船上にて
「若ぁ~♪ꉂꉂ(*•̀ᗜ•́ღ*)︎早く!早く!」
廖化が呼んでいる。
「⁽⁽ღ(-ω-*)北斗ちゃん、こっち、こっち!」
弎坐も手をこ招く。
二人とも見掛けないと想ったら、こちらに来ていたようだ。
弎坐はそもそも医官長なので査察には関係が無い。若君の誕生日のお祝いが無ければ、ここに来る事もなかっただろう。だから今朝の視察には早々に不参加を表明した。
「ε-(-ω-*)あちきはここの医療施設を監察し、見直すから北斗ちゃんは目的を果たしてよ♪ちゃんと後で報告はするから!」
「うん!✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)頼むね♪却って君を呼んで正解だ。ここも少しはましに成るだろう…」
北斗ちゃんがそう答えた時に、傅士仁は少々嫌な顔をした。
けれども、彼も海軍の大所帯を預かる身だから、医際の改善は助かる筈だ。直ぐに受け入れてくれた。
弎坐は公言通り、朝からそれに懸かりっ切りだったらしい。船上で風を受けながら寛いでいる。
一方の廖化は立場が変わっても、相変わらず夜の千本打ち込みは続けていて、昨夜も早々に席を立ったのは彼だった。
余りたらふく腹に詰めると身体の動きが鈍くなり、剣に切れが無くなるそうだ。
腹八分目が良いらしく、それを聞いた北斗ちゃんも暴飲暴食を避ける結果となった。
けれども然り気無く、鮭を一切、懐中に入れる事も忘れなかった。
そのお陰で若君は、今朝は二膳目を鮭茶漬けにして、サラサラと美味しく頂く事が出来たのである。
まぁそれは蛇足である。
廖化は今朝は早くから、徐庶先生の出した課題に取り組み、先程それがようやく終わって合流したのだ。
これは日頃、先生から課されているものであり、彼はどんな時でもそれを怠る事は無いのだ。それが彼の長所であり、信頼を置かれる由縁である。
「おう♪(•́⌓•́๑)✧二人ともどうやらお務めは済んだようだね!御苦労様♪」
北斗ちゃんは二人に応える様に労いの言葉をかけた。そして張嶷にも合わせて声を掛ける。
「艦長殿!(❛ ڡ ❛´๑)随分と様になっているぞ♪あの時の費観の雄姿を思い出すな!」
北斗ちゃんは張嶷の想いを知っているから、励ます事を忘れなかった。
「いぇいぇ…⁽⁽(ღ´﹃`٥)若♪私なんぞまだまだ!足許にも及びません。でもそう言って下さると励みになります♪頑張りますよ!」
「あぁ!(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ やると決めた以上は気張れよ♪二足の草鞋は厳しいだろうが、己の本分も忘れないでくれ!」
「勿論です!(٥・▽・)⁾⁾ 任せて下さい♪」
張嶷も即答し、その心意気を感じされた。
「若、どうぞ♪⁽⁽ღ(´皿`*)手をお貸ししましょうか?」
傅士仁が船の上から手を差し出す。
北斗ちゃんはクスりと笑うと「(´°ᗜ°)✧必要かい?」と訊ねた。
「ꉂꉂღ(´皿`*)こりゃあ失礼しました♪若は海の男でしたな?」
傅士仁はそう言って笑い返した。
結局、北斗ちゃんは凪に手を貸してやり、甲板に上がった。見渡すと湖水全体が青く清んで美しさがとても映える。
凪は若君に訊ねた。
「(*^-゜)海の男って?」
北斗ちゃんは凪に答える。それは孫婦人に聞かされた教えだった。
『殿方は海に出て初めて一人前の漢なのです!』
北斗ちゃんはその言葉を今も忘れないと凪に伝えた。そしてこれは自分の目的の原点なのだと告げた。
「(๐•̆ ᗜ •̆๐)善くも悪くも母様の教えが僕の原点に成ったんだよ♪だから今でも母様には感謝している!」
