南郡城へ
関羽総督は南郡の始末については敢えて、北斗ちゃんを総督の名代と認定した。つまりはその判断が総督やその幹部達の総意であると決定したのだった。
これには無論の事、伊籍・馬良・糜竺も賛意を表明している。思いっ切りその辣腕を奮って来いという大人達のエールである。そしてその立会人が糜竺で在り、傅士仁で在った。
関羽総督の計らいに依り、費観が援軍として連れて来た9千の兵の内、関羽に合流した6千の兵は一旦、北斗ちゃんに返却された。
元々護衛として残っていた3千の兵を合わせて、連れて来た兵が丸々転がり込んで来た訳だ。
「(*`艸´)何もしてやれぬが、儂のせめてもの気持ちである…」
関羽はそう告げた。傅士仁将軍も居る事だし、後は巧く采配せよ…そういう事である。
「(´_`。)゛爺ぃ~有り難う♪感謝します!」
「(*`艸´)ガハハハ…儂もなかなか粋な計らいをするだろうが♪」
「( ;゜皿゜)はい!この傅士仁感服致しました♪この上は若に真摯に仕う奉る所存です!」
「(*`艸´)その粋や良し!励めよ♪」
「( ;゜皿゜)ノシ ハハァ!!」
『(〃´o`)=3 やれやれ…自分で言ってしまう所が、まだまだだな…まぁでも助かる♪ここは素直に爺ぃ~の粋な計らいを受けておこうか!』
北斗ちゃんは失笑しそうに為るのを何とか抑えた。さすがにそれは不味い。
「(*゜ー゜)では行って来ます♪皆様、後の事は宜しくね♪」
「( =^ω^)ふむふむ♪」
「(‘∀‘ )勿論です♪」
「(*`艸´)任せておけ♪」
「(*´□`)では若君参りましょう♪」
糜竺は北斗ちゃんを見つめるとそう話し掛けた。
「( ・∀・)そうだね!良し出発♪」
「( ;゜皿゜)ノシ 前進せよ!!」
若君の号令に応えて、傅士仁は軍を進めた。
関羽総督を筆頭に残留する幹部達は、彼らを頼もしげに眺めながら、見送ったのだった。
「(‘∀‘ )…行きましたな♪」
「( =^ω^)フォフォフォ…行ったのぅ♪」
「(;`艸´)しかし本当に大丈夫なんだろうな?」
「(‘∀‘ )閣下も同意したじゃあ在りませんか?我々はその為に徹夜したのですぞ…」
「( =^ω^)フォフォ♪閣下!可愛い子には旅をさせよ…ですぞ♪」
「(*`艸´)確かにな…」
「(‘∀‘ )しかし…傅士仁という御方は若君の睨んだ通りの人物でしたな♪」
「(*`艸´)あぁ…儂も誤解していたが、あやつは使える男だな!あれが傍に居れば大丈夫だろう♪」
「( =^ω^)で、御子息には?」
「(*`艸´)あぁ…言い含めてあるから心配致すな!奴は出来る男だからな!」
「( =^ω^)フォフォ…しかし馬良殿もお人が悪いのぅ♪隠し立てするとは…」
「(‘∀‘ )否、否…安全の為ですよ♪若君のお邪魔は致しませんから…」
関羽総督の肩の上には一羽の鷹がいつの間にか留まっている。その刃の様な鋭い眼には遠くを見つめる秘めたる想いが感じられた。
関羽は口に手を充てるとピュイっと口笛を吹く。それが合図と為って鷹は翼を広げると、雄々しく飛び立って行った。
三人はそれを眺めながら、やんややんやの拍手喝采である。果たしてこれが何を意味するのかはまだ定かでは無い。
「(*`艸´)しかし…趙雲の方には知らせて居らぬのだろう?大丈夫なのか♪」
「(‘∀‘ )知らせようにも手立てが在りませんからね?そこは慎重さが出てきた若君です♪そもそも今回のプランには彼の暗躍は折り込み済みだと考えるのが、妥当でしょうからね…心配無いかと!」
「( =^ω^)フォフォ♪若の根底に在るのは、悪戯を地で行く事じゃからな♪これは董允殿の受け売りじゃが、まぁ原動力になるなら良いじゃろう…」
「(‘∀‘ )ですよね♪我々大人が考えもつかない奇抜なアイデアの源はその辺りかと!まぁ基本路線は悪く無いのですから、後は我々大人が丸く納めてやれば宜しいのですよ♪」
「(*`艸´)ガハハハ…多額の保険を掛けたからのぅ♪後は果報は寝て待てと言った所か…」
「(‘∀‘ )ですよね~♪上手く行くと宜しいのですが!」
「( =^ω^)大丈夫じゃろう…やれる手は打ったからのぅ♪」
三人はニコやかに微笑むと、踵を返して職務に戻って行った。そこには太子を想う三銃士の姿が在った。
