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大山鳴動

『頼んだぞ…(・ᯅ・٥)』


彼方の青空に飛び立った大地を見送りながら、費観は祈る様な気持ちで見つめていた。


そしてそれを見送るや否や自らの頬をパンパンと叩いて気合いを入れる。彼は迷いを拭う様に潘濬に声を掛けた。


「(・ᯅ・*ღ)潘濬殿!私は河辺に行って馬を取って来る。貴方はその間に直ぐに発てる様に荷物をまとめておいてくれると助かるが?」


「(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ それならお安い御用です!何もかも任せてしまい申し訳ない。頼みます♪」


「⁽⁽ღ(・ᗜ・*)何の♪気に為さるな!役割分担で御座るよ♪何れにしても誰かひとりは若君を診ていなくちゃならん!そういう事です♪」


「(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈえぇ…その通り!幸いまだ容態は安定しています。片付けはお任せを!」


「ღ(・ᗜ・*)頼みます!まぁ直ぐに戻りますよ♪」


そう言って費観は河辺に取って返した。潘濬は一旦、若君の様子を再度確認すると、直ぐに片付けを始めた。




物事は悪い方に向いている時には重なるものである。昔の人はこれを運気と考えて、(げん)(かつ)ぐ為に祈祷をしたり、賢者に占わせたりした。


清み渡っていた青空は突然、黒い雲に覆われ(カミナリ)(とどろ)くと、雨風がキツくなって来る。


「大変だ!!∑(º ロ" ºꐦ)…」


荷物をまとめに懸っていた潘濬はすぐに若君の許へと駆け付ける。まさに弱り目に祟り目である。


雨風を(しの)ごうにも、雷を避けようにも、一面何も無い平原のど真ん中だからどうしようも無い。


自分ひとりならそれでもどうとでも成るが、倒れ伏した若君を抱えていてはどうにもならない。


傍に気の効いた洞穴など勿論無い。雨露さえ凌げればまだ良かったが、逃げ場が無くこのまま身動きが取れないと、若君が雨に当たり体調の急変が心配された。


「✧(• ຼ"•ꐦ) そうだ!(ゴザ)だ♪」


潘濬は直ぐに荷物を集めて若君の背にまとめて置き、支えとして上体を起こす。その上で自分もその横に座り込み、(ゴザ)を三枚ほど重ねて、二人で被るとちょうど良い雨避けになった。


