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死の縁に入る

「間も無く呉との境です!ღ(・ᗜ・*)ここいらで最後の休憩を取りましょう♪」


費観の提案に皆、賛同したので休息を狭む事になる。すると落ち着くや否や、田穂が呟くように声を掛けた。


「ღ(٥`ー´ )⁾⁾ あっしは馬に水を飲ませて参りましょう。後、皆さんの水筒も貸して下せぇ~。水も補充しませんと!」


普段なら気のつく行いに素直に感謝するところだが、いつになく今の彼は元気が無かった。


するとその何げない仕草から気の付く費観が声を掛けながら動き出す。


「田穂殿!⁽⁽ღ(・ᗜ・*)それなら私も手伝おう♪」


そう言いながら皆の水筒をさっさと集めて馬の(くら)に掛け、二頭の馬を互いに引きながら共に歩き出した。


後に残された北斗ちゃんと潘濬は手分けして残りの饅頭(まんじゅう)を掻き集めて準備する。すると不意に潘濬が声を掛けて来た。


「ねぇ若君!✧(• ຼ"•ꐦ)田穂の奴、少し静か過ぎやしませんか?道中、何か在りましたかな…」


それを聞いた北斗ちゃんは思い当たる節があるのでギクリとする。


ちょうど間の悪い事に大地を休ませようと口笛を吹いた後だったので、喜んだ大地は急降下して来て、彼の肩に掴まる寸然だった。


ところが振り向いた頭がちょうど肩の上に来たもんだから、さすがのキュッキュ君も加速のついた重力には逆らえない。


北斗ちゃんも動揺した上に振り向いた直後だったから、彼の反射神経を駆使しても間に合うはずも無かった。


それでも大地は本能的に危機を察し、回避しようと速度を緩めたので、ゴンと嫌な音がして若君の頭に着地した。


目の前でそれを目の当たりにする事になった潘濬は、顔を青ざめ、口に手を当てながら「ヒィ~!!∑(º ロ" ºꐦ) 」と叫んだ。ところが引きつった口唇はかすれて言葉にならなかった。


彼の目の前でゴンという嫌な音と共に若君は(ひたい)を押さえながら前につんのめる。


大地はその反動をものともせずに、文字通り大地に着地すると、キョトンとした顔で若君を覗き込む。彼なりに心配しているのかも知れない。


潘濬も我に返って慌てて駆け寄る。


そして声を掛けようとしたその刹那に「アィタタタタ…˚‧º·(˚>ᯅ<)‧º·˚ 」という悲痛な声を上げた若君が顔を上げた。


余程、痛かったのだろう。涙目である。そして地に伏した時についた泥が顔全体を覆い、見るも無残な姿だった。


「大丈夫ですか?(ꐦ ٥•" ⌓•)」


潘濬が心配そうに声を掛けると若君は泥垢(どろあか)(まみ)れの顔で宣う。


「あ〜平気、平気!Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵) いゃ~危なかったぁ~♪この兜、大した物だわ!今度、周倉に礼を言っとかにゃあ♪なっ!これこれ♪」


頭を突き出していた潘濬にわざわざ兜を脱いで見せる。二人が覗き込むとそこには紅葉(もみじ)模様の二つの窪みが出来ていた。


「確かに丈夫ですな!Σ(ღ• ຼ"•ꐦ)しかし良くぞたまたま被ってましたな…これ無きゃやばかったですぞ!」


潘濬は偶然とはいえ、不味いタイミングで声を掛けた自分にも非があるので、その恐しさから震えが止まらない。すると若君はやんわりと否定した。


「うんにゃ♪(⁎⁍̴̀﹃⁍̴́⁎)偶然じゃないぞ!これは周倉が矢も跳ね返す鉄兜だと言って作ってくれた代物だ!つまりは試作品ね♪謂わば僕は被験者(モニター)って訳だな!」


そう言ってニヤリと笑うと付け加えた。


「( ๑˙﹃˙๑)✧前からコレ欲しかったんだわ♪だから僕が周倉に頼んで作って貰ったのさ!元々の着想(アイデア)はコイツから身を守るためだったんだが、物の見事に大当たりだな…まぁ文字通りね!洒落にも成らんが…」


