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変革の時

「( -_・)そうだ趙雲、耳を貸せ!」


北斗ちゃんが歩み寄ると、子龍もこちらに歩みを進める。北斗ちゃんはゴニョゴニョとある事を伝えた。すると子龍は少々驚いた様子で、想わず目を見開く。


北斗ちゃんの話しを聞き終えた子龍は彼の瞳を見つめながら、「( ̄^ ̄)私に考えがあります…」と答えた。そして「次にお会いする時までに対策を講じましょう!」と述べた。


「頼む!」彼はそれだけ言葉にすると、満足して、趙雲達を送り出した。


こういった場合、費観も費禕も敢えて余計な詮索はしない。必要な時には必ず頼ってくれる事を理解しているからだ。三人は暮れかかる夕陽の中を馬で疾走する。


「風が強くなって来たようです!急ぎましょう…」


費禕はそう言うと、(あぶみ)に力を込めて先頭を走り始めた。想わず、費観と顔を見合わせた北斗ちゃんは、「やるな!」と言って、馬を追った。費観も「ええ…」と頷くと、手綱を緩めて馬を追う。三頭は風を感じながら、草原地帯を駆け抜けて行った。




江陵城に戻って来ると、慌てたように関平が三人を出向える。今か今かと帰りを待ち詫びていたのが、その表情からは推察された。


「関平殿!( -_・)いったいどうしたのです?何かあったのですか?」


北斗ちゃんは想わず声を掛けた。関平は心無しか青ざめて見える。


「(^_^;)私の口からは申せません…父上が至急お会いしたいとお待ちになっています!」


三人は互いに顔を見合わす。昨日の今日だ。何かあるとすれば、それ以外には考えられない。三人は馬を預けると、その足で関平と共に総督府へと向かった。


関羽は顔を真っ赤にして仁王立ちしており、その前に(ひざまず)く一団に(にら)みを利かせている。それでも北斗ちゃん達が案内されて来ると、途端に笑顔となってこれを迎えた。


「( *´艸`)わ…董北殿、お呼び立てしてすまない…」


関羽はそう第一声を発すると、右手を一団に向けて、「これを御覧下さい!」と述べた。三人は既に入って来るなり、その一団の事は視界に入っていたし、関平に声を掛けられた瞬間には、おおよその見当はついていたので、言われるまでも無かったのである。


それは白装束の一団であった。負傷を押してこの場に居る頭目は、顔を歪めながらも、堂々と座っている。そしてその肩を支えているのは、あの副頭目と目される団子男であった。


『Σ(゜Д゜ υ)あちゃ~参ったね、全く!』


北斗ちゃんは想わず頭の中でそう感じていた。


「( *´艸`)董北殿はこの者たちを御存じとか?」


間髪入れずに関羽が畳み掛けてくる。北斗ちゃんは大きな溜め息を漏らす。


『逃げなかったんだな…(^。^;)まぁさすがにあの傷では怪我人は置いて行くほか無いだろうから、逃げれなかったと言うべきか…で将軍に囲まれて観念した!そう観るべきだろうな…』


北斗ちゃんは即座にそう判断していた。


『(^。^;)何とか助けてやりたいけどな…』


彼はそう想う。理由は色々とある。彼らは恐らく逃げようと思えば逃げられたに違いない。けれども、それは恐らく頭目を犠牲にする事を意味する 逃げなかったと言う事は、彼らが頭目を慕っている事の証しでは在るまいか。


そもそも逃げ切る機会を失っても、医者を呼びつけ手術させる連中である。北斗ちゃんはまず、頭目を見て、それから団子男を見た。頭目は顔を歪めながらも、頭を下げる。団子男はその際、背中に痛みが走らぬ様に支えてやっている。このひとつを見て取っても、統制が取れた上下関係だと判るというものだ。


北斗ちゃんは関羽将軍に向き直ると、「ええ…よく知ってますよ!」と答えた。


「( *´艸`)貴方が彼の手術を手掛けたとか?」


「ええ…( -_・)まぁガッツリ大金も頂戴しましたし!商売繁盛ですな♪」


北斗ちゃんはわざわざ悪ぶってみせる。すると関羽将軍は眉を潜めて、こう答えた。


「( *´艸`)悪ぶらなくて宜しい。董北殿、ネタは挙がっているのだ!しかも誰在ろうこの儂が、貴方が金の亡者で無い事くらい承知している!」


「何が言いたい!( -_・)将軍そろそろ真意を窺いたい。僕に詰問するために呼んだのかね?」


「( *´艸`)そらまぁ、儂は荊州総督ですからな…権利は有すると思いますが、何か?」


北斗ちゃんは強めに出れば将軍が引くと思っていた自分の浅はかさを知る。今日の将軍は一歩も引かぬ姿勢のようだ。


すると、ここで費禕が彼の袖口を引く。振り向くと、首を左右に振っている。無駄な事をするなと、それは言っているように見えた。北斗ちゃんは吐息を尽くと、足掻(あが)きを納めた。