『(ღ• ᯅ"•ꐦ)ハハッ…我ながら上手い具合にいったかも♪』


潘濬はそうほくそ笑む。後は費観が間も無く戻ってくれば新たな知恵も出るというものである。


彼はそう想い、少しの我慢と(ゴザ)を必死で押さえながら、若君の横顔を眺めた。まだ顔に赤みはあるから、体調は大丈夫な様である。


勿論、風があるから、正面からも雨風は容赦無く吹きつけるものの、今のところ身体を冷やすほどの事も無かったので彼は安心していた。


その時である。急に突風が吹きつけると彼の持つ(ゴザ)はあっという間に風で飛ばされる。


「あっ!∑(º ロ" ºꐦ)…」


それはまるで独楽(コマ)か車輪の様に地を這い、廻りながら飛んで行く。彼は慌ててそれを追い掛ける。


「(ꐦ•"⌓•)ღ 待てぇ~待ってくれぇ~!」


彼は直ぐにひとつふたつと(ゴザ)を回収するものの、三つもあるから回収に少々手間取ってしまった。


するとちょうどそこに馬を引いて費観が戻って来た。


「(・ᯅ・*ღ)スマン!潘濬殿…折からの雨で時間が懸ってしまった。何だ!どうした?」


潘濬はちょうど三枚目の(ゴザ)を手に取り、回収した直後だったから、雨で衣類はずぶ濡れで、さらには動き回って汗だくで、ヘロヘロだった。


彼は事情を説明した。すると直ぐに費観は理解を示す。


「(・ᯅ・*ღ)ところで若君は??」


「✧(• ຼ"•ꐦ)しまった…」


そう聞かれて潘濬も慌て出す。唯一の頼みの綱の(ゴザ)を追う余り、目を放していたからである。


けれども然して時が経った訳でも無いから、異変は無かろうと、その点は心配していなかった。それでも二人は顔を見合わせると直ぐに元の場所に引き返した。


「∑(・ᯅ・٥)おぃ!潘濬殿…若君はどこだ?居ないぞ?」


「えっ!そんなバカな?∑(º ロ" ºꐦ)…」


潘濬はその場を確認するが、確かにそこには若君の姿は無かった。


「 ⁽⁽(・ᯅ・٥)⁾⁾ おぃおぃ!ここで間違いないのか?」


費観は聞き返す。その声音には少々焦りが感じられた。


「⁽⁽(٥• ຼ"•ꐦ)⁾⁾…」


潘濬は目を擦りながら辺りを見回す。目の前には荷物がまとまり置いてある。


確かにここに若君はその上体を乗せていたのだ。間違いない。


「Σ(ღ٥• ຼ"•ꐦ٥)そんなバカな…」


確かにここに若君は居たのだ。そして彼はつい先ほどまで肌を寄せ合い雨風を避けていたのである。


潘濬が目を放したのは高々、数分の事である。突風で吹き飛ばされない限りは居なくなる筈は無かった。


若君は気絶して動けなかったのだから、それ以外にその場から動ける筈が無い。或いはそんな些細な時の中で拐われる可能性などが在るのだろうか。


何も手掛かりは無く、辺り一面はまだ雨風の影響から視界が悪い。四方を見渡しても近くには居ない様に感じられた。


「 ⁽⁽(・ᯅ・٥)⁾⁾ 取り敢えず手分けして探そう!」


費観はそう告げた。


「⁽⁽(٥• ຼ"•ꐦ)⁾⁾…あぁ…判った!」


潘濬は再び動悸が激しくなり、目眩を憶えるも、そんな事を言っている場合でも無かったから直ぐに費観に同意した。


心を強く持ち、無造作に走り出した。費観はまだ多少は冷静だったから、馬を切り株に繋ぎ止めると、潘濬とは反対の方角に足を向けた。


河の方に行った可能性は0に近い。何しろ自分が歩いて来たのはその方角であり、遭遇していないからである。


彼らはそんな調子で雨風の中、必死に探し廻ったが、遂に若君を見つける事は出来なかったのであった。




その頃、北斗ちゃんは夢遊病者の如くに、雷雨の中を歩いている。まだ意識は無く、無意識に危険を回避するが如しであった。


本人には仲間を置いて来たという意識は全く無い。まだその自覚が在るのかどうかさえ怪しいものだった。


それはある意味、帰巣本能にも似た行動であったかも知れない。


やがて雨が止み、空が晴れて来る頃には、彼は森の中に迷い込んでいた。どれだけの時間が経っているのかさえ全く判らなかったのである。


「(٥ •'ー'•).。oO あれ?ここはどこだ!」


やがて彼は意識が戻ると、自分が全く身に覚えが無い場所に居る事に気づく。


「⁽⁽(٥ •'ー'•٥)⁾⁾…」


彼は想わす辺りを無造作に見渡す。けれども当然の事ながら自分がどうしてこんなとこに居るのかさえ思い出せなかった。


「Σ(,,ºΔº,,*)あり?ありり?宮殿に居た筈なのになぁ…さては僕に堪忍袋の緒が切れた董允が罰を与えたな?それにしてもそれほど遠くには捨てるまいから、ここは成都の近くの森なんだろう♪」