若君はそこまで宣うと突然、また前につんのめって倒れ伏す。


「わ、若君!!∑(º ロ" ºꐦ) 」


潘濬は慌てたように若君の顔を持ち上げると、それはまた見事に泥塗れになって、今度は完全に気絶している。やはり何を言っても当たった箇所が悪かったらしい。


「(ꐦ ٥•" ᗜ•)若かぁ~!!」


潘濬は今度こそ大声を挙げて助けを呼んだ。




一方の田穂と費観は馬の手綱を引きながら河を目指す。田穂は相変わらず無口なままである。そこで仕方無く費観が口火を切った。


「田穂殿!⁽⁽ღ(・ᗜ・*)貴方が気落ちしているのは暗号(サイン)のためでしょう?貴方は仲間想いの方だから、我々が潘濬殿を欺いたと感じ心配になった。だから沈黙を貫いている。違いますかな?」


田穂は驚くように振り向いた。反応がそれを如実に物語る。


そこに言葉はいらなかった。費観はコクりと頷くと話しを続けた。


「やはりそうでしたか…(ღ・ᗜ・*)でもそれは誤解というもの。物事には聞いてみなければ判らない真実が隠されている。私に貴方は(あざむ)けない。それは確かです。貴方も私の性格は存じていよう…」


流民の移送を通して田穂は益々費観と接する機会が増えていたからそう言われて自然と頷く。田穂はその機会の中で費観が現在取り組んでいる試みを知った。


そして費観はいみじくもその事に触れた。


「(ღ・ᯅ・٥)貴方は私が長沙の歩隲殿を味方に付けるべく暗躍している事も知っているはず。そして実直さゆえに彼を欺けないため、躊躇(ためら)っている事も知っていますよね?」


田穂は反射的に頷く。


その時に彼は自分の躊躇いが、なぜこの男に看破されたのかを知った。


彼は費観の言葉に益々食い入る様に耳を傾ける。


「(・。・٥ღ)そんな私が仲間を欺き、悪さをすると想いますかな。まぁ私の事は半歩譲っても、貴方は若君が斯様(かよう)な事を成さる方では無いと知っているはず。でも心が揺れたのは、万が一と考えたからなのでしょうが、あの方は仲間を愛しておられるゆえ、それは無いと申し上げておく…」


そうなのである。この費観も若君同様に疑う事を潔しとしない。


特に自分が認め信じた相手の事は最後まで信じられる男なのである。そんな二人が果たして仲間を欺くだろうか。


田穂は彼の言葉が自分の良心に訴えている事を知る。


そして費観は田穂の憂いの下に隠されていた本音を刺激した。


「ꉂꉂღ(・ᗜ・*)貴方も本当は信じているはずだ。だが、前半生を苦しみと共に過ごして来た経験が貴方の心にこの度、少々迷いを生じさせたのでしょう。しかしながらあの方は信じるに足る御方だ。それは貴方も本当は判っているはず。だから信じておやりなさい。私も詳しい事は正直知らんのです。でも若君を信じているから協力したまで!私の言える事はそれだけです♪」


費観はそう言ってニコリと笑うと田穂を見つめた。


『(ღ・ー・*)この男も随分と変わったものだ…』


費観はそう想い、すぐに否定する。


『否…(ღ・ー・٥)元々仲間想いの男だったな!でも立派に成った…』


彼は斬られた仲間のために医者である若君を強迫し、治療させ、挙句の果てに投降したこの男の過去を思い出していた。


元々男気のある男である事に違いは無かった。だから必ず判ってくれると信じていたのである。


田穂は突然、照れ臭そうに言葉を濁した。


「あ、あっしも判ってたので…(*`‥´٥)」


彼はゴツい手で頭をゴシゴシと擦りながら、話し続けた。


「:;((`罒 ´٥ ))));:でも今まで何も隠し立てをしなかった若君があっしや潘濬殿に隠そうとするなど…そう想い、居たたまれなかったんですわ!」


田穂は素直な気持ちに立ち返り本音を吐き出す。それは仲間を信じる心との対話の様にも見えた。


「あっしは良いのです。(#`罒´٥)੭ ੈ余り頭も良くねぇし、聞いても判らんかも知れません。でも若のためにいつも必死な潘濬殿を蚊帳(かや)の外にするなんざ、想いもしませんでした。だから酷く取り乱しました。すんません! 」