だからと言って『好きにしろ!』と言う訳では無い。彼はまだ諦めてはいなかった。冷静に立ち戻り、違う解決策を見出そうと考えただけである。すると関羽総督は可笑しな事を提案した。


「( *´艸`)こいつらは、貴方に忠誠を誓うと言ってますが、どうしますか?こいつらの生殺与奪の権を握るのは、どうやら貴方の様ですから、配下に納めると仰有るならば、儂はこれ以上関与しません。貴方の好きになさい…」


「…但し、彼らを逃す事や権利を放棄される事はこの儂が許可しません。その場合は、可哀想だが、始末する他ありませんな?どうされます…これは儂の最大の譲歩であり、なかなか見せぬ慈悲の心です。さぁ、如何されます?」


北斗ちゃんは改めて連中を見る。皆、覚悟を決めた目をしている。


『(^。^;)やれやれ…』


北斗ちゃんは再び大きな溜め息を着いた。


「判った、判った!(^。^;)僕がまとめて面倒見るから心配するな!全く…人の人生に深く関与する時には、最後まで面倒を見る覚悟が必要か…その通りになったな!僕は中途半端な気持ちで助けた訳じゃない。その代わり、しっかり働いて貰うから覚悟してよね?」


「「「有り難う御座います!!!」」」


一団からは大きな喜びの声が沸き上がる。


費観(*゜0゜)も費禕(*^∀^)も嬉しそうだ。


「( *´艸`)では、そういう事で!儂はこれで引き上げますから、後は宜しく♪董北殿、明日時間を作って貰いますぞ!少し話しがしたい…貴方も相談があるのでしょう?お待ちしておりますぞ♪」


関羽総督はそう言うと、屋敷に引き上げて行った。北斗ちゃんはひとまず彼らの命が救えた事に安堵していた。


「(゜ロ゜)全く!生殺与奪権なんて冗談じゃない!」


彼は少し怒っている。


「(*^∀^)まぁでも命を救えた事ですから良かったのでは?」


「(*゜0゜)そうですよ、将軍にしては粋な計らいかと?」


二人はあくまでも現実的に考えていた。


「(゜o゜)ところでお前、悪かったね…まさか出血していないだろうな?せっかくの手術(好意)を無駄にしおって!」


…とブツブツ言いながら、北斗ちゃんは傷口の確認をしている。


「(;つД`)殿、有り難う御座いました…お陰様で命を拾いました!」


「馬鹿!( -_・)喋るなよ…傷口に(さわ)る。お前は今後1ヶ月は絶対安静だかんな!余計な事すると、傷口に塩塗り込むからね!判った?」


「(;つД`)はい…」


「( -_・)だから喋るなっつ~の、これ命令だかんね?」


頭目(;つД`)はコクりと頷いた。


「費禕、費観!( -_・)お前たち悪いが、配下を使ってこいつらの面倒を見てやってくれ…後、この怪我人は、僕の隣室に運んでくれ!容態が急変すると困る…」


「(*^∀^)はい!」


「(*゜0゜)承知!」


二人はすぐに対応を始めた。


「( -_・)お前はちょっと僕と一緒に来てくれ!色々聞きたい!」


「( `ー´)はぁ…判りました!」


団子男は頭目の安全が確保されると素直に従った。北斗ちゃんは彼を伴って自室に向かう。部屋に入ると、そこいらに医療道具やその材料が所狭しと置いてある。まさに足の踏み場が無いとはこの事だった。


そして机の上には、『孫子(そんし)』『六韜(りくとう)』『左伝(さでん)』『国語(こくご)』等、ありとあらゆる史書が置かれている。男は机の上の書にも確かに目が行った筈だが、特に何も言わなかった。


「まぁ…( -_・)そこに座ってくれ!」


北斗ちゃんは気軽に声をかける。男は黙って言う通りにした。


「(゜o゜)お茶でもあれば良いんだが…」


「( `ー´)否、お気遣いなく、私はもはや部下ですから…」


北斗ちゃんはそんな男を『やれやれ…』と見つめる。そんな時に、慌てて入って来た男がもう一人…弎坐であった。


「(-ω-;)あ~お帰りでしたか?もう御不在の間、上に下に大騒ぎでして!あの白装束の奴等が突然やって来ましてね…」


彼は慌てていたので北斗ちゃんの存在しか認めていなかったのだが、ヒョンな拍子に目の前に白装束が居るものだから、それは大層なぶったまげ方で、飛び跳ねた拍子に天井に頭をぶつける勢いである。