「✧(*,,ÒㅅÓ,,)✧男の浪漫ね!素敵だわっ♪」
凪も感じ入って聞き惚れる。海は大地の母だ。凪の母性がより一層、育まれた瞬間であった。
彼女はだんだんと若君を殿方として意識する様に成っていた。
「ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)張嶷!御主の成果を見せてみよ♪」
「ღ(´▽`٥)宜しいのですか?」
「(ღ´皿`*)⁾⁾ 勿論よ♪三番艦の艦長殿!」
傅士仁は船を擬装から起こし、帆走出来る準備を整えた張嶷に調練を任せた。粋な計らいであった。
「ꉂꉂ(´▽`*)舫い綱を解け!錨を揚げよ♪帆を開け!」
張嶷は次々に指示を出す。彼の指示に合わせて水兵たちがキビキビと動く。
やがて大型船は風を受けて、岸を離れ、湖水をゆっくりと進む。
北斗ちゃんや弎坐は昔を懐かしむ。彼らが船に乗るのは、あの河川氾濫の時以来であった。
費観は帆走中も張嶷に助言を与えている。張嶷は真剣に耳を傾けている。
傅士仁は水兵たちを眺めながら、その都度、細かい修正を行っている。効率性を高めつつも慎重さを失わせないためである。
「ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)キビキビ動け!調練だと思うな♪いつも本番を想定しろ!」
「「「ヘ~イ!!!」」」
水兵たちの士気も高い。何しろ若君を迎えての調練だから緊張感と高揚感に充たされる。
自然とその掛け声も頼もしく、彼らの機敏な行動を観るにつけ、北斗ちゃんも安堵していた。鍛練の成果は否応なく感じられた。
潘濬もあの折に乗り込んだひとりである。彼は若君が曹仁と交渉するに当たり、参謀格として同乗し、的確な助言をして無事に魏蜀同盟を締結した。謂わば功労者であった。
彼はその時の事を帆走する船の上で風に当たりながら思い出していた。
「潘濬、どうしたんだい?(˶• ֊ •˶)」
北斗ちゃんは声を掛ける。すると潘濬は頬を緩めながら言った。
「若♪✧(• ຼ"•ꐦ)」
「|• •๑)” 何だい?」
「想い出しますな!(ღ• ຼ"•ꐦ)あの折りは良くぞ乗り切られた。私が貴方に仕えて正解だったと感じた瞬間でした!」
「へぇ~Σ(,,ºΔº,,*)そうだったんだね?僕は初めて君に会って話した時かな♪法整備の大事さを熱く語ってくれた。僕は君の想いを実現すると約束したね?それは今でも覚えているよ!」
「そうでしたな!(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈ貴方は私を高く買ってくれている。私はその想いに報いるために、今後も精一杯励む所存です♪」
「潘濬!✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)君は僕の道を照らす灯りだ♪僕が迷った時にはその道を示してくれ!それが僕の信頼の証さ♪」
北斗ちゃんは心憎い事をサラリと述べた。潘濬は嬉しそうにコクリと頷く。
凪は若君の潘濬に対する信頼の厚さに感じ入っていた。男同士の友誼に触れ、自分が女性である事に躊躇いを覚えていた。
「元倹♪ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)元気にやってるっすか?」
田穂は廖化に声を掛ける。