「( ・∀・)皆、久し振りだね♪悪いんだけど、なるべく急ぎたいんだ!訓練だと思って、駆け足で頼む…騎馬は歩兵の足に合わせる事!いいね♪」
「「「(;´∀`)おぉ!!!」」」
皆、いきなりのスパルタ振りに驚くも、意図が在ると判断して、気合いを入れてくれる。無茶はしないと判っているようだ。
北斗ちゃんは10km置きに足を停めて、休憩を挟みながらも、長駆一路、南郡を目指した。朝早く出た事もあり、昼げをのんびりと取ると、午後の昼下がりには南郡城を眼下に捉える。
すると、2千の騎馬隊を配下に納める張嶷が彼らを待ち受けていた。
「(´▽`)お初にお目に掛かります♪私が張嶷で御座います!丞相からは若君の手足となる様に仰せ使っておりますので、何なりとお申し付け下さい♪」
張嶷はさすがに若者らしく溌剌としていて、その立ち居振舞いも清々しい印象を与える。そして何より、武威も知略も兼ね備えた武将なのである。
「( ・∀・)あぁ♪こちらこそ宜しくね!」
北斗ちゃんは糜竺と傅士仁を紹介すると、張嶷に告げた。南郡の始末に対する簡単な方針と彼の役割である。
「(´▽`;)何と!この私を南郡の太守に為さるか?それはかなり大胆な策ですな!」
「( ・∀・)大丈夫だよ!費観は公安砦の城主だぞ♪同い年の君が出来ぬ筈は在るまい!」
「(´▽`*)ハハ…それは過分な評価を頂き、恐れ入りまする♪まぁ、やれぬ事は在りませんが、何分まだこの地に馴れておりませぬゆえ、御教授頂きながら、真摯に務めまする…それで宜しければお受けいたそう♪」
「( ・∀・)あぁ…それでいいよ♪何なら"彼"に色々と教わってくれても良い!」
「(´▽`)ハハ…そういう事ならば拝命致します♪」
「( ・∀・)良し!これで決まりだね♪南郡城内の様子はどうだい?」
「(´▽`)今の所は静かですな♪鞏志殿が抑え込んでいるご様子…師には傍観せよと言われてますので、取り敢えず放置してあります♪」
「( ・∀・)へぇ~意外とその男やり手なのね?」
「(´▽`)はぁ…どうですかな?聞いた話では人により評価の違うお人の様です♪若君のココで御判断為されませ!」
張嶷は手の平を胸に充てた。その心の内で検分せよ…と言う事らしい。人の噂はあくまで噂…その目で確かめよ、そういう事である。
『(^。^;)若いのに大した男だね…丞相が期待するのも分かる気がするな!趙雲の評価もグンバツだからね♪』
北斗ちゃんは変に感心しているが、張嶷は彼と比較しても遥かに年上である。まぁ日頃から年配者を相手にしている彼にしてみれば、自分の歳に近い事は確かな様であるが…。
「(´▽`)ではゆるゆると参りますかな?御下知を!」
「( ・∀・)そだね♪変に刺激するのもつまらんからな…。張嶷!君に8千の兵を預けるから、いざとなったら"彼"と一緒に南郡を包囲せよ!無事に引き継ぎを受ければ、黄金旗を掲げる事にする♪」
「(´▽`)ほぉ~♪それは頼もしいですな!承知しました、ご健闘をお祈り致します♪」
張嶷は割とアッサリと引き下がる。欲が無く、出しゃばらず、とても沈着冷静な男である。
ある意味、クールとも取れるし、サッパリとした性格なのかも知れない。或いはそれだけ若君を信頼している証で在ろう。
「( ・∀・)フフ…君のように物分りが良いと話が早くて助かるよ♪じゃあ頼む!」
「(´▽`)お任せ下され♪」
こうして北斗ちゃんは1千の騎馬隊のみを連れて、南郡城の城門に辿り着く。
「(*´□`)開門!開門!」
糜竺は臨戦態勢に在る南郡城の前に立ち、城壁の上の方に向けて声を掛けた。
すると、城壁の端からヒョコっと顔が覗き込む様に眼下を見下ろす。鞏志である。彼は直ぐに首を引っ込めると、大声で指示を出した。
門はあうんの呼吸で開き始め、やがて地響きを立てる様に橋が掛かる。
南郡の城は周囲を壕で囲まれている為に門扉が縦に長く、降ろす事で橋が掛かる仕組みと為った強固な造りとなっており、その様はまるで要塞である。
北斗ちゃんはその造りに相当な関心を寄せている。平城にしてはかなりの難攻不落さを要しており、心の中ではかなり冷や汗を搔いていた。
『(^。^;)これではさすがの趙雲も人を送り込めない訳だ…これはかなり厄介な事だな♪』
