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相手を壺に嵌めろ

辺りはそろそろ白み懸かって来ている。朝日が顔を出す刻限に成ろうとしていた。


「(*゜ー゜)…一旦、皆頭を休めてくれ!少し仮眠を取ってまたお昼頃に集まろう♪そうだな…ゆっくりと昼げを取ったら集まってくれ!ここでまた内密に話し合いの続きをしよう♪馬良、悪いがその時には伊籍も同行して貰って欲しい。彼も我々の仲間だからな!」


「(‘∀‘ )承知致しました♪お連れします!」


「(*゜ー゜)頼む…あと爺ぃ~その時には、魏に対する策も披露出来る筈だ!」


「( *´艸`)フッ…若!余り肩に力を入れ為さるな♪儂は貴方の味方だ!そんな事はいずれ結論を出せば宜しい!急いては事を仕損じますぞ♪」


関羽と馬良は一旦引き揚げて行った。


「(*゜ー゜)傅士仁!貴方は暫くここに逗留だ♪作戦には貴方の存在を秘し、公安にいると想わせねば成らないからね♪いいね?」


「( ;゜皿゜)無論そのつもりですから…ご心配無く♪」


「(*゜ー゜)…ふむ!結構♪では寝るとしよう!お前は好きな部屋を使ってくれ!お休み!」


「( ;゜皿゜)はい!では失礼します♪」


傅士仁も自室の物色に向かった。


『(´つω・。)ちと無理が過ぎた…勢いに任せて張り切り過ぎた…』


彼の体力も既に限界であった。昨日からの公安往復…太守親子は許より傅士仁の説得、そして虞翻である。


まぁ幸いというべきか虞翻に関しては、その正体を知らなかったのだから、この場合は理由には当たらないだろう。彼はそのまま隣室に設けられた自室に向かう。


そして寝台に身体を投げ出す様に、横たえるとそのまま寝息を立てた。




「゜+(人・∀・*)+。♪皆、再び集まって貰いすまない…♪」


北斗ちゃんは良く寝れたせいか元気もりもりである。あいにくと、今朝は朝げを抜いてしまったが、たまには仕方無いといった所である。世の中まま成らないものだ。


集まった面子は点呼を受ける。


「( ・∀・)爺ぃ~♪」


「( *´艸`)おう!」


「( ・∀・)馬良♪」


「(‘∀‘ )はい!」


「( ・∀・)伊籍♪」


「( =^ω^)ホホホ…」


「( ・∀・)傅士仁♪」


「( ;゜皿゜)ノシ ウオッシ!」


「( ・∀・)皆、揃ったね♪有り難う!」


北斗ちゃんは点呼をご機嫌なうちに終えると、ひと呼吸置いた。皆、よく眠れたせいか充実している様だ。


それもその筈で、今朝は伊籍が馬良の代わりを担い、関羽の代わりは関平と趙累とで務めた。傅士仁は当面、居ない存在だから寝て居られる。否、強いて挙げるならば、費観が既に頑張ってくれているのだ。


それだけこの戦略会議は大事だという事なのである。


「( ・∀・)冒頭で報告が在りま~す♪劉璋殿はどうやら当面は大事無いそうです♪ここに来る前に華侘先生を訪ねたら、そう言っておられた。詳しくは省略するけどね♪」


「「「「おおっ!!!!」」」」


座からはどよめきが起こる。明日にも死にそうだと言われた御仁が命を長らえたのだから、皆嬉しい…これは敵の命をも救った北斗ちゃんの姿勢が、じわじわと皆に浸透して来た証である。


「( *´艸`)良かったですな…若♪」


関羽将軍はそう語り掛ける。


「。・(つд`。)・。爺ぃ~♪」


あれだけ無関係な他人の命に無頓着だった彼が、いの一番にそう口に出す。これはひとつの進歩だと言えよう。それが判っているから、北斗ちゃんも嬉しい。そして皆も温かい表情でそれを認めた。


