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海軍の力

紆余曲折は在ったものの、チーム北斗ちゃんの面々は結果的に久し振りの余暇を満喫する事になった。


残念ながら傅士仁と周倉が持ち込んだ自慢の酒は潘濬により没収される事に相成ったため、皆は北斗ちゃんが手配した秦縁自慢のお茶を飲みながら、大いに食った。


凪も想わぬお相伴に預かり、たらふく食べた。彼女は良く飲み良く食べるので皆が驚いたほどである。特に周倉の準備した熊内や南海から傅士仁が取り寄せた鯨肉がお気に入りのようだった。


北方出身の二人の男たちは豪快さを好む。すっかり凪の事が気に入ったらしく、しきりに若君の妃にとすすめた。


二人も悪い気はしないものの、はいそうですかという訳にも行かない。それぞれにまだ気持ちがそこには向かない事情があるのだ。


若君は皆が承知の通り、今が正念場である。河川事業に邁進する手を緩める訳には行かないのだ。


そして凪はまだ父や母と向き合う覚悟が出来ていなかった。人は意識が余所に向いている間はなかなか落ち着いて考える事など出来ないものだ。


他の事はもとより、婚姻など人生に関わる重大事である。そう安々と口に出来るものではなかった。


けれども旨、それぞれがなんとなくではあるが判っていた。この娘がおそらくは将来、太子妃となるだろうという事がである。


だからという訳でもないだろうが、これ以上深く追求する者は居なかった。そんな事はその時になれば判ると思ったのだろう。


皆、それだけ若君の判断を信じていたのである。こうして愉しいひとときは夜長続いた。


そして満足した順にひとりまたひとりと引き上げて行き、やがて幕を閉じた。忙しい中、催された憩いのひとときは無事に完了したのである。




翌日はそういった訳で遅めの始動となった。皆、それでも昼前には起きて来て、それぞれのペースで食事を取る。


その後、正式な軍服に着替えると、要塞の広場に集まった。既に"桃の種"海軍水兵として鍛え上げられて来た連中は集合しており、その時を待っている。


彼らにとってみれば、若君を迎えての晴れ姿を見せる時である。その成果を見せようと大いに心が弾んでいた。


「じゃあ、若♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)ひとつ宜しく!」


傅士仁はそう願い出る。若君の御言葉が聞けるとあって彼らも喜んでいる。大いに励みになる事だろう。


北斗ちゃんもわくわくしている。長年の成果が試される時だから彼も胸を弾ませながら、期待していた。


「"桃の種"海軍水兵の諸君♪(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ君たちは海軍総督・傅士仁将軍の許で鍛えられた精兵だ。国難に際しては力を発揮してくれると信じている。但し、僕の目指すのはあくまでも恒久的な平和である。専守防衛と河川艘帆、外洋航海で力を発揮して貰いたい。宜しくお願いします♪」


そう言って最後はペコリと頭を下げた。


皆、若君の噂は聞いてはいたものの、お偉いさんには違いないから、緊張して臨んでいた。けれども噂に違わぬ気さくな人柄に感銘を受けたのである。


「ガッハッハ♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)皆、御苦労さん!じゃあ、日頃の成果を若君に見せてくれ?頼んだぞ♪」


傅士仁のその一言で号礼が掛かり、目の前では訓練が開始される。それは組手といわれる格闘技術から始まり、操船に必要な掛け声に合わせた行動にも及んだ。


勿論、その場に船がある訳では無いが、それに見立てた高低差をその場に再現するための設営が、いつの間にか施されている。


割と精巧に造ってあるのか、帆の上げ方、たたみ方、そして(いかり)の上げ下げや、船の向きの調整、(もや)い綱のかけ方、外し方などにもそれは及んだ。


「こりゃあ、凄いね♪(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 本格的だな!でも肝心の水の上でやらないで良いのかい?これが水の上だと勝手が違うからね!」


