ひとときの安らぎ
「๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐何だよ皆♡すっかり騙されたぞっ♪」
北斗ちゃんは想わずそう溢した。けれどもその言葉には嬉しさが伴っていて、その瞳からは自然と涙が溢れ出る。
これには驚かせた側もいつの間にか感じ入って、貰い泣きしていた。皆が涙を拭いながら頬を緩めて笑みを浮かべる。
「カッカッカ♪ꉂꉂ(ᵔ皿ᵔღ*)大成功♡見事に嵌まりましたな♪」
傅士仁はしてやったりと、張嶷と笑顔で見つめ合い、ハイタッチを敢行する。張嶷も殊の外、上手くいったと満足げである。
「ꉂꉂ(*•̀ᗜ•́ღ*)︎若ぁ♡」
廖化が声を掛ける。彼も嬉しい。
何しろ徐庶の下に配置されてから、まともに会うのも久し振りの事である。この度は事情を聞いた徐庶の心憎い配慮で在った。
「˚‧º·(˚>ᯅ<)‧º·˚元倹♪」
北斗ちゃんも嬉しい。想わず抱き着く。二人は熱い抱擁を交わした。
「(٥ •ᗜ•)⁾⁾ でもどうして?」
北斗ちゃんは訊ねる。
「⁽⁽(٥•̀ ̫•́*)︎張嶷殿が声を掛けて下すったのです♪そういう事ならと玄直様に相談すると、快く承諾下されました。それで遥々やって来たのです♪若のお誕生日ならお祝いしなきゃ♡若はここで産まれたんですものね!」
廖化はそう思いの丈をぶつけた。そうなのである。北斗ちゃんはここ荊州で産まれたのだ。いわばここは彼の故郷とも謂えた。
「๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐有り難う♡とても嬉しいよ♪」
北斗ちゃんは素直にそう答える。張嶷の方にも振り向き、感謝の笑みを浮かべた。
『⁽⁽(´▽`*)…』
張嶷も笑顔で頷く。彼は全てを判った上でこうした采配をふるう事が出来る様に為っていた。
「(•́⌓•́๑)✧お母上は息災かぃ?」
「(っ* •̀ ̫•́ ٥)︎⁾⁾ えぇお陰様で♪」
「(*•́⌓•́๑*)そいつは良かった♪今日はありがとな♡」
北斗ちゃんは心から廖化との再会を喜んでいる。この粋な計らいに感謝していた。
「(。•ω<。)北斗ちゃん♡」
その時に声を掛けて来たのは弎坐である。彼も当初は予定に含まれて居ない筈だった。
ところがそれは表向きの事で在った。もともと北斗ちゃんが何かを企画する時に弎坐を蚊帳の外にする事は無い。
皆の手前、虞翻殿の預かり先としたが、もはや華佗老師が居れば安心であり、却ってその虞翻が弎坐の枷を外す結果に為ったのであった。
「Σ(,,ºΔº,,*)弎坐♡久し振りだね♪元気そうで安心したよ!君も今や医官長だ♪大変な中をありがとな♡」
「⁽⁽(-ω-*)⁾⁾ ううん!そんな事は無いよ♪皆の協力の賜物さ!若君のお祝いにあちきが居ないんじゃね♡」
弎坐はそう答えた。二人も抱擁を交わす。
よくよく考えてみれば弎坐に虞翻をつけたのも北斗ちゃんの深謀遠慮だったかも知れないのである。但し、久し振りの再会を喜び合う二人の表情を見れば、そんな事はどうでも良かった。
北斗ちゃんは第一声をこう発した。そこには常に遊び心を忘れない、本来の若君の姿があった。
「弎坐♪(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ首尾はどうだい?」
如何にも唐突な物言いである。けれども、長年の付き合いである二人にとっては、大した事ではない。あ・うんの呼吸で弎坐には直ぐに判った。
「うん♪⁽⁽ღ(-ω-*)バッチリだよ!我が君は呆然とされてたけど、三人懸かりで大人しく受けて貰った!結果も良好だね♪成都の医師団の判断も的確だったと判って安堵したよ♡」
これは北斗ちゃんが父親に仕掛けたちょっとした意趣返しである。これで長年の蟠りをチャラにしようというのだから、それはとても可愛らしい悪戯であった。
それに親の身体を案ずる子の気持ちにも適っている。弎坐も事情を聞いて進んで協力したのだった。
それに弎坐にとっても陛下の診断が的確だったのか成都の医師団の力量が量れる。わざわざ遠い荊州まで研修に来た成果を確認する良い機会となったのである。