「(´_`。)゛泣いてばかりも居られないな!では皆、改めて討議を再開しよう♪いよいよ呉を去なす作戦に移る。その前に伊籍殿は、情報を共有していますか?」


伊籍は真夜中の討議には参加していないので、北斗ちゃんなりの配慮である。


「( =^ω^)ホホホ…馬良殿が昼げの際に説明下されたのですよ♪ですから承知しています!お気遣いには及びませぬ☆ミ」


「( ・∀・)そうか!判った♪軍師有り難う☆彡」


「(‘∀‘ )いや!お約束ですからな、当然の事をしたまで☆ミ」


「( ・∀・)では始める!例に依って、まず僕の手札を見せるから、その後に皆で討議をお願いしたい♪」


「「「「心得ました!!!!」」」」


「(*゜ー゜)良し!では…この対応策も結局の所は、戦略方針に沿う形に為る。我々の基本は戦わない事!まぁなるべく戦わない事かな?相手在っての事だからね♪けど無用な挑発にはまず乗らない事だ…」


「…そして戦う必要が生じた場合には、必ず勝つ必要性は無い。けれども局地戦では何度か勝たねば成らない事も確かな事だ♪ゆえに楽に勝てる局面では勝利し、その際に相手を無用に擂り潰さなくても良い…」


「…下手に剥きに為るとこちらも死傷者が出るからね!戦略会議で述べた様にこちらの姿勢は、あくまで兵力の温存だから、それを常に念頭に入れておいてくれ…」


「…負けそうな局面では、潔く引く事も念頭に入れる事!この際、負けて後の勝利に繋げる事も大事だかんね♪基本方針はこんな具合だ!まずは戦わないで済む局面ではなるべく戦わない事だね♪」


北斗ちゃんは基本戦略が承認されたものだから、口を酸っぱくして『非攻』を説いた。但し、武闘派の多い、関羽と傅士仁が承知するかは疑問が残る。案の定、関羽が直ぐに口を挟む。


「( *´艸`)若!敵を目の前にしての戦場では勝機という物がある。一概にそうとも言えませんぞ♪それにいきり立つ兵を抑えるよりも、意気高揚して戦わせなければ、士気に関わりますぞ!」


「( ;゜皿゜)ノシ 私もそう思います!戦場は生き物です♪局面はどんどん変化しますから、そんな容易くいけば、苦労はしませぬ!」


最もな意見である。けれどもこれは在る意味、そういう安易な行動に極力走らせないための縛りであって、御意見自体は至極最もな事であった。


「( =^ω^)待て待て!若もそんな事は御承知の上だ♪臨機応変…大いに結構だ!だが命を無駄に減らすなとのお達しなのじゃ…大局を常に念頭に置けば良い事!基本理念は兵を減らさず、増やす事に在るのだからな♪」


「(‘∀‘ )伊籍殿の言う通りです♪なるべく知恵を使い、兵を温存する。そして腕を奮う時には思いっ切りその武威をお示し下され♪それで良いかと!」


「( *´艸`)まぁ…そういう事ならな?」


「( ;゜皿゜)ノシ そうですな…判り申した!」


「( ・∀・)それで良いのだ♪けして戦うなという事では無いからね♪局面を観るという意味では、知恵と工夫が肝要だ!だから、爺ぃ~には常に馬良を軍師として置くから、僕の意向だと思い従うのだ…」


「…そして傅士仁は僕が大将の軍に入って貰う!貴方は僕の指示に従えば良いからね♪但し、伊籍を付ける局面も在るだろうから、その場合は彼に従うのだ!両者共、いいね?」


「( *´艸`)( ;゜皿゜)異論は御座らん♪」


「( ・∀・)良し!では基本方針は決まった!次に相手の作戦に対する対応策に入るよ♪」


北斗ちゃんはサクサクと決定を下して行く。まだまだやる事は沢山あるのだ。


「( ・∀・)対応策もそんなに難しい事では無い。まずは虞翻の誘いには乗る事が基本だ!但し、相手も馬鹿じゃないから工夫はして来るに違いない…」


「…主攻は傅士仁、そして僕に成るだろうな…これは仕方ない。彼は一筋縄ではいかないだろうからね!見事に罠に掛かるとしよう…」


「…そして相手の陽動の抑えは爺ぃ~に任せる。必ず呂蒙が境界線を越えて来る筈だ♪これは抑えねば成らない。何しろ陽動とはいえ、抑えねば江陵を狙いに来るだろうからな…」