北斗ちゃんは割と判ったような口を利く。彼も知ったか振っている訳じゃない。


彼は南郡域のお(ほり)でたらいの上に乗り、バランス感覚を養う努力をしたし、実際、漢江氾濫の折りには、船に乗って長江を降ったり上ったりしたのだ。


まぁ彼が操船した訳じゃないが、船の揺れに合わせて身体を固定する命綱すら考え実行したのだ。だからこそ言える事なのである。


勿論、それは傅士仁も判っている。


彼の操船する船に若君は乗り、あの曹仁と堂々と渡り合って魏蜀同盟を実現したのである。それに多くの被災者を救い上げたのも確かな事だった。


「えぇ、仰る通りです。⁽⁽(ᵔ皿ᵔღ*)実際は水の上でもやっとります。比較的静かな湖水から始め、流れの強い川の上での訓練も積んでおりますから心配在りません。皆、毎日のように船を浮かべて取り組んでますよ♪それにバランス感覚や水連も積ませております。ほかにも色々とね!」


傅士仁は若君の懸念に誠実に答えた。余程、自信が在るのだろう。その言葉にも力強さが感じられる。


要はこれは陸上の基礎訓練なのだ。そして視察に向けたデモンストレーションであり、目に訴えるアピールでも在った。


北斗ちゃんはすぐに納得した。


本来なら大っぴらにやるにこした事は無いが、大型船は公然の秘密だし、研鑽(けんさん)を積んでいる事を諸国に見せつけるのは得策では無い。肝心の時の切り札にしておくに限るという訳だった。


「あぁ!(*•̀ᴗ•́*)⁾⁾ そうだね♪動きを見れば想像はつく。それに実際、南海に行っている奴等も居るそうだからね!」


「えぇ!⁽⁽ღ(´皿`*)そうです。その者たちは許靖殿の統制下で励んでいるそうですよ♪いゃいゃ、ご心配には及びません。有能な次官をつけてあります!何を隠そう、この儂の息子ですがね?士元(しげん)と申します。やはり蛙の子は蛙ですな♪」


傳士仁は嬉しそうにそう言った。


どうやらそれが言いたかったのかも知れないと北斗ちゃんはすぐに気づく。けれどもそこはサラリと流した。


今の彼なら子を想う親の気持ちも、親を想う子の気持ちも判る。勿論、まだ自分の子が居る訳じゃないが、父を見てそう感じたのだ。


「それは何よりだな!(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧親子二代でこの僕に仕えてくれるとはとても光栄に想う。我らの将来のためにも、息子さんの活躍を祈るとしよう♪」


彼はそう言って士気を上げた。


「⁽⁽(ᵔ皿ᵔღ*)この後は、実際に船を造っている現場見学と、実際に操船した船に乗って頂きましょうか?」


傅士仁はそう告げた。


そして然り気無く、チラリと二人に視線をやる。すると費観と張嶷がほぼ同時にコクリと頷く。


そして二人は足早に真逆の方角に走って行った。その行動は機敏そのもの。手綱がしっかりと握られている事が窺える。


"桃の種"は傅士仁の下、盤石であった。


一行はやがて傅士仁に(いざな)われて、再び要塞の外を回り込み、丘を下ると昨夜の洞窟にやって来る。すると奥の方では明らかに現在進行形で造船が行われていた。


トンカントンカンと木槌の音が景気良く鳴り響き、シューッシューッと(かんな)を削る音が小気味良い。


「こりゃあ凄い!Σ(,,ºΔº,,*)壮観だね♪アレ?でも変だぞ!昨日はあんなもん無かったのに…」


北斗ちゃんはそう言った瞬間に気づく。


「そうか!⁽⁽(•̀ •́๑)(๑•̀ •́)⁾⁾ و✧判ったぞ♪曲がり角だな!あそこで本来は曲がらない訳か?妙に曲がる時、可笑しいとは想ったが、さては!」


北斗ちゃんはそこまで言うと、傅士仁を見つめた。


「さいです♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)さすがは若!察しがいい♪今見ている場所は、昨日は(ふさ)ぎ隠してあったのです。ご承知の通り、ここには鞏志殿お抱えの"志組"の頭領のひとりが常時つめています。彼の技術でここいらの要塞の住居や備品はもとより、造船技術も進化しています。洞窟と同じ岩を用いて入口を隠す扉を造り、地面に敷設したレールで押したり引いたり出来ます。扉そのものも勿論ですが、地面との継ぎ目も化粧をして、とても自然に見えるでしょう?おやっさんは化粧技術じゃあ天下一品です♪お陰様で助ってますよ!」


