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昔話も時には役立つ

こうして真夜中から始まった秘密の討議は、一旦幕を閉じた。どちらかというとこれからが大変である。何しろ机上の論理で終わらす訳にはいかない(たぐ)いの物だから、準備に奔走しなければ成らない。


関羽総督と馬良・伊籍は元々の仕事を抱えながら、時間を割いてくれているため、討議終了後にはそそくさと引き揚げて行った。


「若!( ;゜皿゜)ノシ どうしますか?」


公安の職務を外された傅士仁は、体力が有り余って居るので、尋ねて来る。本人としては、太子付きと為ったからには、身の振り方を考えねばならないのだが、まだいまいち要領を得ないのはやむを得ないところなのだ。


「( ・∀・)うんとね♪どうしようかな?うちのチームのモットーは何もない時には身体を休める、これがひとつ。で無ければ自由活動!これは倫理に反しない事なら何をやってもオーケー♪以上だね!」


「( ;゜皿゜)はい?何ですかそれ!そんなんで宜しいので??」


「( ・∀・)うん!だって御上に仕えるってそれなりに大変でしょ?あぁ…そうだ!良い喩え話がある!」


北斗ちゃんは多少苦笑いしながらも、説明を始めた。傅士仁は、何かしらのヒントが得られるのではないかと真剣な眼差しである。


彼は意外に思われるかも知れないが、真面目なのだ。まぁ…生真面目ではないけどね♪


『( ;゜皿゜)…』


「( ・∀・)では話すね♪始まり始まり☆彡テケテンテンテン♪昔、ある所に…」


「( ;゜皿゜)ちと待って下さい!昔話ってそっちの事ですかい?」


「( ・∀・)何で?喩え話っつ~たら普通は昔話でしょうが?」


「(ノ)゜Д。(ヽ)あらま…まぁいいでしょう!お聞きしますよ♪これも給料分ですからな…」


「(*゜ー゜)ププッ…そんなに毛嫌いしなくても、普通にためになるお話だけどね?」


「( *゜皿゜)=3 ホントにぃ?じゃあ張り切ってど~ぞ♪」


傅士仁も多少は演出に気を使ってやる。


「( ・∀・)じゃあ…仕切り直しね♪始まり始まり☆彡テケテンテンテン♪昔、ある所に…」


『( ;゜皿゜)やっぱあっこから始まんのね…』


傅士仁は苦笑する。


「…鳳雛(ほうすう)と呼ばれる酔っ払いがいました♪彼は元々は美周郎(びしゅうろう)に仕えていましたので、その葬儀に参列した際に、伏龍(ふくりゅう)さんに久し振りに対面して、大耳(おおみみ)に仕えるよう誘われます…」


「…彼の才を惜しんだ者によって碧眼児(へきがんじ)に引見されますが、、鳳雛は風貌が醜かったので、碧眼児はその碧眼を歪ませます。彼は美周郎の様な美しい人を好みました…」


「…そしてさらには、鳳雛が碧眼児の問い掛けにきちんと答えなかった事から疎まれてしまいます。そこで鳳雛は仕方なく南の国に仕えるのは諦めて、次に伏龍さんに紹介された大耳に仕えるべく面会に及びます…」


「大耳は伏龍さんから、鳳雛の事は予め聞いていましたし、彼はその風貌で人を判断する様な事は無かったので、きちんと話を聞きました。ところが鳳雛は碧眼児に疎まれた一件から、大耳を試してやろうと名乗りませんでした…」


「…そんな訳で大耳は彼が伏龍さんが推挙する鳳雛なのか判断が出来ませんでした。そこで彼を閑職の地方県令に宛がってしまいます…」


「…すると鳳雛は余りにも退屈なので、せっかく就任したのに、1ケ月の間酒ばかり飲んで職務を怠け、遂には村人たちから訴えられることになります…」


「…大耳はせっかく宛がってやった仕事をサボり、訴えられた男を放置出来ずに、信頼している配下の燕人(えんひと)を派遣して、詰問させます…」


「…すると鳳雛は、燕人に凄まれて仕方なく身なりを整えると、その面前で村人たちを並ばせて、溜まっていた1ケ月分の訴状を半日で全て片付けてしまったのでした。しかもその裁き方の見事さを観ていた燕人は鳳雛に感心してしまい、彼を褒めます…」


