場合、こんなに上手くいかなかったと想えば冷や汗ものである。


『ε- (´ー`*)そう言えば、縻竺の代わりに来る者はいったい誰に成るのだろう?』


彼は返す返すも縻竺にその辺りの確認をして置かなかったのを悔やんでいた。まぁ彼が自分の意思で決められる事では無いにしても、心当たりくらいは在ったかも知れなかったからだった。


『ε- (´ー`*)まぁ、丞相の人選に期待する他無いか?』


北斗ちゃんも丞相が決して自分やこの荊州を(ないがし)ろにする事が無い事は承知している。何しろ自分をここに配置したのは、既に当初から丞相の意図だったのではなかろうか?…穿った見方かも知れないが、最近とみにそう感じていたからだった。


「ε(´皿`*)殿!殿!鞏志殿が呼んでます!」


そんな傅士仁の呼び掛けに、ふと自分がいつの間にか考え事に熱中する余り、行事の段取りを失念していた事に気がついた。自分で開催に漕ぎ着けた大会である。これでは本末転倒になる。北斗ちゃんは想わず苦笑する。


「(* ̄◇)=3 悪りぃ…挨拶だったな♪」


「(゜Д゜*)殿!張り切ってどうぞ♪」


北斗ちゃんはピョンピョンピョ~ンと跳び跳ねて皆の意気高揚に一役買う。


「ゞ(^o^ゝ)≡(/^_^)/"オ~♪♪」


「「「ドドドッオゥオゥオゥ♪♪♪」」」


兵達もそれに応える様にどよめく。


「o(≧▽≦)oみっなさ~んご機嫌様♪」


「「「o(^-^o)(o^-^)oご機嫌様~♪」」」


「o(≧▽≦o)そう言った訳だから張り切って行くぞ~♪♪♪」


「「o(^-^o)(o^-^)o頑張るぞ!オ~♪」」


「(o≧▽≦)oその意気さ♪怪我しないでね!」


「「「o(^-^o)(o^-^)oは~い♪♪」」」


「ε-(´ー`*)その意気その意気♪」


意気高揚も終わり、早速みんなが自分の得意分野に並び始める。格闘部門は傅士仁の取り纏めである。腕に覚えの在る者達は列を為す。


伝書鳩部門は張嶷が手を貸す事になった。通信部門を日頃担う伝令兵や文書取り纏めを司る文官達はほぼここに集まる。例の核になる10人も集ってスクラムを組む。


建築部門・土嚢リレーは鞏志のお役目だ。『志組』も御目見えしている。ここに集まる兵は工作兵が多い様だ。


更に救急班に携わる人達も、土嚢リレーに参加希望者が多く集まる。彼らにしてもいざとなったら洪水から民を救う壁になる物だから、強く希望して参加したのだ。


大会の開催を機に、皆の気持ちがこれ程ガラリと変わるとは、さすがの北斗ちゃんも予想以上の反応に驚いている。


『ε(´ー`*)驚いたね♪でも良い傾向だ!もしかすると結果次第では化けるかも知れないぞ…少なくとも団結力が強くなれば、互いに助け合い、相乗効果が起こる筈た!そう成ればしめたもんだ♪』


こうして南郡城でも士気が高まり、予選会は大いに盛り上がったので在る。




最後に、近郊の森の趙雲陣営である。趙雲は相も変わらず兵の訓練に余念が無い。それは(あた)かも大会の事など、端から念頭に無い様にさえ見えた。息子である趙広はそんな振る舞いを観るにつけやむ無く父に声を掛ける。