傅士仁は、誇らしげにそう言った。


「それは凄いですな!✧(• ຼ"•ꐦ)」


潘濬も感心している。


けれどもその時に、田穂が何か変とすぐに気づき口を挟んだ。


「ღ(٥`ー´ )⁾⁾ けど、あっしは腑に落ちねぇ~んで!洞窟とはいえ、(おか)の上には違いないっすよね?どうやって水の上に浮かべるんです?」


「そ~なんだよね?(ღ❛ ⌓ ❛´٥)もっともな意見だ♪」


北斗ちゃんは田穂に同意して、問い質そうとしてある物に気づく。そして急に感心したようにウンウンと頷くと、田穂に教えてやった。


「おぃ、田穂♪✧(❛ ࡇ ❛´٥๑)アレを見なよ!見慣れたものが縦に二本通っているだろう。それに良く見ると、船の先端はこちらを向いてないぞ!」


そう言われた田穂は、若君の指差す先を見る。良く見ると船の下には確かに見慣れたものがあり、洞窟の奥へと続いている。


そう…岩扉を滑らせていたのと同じ形状のレールが、船の下から後方へと続いていたのだ。


「ハッハッハ♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)さすがは若だ!お目が高い。そうです。あのレールは洞窟の奥まで続いています。少し先を御覧下さい。(かす)かに明かりが見えるでしょう。この先はなだらかな坂になっており、ここからは見えませんが、その先には河が通っています。御存知のように船は底は丸く(とが)っていますから、当然作業の際も台座が必要です。ところが頭領は、その台座を左右独立した木材で仕上げ、予め台座には車輪がついております。船が完成したら、台座ごと河べりまで運んで行き、その後、河に浮かべるので♪」


「(٥^-゜٥)けど、それなら台座ごと船が河に落ちるのかしら?」


凪はふと感じた疑問を口にする。


「ハッハッハ♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)姉さん、そこが頭領の腕の見せ所、つまり工夫ですよ♪河に落ちないように車止めが出口手前に造ってあり、船と台座を支えます。後は台座の杭を抜き、木槌で後ろからトントンと叩いてやれば船はその重みで自然と滑り降り、着水する仕組みです。どうです?上手い事を考えるでしょう♪頭領の工夫はこのように至る所に生きています!それに気づいた若君はさすがと言うべきですな♪」


傅士仁は感心したようにそう答えた。


凪は"姉さん"と呼ばれて恥ずかしさが甦って来て、自然と押し黙る。


潘濬と田穂は、(たくみ)の技術力に感銘を受けて造船作業を眺めていた。


北斗ちゃんは、褒められた事には特に関心を示さず、傳士仁に告げた。


「否…⁽⁽ღ( •̀ ᗜ •́ *)僕もとても感心している。さっきのは勘だ。大きな物体を移動させる時、必ず困るのが移動手段だ。本来、船は河に浮かべるものだが、河中で造る訳にはいくまい。必ず(おか)で造る事になる。それは昨日も話題に上がった程だ。こんな丘陵地帯の深い森の中で、いったいどうしているのか?それが僕の疑問だった。すると近くに湖があり、そこにも船を隠している。さらには、造り上げた船は既に南海から外洋に出ているらしい。そう考えると河川を利用するしか無い事は明白だ。すると近くに河が流れているという。そうなると、それを必ず利用していると踏んだ訳だ。そして岩壁のレールだ。僕はかなり興味を持った。頭領はかなりのスゴ腕だ。そして良く見ると、船の台座の下にはレールが走っている。これで大まかな事は想像がついた。河川に浮かべる工夫は判らなかったが、それはご愛嬌というものだろう♪」