「田穂さん♪ꉂꉂ(*•̀ᗜ•́ღ*)︎お陰様で津々がなくやってますよ!徐庶先生にお仕えしていると、日々新鮮です。民の方々の傍に居るのがどうも僕は合ってるみたいだ。母の世話も出来るし、それに兄弟子の諸葛均殿も良くして下さる。書に親しむ機会も増えて、これでも随分と身に着いたんですよ♪本当に若君や田穂さんには感謝してます。有り難う♪」
「いゃいゃ…Σ(٥`⌓´ღ٥)あっしは何も!大した事はやってないっす♪そんな感謝だなんて…」
そう田穂は想わず溢す。
すると廖化は嬉しそうに告げた。
「何を仰る!Σღ(٥ •̀ ̫•́ ღ*)︎⁾⁾ 兄貴と若と三人で居た時が、僕は人生で最高に幸せだったんですよ♪感謝して何が悪いのです?今の僕があるのは、半分は若のお陰、半分は兄貴のお陰です。僕は今でも心半ばで去った事を残念に感じています♪」
廖化の言葉は熱く響く。田穂の心の内を駆け巡り、優しい温もりを感じさせた。
すると北斗ちゃんが横から口を出す。
「そうだぞ!(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧田穂♪お前と廖化は義兄弟じゃないか?それに身辺警護の重要性を彼に厳しく叩き込んだのは、お前の成果だ。彼の行動規範には今でもお前の飽くなき姿勢が生きている。だから廖化は今でも常に田穂、お前と共に在るのだ。人に影響を与えるとはそういう事だ。何てな?」
若君は最後は少し茶化してみせる。
こういう事は真険に言うより、笑顔で伝える方が良い。それに恥ずい。
思春期の若君にとっては、とても擽ったい。そういう事であった。
けれども田穂も廖化もそれで腑に落ちた。
こういう事は自分で言うより他人に言って貰った方が受け入れやすい。特に全てを知った若君だからこそ、心に沁みたのである。
「(*`ᗜ´٥)੭ ੈそういえば、三人で熊肉をたらふく食べたのを思い出しますな!」
田穂がそう言うと、廖化は異を唱えた。
「何だ!ε- (٥ •̀ ̫•́ ღ*)︎兄貴、僕は昨夜の晩餐の時に思い出してましたよ♪」
「うん♪(❛ ڡ ❛´๑)僕もそうだな!孟徳殿が倒れて、曹仁殿が助けを求めて来たんだったな!あの時も周倉に送って貰った奴をたんと食った♪」
「え~っ!Σ(ღ`⌓´٥)あっしだけですかい?参ったっす!」
思い出すのが遅れた田穂は、顔を真っ赤にして俯いている。二人はちょっと遊びが過ぎたと田穂の肩を叩く。
するとそれを聞きつけた弎坐が寄って来て訴える。
「え~っ♪Σ(ღ-ω -〃٥)あの時、あちきも居たのにずっこ~い!三人だけで食べるなんて酷~い♪」
「いゃいゃ…ღ(°ᗜ°٥ღ)✧待て!待て!別にそんなつもりじゃない。ありゃあ僕らの夕食だぞ♪孟徳殿の診察に時間を食って、食事してる暇が無かったのだ。だから周倉から送って貰った熊肉を食べたんじゃないか!そうだよな?」
北斗ちゃんは焦って二人に視線をやる。
けれども残念な事には、こういう時に下手に記憶が良い者は少数派に成り勝ちである。
二人は詳しい経緯は既に覚えてなかったので、返事が遅れる。お陰で弎坐は怪しい瞳で若君を見つめた。
北斗ちゃんは追い込まれて、マジで焦って叫び出す。
「おぃおぃ…ꉂꉂ(°ᗜ°٥)そりゃあ無いだろ!この僕を陥れるつもりかい?元検は母上の許に一度帰ったから後から来たが、田穂、お前は端から居たよな!まさかお前、さっきの事を根に持って…酷いじゃないか!」
日頃は冷静な若君も、食い物が絡むと途端に意地汚い。常日頃の行いがこんな時に裏目に出る。
すると捨てる神あれば拾う神ありと、廖化が思い出してくれた。
「あっ!Σ(٥ •̀ ̫•́ *)︎ღ⁾⁾ それで思い出しました。田穂さん、アレですよ!アレ!化粧の匂いを嗅いだ後です♪」