「(-∀- )父上…我らも予選会をやりましょうよ♪城の連中は大いに盛り上がっているのに、黙々と訓練している場合でも在りませんぞ!」


「( ̄^ ̄)フッ…そう想うか?我らは皆既に精兵揃いだ!予選会などやる必要がない。希望者を募って出せば良かろうよ♪」


「(-∀- )皆、出たいと言ったらどうします?枠はそんなに無いのですぞ?」


「( ̄^ ̄)お~い?代表で出たい奴はいるか?」


「(≧ω≦。)閣下…私が皆を代表してお答えしても宜しゅう御座いますか?」


「( ̄^ ̄)構わんぞ♪言ってみろ?」


「(≧ω≦。)いる訳無いですよ♪」


「( ̄^ ̄)…ホゥ、そらまた何故だ?」


「(≧ω≦。)そら決まってますぜ!我らの使命は、荊州を守り、呉や魏からここを守り抜く事です♪遊んでいる場合でも、目を離している場合でも在りませんや!」


「( ̄^ ̄)な?そう言う事だ!こやつの発言は正しく私の意図を理解しておる。我らの目的は、主攻に非ず…あくまでも予備役、そして支援部隊なのだ…」


「…見方を変えれば、こんな時こそ大会運営の妨げになる勢力からの警戒・警備をその任務とすべきなのだ!自分達が主役になってどうする?…」


「…良く考えてみろ?我らの兵が本気を出せば、この大会では四冠を達成してしまうだろう?それは若君の主旨に反するのだ!…」


「…この大会はあくまでも主攻の、城を守る連中の士気を高め、その目的を円滑に実行させる事にこそ在るのだ!判ったらお前もやるべき事を為せ!」


趙雲は息子・趙広のまだ若く逸る気持ちは理解出来るものの、若君の意図を正しく理解して、その支援に回る事こそ我らの務めとその姿勢を正したのである。


「(-∀-;)成る程…そうか!判りました、良く理解出来ました。申し訳在りません…」


「( ̄^ ̄)判れば良いのだ♪我らは大会に兵を派遣しない訳にはいかないが、最終判断は、年齢の若い者中心に送り出す。後の者は引き続き緊急時に備えて臨戦態勢を敷くぞ♪」


「(-∀-*)心得ました♪」


「( ̄^ ̄)そう言う事だ♪皆、良いぞ♪良く私の訓示を理解してその姿勢を示してくれた。さすがは私が鍛えたお前達だ♪宜しく頼むぞ!」


「「「o(^-^o)(o^-^)oお~♪♪」」」


近郊の森の騎士達は、こうして更なる士気の向上に務める事に成功したので在る。




こうして予選会を経た三城と、あくまでも若者の経験を踏ませる場とした近郊の森の騎士団との四団体を集めての決戦大会が開催された。


場所は緊急時を考慮して江陵城で行われる。漢江に近く、急変に対応しやすい事。総督を江陵の遵守から外せない事が主たる要因である。


公安砦は費観の死守が欠かせない。そして南郡城には鞏志と張嶷を残留させている。とは言っても、鞏志は建築作業の指揮が主だった務めに成っていたから、張嶷の双肩に南郡城は委ねられた。


大会には結局、公安からは費禕、南郡城からは北斗ちゃんが傅士仁を伴っての参加と成った。関羽総督も、冒頭の開会の挨拶を早々に済ませると、江陵の遵守に戻る警戒の仕様である。


趙雲も近郊の森から騎兵3千と共に進発し、身を隠しながらの警戒に入る。趙広は7千の兵をどちらかというと兵の少ない公安砦の近くに展開させて、これも身を隠しながら警備に当たった。


「(o≧▽≦)oじゃあ皆、張り切って行こう♪」


若君・北斗ちゃんの合図と共に競技は始まり、白熱の展開は手に汗を握る。皆、懸命に闘う姿勢は真剣そのものだが、その表情には喜びと愉しさが滲み出ていた。


『☆⌒(*^∇゜)vやって良かったな♪皆、表情が生き生きとしていて、自然と団結力が出て来た。そして何よりも固い絆で結ばれつつ在る。予選会から始まった準備も、土嚢の数や伝書鳩の数を観てもその残った実績も申し分無い。成功と言っても過言はなかろう♪』