「それは良かった♪(ღ • ▽ • ๑ )」
開口一番、彼はそう言った。
北斗ちゃんだって意地悪でそうした訳でも無い。彼にとっても父親の健康は喜びであった。
「|• •๑)”ㄘラッ♡それで虞翻殿はその後どうだい?忙しい君に預ける事になって申し訳ないな!」
「|•̀ω•́)✧ううん!それも心配ないよ♪彼はすっかり以前の彼じゃないね♪老師とも話しが合うみたいだよ!お陰であちきも助かってる♡」
「|'◇'*)".。oO それなら良かったな♪君は今でも変わらぬ僕の大切な親友だからね!いつまでもそれは忘れないでくれ?」
若君がそう告げると弎坐は感無量となった。
「|ू•ω•)" アハッ♪君もやるね?さっきの聞いてたのかい!でもあれはあちきの本音だから恥ずかしくないよ♪」
弎坐はそう返した。
嬉しいには違いないが、彼も以前の彼では無い。その堂々足る振る舞いに北斗ちゃんはもとより他の者たちも熱い眼差しを送った。
「⁽⁽ღ(´皿`*)じゃあ、そろそろ良ろしいですかな?久し振りの再会も良いものですが、ここはひとつ種明かしも在りますのでな!」
ちょうど機会を捉えたように傅士仁はそう語り掛けた。
「なんだ♪(⁎⁍̴̀﹃⁍̴́⁎)そんな事か?もう必要ないぞ!君たちには見事にしてやられたね?この僕がまさか裏を掻かれる日が来るなんて!でも不思議と怒りは沸いて来ないね。それどころか、とても素敵な気分だよ♪」
北斗ちゃんはそう答えた。
「ほらね!(ღ´﹃`*)言った通りでしょう?」
張嶷は傅士仁にそう語り掛ける。
「あぁ…ε=(*´皿`٥*)確かにな!儂も安心したよ♪」
傅士仁もそう答えた。
「おぃおぃ!ღ(°ᗜ°٥ღ)✧僕はそんなに心が狭く無いぞ♪まぁ確かに少々、癪なのは認めるけどね?」
北斗ちゃんも口を狭む。
そう言った若君の顔が余りにも悔しそうだったので、皆もドッと笑って盛り上がる。たとえこれが細やかな悪戯だとしても、そこには相手を思いやる心と成長が垣間見える、
"考えて行動する自由"が既に皆の腹に落ちて、自然と実践されるようになった、謂わばその成果でも在ったのだ。
「でも…Σ(,,ºΔº,,*)いつから計画してたんだい?それに潘濬や田穂にはいつ伝えたんだ!」
北斗ちゃんはこの二つだけは確めたいと、皆を見渡す。すると張嶷がそれならと種明かしを買って出た。
「(ღ´﹃`)我らも当初は若君の計画に沿って、進めていたんです。これは事実です。ではいったいそれをどこで変更したのかというとですね、ズバリ彼です♪」
張嶷はそう言ってから弎坐を指差す。
北斗ちゃんも反射的に弎坐を見つめる。
当然、皆の視線も彼に集まる。
さすがに自信を付けた弎坐も少々ビビる。明らかに挙動てるのが如実に判った。
「ちょ…(-ω-;)張嶷殿の言う通りです!み…認めます♪」
弎坐はビビりながらもそう答えた。
するとそこからは再び張嶷が引き継ぐ。
「(ღ´﹃`)若君は成都での不遇の時期はもとより、小さい頃からお祝いらしいお祝いをして貰った事が無いそうですね。僕はそれを聞いて驚きました。だから人にはそういった事を然り気無くして下さるのだろうと考えたのです。御存知の様に河川氾濫から始まったこの荊州での取り組みも、だんだんと本格化して来て、その当時から関わって来た潘濬殿、田穂殿を驚かせようとそもそも企画したものでしたが、僕は弎坐殿からそれを聞いて心を決めたのです!」
張疑はそこまで述べると、再び弎坐の発言を求めた。
こういう事は本人に語らせた方が良いに違いないのだ。話しを振られた弎坐はまだ緊張気味だったものの、思い切って打ち明け様と、言葉に気持ちを乗せた。
「あちきはその出自は宦官です。(ღ-ω -〃٥)成都では董允様の許で若君にお仕えして参りました。当時の若君は生活も荒れていて、心も荒んでおりました。何をやってもつまらなそうで、生きて行くのがお嫌な様子でした。 あちきも何度絡まれたか判りません。でもこの方はその都度、ボソッと"スマン"と謝って下さった。初めは余りにもボソッと呟くものだから、聞き取れない程でした。それだけ人生を投げておられたのでしょう!」
弎坐はそう言って若君を見つめた。