「(-ω-;)何だ、何だ!お前なんでここに居る?」


弎坐は腰を抜かしながらもそう(のたま)う。


「( -_・)僕が呼んだのだ…話しが聞きたくてな!それより、茶を頼む。遠乗りで喉が乾いた…客人と二つな♪」


「はぁ…(-ω-;)ただいま♪」


彼はまだ少し納得がいかない様子だが、取り急ぎ茶を煎れて持って来ると、そのまま引き下がった。但し、器を置く瞬間にチラッと横目で団子男を見つめていく "(-ω-;)…。


「それで…( -_・)状況が見えないので順を追って説明してくれないか?」


北斗ちゃんはそう告げた。


「( `ー´)それは命令ですか?」


「(*゜ー゜)お前、存外面倒臭い奴だね…まっいっか!お前さんがそう望むなら、願いを叶えよう。命令だ♪言いたまえ?」


男はコクリと頷くと、それからは大人しく話し始めた。


「まず…( `ー´)怪我を負った頭目は…」


「(*゜ー゜)ちと待った!悪いが話の前にやっぱり先に名前を聞いておこう♪そうだな…取り敢えずお前さんと頭目の名前だけでいい!後はおいおい名前を覚えるさ♪」


「( `ー´)" ホォ~全ての名前を覚えられるのですか?」


「(*゜ー゜)" ん?そらそうでしょ!仲間であり、僕の大切な配下何だから当たり前でしょう。」


「( `ー´)……あんたやっぱり変わったお人ですなぁ?」


「"(゜o゜)そうかな?普通じゃない…そんなの!」


「( *`ー´)……」


「(*゜ー゜)ひとまず名前からだ♪お前さんだって、いつまでも団子男じゃあカッコ付かないだろう?」


「( `ー´)そらそうですな!では…あの方は管邈(かんばく)様、私は田穂(でんほ)です♪」


「(*゜ー゜)管邈に田穂か♪判った…では話を続けてくれ!」


北斗ちゃんは少し想ったが黙っていた…。名前の事で突っ込みを入れるのは甚だ良くない。


『(^。^;)しかし、田穂とは…いかつい男にしては、可愛らしい名前だな♪女の子みたい…』


彼は一生その事には触れまいと固く心に誓った。


「( `ー´)…??」


彼の話を要約するとこういう事に成る。あの後、目覚めた頭目・管邈は皆に一旦、撤退を指示した。自分の事は良いから見捨てて行けと…。


それと言うのも、彼らは必ず定期的に密命を下す大元に報告をせねば成らず、それは頭目に限られていた。そして頭目が死んだり、負傷して動けなくなった場合には、副頭目がそれを引き継ぎ、一旦撤退する掟になっていたからである。


撤退は即ち、頭目を殺す事を意味する。皆、頭目を慕っていたのでそれは出来ない相談であった。


「( `ー´)管邈様は最後まで、自分を殺し撤退する様、諭されました。けれども我々は彼を見捨てる事は出来なかったのです!」


「(*゜ー゜)…それが人として当たり前の反応だ。お前たちは間違っていない。それで良かったのだ!」


北斗ちゃんは断言した。そして優しい表情を見せる。


「( `ー´)我々の心が通じたのでしょう。頭目は自分を助けてくれた人に降伏しようと言われたのです!」


「(*゜ー゜)でも僕は一介の医者だぞ?それってかなり不思議な事だけどな…」


「( `ー´)確かにそうですが…我々は間者ですぞ!貴方が本国からいらっしゃった董北、字を斗星と仰有る監察官である事は、承知しておりました。毎日のように華侘医師と関羽総督の間を往復している事もね…」


「Σ(゜Д゜ υ)あっそう…」


北斗ちゃんは驚いていた。彼らの諜報能力は伊達じゃない。もしかしたら現時点で、関羽将軍との碁の勝敗が何勝何敗かすらも把握しているかも知れない。


「(*゜ー゜)ところで君たちに命令していた大元は誰かね?」


「( `ー´)満寵(まんちょう)様です。あの方は厳しい御方なのです。我々が降伏したと知れば、殺人部隊を送り込んで来るかも知れません…」


「え!(*゜ー゜)そうなの?それは物騒な話しだな!」


「( `ー´)大丈夫ですよ…我々は滅多な事でやられたりしません!」


「(^。^;)あっ嫌…何でもない!」


「( `ー´)……??」


北斗ちゃんは彼らでは無く、非戦闘員である人達を指したのだが、誤解を招く恐れがあるので言葉を濁した。


「(*゜ー゜)後、一つだけ尋ねる。管邈はいったい誰に斬られたのか?」


これは聞いておく必要があった。恐らくは身内の誰かだろうが、彼らを保護した手前、ある意味それは必然だったのである。けれども、彼の口からは意外な言葉が返って来た。


「( ;`ー´)呉の手練れです!」


彼ははっきりとそう口にした。

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