北斗ちゃんはそう述べるとまたまた悪戯っ子の瞳を(にじ)ませた。けれどもほんの一瞬の事だったので、誰もそれには気づく者はいなかった。


「✧(๐•̆ࡇ •̆ ٥๐)ところで船はどうやって、外海まで運んだんだい?そんな物があれば、苦労して河川整備や運河構築をしなくて済むが…」


北斗ちゃんは素朴な疑問を口にした。すると傅士仁は頭を抱えた。


「若、実はですな!⁽⁽ღ(´皿`٥ꐦ)(ほとん)どの船は企画に沿った複製品です。ですからそれぞれの部位(パーツ)に分けて陸路で運び、南海の港で完成させたもので、儂もその出来については詳しくありません。息子に任せっきりでして♪ここでは主に改良版を造ったり、研究しております。施設としては水兵の訓練と造船の研究、そして武器についても研究しております!」


傳土仁はそう述べた。


「何だってぇ~?Σ( ꒪﹃ ꒪)」


北斗ちゃんは驚く。


まぁ仮にも海軍総督府であるから、当然といえば当然であった。


「それで何を造っている?(๐•̆ ·̭ •̆๐)」


北斗ちゃんは自然と詰問口調になる。それは仕方無い。報告を受けるのは初めてなのだ。


傅士仁はそれには余り答えたくは無いらしい。けれどもいずれは伝える事なのである。後先が少し早くなっただけだった。彼はやむを得ず説明を始めた。


「それですが、怒らないで聞いてくれます?⁽⁽ღ(´皿`٥ღ)」


傅士仁にしては慎重だ。


そんな事を念押ししなければならない程の研究なのだろうかと、北斗ちゃんも言葉を詰まらせる。しかしながら、一旦聞いてしまった事だから、今さら止める訳にもいかない。


潘濬も田穂も絶句している。凪も余りの展開に驚き、耳を傾けた。


そんな中、覚悟を決めたように傅士仁は口を開く。彼の口から(つむ)ぎ出された言葉は、まるで(くう)を掴むようにさえ感じられた。


「大砲と火薬を開発中です!(ღ´皿`*)⁾⁾」


「大砲だ?火薬だ?(•́⌓•́๑)✧いったいそれは何だ!」


北斗ちゃんはもとより、潘濬も田穂も訳が判らない。凪などはさっぱりだ。


けれどもその時、田穂が「Σ(ღ`⌓´٥)あっ!」と叫んだので、皆ドキリとして、嫌な顔で田穂を見つめた。


このところ、彼が口を挟むと何かが起こる。(ろく)な事は無いと皆、感じていたからだった。


「若!Σ(٥`⌓´ღ٥)あっしは知ってます。いえ、実際に見たのはその形だけですが、大砲は黒くて丸い穴が開いてます!その穴はまるで闇のように暗くて無気味でした。秦縁様の船にはそれがたくさん搭載されてました。ですよね?」


田穂は判らんいきにそう告げた。


けれども傅士仁は否定しなかった。


「あぁ、そうだ!ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)船の砲門が開けば今、御主が言ったような形に見えるはずだ。その暗くて丸い穴から砲弾と呼ばれる丸い大きな玉が飛び出して、目標を破壊するのだ。大砲は本来、長い筒で出来ていて、その筒の中を砲弾が通り、飛び出す仕組みだが、その力を得るために使うのが火薬という訳だ!」