田穂は遂に自分の懸念を自らの言葉で正直に打ち明ける。そして素直に謝った。


仲間を疑う言葉を飲み込み、控えていた事が、却って大切な仲間に礼を欠いたという事に気づいたからだった。


田穂は姿勢を正し、締め括る。


「Σ(٥`⌓´ღ٥)聞いてみれば費観殿も存じない事とは想わなかったのです。貴方はそれでも若君を信じて協力したんですな♪大した御方だ。あっしも貴方のような揺るぎない信頼を置けるように今後努力しますぜ!」


田穂は照れながらも、固い決意をそう述べた。


「ハッハッハ♪ꉂꉂღ(・ᗜ・*)一時の気の迷いは誰にでもあるもの。でも清き心が成せる技です!少なくとも貴方は潘濬殿を想って、その迷路に落ち込んだだけ。若君もそんな貴方を責める事は無いでしょうな!信じて待つ事です。必ず良き結果となる事でしょう♪」


費観はそう締め括る。田穂は男泣きしながら謝意を示した。


「費観殿!貴方って人は…Σ(٥`ᯅ´ღ٥)」


“何て素晴しい人物なのだ"~田穂の表情がそう物語っていた。


費観はひと息尽くと優しい言葉を投げ掛ける。


「⁽⁽ღ(・ᗜ・*)さぁ~若も潘濬殿も待っていますよ!さっさと用事を済ませて戻りましょう♪」


「そうですな♪ღ(٥`ー´ )⁾⁾ 貴方には借りが出来た!いつかこの恩は…」


田穂がそう言い掛けた時に費観は手で制した。


「(ღ・ᯅ・٥)☆ またまた何を言うのです!水臭い。我々は仲間です。仲間が仲間を助けるのは当たり前の事。当たり前の事に礼は居りません。次に言ったら怒りますからね♪」