まるで当時を咀嚼する様に、想い出しているらしかった。北斗ちゃんもそれを聞いてしんみりしてしまう。
彼は幾度もその過去を悔い、考えない日は無かったが、様々な経験を辺て行く内に、その当時があって今の自分があるのだという事に気づいた。
それ以来、彼は過去を封印する事を辞めた。何も糧は積極的な心から生み出されるものだけでは無い。消極的な苦しい心から得られるものも在るのだという事である。
勿論、それは彼が立ち直ったから言える事であって、あのまま時が過ぎていれば自分はどうなっていたか判らない。けれどもその苦しみの果てから積んで来た経験は、彼の目を開かせる結果となった。
彼は厠の肥溜めに落ちた衝撃から、不死鳥の如く甦った。それは彼の転機となったが、これは偶然の産物に過ぎない。
その偶然をどう生かすのかは、彼のその後の行動に懸っていたのだ。北斗ちゃんはこの偶然に起きた転機を上手く捉えて自分の出発点と考える事にした。
そして様々な負の蟠りを抱えながら、それをバネにして突き進んで来たのである。その結果として今の彼が在り、経験と実績を積み重ねる事で、その負の遺産を少しずつ自分の心の中で解消して来たのだ。
だからこそ、彼は人はもとより自分の心に負けない強さを育む事が出来たのである。培った知識や経験は自分を裏切らない。
但し、それ以上の事を為すにはより大きな知識や経験が必要になる。そこを穿き違えない深謀遠慮と、貪欲に切磋琢磨する逞しさを身につけた今の彼ならば、過去と十分に向き合える覚悟が備っていた事だろう。
だから彼は動じる事無く、弎坐の言葉に耳を傾ける事が出来たのである。弎坐は若君の瞳から溢れ出す輝きに感謝しながら言葉を続けた。
「ε-(-ω-*)でもあの肥溜め事件を切っ掛けとして若君は変わられた。私は若君の積極さに引っ張られるように旅に出て、荊州に辿り着き紆余曲折を辺て今に至ります。初めは巻き込まれた自分を憐れみましたが、結果として天職に出会う事が出来た。それはひとえに若君のお陰!感謝しております。だから何か細やかながらも、恩を返したかった。そこで想い出したのです。董允様のお言葉を!」
弎坐は意を決するように言葉を継ぐ。言の葉はその大輪を開く。その結果、彼の彩る華が咲いた。
「|•̀ω•́)✧⁾⁾ 若君!貴方はこう仰るでしょう。そんな事は君が道を見つけ、努力した成果だと!僕は何もしていないと!もし仮に恩に報いたいと想うなら、君の人生を彩る事で返して欲しいと!でもね、皆そんな事は判っているのです。でもその切っ掛けを与え、君の背中に引っぱられながら、君を信じて培って来たこの経験は、我々の目を見開き教えるものでした。若君…皆、判った上でこの良き日に貴方を祝いたいのです。今日は奇しくも貴方の誕生日♪それを祝う事は董允様の願いでもあります。"良き日に若君の誕生日を祝ってくれ。頼んだぞ!"あちきはその約束を今こそ果たします!」
弎坐はそう述べて説明を終えた。
その言葉尻を捉えて、切々と諭すのがこういった展開の時の北斗ちゃんの十八番なのだが、予めそれを封じた弎坐の先見の明と謂えた。
北斗ちゃんは困ってしまった。
『(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ努力は己の力だ♪』
そう言い含める事で躱すつもりが、見事にその道を封じられたのだから、特に抗う術も無かった。
だから彼は素直に従った。ただ一言、「それはどうも有り難う(๑º ㅿº)♪」と真顔で答えた。
「弎坐!(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 君も成長しているんだね♪それにせっかく皆が結託して進めた事だ!喜んで神輿に乗ろう♪この際だ!泥舟でも構わんぞ?」
北斗ちゃんはそう苦笑しながら告げた。
それを聞いて、田穂は呆れた。
「Σ(٥`⌓´ღ٥)若、そこは抑えましょう!幾ら何でも結託は気の毒ですぜ♪」
「うん?あっそうか!( ๑˙﹃˙๑)✧でもこの僕の敷いた真心を利用したんだから、少しはお灸を据えておかなきゃね♪なぁんてな!それに気持ちは有り難いんだが、僕の生まれた日は先月だ♪孫婦人は優しい人でね、お祝いしてくれた事があるから間違いない!」