傅士仁の言葉は摩訶不思議で、理解出来る者は居なかった。説明している傅士仁でさえ、本当に理解しているのか甚だ怪しい。


但し、北斗ちゃんも想い当たる節が無い訳でもない。曹操軍を壊滅させたというその破壊力は彼も聞いて知っている。


おそらくそれが大砲というものの威力なのだろう。北斗ちゃんは空恐ろしい気持ちになった。あの曹操孟徳が欲しがったというその大砲には、理屈じゃ無いものを感じる。


多勢に無勢でもその大砲があれば事態を逆転し得る程の破壊力を秘めているという事である。


秦縁はあくまでも最後の切り札の脅しであると告げたらしいが、恒久平和を標傍する彼をしてそんな物を持っているのだから、北斗ちゃんは冷汗を掻いた。


「Σ(,,ºΔº,,*)そ、それでどこまで研究は進んでいるのだ?まさか、そんな物をもう持っているのか!」


北斗ちゃんは慌てて訊ねた。


すると傅士仁は「(〃'皿')" いえ、全く!」とあっさり答えた。これにはさすがに北斗ちゃんどころか他の者もズッコける。


「おぃおぃ、勘弁しろ!(٥´°ᗜ°)そこまで言うから、もう持ってるのかと思ったぞ♪」


北斗ちゃんは阿呆らしいやら、それでいて少し安堵したような、奇妙な気持ちになった。すると傅士仁はこう答えた。


「いゃ、実はですな!(((ღ(´皿`;)秦縁殿とは昔馴染みでして…まぁ正確には奴の父上と懇意にしていたのです。まさかあのガキが大砲などという恐ろしい物を造るとは夢にも想いませんでした!」


「えっ?!=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)それってあの秦縁殿が発明したのか?」


北斗ちゃんも驚く。


「えぇ…ε=(´皿`*)奴の父の代まではそんなもん在りませんでしたからな!間違いないでしょう。奴は惚けた奴ですが、かなりのやり手です。そして頭も切れる。実は儂は昔馴染みのツテで、奴に大砲を分けて欲しいと頼み込んだのですが…」


「断わられたんだな!Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵)」


「えぇ!(〃'皿')⁾⁾」


「お前、それは幾らなんでもずうずうしいぞ!そんなもん皆が喉から手が出る程、欲しいもんだろ?くれる訳無かろう。⁽⁽ღ( • ᗜ •٥ღ)僕でも断わる!それに…」


「それに?(〃'皿')"」


「ꉂꉂ(°ᗜ°٥)あの孟徳殿でも断られたそうだ!まぁ僕らにとっては幸いな事だ。魏のような大国にあんなもん持たれた日には、もはや立つ頼が無いからな!まぁ結果オーライだろう。僕はそんなもんにはそもそも反対だからな♪」


北斗ちゃんはそう言い切った。


これで話しは終わる筈だったが、傅士仁の一言でそれは破れた。彼はこう言った。


「(((ღ(´皿`;)秦縁殿には確かに断わられました。けれども彼は儂が造った大型船の出来映えを眺めるうちに気が変わったのか、少し前向きになったようでした…」


傅士仁は勿体振るように話しを切った。


こうなると却って気になるというものである。さっきまではむしろ話しを打ち切ろうとしていた北斗ちゃんも心がざわめく。


途端に話しに乗り気となった。


「何だ!傳士仁…(๐•̆ ·̭ •̆๐)気持ち悪いな!勿体振るなよ♪それで?どうした!」


北斗ちゃんはせがんだ。潘濬や田穂からしてみたら、恐しいには違いないが、在るなら欲しいというのが本音である。


特に頭の切れる潘濬などは、持っている事が抑止力に繋がると考えている。そして田穂は秦縁のようにその破壊力を示せば、相手の戦意を削げるだろうと想っていた。


片やの北斗ちゃんは強い懸念を抱いている。そもそも彼はガキ大将だから、子供が欲しくなった玩具(オモチャ)を実際に手に入れたら、次に遊びたいという思考に進む事は容易に感じ取れた。人は欲望には抗えない。


そして新しいものを手に入れたら、必ず試してみたくなるものなのである。理性的に物事を考える人間も、それは例外では無いのだ。


物事を推し量る探究心でさえ、知識欲の追究だからである。


「良うがしょ♪(〃'皿')⁾⁾ و✧ではその時の事をお話しするとしましょう!」


傅士仁は待ってましたとばかりにそう答えた。

【次回】昔馴染みは気楽で良い

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