北斗ちゃんはまだ気づいていないが、彼はすっかり荊州での記憶がスッポリと抜け落ちていた。ダメンズのままの自分の事しか記憶に残っていなかったのである。


「否…(⁎⁍̴̀﹃⁍̴́⁎)大方、傍でこの僕を見守っているに違いない。さすがに置き去りにはしないだろうからな!そうと判れば、着いて来させれば良い。しばらく自由に行動しよっと!ちと困らせてやらなきゃこっちも腹の虫が治まらん♪」


物の考え方がまるでダメダメだった頃の若君のそれである。彼は途端に頭を押さえる。


「˚‧º·(˚>ᯅ<)‧º·˚あっ、痛たたた!何か久し振りに頭痛がするぞ?否、待てよ?久し振りな訳が無いな!寝起きだからそう感じただけかも知れん♪」


実は北斗ちゃんは大地の衝突から記憶障害を起こしていたのである。


だからこそ記憶には残っていない空白の時の事を身体が覚えているのかも知れなかった。


何も記憶とは脳だけが感知しているものでも無い様である。身体の細胞のひとつひとつにも記憶の因子は眠っているかも知れないのだ。


これが脳と細胞のその僅かな記憶のズレが引き起こした差異で在るのならば、彼はまだ回復する見込みが残されていると言っても過言では無かっただろう。


まぁ今の彼にそこまで考える余地はない。はっきりしているのは、彼を心配して探しているで在ろう仲間の事もその記憶からスッポリと抜け落ちてしまっている事だった。


「(๑•́⌓•́).。oO まぁいいや!せっかくの機会だ。のんびりと気楽にやろう♪そのうち董允の奴の事だ!痺れを切らして迎えに来よう♪」


記憶が抜け落ち、すっかり誤解しているのだから仕方無いが、何ともお気楽なものである。


北斗ちゃんはルンルン気分でそのまま歩き出すが、すっかり雨に濡れていたから衣類が濡れて気持ちが悪かった。


そこでどこか落ち着くところを早く見つけて、裸になり服を乾かす事にした。どうせ深い森の中である。人に観られる心配は無い。


まぁ董允や身内は覗いているかも知れないが、その程度の事なら彼は気にしなかった。


雨の後の森の中はまだ霧が立ち込めていて視界も悪い。それも都合は良かったのである。


彼はしばらく歩みを進めると、やがて森の中の拓けた場所に湖を見つけて心が踊る。それは何とも幻想的な風景だった。


「ちょうどいい!(๐•̆ ᗜ •̆๐)ここで水浴びして服を干すとしよう♪」


彼は服を脱ぎ初め、傍の木々の枝に引っ掛けて干す。そして無造作に頭に手をやり、初めて自分が兜を被っている事に気づく。


『( ๑˙﹃˙๑)✧アリ?これは何だろう。固いな!鉄で出来ているのか?こりゃあいい!森の中は物騒だからな♪獣に遭ったら大変だから、後で被り物に使おう!』


北斗ちゃんは無意識にまた鉄兜を被り直して、ここまでやって来た様である。彼は兜も干すと、やおら走り出してポチャンと湖に飛び込んだ。


『Σ( ꒪﹃ ꒪)うわっ!深い…』


彼は自分が泳げない事を思い出し、やおら焦り出すが、ふと気づくと巧く身体がプカプカと浮いている。


「Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵)何だ!泳げんじゃん♪さすがは僕だ!泳げたんだな♪ある意味、天才かも知れん!」