「…燕人はこれは確かに勿体無い使い方だと、鳳雛を直ぐに連れ帰り、改めてその才能の豊かさを愛でて、主君の大耳に彼を推挙し直しました…」


「…これによって、大耳は驚きを表明し、彼の名を確かめます。するとここでようやく自分が伏龍さんに推挙された鳳雛である事を明かしました。大耳は大いに恥じ入り、その才能を認めて、自身の行為を今後は戒める事になります…」


「…こうして鳳雛は伏龍さんと同じ官職を与えられて、大耳に多大な貢献をして大いに彼を喜ばせました♪…とさ!( ・∀・)以上…判った?」


「( ;゜皿゜)…、…、…否、まるっきし判りません!」


「(^。^;)まじで??」


「( ;゜皿゜)ノシ はい!何が何だかさっぱりっす!」


「(^。^;)あらま!ちと喩えがエグ過ぎたかな?反省反省…じゃあね、答えを明かそう♪」


北斗ちゃんは頭をポリポリと搔くと吐息を吐いた。


「( ・∀・)えっとね!伏龍さんは孔明の事ね!これは判るっしょ?」


「( ;゜皿゜)あ!そういう具合なんすね?じゃあ鳳雛って龐統先生の事ですな?じゃあこれは龐統殿の話っすか?」


「( ・∀・)そうそう!判ってんじゃん?じゃあ後も判るっしょ?」


「( ;゜皿゜)…う~んと美周郎は周瑜ですな?」


「( ・∀・)うん!正解だよ♪さすが傅士仁ちゃん♪」


「( ;゜皿゜)ノシ おっし!じゃあ燕人は張飛将軍だ!」


「( ・∀・)そうそう!いい調子!その意気その意気♪」


「( ;゜皿゜)若君、あんた褒め上手ですな!大耳は…恐れ多くも陛下(劉備)じゃあないですか♪若!大胆ですな♪」


「(*゜ー゜)ププッ…まぁ叩きつけられた意趣返しにはちょうど良かろう♪」


「( ;゜皿゜)…碧眼児っつ~のはもしかして孫権殿なのでは?」


「( ・∀・)お~やったじゃん!これでほぼ正解の華丸だね♪」


「( ;゜皿゜)ノシ ちょっと待ってくんさい?まだ誰かいましたっけ?」


「(*゜ー゜)フフ…表面には出てないけど居るね♪」


「( ;゜皿゜)…村人…たち…とか?」


「( ・ε・)ブー不正解!!」


「( ;゜皿゜)…」


「( ・∀・)…」


「( ;゜皿゜)…判りません!」


「(*゜ー゜)フフ…彼の才能を惜しんだ者だよ!」


「( ;゜皿゜)!!あぁ…何だ!そうか…魯粛殿ですな?」


「( ・∀・)良し!大正解だ♪これで完璧だね?」


「( ;゜皿゜)…何ですから通しでお願いします!じゃないと訳が判りませんぞ♪」


「(´。`)=3 そうかな?じゃあ仕方ないね♪」


「( ;゜皿゜)ノシ それが良いかと!」


「( ・∀・)じゃあ御言葉に甘えて!拍手は?」


「( ;゜皿゜)…パチパチパチ♪」


「( ・∀・)じゃあもう一度、話すから聞き漏らさないでおくれよ~♪」


北斗ちゃんはそう言うと話し始めた。


「( ・∀・)じゃあ…仕切り直しね♪始まり始まり☆彡テケテンテンテン♪昔、ある所に…」


「…龐統(ほうとう)と呼ばれる酔っ払いがいました♪彼は元々は周瑜(しゅうゆ)に仕えていましたので、その葬儀に参列した際に、諸葛亮(しょかつりょう)さんに久し振りに対面して、劉皇叔(りゅうび)に仕えるよう誘われます…」


「…彼の才を惜しんだ魯粛(ろしゅく)によって孫権(そんけん)に引見されますが、、龐統は風貌が醜かったので、孫権はその碧眼を歪ませます。彼は周瑜の様な美しい人を好みました…」


「…そしてさらには、龐統が孫権の問い掛けにきちんと答えなかった事から疎まれてしまいます。そこで龐統は仕方なく呉の国に仕えるのは諦めて、次に諸葛亮さんに紹介された劉皇叔に仕えるべく面会に及びます…」