無論だからこそ呉が手をこまねいているのだろうが、逆の見方をすれば、反旗を翻された場合には、かなり手を焼く事になるだろう。
彼の冷や汗の源はその辺りにあるのだ。
鞏志は五人程の兵を伴って、城門の前まで進み出ると、彼らを迎えてくれた。
「(゜Д゜*)これはこれは糜竺様…いったいこれはどういう事で在りましょうか?昨日の今日で驚きましたぞ…」
「(*´□`)あぁ…お前さんも長くの統制は厳しかろうと思ってな…出来の悪い弟の世話を焼いて貰う訳にもいくまい!閣下に相談した結果、都から来ている監察官殿をお連れして早期に対処せよという運びと為ったのだ…紹介しよう♪こちらが董斗星どのだ!」
糜竺は鞏志に北斗ちゃんを紹介する。鞏志は不思議そうな顔で監察官を見つめた。
『(゜Д゜*)…何だ!まだ偉く若いじゃないか?閣下もこんな若僧を送り込んで来るとは、焼きが回ったのではないか…』
彼がそんな事を頭に描いていると、その若僧が声を掛けて来た。
「(*゜ー゜)ウオッホン!鞏志殿とやら…面倒臭い事は早めに終わらせよう♪僕もそんなに悠長な身の上では無いのだ!つまらん事に駆り出されて正直、迷惑しておる。この辟易した気持ちが御主に判るかね?否、判らんだろうな…さあさあ案内せよ!」
「(゜Д゜#)はぁ…承知しました。ではこちらへどうぞ( ゜д゜)ノ♪」
鞏志はかなりの変人振りな監察官に冷や汗を搔いている。そして想わず糜竺の方を横目でチラッと眺めながら恨めしそうな表情を見せた。
糜竺は大袈裟に両手を軽く持ち上げると、肩を竦めて見せた。その顔は、取り敢えずやらせてあげてくれ…そう示唆している。
仕方なく鞏志は畏まって案内に自ら立つと、連れて来た配下に糜芳を連れて来る様に指示を下した。
彼らが案内された所は南郡の政務を取り仕切る広間で在り、机の上には色々な書物が山積されている。
鞏志が気づくと、傍に居た筈の監察官殿はそこにはおらず、何といつの間にか机の傍に寄って、書簡の束を広げながら、中身の検分中であった。
「((゜□゜;))な!あんた何をしているので?」
彼は想わず驚きを発する。少々お下品な物の言いようである。
「( -_・)ん?あんたとは聞きづて成らないな!僕は仮にも丞相代理でここ荊州に来ておる。更に言えば総督閣下の名代でも在り、全権を委任されているのだ!その僕が誰に文句を言われると言うのかね?」
この若僧は威厳に満ちており、とても只のガキとは思えぬ態度である。しかもその落ち着き振りから、只のポーズとも思えない存在感が漂っていた。
鞏志は伊達に年月を費やしただけの男では無く、それなりの苦労もして来たので、その瞬間に、『(゜Д゜#)おやっ?』と経験足から閃きを感じていた。
「(゜Д゜#)これは失礼致しました!どうぞ自由に御覧下さい♪前任者がかなり、遊びにかまけておりましたので、問題が山積しており、その確認で一昼夜を過ごしておりました…何かご教授頂けるのならば、これに優る幸せは御座いません…」
『( ・∀・)ん?あれれ…』
北斗ちゃんは鞏志の意外なリアクションに少し驚きを感じていた。城を引き継いでから、放り出された書簡に目を通すのに必死になるとは案外、まともな男なのでは?そう感じていたのだった。
悪さを企んだり、虚栄心が強いだけの男ならば、そんな事は考えず悪巧みに熱中する筈である。彼はそんな足跡を追えないかと、机の書簡を押さえに掛かったのだが、それは見事な程に放ったらかしになっていたで在ろう民の訴状の山なのであった。
「( ・∀・)あぁ…そうなの?それは御苦労様ですな♪必要ならば、後で僕も手伝って進ぜよう…」
彼は反射的に素が出てしまった。心の内に秘められた優しさは、なかなか隠し切れないものである。彼はここに至ってより先、横柄な監察官を演じて来たのに、早くも馬脚を現す事になってしまった。
『( *゜A゜)あり?この男…案外良い方なのかしら?』
鞏志もふとそう感じていた。互いに先入観が先に立ち、誤解を産みかねない言動をしていたものが、触れ合う事により氷解しようとしていたのである。
そんな矢先に、五人の男達に依って糜芳が引き出されて、連れて来られた。そのためにその氷解は先送りとなった。
今や無念な程に打ち拉がれた糜芳叔父は、見る影も無い。北斗ちゃんはそんな叔父を見つめながら、やる瀬無い想いを感じていた。