費観はそう言って笑った。


こうして二人は良い気分で馬に水を飲ませ、水筒にも水を汲む。そんな時だった。


突然、大きな声で助けを求める叫び声が耳を突く。


「∑(・ᯅ・٥)大変だ!!」


「Σ(ღ`⌓´٥)潘濬殿の声ですぜ!」


二人は顔を見合わせ、ほぼ同時に叫んでいた。そして次の瞬間には二人とも、躊躇う事無く駆け出していたのである。




二人が慌てて戻って来ると、潘濬が然も困ったように若君を見つめている。そして二人の足音に気がつくと、半狂乱となって再び叫んだ。


「大変です!∑(º ロ" ºꐦ) 若が、若が…」


完全に落ち着きを失ってそう叫ぶこの男の姿を未だかつて二人も見た事が無かった。


費観は費禕ほどでは無いにしろ、江陵に居た頃には弎坐と三人で交代しながら若君の身の回りを守って来たのだ。


その中には華佗老師の許に通う若君にも付き従い、手伝う日も当然あった。彼ほどの器用な男なら、見よう見真似でも介抱の仕方くらい朝飯前である。


実際、実施で習ってもいる。


何しろ初航海で大型船を動かしてしまう程のセンスの良さである。それは直ぐにここでも発揮された。


そして田穂も似た様な経緯で治療の場を何度も見学している。しかも老師の弟子となった兄貴分の管邈(かんぱく)から、日々耳に(タコ)が出来る程に聞かされて来た。


まるで毎晩、おとぎ話を聞いているような(おもむき)であったから彼も手伝いくらいは出来た。


それが少なくともこの場を収める一因には成ったのである。費観は直ぐに若君を楽な恰好にして、いの一番に気道を確保すると、胸に耳を当てて心音を確認する。


「うむ…⁽⁽(・ᯅ・٥)息もしてるし、心の蔵も動いている。脈は…これも正常だな!」


彼はそう言うと少し安堵する。同時に頭の具合を見ていた田穂が口を開いた。


「費観殿、見る限り外傷は無いですぜ?血も出ていないし、触診もしましたが、凹凸も無い。原因は何でしょうなぁ?Σ(٥`⌓´ღ٥)」


「そうか…(・。・٥ღ)どれどれ?私も見よう!成る程…そうだな。おぬしの言う通りだ!」


費観も同意する。


潘濬はハラハラドキドキ見守るのみであった。


「(ღ・ー・٥)貴殿の話しでは、大地が頭に着地したのでしたな?ドコッという痛ましい音がしたものの、一旦は起き上がった。そうでしたな?」


「えぇ…(ღꐦ•"⌓•)" そして笑いながら兜の自慢をされていたら突然…」


「(・ᯅ・٥ღ)…倒れたと!」


「(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ その通りです!」


「ふむ…⁽⁽(・ᯅ・٥)どうやら鉄兜を被られていたのが幸いしたようだが、ひょっとすると、一旦起き上がれたのは緊張されていたからでしょうな!或いは貴方に心配をかけまいとしたのかも…」


「でっ?(ꐦ ٥•" ᗜ•)どうなんでしょうか!」


潘濬は自分の非だという気持ちが強く、それだけ心を痛めているのだろう。それが良く判るだけに痛たまれない。


かくいう費観も無理にでも大地を休ませて居ればと想わないでもなかったからである。


そもそもこの話しを聞けば、傅士仁でさえ心を痛めるに違いないのだ。自分が余計な事をしなければと…。


皆がそれだけ若君の事を想いした事が、たまたま(ことごと)く裏目に出ただけなのである。それは田穂でさえ例外では無かった。


話しを聞くにつけ、どうやら潘濬殿は自分の事を心配して相談しようと声を掛けたようである。


『(*`‥´٥)事の発端を作ったのがこのあっしだとは…』


彼も今更ながら自分の行動を悔いた。自分がしんみりとしなければと…。


けれども全ては若君のために、そして仲間を(おもんばか)る心が起こした善なる行いの歯車が、少々狂ってしまっただけなのである。誰が悪い訳でも無かった。


直接の原因である大地でさえ、それは例外では無い。若君の口笛にちゃんと答えて降りて来ただけなのだし、それに人外の物に当たる者はここには誰一人としていなかった。


費観は深い溜め息を漏らすと潘濬の問いに答えた。


「(ღ(*・ー・ ٥)皆、若君のためにした事です。悪い訳が無いじゃありませんか。悔いる事はいつでも出来る。今はまず若君のお命が肝心です。否…すぐにどうという訳ではありません。見掛け上はどこも悪く無い。けれども打った箇所が頭ですから内部で損傷を受けている可能性も無いとは言えません…」


彼はそう前置きをした上で、見立てには確信が無い事を正直に告げた。医者で無い以上、その点は(さじ)を投げざる逐えない。


「(・ᯅ・٥ღ)残念ながら、これが素人見立ての限界というもの。そこでものは相談ですが決断をしていただきたい。酷なようだが、その決断は潘濬殿、貴方にして貰いたい。ここではどうやら貴方が最高位だ。このまま進むか、取り敢えず公安砦まで引き返し、弎坐殿や老師にご足労願うしか方法はありません。如何されますか?」


費観は発言している自分の言葉が信じられなかった。こんな時に進む者など居やしないだろう。


けれどもふと想ったのである。若君なら何と言うだろう。その時に彼には北斗ちゃんが「いざ、進まん!」と言うのでは無いかと思ったのだ。


何たる世迷い事だと彼も想う。でもそれは自然と彼の口をついて出たのだった。


「な、何を仰る!∑(º ロ" ºꐦ)勿論、引き返すに決まっている。若君はこの荊州の(かなめ)!今、この方を失う訳には参りません。この方は将来きっと英明な君主に成られます。私はそう信じている。そして成長したそのお姿を見たいのだ。皆だってきっとそう想っているはずだ!頼む、この通り。この方を助けて下さい!」