「…その時に、爺ぃ~は僕を心配して救援に来ない事!必ず兵の密集隊形を崩す事なく、相手を撃退するのだ♪」


「( *´艸`)無理をせず、撃退にのみ念頭を置き、深追いしないという事で御座るな?」


「( ・∀・)はい♪良く出来ました!爺ぃ~判って来たじゃん♪まさにその方向で頼むね☆彡」


「( *´艸`)任せよ♪呂蒙は儂が見事に抑えてやる!なぁ、馬良♪お前がおれば儂は無敵じゃ♪」


「(‘∀‘ )仰有る通りかと!お任せ下さい♪」


「( *´艸`)だが、敵は虞翻だけじゃないぞ…若!陸遜が必ずおまけに着いて来る!気をつけて下され♪」


「( ・∀・)うん!勿論、それは想定内だね♪大丈夫だよ!こちらも奥の手は在るからね!」


「( ‘∀‘)( =^ω^)あぁ…」


「( *´艸`)成る程…」


「( ;゜皿゜)…?」


「( ・∀・)まぁ…これはあくまで僕ならそうして来るといった手筈だからね…違う場合も在るだろうから、あらゆる手を検討しておくに越した事はないね♪


「( =^ω^)若君!虞翻が仕掛けて来ねばどうするつもりじゃな?」


「(*゜ー゜)ププッ…その場合は何もしないよ♪平和が続いて結構な事だからね!要はこちらは相手の攻勢を許さなければ良いだけの話だ♪」


「(‘∀‘ )確かにそうですな♪仕掛けて来ぬなら、大局に沿って富国強兵に邁進すれば宜しいのですからね♪」


「( ・∀・)まぁ…そういう事になるかな?但し、こちらの肝は、日頃からの準備と間諜に依る索敵だ!用心は常に怠らぬ事だろうな♪」


この後は、あらゆる攻勢に向けての対応策が検討された。そしてその対抗策の構築に知恵を出しあったのだった。


話が出し尽くされて、ひとまずは各々があらゆる場合に備えての対抗策の準備に入る事で、この討議は合意をみた。


そして一段落すると、北斗ちゃんはおもむろに話の方向性を変える。


「( ・∀・)この際だから、魏についての対応策も示しておこうかな?」


北斗ちゃんは魏に対する自分の想いを打ち明ける。それは皆にとっては、意外な内容であった。




ここで魏国の事を語る時には、この人だけは外せないという人物について簡単にでは在るが、ご紹介して置く。その人物とは言わずと知れた曹操(そうそう)である。


この人はかなり後世の評価の別れる人で、稀代の悪人と呼ぶ人も居れば、立派な政治家で在り、漢の功臣と評す人も居た。


彼が悪人と呼ばれる由縁は、時を経た明代に書かれた『三國志演義』の影響が根強いのだと想われる。この小説は我が国でも有名であり、その姿勢は、漢復興を目指す蜀の劉備や諸葛孔明を正義として描かれている。


いわゆる判官(ほうがん)贔屓(びいき)という(たぐ)いの物である。この書物は羅貫中(らかんちゅう)という作家が世に出したものであるが、虐げられた弱者を正義と為す方向性には、当時の時代背景が大きく関わっていると推察される。


当時、中華は(げん)(蒙古(もうこ))という北方の騎馬民族を祖とする外敵に、長い間に渡り占領されており、明の英雄・朱元璋(しゅげんしょう)(初代皇帝)に解放されるまで、漢民族のプライドはズタズタにされていた。


そういった元の圧政を悪と考える民衆の側から眺める景色は、同じく漢の皇帝を傀儡(かいらい)として、我が物顔で国政を牛耳る曹操が悪、それに抵抗する劉備を善として観ていた節が在る。


羅貫中もそういった観点で三國志演義を描いているので、民の心を掴んだのでは無かろうか?そして日本人も元々判官贔屓の民族性だから、人気に火がついたのでは在るまいか?