「あぁ!(〃`⌓´٥)=3 そっか♪あっしも想い出しやした。アレは確かに夕食に違いありません!」
遅蒔きながら、二人の証言が飛び出して、弎坐も矛を収める。
北斗ちゃんは何とかその場が収束して、這う這うの体である。
高々、熊肉の問題で、これだけの修羅場と成る事を知り、凪はまたまた気持ちがグラつく。
この人たちはいったいどういう絆なのかと溜め息を漏らした。
すると豪放磊落な周倉が口を挟む。
「何だ!(ლ ^ิ౪^ิ٥)そんなに儂の熊肉が好きなら、いつでも言ってくれだよ♪たんと獲ってやるだ!そんな事で喧嘩しなさんな♪何なら後でまたご馳走したるだぁ♪」
昨夜さんざっぱら恩に着せた奴とは想えない言い草である。彼も自分の熊肉が評価されて嬉しいらしい。
北斗ちゃんはもう阿呆らしくなって、言葉も無かった。
そんな中でも張嶷の帆走には安定感があり、湖水を一周すると無事に岸に戻って来た。これで視察の旅は終わりを告げた。
最後にバタバタするところが、チーム北斗ちゃんらしい趣で在ろう。岸に降り立った北斗ちゃんは傅士仁に告げた。
「海軍総督としての君の手腕には脱帽した。良くぞここまで訓練したね♪(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 今後も是非とも宜しく頼むよ!但し、怪しげな研究は無しで頼むよ♪」
そう言って笑った。
傅士仁は約束通り、玉と灰のような点火物を提出した。
「若♪⁽⁽ღ(´皿`*)この灰のようなものが、申し上げた火薬です。衝撃を当たえますと爆発しますので、取扱いには十分気をつけて下せぇ♪これからも益々のご活躍を期待しとります!」
傅士仁はそう言って感謝の意を示した。
「否…(ღ • ▽ • ๑ )こちらこそだ♪しっかり頼む!後、費観と張嶷も御苦労だった。城に帰ったら皆に宜しく伝えてくれ!僕らはこの後、劉巴や鞏志を慰労したら、江陵に引き揚げる事に成ろう。周倉と弎坐はどうする?」
北斗ちゃんは訊ねた。すると二人は交互に答えた。
「|•̀ω•́)✧⁾⁾ 北斗ちゃん、僕は一緒に行くよ!現地の医療状況を検分しておきたい。何か改善点があれば早目に対応したいからね♪」
弎坐はそう言って同行する事になった。
周倉はまた違った考えを示した。
「儂は一旦、鍛冶屋に戻りやす!依頼品の納品に走らねば♪(ლ* ^ิ౪^ิ*)では皆さんご機嫌よう!」
そう言って名残り惜しそうに先に発った。
「若♪田穂さん、僕も引き上げます。用事が終わったら帰る約束です!(٥ •̀ ̫•́ ღ*)︎諸葛均殿の負担も大きくなりますから、名残り惜しいですが、お元気で♪」
「あぁ…⁽⁽ღ( •̀ ᗜ •́ *)元検♪君とはもう少し旅をしたかったけど、残念だな!仮に時間が許すなら、先生にも顔を出したい♪徐庶殿にも宜しく言ってくれ!」
「えぇ!⁽⁽(٥ •̀ ̫•́ *)︎判りました♪田穂さん、いゃ兄貴!お互い若のために頑張りましょう♪」
「あぁ…(*`⌓´٥)੭ ੈ勿論す♪元検、君も元気でな!」
こうして彼らの一行は総勢五名となった。北斗ちゃんを筆頭に、潘濬、田穂、弎坐、そして凪である。
キュッキュ君こと大地は、再び傅士仁の許に戻り、紅一点を加えた一行は新たなる旅立ちと成る。
非戦闘員二名を加えたこの一行は、果たして無事に視察を終えて、江陵に帰還する事が出来るのだろうか。
田穂は一抹の不安を抱えながら、馬上の人となった。
その頃、長沙に於いても新たな動きが始まっていたのである。
【次回】叛旗