北斗ちゃんは皆の愉しそうな表情を見つめながら、嬉しさが込み上げる。そして実績の構築状況にも大いに満足して、気を良くしていた。


朝一から開催された競技はやがて日暮れを迎える頃には一段落した。皆、体力と気力、そして知力と膂力の在らん限りを尽くして、正々堂々と渡り合った。


「o(≧▽≦o)皆、御苦労だった♪とても良いものを観せて貰ったぞ!それでは結果を発表する!」


皆、競技を終えたからには、ノーサイドだ!もはや結果などよりも、自分達が手を抜く事無く懸命に闘い抜いた事にこそ価値を見出だして、満足感を覚えていた。だからこそ、勝者には讃える気持ちを、敗者にはその努力に敬意を示した。


「( ・∀・)格闘部門…剣技は江陵の勝利だ!そして拳闘は公安の勝利とする!」


さすがに後半、追い込んだ南郡城ではあったが、一朝一夕ではこの二城には敵わなかった。但し、意地は見せた。何と剣技でも拳闘でも南郡城の兵は決勝戦まで残ったのである。


これには北斗ちゃんもびっくりしたし、育てた傅士仁でさえ、驚きの顔で嬉しさを滲ませている。


「ε(´皿`*)お前達良くやった♪誇らしいぞ!」


傅士仁は彼らを労い、その勇気と努力を称えた。勝てなかったものの、南郡城の兵は皆、やれば出来るんだという事を身に染みて感じた事だろう。


「( ・∀・)伝書鳩レースは…何と!南郡城の勝利です♪これには僕も驚いたけど、遅れていてもこれだけの成果が挙げられるんだという良い証明に成ったと想う。皆、御苦労様でした。」


南郡城の兵達は雄叫びを上げる。江陵や公安の者達からは拍手喝采が巻き起こった。


「( ・∀・)最後に土嚢リレーだ!今のところ、各城1勝ずつだからね、これで勝った所が優勝だね♪それは…テケテンテンテン♪…優勝は江陵城の諸君!おめでとう♪」


「「o(^-^o)(o^-^)oオ~!!」」


江陵城チームは皆で雄叫びを上げる。


「「ゞ(^o^ゝ)≡(/^_^)/"おめでとう♪」」


他の二城と近郊の森関係者からは拍手喝采だ。


関羽総督も面目躍如で顔が綻んでいる。


馬良も伊籍も安堵の溜め息を漏らした。


北斗ちゃんは優勝した江陵城に黄金旗を掲揚する。そして三城にはそれぞれ黄金旗を形どった印章を授与した。


そして参加した兵達全てに、『努力は必ず報われる』と刻印した金の硬貨を配り、その勇気と努力を称えたのである。まさに粋な計らいと言うべきだろう。


こうしてその大会は、その試みを見事に成功させて、無事に閉会に漕ぎ着けたのだった。


その陰には、趙雲・趙広や費観、鞏志や張嶷など、警戒に当たった者の力添えも忘れては成らない。


最後に蛇足ではあるが建築部門は、後日南郡城でのみ表彰式が行われた。結局のところ、避難先が南郡城近郊に為る事が決定した都合上、江陵や公安での建築がごく一部に限定された為に、公平を欠くという結論に達したからであった。


但し、鞏志の志組の力量は凄まじいものが在り、大会の意気高揚を絡めた事もあって、かなりの成果を挙げた為に、皆がその実績を認めたのだ。


それに彼らのお陰で、避難民の住まいが格段に急ピッチで仕上がる目処が立ったのだから、いずれにしても表彰に値するのは間違い無かろう。


勿論、高々1日の成果などたかが知れているが、これを契機に皆がその意識を持って、これ以降もその行動が継続した事にこそ意義が在ったのだと言える。


北斗ちゃんの示したその方針はこうして皆の心の奥底に深く宿る事と成ったので在った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