潘濬はいつの間にか眼からブワッと涙が溢れ出し、土下座するように皆の前でひれ伏した。そして地に何度も頭を打ちつけ、二人が止めなければ、彼すらも大怪我になるところであった。


費観は潘濬の肩に手を置き、優しく諭す。


「⁽⁽(・ᗜ・*)貴方の気持ちは判りました。勿論、我々だって同じ気持ちだ。手配はこの私がするので、貴方はしばらく若君に付いていて下さい。宜しいですな!」


「判った…(ღ• ຼ"•ꐦ)⁾⁾ 頼む!」


潘濬はそう言うと若君の傍らに跪く。費観は田穂を呼び寄せこう指示を下した。


「⁽⁽ღ(・ᗜ・*)御苦労をかけるが、貴方はすぐに公安砦に取って返し、費禕か張翼に面会して下さい。事情を話せば伝書鳩で江陵には伝わるはずだ。必ず老師か弎坐殿を寄越して貰って下さい。私は潘濬殿と協力して若君を公安砦にお連れする。宜しいですな!」


「勿論でさぁ!ꉂꉂ(*`ㅂ´ღ*)あっしに出来る事は何でもやりますとも!!それで…アイツはどうします?」


田穂は尋ねる。


「あぁ!"(・ᗜ・*)大地の事ですね?彼には傅士仁殿への使者の役目を但わせます。私が責任を持ちますから大丈夫♪」


費観は胸をポンポンと叩こうとして止めた。事の発端を思い出したのである。


その代わり「ピュイ♪」と口笛を吹く。すると大地はすぐに反応して、手を差し延べる費観の腕に留まった。


『やれやれ…(・ᯅ・٥)良く仕込んである事だ!』


費観は複雑な気持ちで大地を眺める。この世の中、時に優秀な事が却って(あだ)になる事もあるのだ。


これは若君にも言える事だった。彼が優秀で無くば、今ここで倒れる事も無かっただろう。


「(*`ᗜ´٥)੭ ੈじゃあ、あっしはこれで行きますぜ!河辺に放置したままの馬はどうします?」


「うん?あぁ…"(・ᗜ・*)それならこの私が何とかするから気にするな。君の務めは成るべく早く公安砦に駆け込む事だ!そして出来ればそれが済み次第、その足で戻って来てくれると助かる♪」


費観はそう答えた。


「判りやした♪ღ(٥`ー´ )⁾⁾ じゃあ、あっしは自分の馬だけ貰って行きます。なるべく早く戻りますんで!」


「あぁ…⁽⁽(・ᗜ・*)そうしてくれ♪頼む!」


そう言うや否や、田穂は河岸まですっ飛んで行った。


費観はそれを見送ると、胸の中から一枚の羊皮紙を取り出して、サラサラサラっと一筆に書くと、竹筒に収めた。


そしてその筒を大地に取りつける。


「ピュイ♪」


再び口笛を吹くと大地は費観の腕に乗る。彼はここで傅士仁の臭いがついた布切れを取り出すと大地の鼻先まで持って行き、嗅がせた。


『やれやれ…:;((٥・ᯅ・٥))));: まさかここでコレを使う事に成るとは!』


これは万が一の連絡手段として傅士仁から預かった代物である。追う相手の臭いを嗅がせる事で、大地が追う相手を的確に認識出来る様に工夫したものであった。


こうする事で大地は追う相手を代えられる様に訓練されているのだ。


但しこれはある意味、苦肉の策という事になる。大地が一旦飛び立てば最後、改めて若君の臭いを嗅がせる事が出来なければ、けして戻って来る事は無い。


つまりそこには必ず、人の介在が必要になるという事で在る。


『背に腹は代えられぬ…(・ᯅ・٥)今はこれしか無い!』


費観はそう想い、覚悟した。


「行け!⁽⁽ღ(・ᗜ・*)」


彼はそう言って腕を払う。


大地はそれを合図に羽ばたき、青い空へと飛び立って行き、やがて見えなくなった。

【次回】大山鳴動

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