判官とはあの源義経の事だからである。だからひと昔前までは、三國志演義が小説であり、真実では無い事を知らないで読んでいた諸氏もおられるだろう。


羅貫中という人の小説が与えた影響が、曹操という人物を悪者にしてしまったと言っても(あなが)ち間違ってはおるまい。それだけ人気のあった小説なのだから。


そういった事を踏まえて考えると、曹操という人がそれほど悪人では無いのではないか?…とも思える。これはけして大袈裟な評価では無くて、穿(うが)った見方でも無かろう。


片やの陳寿(ちんじゅ)という西晋の官僚が記した正史・三國志では、曹操の行った功績がちゃんと記されている。但し、正史は勝利者側が記す歴史書であるから、曹操の事を正義の人と書き記すのは当たり前の事だ。


只、この陳寿という人は元々は蜀の出身で在るから、強ちそうとも言い切れない節もある。まぁそれでも結局は御上の御意向に背ける筈も無いのだから、この辺は考えながら読むと面白いかも知れない。


こうした歴史の狭間に消えた真実に想いを馳せるのも、歴史や歴史小説を読む上での醍醐味である。


さて、曹操は宦官の曹騰(そうとう)の孫にあたる。おや?( ・∀・)と思った貴方、正解です!宦官に孫が居るって可笑しいですものね?


それというのも、当時の宦官は権力さえ在れば、養子を取る事が出来たからで、曹操の父親の曹嵩(そうすう)は元々は夏侯氏の出身であり、宦官・曹騰の養子に為ったからでした。


曹操がそういった背景に生まれた人物である事も、彼が悪人と呼ばれる由縁のひとつなのかも知れません。


曹操という人は、とにかく人材を集めるのに熱心な人で、片田舎の埋もれた人材でさえも、才能が在れば呼んで配下にしていました。


特に彼自身が兵法書や政治書、詩にまで才能を発揮して、書き記した書物が在るほどなので、頭脳明晰な人をこよなく愛していました。


彼は人の話に耳を傾け、その考えを検討するのが大好きであり、最後は自分の腹案(ふくあん)にその意見を脚色する事を好む。幅広い意見を集約して、より良い方針を打ち出す。わりかしそんな広い心を持った人だった様です。


彼は政治を正し、民の為の政策として屯田制を導入し、過疎化した地域から中央に国民を集めて、人の居なくなった空白地帯には積極的に異民族の植民を奨励しました。


勿論、異民族を傭兵として取り込み、その戦力を呉や蜀に当てる事も念頭にあったのでしょうが、基本的な考え方は、戦乱で減少傾向に在った漢民族の代わりとしての、労働力の補充であったのです。


但し、どうも奴婢という観点でのものの考え方では無いらしく、土地を提供し、その地に根差し、田畑を耕し、農耕民族としての生き方を求め、租税を納めさせる事が目的で在ったのだろうと思われます。


無論、植民を奨励するにあたっては、向こう何年かの租税免除などの免税策を取ったかも知れないし、さらには租税の代わりとして軍事力としての武力の提供を考えていたのでしょう。


彼はかなり合理的な考え方を持ち、実行力も在ったし、それに何より彼に歯向かえる者が周りには居なかったので、容易く行動に移す事が出来たのだと言えます。


これは将来的に魏王と成る事で股肱の臣で在る荀彧(じゅんいく)諫言(かんげん)を受けるまでは、然したる批判を受ける事なく続くのです。


無論、後漢の最後の皇帝であり、曹操が傀儡(かいらい)として立てた劉協の信奉者たちから命を狙われた事は度々ありましたが、それも先回りした読みと用心、悪運も強かったお陰で、潰し粛清しています。


彼は恐らく、赤壁の戦いで負けなければ、天下統一が出来たのではないでしょうか。


曹操とはそういうカリスマ性のある絶対的な強さを持った人物だったのではないかと思われるのです。




「( ・∀・)…僕はね、曹操という人の全てを否定するつもりは無いんだ!」


北斗ちゃんはそう語り出した。果たして彼は何を語るのだろうか?皆、固唾を飲んで見守っていた。

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