彼は堂々とそう宣い、ほくそ笑む。本当は南郡城のお壕で板から何度も落ちて努力した成果なのだが、今の彼には思いもつかない事であった。


彼は一通り泳ぎ疲れると、湖から出た。その時にたまたま湖面に映った自分の姿を眺めて、またまた驚いた。


何と凄くスリムで精悍な身体つきなのである。彼は想わず水面の水を手で(すく)う。


「Σ(,,ºΔº,,*)アレ?いつの間にか凄く痩せてるな!もしかしたらこの湖は魔法の水なのかしらん?」


勿論そんな事は有り得ない。けれども今の彼はそこまで頭が回らないから仕方無かろう。


彼はそれほど寒い時期でも無いのを良い事に、裸のままで木の上に登り、やがてそこで天下泰平にも眠り出した。


その時に無意識にも兜だけ被り直していたのはある意味正解だったかも知れない。野生動物でも本能的に危機感は存在する。


常に命の危険と隣り合わせだからである。この時の彼にもそんな無意識の懸念が存在したのだろう。


そして彼は知らないが、長旅の上に雨風の中をテクテクと歩いて来たのだから疲れていても当然だった。彼はそのまま、ぐうすかと寝息を立てて寝込んでしまったのである。




「チィチィチィ…」森の中には鳥の(さえず)りが響き渡る。そんな中を一頭の馬を引いたひとりの女人が通り掛かる。


「あら?(*^-゜)v♡こんなところに湖が在ったのね?長旅だからちょうど良いわ♪深い森の中だし、誰も観ていないでしょう?久し振りに身体を清めなきゃ!乙女はデリケート(なん)だもん♪」


彼女は早速、馬を近くの大木に繋ぎ、左右を見渡すと身に(まと)った衣類を脱ぎ初めた。そして濡れた衣服を近くの木の枝に掛けて乾かす事も忘れなかった。


人はなぜ水場を認めると心がウキウキとするのだろう。彼女もご多分に漏れず駆け出すと、ポチャンと湖に飛び込んだ。


「あぁ~(*^-゜)♡気持ちがいいわぁ♪」


彼女は開けっ広げな性格で男勝り。細かい事は気にしない。


それに自分が泳ぎが達者な事も自覚していたから、ひと潜りして旅の疲れを洗い流すとやがてプカプカと浮き始めた。そして必然的に辺りを眺める。


「あら?(◍˃ᗜ˂◍)ノ⁾⁾✿とっても綺麗ね♪幻想的な風景だわ♪こんな景色に出逢えるなんて、私ってばやっぱりラッキー??」


自然とそんな言葉が口から漏れ出る。かなりお気楽な性格である。


けれどもそんな体裁の彼女にも悩みぐらいはあるのだ。年頃の乙女に悩みは尽きないが、彼女の悩みはまた別物であった。


そう…この彼女こそが皆が必死になって捜している張飛の長女"(なぎ)"である。彼女の旅は所謂(いわゆる)傷心旅行(センチメンタルジャーニー)であったのだ。


けれども彼女に傷心は似合わない。真剣に事実と向き合おうとする強い気持ちはあるものの、まだ結論は出ていなかった。


彼女のこの旅はその事実と向き合うための謂わばひとときの安らぎの時であったのだ。


そんな訳で、彼女はしばらくの間、のんびりと景色を堪能する。命の洗躍である。


勿論まだ霧が立ち込めているから、はっきりと周りが見渡せる訳でも無いが、それが却って幻想的な風景に()()びの(おもむき)を持たせていた。


それに今の彼女には却ってこのくらいの景色の方が心が落ち着くというものである。彼女もそれが判っているから、意識的に為すがまま、しばらくはその身を委ねていたのだった。


「さて…(*^-゜)そろそろ出ますか♪」


凪は立ち込めていた霧がだんだんと晴れていくのに気がつく。勿論、誰も居ない事は判っていたが、それでも恥らいはあった。


それが乙女という者なのである。彼女はおもむろに立ち上がり、胸許を然り気無く両手で覆うと足許に気をつけながら湖から上がった。


すると自然と正面に立っている木々の方角を眺める事になる。


「えっ??٩(;°□°)۶ ヒャ〜」


(なぎ)は驚く。彼女は偶然にもその大木の上に人の姿を認めたのだ。


それはまだ若い男のようであった。しかも遠目にも彼はスッポンポンのようなのである。


男の方でも人の気配に気がついたのか、辺りを見回すように首を振る。そして次の瞬間に二人は目と目が合ってしまった。


「キャ~キャ~!!Σ((๑˃̶͈̀o˂̶͈́๑)☆ミ」


(なぎ)は反射的に自分も裸である事を思い出し、慌ててクルりと背を向けると身体全体を隠すようにヘタヘタと座り込んでしまった。さすがの彼女も恥じらいの心には勝てない。