「劉皇叔は諸葛亮さんから、龐統の事は予め聞いていましたし、彼はその風貌で人を判断する様な事は無かったので、きちんと話を聞きました。ところが龐統は孫権に疎まれた一件から、劉皇叔を試してやろうと名乗りませんでした…」


「…そんな訳で劉皇叔は彼が諸葛亮さんが推挙する龐統なのか判断が出来ませんでした。そこで彼を閑職の地方県令に宛がってしまいます…」


「…すると龐統は余りにも退屈なので、せっかく就任したのに、1ケ月の間酒ばかり飲んで職務を怠け、遂には村人たちから訴えられることになります…」


「…劉皇叔はせっかく宛がってやった仕事をサボり、訴えられた男を放置出来ずに、信頼している配下の張飛(ちょうひ)将軍を派遣して、詰問させます…」


「…すると龐統は、張飛に凄まれて仕方なく身なりを整えると、その面前で村人たちを並ばせて、溜まっていた1ケ月分の訴状を半日で全て片付けてしまったのでした。しかもその裁き方の見事さを観ていた張飛将軍は龐統に感心してしまい、彼を褒めます…」


「…張飛将軍は、これは確かに勿体無い使い方だと、龐統を直ぐに連れ帰り、改めてその才能の豊かさを愛でて、主君の劉皇叔に彼を推挙し直しました…」


「…これによって、劉皇叔は驚きを表明し、彼の名を確かめます。するとここでようやく自分が諸葛亮さんに推挙された龐統である事を明かしました。劉皇叔は大いに恥じ入り、その才能を認めて、自身の行為を今後は戒める事になります…」


「…こうして龐統は諸葛亮さんと同じ官職・軍師中郎将を与えられて、劉皇叔に多大な貢献をして大いに彼を喜ばせました♪…とさ!( ・∀・)以上…どう?今度こそ判った?」


「( ;゜皿゜)ノシ 判りました!が、始めから何とか成らなかったので?」


「(^。^;)=3だって簡単過ぎて(ひね)りが無かろう?話してて面白くないじゃん?」


「( ;゜皿゜)=3そう言う問題では無いかと?で!結局は何が言いたいんです?」


「( ・∀・)んとね♪だから閑職である今は身体を休める手も在るって事かな?或いは自分が龐統には劣ると考えるならば、自分磨きの時間に充てる手も在るって事だな…」


「…時間は誰に対しても平等だからね♪これを生かすも殺すも自分次第って事かな?」


北斗ちゃんはそう言うとほくそ笑んだ。


「( ;゜皿゜)…成る程、つまりはお窺いを立てずに、自分で考えろって事ですかな?」


「( ・∀・)はい!大正解で~す♪ね!面白かったでしょう?」


「( ;゜皿゜)=3はぁ…参りました!しかしそんな回りくどい事を…あんたいつもやってるので?」


「( ・∀・)言葉遊びじゃあないか♪人間ユーモアを忘れたらつまらんよ!どんなに大変な時でもね♪遊び心が必要って事かな?」


北斗ちゃんは再びケラケラと笑った。


「( ;゜皿゜)恐れ入りましたな♪判りました!自分で考える事に致します☆彡」


傅士仁も苦笑いしながらそう答えた。


「( ;゜皿゜)ん?待てよ!南の国は呉の国って事になりますよね?」


「(*゜ー゜)ププッ…そこまで説明いるかい?」


「( ;゜皿゜)ノシ それでこそ完璧って物ですからな!」


「(*゜ー゜)フフ…それは蛇足という物だろう♪喩え誰かが聴き耳を立てていたとしてもそう言うに違い無いさ♪」


北斗ちゃんはそう語ると、嬉しそうに微笑んだ。


傅士仁はこのユ~モア溢れる若殿のおおらかさに触れて、更なる親しみを覚えていた。


彼は諦める様に吐息を吐くと、自室に引き揚げて行く。


『( ・∀・)これで少しは自分なりに、自由に動く事が出来る筈だ♪』


北斗ちゃんは引き揚げる傅士仁の背中を見送りながら、そう感じていた。彼の配下たちは、いちいち確認をしなくても、自分が良いと感じた事を自由に表現出来る。


北斗ちゃんは傅士仁にもそうして欲しいと願っていた。決まり事の中でも自分の判断力を磨く事!それが組織として確立されつつあるチーム北斗ちゃんにとっては重要な事だと彼は感じていたのである。

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