「「「えっ?そうなんで!!」」」
これには皆、驚き呆れる。弎坐なんかは涙目になっていた。
「うん!(ღ • ▽ • ๑ )今日は僕が肥溜めに落ちた日だろう。まぁ董允にしてみたら、運が付いた日なんて験を担ぎたかったんだろうが、爺ぃ~らしい遊び心だね?弎坐、君は爺ぃ~に担がれたんだよん♪まぁでも、それも一興だね?今回の一連の事件では、皆に迷惑を掛けた。ここは一つその教訓として、祝う事にしようか?僕の二回目の復活祭だ♪」
北斗ちゃんは大々的にそう宣言した。
まさに董允様々である。"結果オーライ"、良い具合に着地して、場は再び盛り上がった。けれども一つ違うとすれば、結局のところ、北斗ちゃん主導の復活祭に様替わりした事である。
この辺りがまだまだ大人に成り切れない若君であるが、それは仕方無い。彼はまだまだピュアな十代の若者なのだから。
費観や張嶷は弎坐を慰めている。
北斗ちゃんはさっそく潘濬にとっ捕まって、お小言三昧である。
田穂は馬鹿らしくなって傍観しており、傅士仁は潘濬を抑えるように割って入って、取り成している。
凪はこのチームが善きにつけ、悪きにつけて、北斗ちゃんを中心とした運命共同体である事が、痛いほどに良く判った。
大人っぽい知的な集団で在ると想ったら、次の瞬間には、ガキ大将を宥めたり賺したりする保護者集団に様変わりする。
そこには信頼という名の鉄の絆と、子を想う親心が奇妙な具合に折り重なっている気がしたのである。
『✧(*,,ÒㅅÓ,,)✧これは私が人肌脱いで、若君を成熟した大人の殿方にしなければ♡』
凪は、勘違いなのか使命感なのか判らない熱い気持ちに目覚めつつ在った。これが女性が本来持つ母性本能と言うべきで在ろうか。
それは定かでは無いが、この時彼女はそう感じていたのである。凪はおもむろに語り掛ける。
「Σ((๑˃̶͈̀o˂̶͈́๑)☆皆さん♡喧嘩するほど仲が良いって事で♪そろそろ愉しいひとときに致しましょう♡せっかくこんなに美味しそうな食べ物も並んでいるんですのよ♪楽しまなきゃ損!損!」
凪の言葉に、じゃれあっていた男たちもようやく我に返ると、一瞬キョトンとした表情で見つめた後に一斉に笑いだした。
「Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵)そうだよね♪細かい事は抜きだ!この際、誕生日でも復活祭でも慰労会でも構わないさ♪盛大にやろう♡」
「Σ(ღ-ω -〃٥)だよね~♪あちきも賛成♡」
「⁽⁽ღ(´皿`*)儂もです♪些細な事に拘っても仕方在りませんからな!」
「(・ᯅ・*ღ)まぁ雨降って地固まるって事で♪」
「(ღ´﹃`*)ですね♪転んでもただでは起きないって言いますもん♡」
「Σ(ღ• ຼ"•ꐦ)まぁ今回は事なきを得た事ですし、私も大目にみましょう♪」
「ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)ヨッ♪太っ腹♡」
「ꉂꉂ(*•̀ᗜ•́ღ*)︎そうですよ♪お祝いは愉しくなきゃね♡」
一旦、一致団結するとこれだけまとまりがあるのも不思議な現象だろう。凪は少々着いて行けずに頭が混乱してきた。
けれども自分の一言がこれだけの影響力を与えた事にも驚きを禁じ得なかった。いつしか自分も自然とこの輪の中に交じっていた事を知った。
その瞬間、凪も嬉しく為った。チラリと若君に視線を移すと、彼もニコやかに微笑んでいる。
何か言葉を掛けて欲しいと想った瞬間に、若君はこう語り掛けた。
「(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧そうだ♪今日は凪さんが僕らの仲間に為った記念の日でもあるんだよ♡皆で彼女にも乾杯しなきゃね♪」
「「「御意!ようこそ♪奥様♡」」」
皆一斉にそう叫ぶ。
「Σ( ꒪﹃ ꒪)なぬ?奥様!?」
「Σ((๑˃̶͈̀o˂̶͈́๑)☆もう♪いやん♡」
二人は絶句する。その対照的な反応に皆はドッと笑った。
若君に対する皆の細やかな意趣返しで在った。今日も愉快な仲間たちである。
【次回】逆転!また逆転!