それは一瞬の出来事だったが、見てはならないものを見ると同時に、乙女の他人には(さら)しては成らないものを見られる羽目になったのだから、幾ら気の強い彼女でもしばらくは動揺を抑えられない。


しばらくはそのまま「(;°-°;))) キャ~キャ~」叫びながら(うずくま)っていたものの、辺りは容赦無く霧が晴れて来る。


彼女も本能的にそれに気づいていたから、人が居る以上、このままでいる訳にもいかなかった。そこで(おそ)(おそ)るそのまま振り向く。そして目を()らす。


すると、もう大木の上には男は居なかった。


「あら?(꒪⌑꒪.)どこに行ったのかしら…」


彼女はそれでもまだ警戒心を(ゆる)める事は出来ず、辺りをしげしげと眺めまわす。けれどもどこにも男を認める事は出来なかった。


そこで(なぎ)は決意を固めて立ち上がると、両手で胸許を覆い隠したまま、馬を(くく)りつけた大木の下まで小走りに急いだ。


そして再び左右を警戒しながら、慌てて服を着始めた。まだ着衣は濡れていて、肌に引っつき気持ちは悪い。


しかしながら、背に腹は代えられないからドキドキしながらも、とにかく急いだ。着替え終わると少し落ち着く。


すると現金なもので、その反動から毒を吐く。


「全くもぅ!: ;((°ө°));:…今日はついて無いわ…」


(なぎ)はブツブツとそう呟くと、馬の手綱を外し、そのまま引いて歩き出す。


先程の若い男はもう逃げてしまったのだろう。例えそうでも、また取って返して来ないとも限らない。


彼女は自分の身くらい守れる自信はあった。そうでなければ、そもそも一人旅など始めない。だから余程、意表を突かれなければ、雑魚には負ける気はしなかった。


けれども同じ空間にそのまま滞在するというのも、こうなっては余り気持ちの良いものでは無かったから、静々と移動する事にした次第である。


彼女は想わずあの瞬間の事を想い浮かべる。


『✧(*,,ÒㅅÓ,,)✧私の可憐な姿を覗くなんて…』


(なぎ)はそう想い、頬を真赤に染める。


『あれれ…(๑‾᷆д‾᷇๑)✧でもあの人も確か胸に両手を当てていた様な…』


でも次の瞬間にはいつもの冷静な彼女に戻っていたから、仮に自分の記憶が一部違っていたとしても不思議は無いと想っていた。


何しろ彼女自身は羞恥心から、直ぐに背を向けてしまったために、結局は詳細な事は分からなかったからである。


事実確認も無しに決めつける事は、相手の尊厳を深く傷つける事にならないだろうか。


そう考えられるだけでも大した者なのだ。さすがは天下無双と謂われる張飛の娘であった。或いはもしかすると夏候淵の血かも知れないが…。


(いず)れにしても(なぎ)は、止せばいいのに、あの正面の大木の下まで行ってみる事にしたのだ。


彼女はあの時、叫びまくっていたから、当然その時は気づかなかったものの、後々考えてみるにドサッという音さえ、聞いた気がしたのである。


高い木の上で驚いた人が、反射的に胸に手を当てたなら、いったいどういう事になるだろう?その懸念が彼女の心に深く渦巻いていたのだった。


(なぎ)は結局、ドキドキと緊張しながらも、大木の下まで歩みを進めた。するとそこには、全裸のあの男が倒れていたのである。


彼女はまだ知らないが、それは我らが北斗ちゃんであった。

【次回】湖畔の華

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